柔らかく、そして濡れているデク   作:海棠

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セトモノとセトモノと ぶつかりッこすると すぐこわれちゃう
 どっちか やわらかければ だいじょうぶ
 やわらかいこころをもちましょう。
                   相田みつを





試験結果と雄英入学と除籍の危機

試験が終わってから数週間くらいはもうほんと生きた心地がしなかった。ソフト&ウェットもそれは同じだったのか、デザインが狂ったかのように顔がしょっちゅう変わっていた。ときには左右非対称になることもしばしばだった。

 

そして、運命の日。

僕はドキマギしながら封筒を開けた。こんな表現は少しおかしいかもしれないがとにかくそういう風にしか表現ができないから仕方ない。僕は一回深呼吸して封筒から中身を引き抜いた。

中に入っていたのは何かの機械だった。少しいじくりながらじろじろ見ると何かスイッチみたいなものがあることに気付いた。

ほい、ぽちっとな。

 

『私が投影された!!』

 

「ファ?!!」

僕は思わず叫んで手から投影機を床に落としてしまった。そしてさらにはベッドの上に飛び乗ってしまった。そしてさらには勢いあまって頭を壁にうってしまった。ビビりすぎだろ、自分。ひくわ。

 

「・・・」フワフワ

そしてソフト&ウェットも出現していた。ちょっと、なんで? もしかして心配だったから?

僕は恐る恐る近づいていく。ちなみにS&Wは顔の右半分は穴が5つ空いていて左半分は耳の形状と色がいつもと違っていた。

 

『雄英高校に私が教師として赴任(ふにん)することになっているのでね、サプライズとしてこういう風に皆それぞれに投影機で試験結果を発表しているのさ!!』

マジですか。そこまでするなんてさすがだと思います。

 

『緑谷君、君の試験結果は・・・』

「・・・(ゴクリ」

「・・・」グッ

 

合格だ!!!』

 

「・・・へ?」

『君が同じ受験生二人を守った行動に皆感銘を受けたのさ! 撃退ポイントはたったの2ポイントしかないが、救助ポイントは全受験生徒の中でもダントツで1位だった! そして会議の結果、君は合格ということになったんだ! 来たまえ、ヒーロー科に!』

「僕が・・・雄英に・・・?」

夢が現実になったという実感がじわじわと僕の体の中に広がっていく。そして内側の核に触れた瞬間、嬉しさが一気にこみあげてきた。

 

「っしゃぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!! やったぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!!! 僕は勝ったんだぁああああああああああああああああああああああああ!!!!!! ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオム!!!!」

「」ビクッ

 

僕は思わずのどが裂けんばかりに叫んだ。あとでお母さんが心配してきたうえに近所から緑谷君どうしたのと騒がれた。うん、すいませんでした。(がら)にもなく叫んでしまいました。すいません。本当にすいませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、僕の首にかけているネクタイをソフト&ウェットは妙に慣れた手つきで(むす)んでぎゅっとしめた。・・・君、いつの間にそんな技術を?

 

「出久・・・超カッコイイよ・・・」

お母さんが涙を瞳にためながら僕にそう言ってくる。ソフト&ウェットがそこら辺にあったティッシュの箱を渡す。すごい気が利くね、君。

拝啓(はいけい)。目の前にいらっしゃるお母様、今どこにいらっしゃるかわからないお父様。僕はめでたく雄英高校の1年生になりました。しかもヒーロー科として合格だそうです。うれしくてここ数日間頬をつねりまくってしまいました。おかげでお母さまには少し心配をかけてしまったかなと思います。ですが僕は今すごい胸の高鳴りを覚えています。

僕はドアを開けて外の空気を思いきり吸った。

・・・うん、何とかなりそうな気がする!

