柔らかく、そして濡れているデク   作:海棠

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というのは、不断の寛大なる行為である。
つまり、いついかなる時にでも、決して柔和な表情を失わぬことである。
                       ピーター・ユスティノフ

襲撃の後の職員室での会話
「ところで相澤君」
「なんです?」
「今だからこそいえなかったことがあるのだがね、私はあの時、あの怪物に拳を叩きこんだだろ?」
「はい、聞いたところによればそうらしいですね」
「あの後怪物の死体を確認してみたところ明らかに私が殴っていないところにも殴られた跡があったんだ」
「・・・どういうことです?」
「その言葉通りの意味だよ。それに私の拳が届いてないはずなのに拳が叩きこまれたりもしたんだ」
「それって本当なんですか?」
「あぁ。戦った私が言うのだから間違いない」
「・・・なんででしょうね?」
「さぁ・・・」








襲撃のその後

「コォォォォォォォォォォ・・・波紋!」チュッ

「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアッ?!!!!」バチバチィ

保健室に僕の叫び声が響いた。

 

「ビリッてきた・・・!」

「はい、これで安静にしておくんだよ。治癒力回復にも限度があるんだからね」

「さ、さっきのはいったい・・・?」

「『波紋』さね。これで治癒力を高めたり年齢をごまかせたりするよ」

「・・・・・・・・・・今おいくつですか?」

「私がヒーローを始めたのが40年前さね。あとは分かるだろう?」

「・・・・・・・・」

年齢詐欺ってこういうことを言うんだろうなぁ・・・、と僕は思った。

そんなこんながあって教室に戻ると教室に残っていた麗日さんがすごく心配したような表情をしながら声をかけてきた。

 

「デク君大丈夫なん?!」

「うん、大丈夫だったよ」

「ほんとにぃ?うち心配したんやからね?」プンスコ

「ごめん…。次からは気を付けるよ・・・」

「ほんとに無茶したらあかんよ?」

「ごめん・・・」

すると僕の胸の中がすごくポカポカしてきた。・・・アレ?なんだろう、この感じ。すごい不思議な感覚だ。

 

「? どうしたん?」

「いや、なんでもないよ」

僕はこの感覚を帰ったらお母さんに聞くと誓って麗日さんと一緒に教室から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、僕はご飯を食べながら口を開く。

 

「ねぇ、母さん」

「なぁに?」

「僕、友達ができたんだ」

「あら、よかったじゃない!」

「そのね、友達に麗日お茶子って子がいるんだけど」

「うんうん」

「その子に話しかけられるとすごい胸がポカポカするんだ。そして今すごい会いたい。この気持ちって何だろう?」

すると母さんはすごくほほえましいものを見るような目をしていた。

 

「出久、それはね、恋って言うのよ?」

「恋…?」

「そう、『恋』よ。例えばそのお茶子さん、だっけ?その子が他の男の子と一緒にいるところを想像してみたら?今あなたはどんな気持ち?」

・・・。

 

「すごい、もやもやする」

「そうよ、それが恋なの」

「これが、恋…」

「うんうん。でもよかったわ、出久が恋をしてて」

「・・・?」

「恋はね、すごく大切なことなのよ?」

「そう、なんだ」

これが・・・恋って感情なのか。

僕は顔が熱くなっていくのを感じた。

 

 

 

 

 

次の日から少しの間、学校がお休みとなった。まぁ、あんなことがあったら休みになるよね、仕方ないね。さて、どう過ごそうか・・・。

すると電話がかかってきた。僕はガチャッと受話器を取ると耳に当てる。

 

「もしもし、緑谷です」

『あぁ、緑谷少年かい?』

「・・・オールマイトですか?」

『あぁ、そうさ!私が来た!』

「えっと・・・、なんの用事です…?」

『今日からしばらくは学校が休みになる。君も知ってるだろう?』

「えぇ、はい。そうですね」

『そこで、お花見をしようと思い立ったわけだ!』

どういうわけだ。

 

『もちろん、見晴らしがいいところでお花見をしようと思ってるよ!そこでだ。君には少し食材を持ってきてほしい!』

「あ、はい」

『もちろん今すぐじゃなくていい!花見は明日だからね!機材は八百万さんに作ってもらうことになったし、ビニールシートとかは他の子たちが用意することになってね!君には食材を用意してもらおうと思ったんだ!』

「はい、わかりました」

『では健闘を祈ってるよ!』

すると電話はプツンっと切られた。・・・。

 

「・・・さて、買いに行くか」

僕は財布とケータイをもって家から出た。

 

 

 

 

 

~次の日~

 

「さぁさぁみんな、お花見の時間だ!」

『『『YEAHEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!』』』

テンション高いね、君達。特に男子側、かっちゃんまでテンションが高いとは思わなんだ。まぁ、笑顔はヴィラン顔負けなんだけどね。

・・・しっかし。

 

