ボブ・マーリー
まずは50Ⅿ走だ。皆がどんどん走っていく。そして最後は僕とかっちゃんの番だ。
その前に僕は先生の傍まで寄って少し話しかける。
「・・・すいません、先生」
「なんだ、緑谷」
「これは走るというか、とりあえず50Ⅿ進めばいいんですよね?」
「・・・そうだな」
「わかりました。それだけ聞けば十分です」
そして僕はスゥと息を吸うと叫ぶようにして僕のパートナーの名前を呼んだ。
「『ソフト&ウェット』!!」
「・・・!(ズアッ」
するとポーズを決めながらS&Wは出現した。周りの皆が騒ぐ。
「おい、あれ・・・」
「人、なのか…? それとも異形系…?」
「ふむ・・・俺の個性、『
「私たちとそっくりの個性だな…」
「あぁ・・・」
「・・・ケッ」
「かっちゃん・・・」
「・・・」ビシィ
かっちゃんは僕の方を見ずに軽い準備運動をし始めた。ソフト&ウェットはかっちゃんの背中に向かって中指を立てていた。コラコラ、人を
実を言うとソフト&ウェットはかっちゃんのことを極端に嫌っていてしょっちゅう中指を立てるんだ。かっちゃんもそんな彼を嫌ってるんだよね。
ま、そんなことは置いといて僕も体を伸ばしておく。・・・よし。
僕は少しクラウチングスタートの体勢をとる。かっちゃんも舌打ちしながらクラウチングスタートの形をとった。
「よーい・・・」
「「」」グッ
「ドンッ!!」
BOOOOOOOOOM!!!!
うわ、周り無視の爆速ターボ。やりやがったな、コの野郎。僕はひるまずに走り出した。そしてシャボン玉を僕の足元に打ち込む。するとつるっと滑ってそのまま地面をスケート場のように滑り出した。
『『『えぇえええええ?!!』』』
「つるつるだぁ―――――ッ」
そして僕はそのままゴールした。そして再びシャボン玉を地面に打ち込む。すると勢いは少しずつなくなって最終的に止まった。
僕はすぐに立ち上がると先生に訊いた。
「先生、タイムはいくつですか?」
「あ、あぁ。4秒16だ」
よし、高成績。次行こう。
次は握力測定だ。
皆それぞれ記録を出している。
すると気になった男子生徒がいた。
金色の髪の毛に黒色のアクセントが入った人だ。握力計を握る瞬間に何か金色の腕が重なって見えた。
「・・・もしかして、あの人」
僕はある一つの考えに至ったが後で確かめることにした。今は個性把握テストなんだ。
僕は握力計をS&Wを重ねるように握ると一気に力を込めた。
そして出し切ると
【127kgw】
おぉ、結構数値出たな。よしよし、いい感じだぞ。
3つ目は走り幅跳びだ。50M走と同じく個性を工夫し、全員が記録を伸ばしている。
僕はS&Wを足に重ねるようにして走り出すと一気に前に跳んだ。
ボスッ
【12M】
・・・やっぱり重ねると全体的に記録上がるなぁ。
4つ目は反復横跳びだ。
これはまぁまぁ普通の記録だ。言うまでもないと思う。
ただ一つ言うことがあるとすれば、髪の毛が特徴的な男子が自分の髪をもぎ取ってはねまくってたってことぐらいかな。
5つ目はボール投げだ。
みんな個性を使って投げていた。その中でも気になった二人がいた。一人はさっきの金色の髪の毛男子。もう一人は受験の時に助けた黒髪の子。
なんと二人は僕と同じような個性持ちだったんだ!!
一人は尻尾が生えた奇妙な形の姿で、もう一人は人型だけど僕の個性よりかずいぶん小さくて頭がパキケファロサウルスみたいな感じの姿だ。どっちも結構高い記録をたたき出していた。
最後に僕の番になった。
僕はボールをS&Wに持たせると全力で投げさせた。ボールは飛んで行ってどんどん地面に近づいていく。だけど、地面に着く直前でふわっと浮き上がった。よく見るとシャボン玉がボールをふわふわと持ち上げている。・・・いつの間にシャボン玉を?
そう分析している間にもシャボン玉はどんどんボールを遠くへもっていっていた。そしてしばらくすると割れて地面にぽてんぽてんっと落ちた。
【705.3M】
「おいクソデクゥ!」
するとなぜかかっちゃんがかみついてきた。
「なんだよかっちゃん」
「お前俺と同じ距離飛ばしてんじゃねぇぞゴラァ!!」
「それだったら他の人に言いなよ。なんで一々僕にかみついてくるんだよ、君には関係ないだろ」
「うるせぇ!! デクの癖に口答えするんじゃねぇ!!」
プチンッ
「・・・ハァ」
「アァ?!」
「いつも思うけどさ、今言わさせてもらうよ。うるさいんだよ!」
すると皆が急な大声に驚いたのかたじろいだ。かっちゃんも例外じゃなかった。
「なんでいつもいちいちかみついてくるんだよ! 君には関係ないだろって何回も言ってるじゃないか!! なんで君はいつもそうなんだよ!! 僕が趣味で書いているヒーロー分析ノート爆破したりしてくるしさぁ!! いい加減にしろよこの自己中がッ!!! もううんざりなんだよ!!!」
僕はそう言い切るとかっちゃんから数歩離れる。勝っちゃんは少しの間呆然としていたけど、しばらくしたら見る見るうちに目を吊り上げた。
「言いてぇことはそれだけかよクソデクゥ・・・」
「それを聞いて何になるのさ」
「質問に答えろやゴルァア!!!」
「わかったよ、答えるよ。言いたいことはそれだけだよ。『これ以上僕にかみついてくるな』って言いたかったんだよ」
「んだとゴラァアアアアア!!!!!」
すると勝っちゃんは僕の胸倉をつかんできた。僕はその腕をつかむと跳び上がって空中で腕ひしぎ十字固めを決めようとする。すると何か白い布みたいなものが僕たちを縛り上げるとそのまま拘束した。
「そこまでにしとけよ」
拘束具をたどってみるとそこには相澤先生がいた。なるほど、あのマフラーは拘束具だったのか。・・・ん?あのゴーグルは・・・!