 

「ソフト&ウェットさん・・・、出久をお願いしますッ・・・」

「・・・(コクッ」

お母さん、この人(?)僕の個性だよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして僕は雄英高校に到着した。ではここで軽く説明しようと思う。

 

国立雄英高等学校。

特徴はなと言っても広大な敷地に膨大な生徒数のマンモス校。そしてヒーロー、もしくはそれに関した職業に()くことが約束されていること。

しかしその中で、ヒーロー科は僅か2クラス、30~40人くらいしかいない。そして途中で除籍になる人も含めたらもっと少なくなるだろう。

つまり足場はいつでもなくなるかもしれないってことだ。僕はパンっと顔をたたいて気合を入れると教室のドアを開けた。掛札(かけふだ)には1-Aと書かれている。

 

「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の制作者方に申し訳ないと思わないか!?」

「思わねーよ!てめーどこ中だよ端役(はやく)が!」

「ボ…俺は私立聡明中学出身、飯田(いいだ)天哉(てんや)だ。」

「聡明~? あぁ、めちゃくそエリートなとこじゃねえか。ブッ殺し甲斐(がい)がありそうだなぁ、ア"ァ?」

「ぶっ殺し甲斐?! 君ひどいな?!本当にヒーロー志望?!」

 

「・・・」

・・・うん、どうしよう。実を言えばこっから一気にUターンして全力疾走で帰りたい。だけど僕の野次馬根性がそれを許さない。・・・しっかし。

 

「かっちゃんの性格、高校に上がったら多少にマシになるかなって思ったけど、全然そんなことはなかったな…」

僕はそうつぶやくとやれやれ、あれじゃヴィランとそう変わんないな。いや、かっちゃんの方が凶悪かも。と思いながらと首を横に振った。

 

「あ、その地味そうな顔とそのモサモサ頭は!」

何だって? 僕の髪がまりもみたいだって? とか言って喧嘩は売らないし、買わないけど。

 

「あ!君は!」

「同じクラスやったんやね!あ、私麗日(うららか)お茶子!よろしく!」

「あぁ・・・えっと・・・僕の名前は緑谷(みどりや)出久(いずく)です。こちらこそ、よろしく。あの後大丈夫だった?どっか後遺症とかは・・・」

「ううん、全然! あの時助けてくれてありがとね!」

「いや、僕は当然のことをしたまでだよ。恩は返さなくちゃって思って」

「あ、君は!」

すると僕に話しかけてくる人が一人。さっきまでかっちゃんと口論しあってたメガネ男子こと、飯田天哉君だ。

 

「あ、あの時避難しろって誘導してた眼鏡君!」

「君はあの実技試験の構造に気づいていたのだな。俺は気づけなかった! 君を見誤っていた。あのとき、上から避難などと言ってすまなかった。いや、まさか0P仮想敵にの上に跳び乗ってまで弱点を探してさらには見つけて機能停止にまで追い込むなんて…」

すると周りに人たちがわちゃわちゃと集まってきた。

 

「え?!それマジで?! すごいね、あんた!」

「すげぇぜ!そんなに漢らしいことをするなんてなぁ! 気に入ったぜぇ!!」

皆に褒めちぎられることに慣れてない僕は少し顔がへにゃりってなった。まずい、皆に変な顔になってるとか思われてないかな?

 

「お友達ごっこしたいなら他所(よそ)でやれ」

 

『『『ッ?!!!』』』

全員が急に聞こえた声にびっくりして廊下の方を見る。

するとそこには寝袋に収まっている小汚いおっさんがいた。え、誰?!!

 

「ここは」

そしてウィダーを懐から取り出すと

 

「ヒーロー科だぞ」ジュッ!

一気に吸い込んだ。え、あれどうやってやるの?!あれどうがんばっても一気に吸い込めないんだけど?!(経験談)

そしておっさんはするりと寝袋から出ると教室に入ってきた。僕たちはサササッと道を開ける。ちなみに寝袋は引きずっている。あたりに緊張が走る。

そして教壇の上に立つと再び口を開いた。

 

「ハイ、静かになるまで8秒かかりましたね。時間は有限。君達は合理性に欠けるね」

なんか嫌味を言われた気がするけど僕たちの気持ちはたぶん皆一緒だったはずだ。

 

『『『(誰だ・・・コイツ)』』』

いや、だってそうじゃん。いつの間にか廊下にいてしかも寝袋に収まっていた。そして飲料材を一気に吸い込んでの登場だよ? 第一印象が大事なんだよ、人間って。性格なんてその次なんだよ。だけどその第一印象ともいえる風貌は少し小汚いおっさんときた。怪しさ百点満点でしょう?わかる?