「きれいだな」

「せやね、綺麗やね!」

そう言いながら麗日さんはにこにこしていた。

 

「・・・君の方がきれいだよ」

「え、なんて言ったん?」

「え、あ、なんでもないよぉ」

危ない危ない。思わずぽろっと口から出てきてしまった。気ぃ付けないと。

 

「おーい、誰でもいいからポッキーゲームやろうぜー!!」

なんか峰田君が騒いでるけど無視することにした。

 

「ねぇ、デク君」

「ん、なにかな?麗日さん」

「・・・うちね、今一人暮らしなんよ」

「え、そうなの?!」

「うん。上京して安いアパートの部屋借りて暮らしてんねん」

「さらって言ってるけどさ、それってすごく大変なことじゃない?」

「まぁ、『住めば(みやこ)』って言うやん?それにな」

「?」

「いつまでも父ちゃんと母ちゃんに甘えてちゃいけないと思うて、な?」

天使かよ。天使だわ。

 

「そっか・・・。あ、そうだ(唐突)」

「?」

「何か困ったことがあったら僕に頼ってよ。僕にできることがあれば何でもするよ」

「え、今何でもするって言うたよね?」

「いや、それは言葉のあやっていうかなんていうか…」

「フフッ、冗談やで」

「あぁ、そう…」

「びっくりした?」

「…ちょびっと、ね」

その後峰田君のくわえたポッキーをS&Wがポキッと折って峰田君が血涙を流したり、たかが甘酒に酔ったかっちゃんが桜の上によじ登って怪獣みたいに()えたりとかしたが無事花見を終わることができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして(ゴールデン)(ウィーク)の初日、森の中で立体運動を一時間ほどして何気にケータイを見ると大量に電話がかかってきていた。

僕はスライドすると耳に当てる。するとつながった。

 

「…もしもし、緑谷です」

『あぁ、緑谷少年かい?』

「・・・オールマイトですか?」

『あぁ、そうさ!何回かけても電話に出ないから何か起こったのかと心配したよ!』

「・・・えっと、用件は何ですか?」

『今から学校に来てくれないかね?用件はそこで話すよ』

「あ、はい。わかりました。あ、あと」

『ん、なんだい?』

「私服で行ってもいいですか?」

『あぁ、構わんよ!』

「わかりました」

僕は電話を切って汗を拭くとそのまま走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

~しばらくして~

 

僕がガラガラと教室のドアを開けると僕以外の皆とオールマイトがそろっていた。

「やぁ、緑谷少年!よく来たね!」

「えッと…、みんな揃ってる感じですか?」

「あぁ!」

「そうですか・・・。遅れてすいません…」

「いやいやいや、急に言い出したのは私だからね。遅れてもしょうがないことさ。じゃあ、席に座って」

「はい」

僕は席に座るとオールマイトは話し始めた。

 

「実を言うとね、君達のPRのために遊園地でショーをやることになったんだ!」

『『『何だってぇええええええええええ?!!!!』』』

ノリがいいね、君達。

 

「しかもヒーロースーツを着てショーをすることになった!」

『『『何だってぇえええええええええええええ?!!!!』』』

マジか。これは予想外。

 

「で、シナリオはなんですか?」

僕はそう言うとオールマイトはニヤッと笑ってこう切り返した。

 

「それは…」

『『『(ゴクッ』』』

 

「自分たちで考えるのさ!!!」

 

・・・。

・・・・・・。

・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。

 

『『『ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ?!!!!』』』

僕たちの叫び声が上がった。

 

 

~しばらくして会議室~

 

「やっぱりここは王道で行こうよ!囚われたお姫様をヒーローが助けに行って悪い奴らをバッタバッタとなぎ倒していくんだよ!」(芦戸さん)

「いや、ここは趣向を凝らして自分の個性に苦しんでる奴がヒーローに目覚めていく物語をやろうぜ!」(切島君)

小学校の時から思ってたけど、なんでみんなこういう企画になったらすごく白熱するんだろうか。

 

「・・・」スッ

(。´・ω・)ん?なんでS&Wが手をあげてるの?

 

「え、あぁ、どうぞ」

ほら、飯田君も少し戸惑ってるし。

するとS&Wはどっから用意したか知らないホワイトボードを取り出すときゅぽッとマーカーのふたを開けてキュッキュッと書きだした。そして書き終わると皆に見せる。するとそこにはこう書かれていた。

 

『芦戸さんに賛成』

 

「・・・それは君自身の意思かい?それとも、緑谷君の意思かい?」

するとさらにキュッキュッと書くと再び見せた。

 

『これは自分の意思。ご主人は関係ない』

・・・僕のことご主人様呼びかいな。

 

「しっかし、それちゃんと意思があるんだな」

「うん。たまーにいたずらしてくるんだけど」

「どんなだ?」

 

コンナカンジ( ´_ゝ`)σ)´_ゝ`)ハハハ

      ↑     ↑

      僕    上鳴君

 

するとソフト&ウェットが僕のほっぺたをつついてきた。

 

ツンツン( o|o)σ)´_ゝ`)ハハハコヤツメ

    ↑    ↑

   S&W   僕

 

すると今度は麗日さんがS&Wのほっぺたをつついてきた。

 

ツンツン(*´Д`)σ);o|o)<?!