「抹消ヒーロー『イレイザー・ヘッド』…!」
すると僕はするすると拘束がとかれた。S&Wがへたばっている僕に手を貸してくれる。ありがとね、ほんと。
ちなみに先生はドライアイらしい。抹消するためには敵を見続けなくちゃいけないため何ともミスマッチである。
6つ目は上体起こしだ。
S&Wに手伝ってもらってなかなかにいい記録が出た。・・・これは上体起こしと言っていいんだろうか?
7つ目は長座体前屈。
これはS&Wを使ってこっそり距離稼ぎをした。こらそこ、せこいなんて言わない。
最後は持久走だった。かいつまんでいくと
「君のバイクのタイヤから空気を奪った。これでバイクはパンクしたも同然だ」
「な、なんということですの・・・」
「どけやクソナードォオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
「どくのは貴様だかっちゃァああああああああああああああん!!!!!!」
「どけ。邪魔だ」シャーッ
「ごめん。これ利用させてもらうよ」ツルツルーッ
「ゑ」
「じゃあお先にぃ――――ッ」ツルツルーッ
「ゑ」
そしていよいよ結果発表、トータル成績で15以下の人たちは除籍される。皆緊張したような表情をしていた。かという僕もその一人である。
「これが始まる前…、君たちに成績が15以下の生徒は除籍すると言ったな?」
「そ、そうです先生…。ど、どうかお慈悲を…」
「あれはウソだ」
『『『・・・へ?』』』
「君たちの全力を引き出すための嘘だ。ま、『合理的虚偽』ってやつだな」
『『『ハァああああああああああああああ?!!!!』』』
「いえいえ、あんなのちょっと考えればすぐに分かることじゃないですの・・・」
いやいや、違うよお嬢さん。あの人除籍するって言ったらマジで除籍するっていう『凄み』があったからね。たぶん皆見込みがあるって判断していまウソになっただけだよ。
ちなみにこの時麗日さんの顔はムンクの叫びのような表情になっていた。すごい表情だ・・・。
ソフト&ウェットは動揺したのか顔のデザインが左右非対称になっていた。
放課後、僕が学校から帰っていると後ろから飯田君に声をかけられた。
「緑谷君!」
「君は確か・・・飯田君だったっけ?」
「おーい!お二人さーん!駅まで?待ってー!」
「君は、
「麗日お茶子です!えっと……飯田天哉君に、緑谷…デク君!だよね!」
「へ?! なんで?」
「え?だって、教室で爆轟君が悩まし気にデクって見つめながら言ってたし、しょっちゅう緑谷君のことをデクって呼んでたから…」
「・・・あのね、麗日さん。それはかっちゃんが僕のことを
「
「…まぁ、そんなとこかな」
「そうなの?ごめんね」
「…いや、大丈夫だよ。僕の個性は発現しなかったのもあるし、あの頃の僕はすごいなよなよしてたから…」
「・・・・んー・・・」
「? どうしたの?」
「ウチね、個人的に思うんだけど『デク』ってさ・・・なんか・・・頑張れって感じがして、好きやで」
「・・・そうかな」
僕は思わず微笑んでしまった。うわじぶんちょろい。
「ところで緑谷君! 君の個性はすごいな!」
「うんうん! テストでもつるつるーって滑ってたし、すごいやん!」
「そうでもないよ・・・。まだ個性が発現してから3年もたってないんだ・・・。まだまだ追求しなくちゃいけないよ…」
「しかし・・・それにしても相澤先生にはやられたよ!まさか先生が嘘で生徒を鼓舞するとは…」
いや、あの目はマジだったよ。あの時ウソになっただけで。
「おーい、3人ともー。ちょっと待ってくれよぉ」
「「「へ?」」」
急に後ろから声をかけられたので僕たち3人が後ろを向いたらそこにはあの金髪男子と黒髪女子と頭が鳥みたいな人がいた。よく見ると女の子の方は耳にイヤホンみたいなものがついている。
「君達は・・・?」
「あぁ。忘れてた忘れてた。俺の名前は上鳴電気。で、こっちが」
「耳郎響香。よろしくね」
「麗日お茶子だよ!よろしく!」
「僕の名前は緑谷出久。よろしくね」
「飯田天哉だ」
「
自己紹介が終わると二人は僕に詰め寄ってきた。一人はスッと寄ってきた。
「なぁ、あんた俺たちと同じような個性なんだな! 今まで同じような個性の人がいなくて寂しかったんだよ!」
「雄英に来てよかった!! まさか私たちと同じ個性が二人もいるなんて!」
「・・・(コクッ」
「え、えぇっと・・・」
僕は戸惑った。
続く
この小説では電気君と耳郎さんは中学の時からの付き合いと設定します。