柔らかく、そして濡れているデク   作:海棠

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去年までのあなたは、どんな人でしたか?
去年までのあなたは、何をしていましたか?
きっと他人は、あなたの過去を見て、あなたを判断しようとします。
けれど、あなたまでそういう見方で自分を見てはいけない。
あなたは新しい。あなた自身を過去から引き離せば、きっと感じ方も変えられる。
羨ましく、憎らしいとばかり見えていたものが『素晴らしい』と思えるかもしれない。
                                マイケル・J・ロオジエ






バスの中での出来事

僕の朝は早い。午前4時には起きて準備運動をした後、山に登って個性の研究をする。おかげで(みき)がボドボドになってるけど気にしない方向で。

 

「アラァ!!」

すると幹からバキィッといい音が鳴るとそのまま崩れ落ちた。

・・・・・・・・。

 

「さて、帰るか」

僕はそそくさと帰宅することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして学校に言って授業を受ける。

 

「次々ッ次の問題はぁ―――ッ!!!みどみど緑谷君!!!」

「③です」

するとマイク先生は数秒間円盤(?)を動かすと急に平坦な声でこう言った。

 

「違うな。答えは②だ」

傷つくわぁ・・・・・・・・。

 

「・・・」ナデナデ

あ、慰めてくれるの?ありがとう。でも今はそれが一番傷つくなぁ…。

 

「・・・」アワアワ

うん、ごめんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでもって昼休み。麗日さんや耳郎さん、そして上鳴君に常闇君(いつものメンバー)で昼食をとっていると上鳴君が口を開いた。

 

「ふぉろふぉでさ」

「まずは口の中を(から)にしてからしゃべろうか」

そういうと上鳴君はもぐもぐと咀嚼(そしゃく)してから飲み込むと再び口を開いた。

 

「俺たちの個性ってよ、なんでこんな個性になったんだろうな」

「・・・僕は何でこんな個性になったのかわかんないなぁ。だってさ、中学の時だよ?個性が発現したの」

「え、嘘、マジで?!!」

「マジマジ、(おお)本気(マジ)よ。それから2年間で必死に研究したんだから。さては聞いてなかったな?」

すると上鳴君は少し焦ったように弁解し始めた。

 

「あ、あん時は能力の方に意識が向いてたからよ、ごめんな。ていうか、え?たった二年間でそこまでもか?!」

「いや、ここまで『しか』まだできてないんだ。もっと研究しなくちゃいけないと思ってるよ。ところで話ずれてるけど」

「あぁ、そうだったな。俺がこいつが発現したのが小学校の時だったんだよ。いつの間にか俺の隣にいた。そして話しかけてきたんだ」

「私は幼稚園の時に来たよ。その時はだったけど」

「卵ぉ?!」

「うん、卵。家に帰ったらこれくらいの(※手を広げながら大きさを示す)大きさのがドンっておいてあるんだよ。叩いてもびくともしないわけ。気味悪がってお母さんに訊いてみても全然わからない。怖くなって庭に捨てたんだけど次の日にはもう私の部屋にいた!いや、あれだよね。びっくりするしかないよね。そんなこともあって小学校6年生になったら卵が割れてたんだ。びっくりするしかないわな!!それd「長い長い、次」えっ・・・」

ちょっとショックを受けた耳郎さんに対して放課後改めて聞くからとフォローを入れておいた。

 

「・・・俺か」

「そう、君」

「・・・俺の分身(個性)が生まれたのは今から10数年前のことだった・・・。というより女神(母さん)が言うには赤子の時にはすでにいたらしい」

あ、これは話が長くなりそうだな、と僕たちは思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休みが終わって今は午後の授業。

あの後全部常闇君がしゃべってくれたおかげで麗日さんから話を聞くことができなかった。

 

「今日のヒーロー基礎学だが……俺とオールマイト、そしてもう一人の三人体制で見る事になった。内容は災害水難なんでもござれの人命救助(レスキュー)訓練だ!」

そして今教壇には相澤先生が立っており、雰囲気もオールマイトの時とは違って少し締まってるような、そんな感じがする。

 

「今回の授業でコスチュームを着るか着ないかは個人の判断に任せる。中にはかえって活動を邪魔するようなコスチュームもあるだろうからな。訓練場は少し離れた所になるからバスに乗っていく。以上だ。準備開始」

するとクラスの皆はケースをもって教室から出て行った。僕も急いでケースをもって教室を出ようとする。

 

「おい、緑谷」

「へ、あ、はい。なんですか?」

すると相澤先生に呼び止められた。なんでだろ、僕の覚えでは何か後ろめたいことをした覚えなんてないけどなぁ。

 

「・・・お前は何でここ(雄英)に来た?」

「…はい?」

思わず聞き返してしまった。

 

「お前は確かに個性を完全に使いこなしている。そしてそれを幅広く利用している。ソレはいい。それはすごくいいことだからな。だがな、お前自身は空っぽに見える」

「・・・?」

「・・・言い方が悪かったな。緑谷、今お前に『夢』はあるか?」

「夢、ですか?もちろんヒーローn「嘘だな」」

せめて最後まで言わさせてくれてもいいんじゃないですかねぇ…?