   ↑    ↑

  麗日さん S&W

 

・・・なんだ、この無限ループ。僕はこんな無限ループを終わらせるためにS&Wをしまう。すると支えを失った麗日さんの指が僕のほっぺたに突き刺さった。

 

...(;´Д`)σ);´д`)...

 

・・・えっと、何だこの空気。すごく気まずい。早々(そうそう)に終わらさないと。

そう思って僕は麗日さんの手を取るとそのまま麗日さんの膝の上に乗せた。

そして僕は満足してうなずくとゲンドウポーズ+精一杯のきめ顔で口を開いた。

 

「さて、話の続きをしようか。で、どこまで進んでたっけ?」

「おめぇそのままスルーしようたってそうはいかねぇぞゴラァ!!」

なんで峰田君はキレ気味なんだろうか。怒ると血圧上がるよ?

 

「その『マジで理解できません』みたいな表情するのやめろや!!めっちゃ腹立つ!!」

「峰田君、静かにしようよ。今叫ぶ時間じゃないよ、ね?」

「その(さと)すような言い方もやめろ!!殺したくなるくらい腹立つから!」

「そんなに怒ってたらはげるよ?」

「まだはげねぇよゴラァ!!つかはげたらそれこそ俺の個性死ぬじゃねぇか!!」

「それ髪の毛だったのか・・・」

「おい誰だ今さっき言ったの!!地毛だわゴラァアッ!!」

これではらちが明かないと思ったので僕はシャボン玉を一つ峰田君に向けて飛ばす。そしてシャボン玉がはじけると峰田君の口から声が出なくなった。

 

「よし、続き話そう」

「あ、あぁ、そうだね」

しっかりしろよ、飯田君。君がしっかりしなくちゃ誰がしっかりするってんだい。

 

「まぁ、多数決しようじゃないか。切島君と芦戸君の意見で問題はないね?」

全員何も言わなかった。

 

「じゃあ、切島君の意見がいいと思う人は手をあげて」

瀬呂君やその他男子の多くが手を挙げた。

 

「では、芦戸君の意見がいいと思う人は手をあげて」

女子全員と男子数人が手を挙げた。そしていつの間にか現れていたS&Wやレッドホットチリペッパー、更にはエコーズや黒影も手をあげていた。

 

「あ、えっと、多数決で芦戸君の案を採用します」

「マテやゴラァああ!!!!」

どうしたんだ、かっちゃん。

 

「どうしたの、かっちゃん」

「どうしたもこうしたもねぇよゴラァ!!なんで個性のこいつらがてぇあげてんだゴラァ!!」

「ナンダヨ、俺達ニハ手ェ挙ゲル権利ガネェッテ言ウノカヨゴラァ!!」

「そんなこと言ってねぇだろうがよぉ!!」

「だったら叫ぶ必要性ないじゃん」

「・・・チッ」

一体何なんだ一体。

 

「数えてみたところ芦戸君の方に手を挙げている人が多いので芦戸君の案を採用します!」

女子から拍手が巻き起こった。

 

その後話し合いの結果、敵組織の名前は『ファウスト』になり、メンバーは切島君に常闇君、それに芦戸さん、そして(かしら)役はかっちゃんに決まった。この後、滅茶苦茶荒れたけどうなじにチョップを叩きこんで黙らせたので多分大丈夫だろう。

 

 

 

・・・その後を簡潔に言おう。なんだかんだあったけどまさかの大成功だった。

木の役だった峰田君が摩天楼を登って梅雨ちゃんさんに制裁されていたり上鳴君が限界を突破して馬鹿になったりレッチリが乱入してきたりしたが無事に終わることができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにそのショーを撮影した動画は驚異の10万再生超えだった。

 

 

 

続く

 





リカバリーガール
パワー:D
スピード:C
知力:A
持続力:C
精密動作性:B
成長性:D
・この作品の彼女は波紋のおかげで原作よりも30~40年くらい若く見える。年齢詐欺だとよく言われている。
・彼女の個性である『癒し』と波紋のおかげで傷はたちまち治ってしまう。

波紋
才能のある者が特殊な訓練と呼吸をすることで発することができる生命エネルギー。そのエネルギーはなんと太陽のエネルギーに匹敵するという。
ここでは波紋は『個性』ではなく『技術』として扱う。



皆様お気づきかもしれませんがこの小説の緑谷君は原作と比べるとけっこうクソ野郎です。
自分で書いててアレですが将来眉間(みけん)にしわ寄せながらタバコ吸ってそうです。
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