 

担任の、相澤消太だ。よろしくね」

『『『(担任かよ・・・!!)』』』

・・・ん?あれ?この人、どっかで見たことあるような・・・誰だっけ…?

そんなことを僕が思っていると寝袋から何かを取り出した。それは雄英高校の体操服だった。

 

「早速だが、コレ着てグラウンドに出ろ。今から迅速(じんそく)に、な」

体操服?なんで体操服?あれ?入学式は?ガイダンスは?しかし僕らの疑問はあれよあれよという間に流されていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『個性把握テストォ⁉︎』』』

 

「あぁ」

「え?! 入学式はどうなるんですか?!ガイダンスは?!」

「そんなものないよ。ヒーローになるなら、そんな悠長な行事に出る時間なんてないしね」

「え、でも・・・」

「これ以上は合理性に欠けるから切るぞ。雄英は"自由"な校風が売り文句だ。そしてそれは"先生側"もまた然り。つまりはそういうことだよ」

いや、だからといってそれはどうなんだ。今例えるなら僕らはチュートリアルをすっ飛ばしていきなり本番に駆り出されているみたいなそんな感じだ。最近の鬼畜ゲーでもこんなことはないはず…、ないよね?

ちなみに作者は任〇堂とH〇L研以外のゲームはほとんどしたことがないからそこんとこよくわからないんだ。間違ってたらごめんね?

 

「時間は有限だ、とっとと始めるぞ。おい、爆豪」

「はい」

「お前中学の時ハンドボール投げ何(メートル)だった?」

「67」

「それは個性なしだな。じゃあ今個性を使って投げてみろ」

そう言われるとかっちゃんははソフトボールを持ち、投げると同時に個性を使用する。

 

「死ねぇ!!!!」FABOOOOOM!!!!!

 

ヒーロー志望としてその掛け声はどうなんだとは思ったけどかっちゃんはどうせ直す気ないだろうからスルーしておくことにした。こんなとこにまで意見したらこっちが持たない。肉体的な意味でも精神的な意味でも。

 

「まず、自分の【最大限】を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

【705.2M】

 

すると皆が沸いた。

「なんだこれ! すげー面白そうじゃん!!」

「705mってマジかー」

「個性思いっきり使えるんだ! さすがヒーロー科!」

・・・なるほど8種目の個性使ってもOKなテストをすることによって自身の個性の限界を知って、自分が今どれくらいのレベルなのか、自分がどれほどの成長の余地があるのかを知ることができる。なるほど、確かに合理的だ。

 

「・・・面白そう、か。なるほど。では、君たちはヒーローになる為の3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」

『『『え?』』』

「よし、決めた。トータル成績で15より下の者は見込み無しと判断して【除籍処分】としよう」

『『『ハァアアアアアアアアアアアアアアアア?!!!!』』』

すると皆が口々に叫んだ。理不尽だ、職権乱用だ、非常識だ、スクールハラスメントだとかその他もろもろ。

しかし、先生はそんな僕らに対してこう言った。

 

「この国は理不尽にまみれてる。そういう理不尽を、覆していくのがヒーローだ。放課後マックかケンタッキーで談笑したかったならお生憎(あいにく)。これから三年間、雄英(俺達)は全力で苦難を君たちに与え続ける。

 

ようこそ【雄英高校ヒーロー科】へ。

 

Plus Ultraさ。全力で、乗り越えて来い」

こ…この人、除籍すると言ったら絶対に除籍するという…『凄み』があるッ…!!

僕たちは表情を引き締めた。

 

 

続く




書き忘れていましたが緑谷はヒーローに尋常じゃない興味があるだけでオールマイトにあこがれているわけではありません。雄英もタダ入りたかったっていうふわふわな理由です。
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