 

「知ってるか?人間は嘘をつくとき、絶対に目が左に一瞬だけむくんだ」

そうなのか、知らんかった。

 

「・・・緑谷、もう一回聞くぞ。今のお前に『夢』はあるか?」

「・・・ッ」

僕は答えれなかった。そして先生に何か言われた気がするがいつのまにか更衣室にいた。

 

「あ、着替えないと」

僕はすぐに服を脱いでコスチュームに着替える。

 

「あ―――――!!!」

すると急に峰田君が声を上げた。

 

「どうした、峰田」

上鳴君が話しかけると峰田君は何やら興奮したような顔つきでしゃべり始める。

 

「なんで緑谷が女じゃねぇ~んだよぉ~~~~~~!!」

何を言ってるんだ、こいつ。

 

「普通よぉ、セーラー服は女が着るもんだろぉ?! なんで男の緑谷が来てるんだよぉ!!!!」

何言ってるんだ、こいつ。

 

「セーラー服は巨乳の女が着ると非常においしいんだよぉ!! なんたって胸で服が押し上げられてへそが見えるからなぁ!!それがまたいいんだよぉ!!!」

何言ってんだ、こいつ。

・・・というより。

 

「おい、誰かこいつを締め上げろ」

こいつ、言いたいこと言わせておけば僕のコスチュームにケチつけやがって(※違います)、もう許せんぞオイ!

 

「おいらは悪くねぇ! 性別が男のこいつが悪いだけだい!」

・・・もう面倒だ。こういう奴は無視するに限る。

 

「くたばれ変態」

僕はそう吐き捨てると集合場所へ急ぐことにした。後ろからの視線が少し痛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕が集合場所について少しゆったりしていると麗日さんが僕に話しかけてきた。

「・・・デク君、どうしたの?」

「えっ、なにが?」

「なんか眉間にしわ寄せてるけど・・・なんか悩みでもあるん?」

「あぁ、そんな顔してたんだ、僕」

「なんかあったん?」

「・・・麗日さん」

「なんね?」

「変態には気をつけてね」

「???」

ああいう変態は抹殺すべきだと僕は今思った。人のコスチュームに文句なんぞつけやがって(※違います)。あの野郎、事故に見せかけていつか絶対()ってやる。

 

「このバスに乗って移動するぞ」

いつの間にか合流していた相澤先生がバスを親指で指しながら言った。僕たちは次々と乗り込んでいく。なんか飯田君が嘆いてる気がしたが気のせいにしておいた。

 

「しっかし、爆豪もそうだけど、蛙吹みたいな生物型の個性も良いよな。一つの個性で色々な事が出来るからよ。俺の個性の『硬化』は対人じゃ強えけど、いかんせん地味なんだよなー」

「地味とか地味じゃないとか関係あるの?」

「あるに決まってるだろぉ? 派手だったらその分だけかっこつけやすいじゃねぇか」

「・・・僕はそう思わないけどな」

「え、なんでだ?」

「ここで例えさせてもらうけど轟君やかっちゃんの個性は確かに強力だよ。だけどね、派手なんだ。それがダメなんだ」

「んだとゴルゥアッ!!」「・・・」

「話は最後まで聞いた方がいいと思うよかっちゃん。別に君自身についてなんか言ってるわけじゃないし。まぁ、話を戻すけどあまりにも派手だとさ、いざこっそり動きたいときに動けないじゃん」

「・・・アー、なるほど」

「動けるわゴラァ!!」

「あぁ、そう(無関心)。それに、ただ単純に破壊力が高い個性だとそのあとの損害賠償とか馬鹿にならないと思うよ?」

するとかっちゃんは沈黙した。あぁ見えてかっちゃんは案外みみっちいからこういうことを言えば黙ってしまうのを僕は知っている。

何年幼馴染してると思ってんだこの野郎。

 

「爆豪はなんで急に黙ったんだ?」

「かっちゃんは意外とみみっちいからね。損害賠償のことをちらつかせば大概黙るよ」

「・・・ケッ」

「すげぇよな、緑谷」

「なにが?」

「よくこんな奴と幼馴染でいられるよな」

「しょっちゅう面倒くさい奴だなとは思ってたけどね。今でも思ってるよ」

「だよなぁ。こんなクソを下水で煮込んだような性格だもんなぁ」

「お前のそのボキャブラリーは何だよ、死ね!!!」

すごいね、端的にかっちゃんの性格を表してる。やっぱり君はすごい奴だよ上鳴君。

 

「ねぇねぇ、緑谷君」

「ん、なにかな。蛙吹(あすい)さん」

「梅雨ちゃんでいいわ。・・・ところでお願いがあるんだけど」

「うん?」

「峰田君の処理を頼まれてくれないかしら?」

するとそこにはもう見るに無残な峰田君の姿が!!

 

「何があったの?!」

「聞かないでほしいわ」

OK、寒気が走ったんで聞かないことにします。

・・・しっかし、どうすっかなぁ。今ここで殺ってもいいと個人的には思うんだけどまだ犯罪者になりたくないからなぁ・・・。

 

「おい、緑谷の目がガチだぞ」

「アイツ、殺ると言ったら殺るという『凄み』がある…!!」

なんか外野が騒いでるけどスルーしておく。・・・あ~、どうしよっかなぁあああ~~~。

・・・あ。

 

「僕にいい考えがある」

「うん」

「ヒーローになったら事故に見せかけて殺すというのはどうだろう」

すると皆がドン引きしたような表情になった。なんでだ。

 

「お、おおおおおおい緑谷ィ」

「なんだい峰田君」

「お前それマジなのかよぉ??!!!!!」

「まっさか―――、冗談だよ、じょ・う・だ・ん☆…2割くらいは

「お前さっきぼそって言ったけど聞こえてっからなぁ?!!」

「言っとくけどさ」

「おう」

「僕君に恨みしかないんだけど」

「」

「君にコスチューム馬鹿にされたのまだ根に持ってるからね。これは大人になっても忘れないよ」

「いやいやいやいやいやいや、コスチュームは馬鹿にしてねぇって! おいらはなんで緑谷が女じゃないのかっていう愚痴を叫んだだけであってだな…」

「最ッ低ですわ・・・」

「うわ・・・」

・・・・・・・・・。

 

「なんだそんな話か」

「へ?」

「僕はてっきりコスチュームを馬鹿にされたのかと思ってたけど、なんだ。僕の性別に文句言ってたのか。それくらいなら僕もここまで怒る必要性なかったね」

「いやいやいやいやいやいや、おかしいだろ?! ふつうそこは怒るとこだぜ?!!」

「僕にとってはこのコスチュームはお母さんがいてこそのコレだからさ、わかるでしょ・・・?」

『『『・・・あぁー・・・』』』

すると皆が納得したような表情になった。峰田君はほっとしたような表情になった。

 

「つまりおいらは将来殺されずに済むんだな…」

「今殺されそうだけどね、主に女子に」

「た、助けてくれぇ・・・」

「峰田君」

「?」

「僕、詳しいことは知らないけどさぁ」

「おう」

『身から出た錆』ってことわざ、知ってる? つまりそういうことだよ」

「自業自得とも言うな」

「そうそう、それそれ」

 

「もう着くぞ。そろそろいい加減にしろ」

『『『ハイッ!』』』

相澤先生の言葉に、峰田君以外の全員が元気よく答えた、もちろん僕も含む。峰田君は絶望したような表情になっていた。

 

 

続く





耳郎(じろう)響香(きょうか)
パワー:C
スピード:C
知力:C
持続力:D
射程距離:左右それぞれ6m
精密動作性:A
成長性:A
個性は「イヤホンジャック」と「エコーズ」。どちらも「音」に関係する個性であるが併用できない。上鳴と仲が良く、バンドや洋楽で話が盛り上がったりする。ちなみに彼とは中学からの付き合い。
尊敬しているバンドは「ピンク・フロイド」。
作者は「イン・ア・サイレントウェイ」と「エコーズ」のどちらにするかすごく迷った。

エコーズ
Act1
破壊力:E
スピード:E
射程距離:B
持続力:B
精密動作性:C
成長性:A
スタンド像:人間以外の生物型
パワー分類:遠距離操縦型
音を相手にしみこませることによってその人だけに音を聞かせ続ける。主に精神攻撃や集中力の妨害に使う。

Act2
破壊力:C
スピード:C
射程距離:B
持続力:B
精密動作性:C
成長性:A
スタンド像:人間以外の生物型
パワー分類:遠距離操縦型
擬音をはっつけることで音通りの効果を発揮する。なかなかに汎用性(はんようせい)に長けた能力である。




皆様、新年あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。
今回の『柔らかく、そして濡れているデク』はどうだったでしょうか?皆様のご意見、ご感想をお待ちしております。
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