ーバトランティス帝国・郊外ー
「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」
バトランティス世界に跳ばされた翌日、バトランティス帝国の郊外の荒野を歩く三人。
灰色の髪と瞳をした中性的な美少年、ルクス・アーカディア。
黒髪の短髪に精悍な顔つきの青少年、如月ハヤト。
同じく黒髪の短髪に整った顔立ちの青少年、飛騨傷無。
“光の戦士”に選ばれた三人は、これから戦う“敵”からのテレパシーから決戦の場へと向かった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
三人の向かう先に一陣の風が吹くと、黒い服を着た一人の男がいた。
ハヤトや傷無と同じ黒い髪の短髪に、整った顔立ちをしているが、その瞳は暗く淀み、まるで悪鬼羅刹の様であった。男は自分に向かってくる三人を睨む。
「来たか・・・!」
三人は男の前で立ち止まり、向き合う。
「君が、ヴァイスナイトなのか?」
「そうだ・・・・!」
「どうしても、俺達と戦うのか?」
「当たり前だ! 機械神達を! 俺の復讐を横からかすめ取った飛騨傷無! お前をイヤ、お前だけじゃない! 飛騨傷無と共に機械神と戦ったアタラクシアの奴等も! あそこにいる! バトランティスの奴等を! そしてお前と同じように、“ウルトラマンに選ばれた者”である、ルクス・アーカディア! 如月ハヤト! お前達とお前達に連なる奴等を! 皆殺しにしてやる!!」
「っ!」
「君が憎しみを抱くのは分かるよ!でも、それで全てを憎んで、怨んで、破壊するなんて、そんな生き方は悲しすぎるよ!!」
「お前が“守りたかった人達”は、お前がそんな姿になってまで“仇”を討って欲しいと思っているのか!?」
「だまれぇぇぇぇぇっ!!」
「もうやめるんだっ! ヴァイスナイト! いや、“織斑一夏”っ!!」
「っっ!!??」
傷無の放った一言にヴァイスナイトは驚愕の様相を浮かべた。その名はかつて名乗った己の真の名前。
『女性だけが扱える世界最強の兵器“IS<インフィニット・ストラトス>”』を扱える『世界唯一の男』の名前。
「お前と俺は似ている。“親に捨てられた事”、“女性しか扱えない世界最強の兵器を操れる男”、“姉がその兵器関連での重役”、“多くの仲間に囲まれた事”。俺達は瓜二つだ・・・だから! このままお前に復讐を続けさせる訳にはいかないんだ、“織斑一夏”!!」
「で呼ぶな・・・・その名で呼ぶなぁあああああああああああああああっっ!!」
あくまでも説得しようとする傷無達を憤怒の形相で怒鳴るヴァイスナイト。
「その名で俺を呼ぶな! その名は! 自分の“大切な人達”を! “守るって誓った仲間達”を守れなかった、“口先だけのクズ”の名前だっ!!!」
ヴァイスナイトが右腕を天高く上げると、腕に巻かれたガントレットが光輝き、純白のパワードスーツをその身に纏った!
純白のカラーに、腕や足に重厚なパーツを装備し、肩の方には翼のようなパーツが浮遊し、上空へ飛ぶと白いエネルギーの刃の剣を取りだし構えて剣を頭上に掲げた!
「俺は破壊する! 破壊してやる! 全てを破壊してやるっ!!!」
「「「っっ!!」」」
すると、空に大量の魔方陣が現れ! その魔方陣から機械の人形が出現した!
「なんなんだ、あの人形は?!」
「あの人形からは、“人間の気配”を感じないよ!」
「ロボットって事か!?」
驚く傷無達を余所に、上空を覆い尽くさんばかりに魔方陣から次々と出現した機械人形は、バトランティス帝国に向かって進撃した。
「行けっ! 『ゴーレム』っ!!」
『ゴーレム』と呼ばれた機械人形の大軍はそのままバトランティス帝国の帝都を攻撃しようとしたが。
ビュンっ!
ドカァァァァァァァァンっ!!
「なにっ!?」
「グレイスかっ!?」
《そうじゃ兄さま! この機械人形共は妾達に任せて、兄さま達はその復讐鬼を頼む!》
通信で魔導装甲『コロス』を纏ったグレイスは大鎌を振り抜いてゴーレム数体を刈っ切っる!
《任せて下さい飛騨君!》
《行くぞハーキュラス!》
同じく魔導装甲を纏ったハーキュラスが剣でゴーレムを切り捨てる! その剣技は『剣聖』と呼ばれるにふさわしい程美しく、鋭かった! メルクリアも魔導装甲を纏い、武器である愛用の弓、魔弓弾導<アークドライブ>でハーキュラスのサポートをこなしていた。
《行くよっ・・・・!》
《久しぶりにやってやるぜ!》
《ゼル様の御子様の子守りに比べたら、こんな機械人形なんか大したことありませんわ!》
《あやしや夜泣き、オムツの取り替え、ミルクあげにお散歩、ゼル様の赤ちゃんのお世話の方がよっぽど過酷だ!》
また、別の場所では懲罰四剣<クアルトウム>のルノーラとラムザとエルマとクレイダが、ちょいとズレた事を叫びながら、それぞれの武器であるショートソード、巨大トマホーク、巨大ハンマー、三日月剣を振るいゴーレムを蹴散らす!
《あはははははははははははははははははもう最高! グラベルの赤ちゃんの子守りも良いけど! やっぱり殺し合いの世界も最高よ!!》
アルディアはバトランティスと同盟である『イズガルド』の魔導装甲パイロット部隊を引き連れて、武器の槍を振り回しながら久しぶりの戦場により、グラベルの赤ちゃんの子守りでなりを潜ませていた“戦闘狂のサガ”を全開にして暴れていた!
《傷無! ルクス・アーカディア! 如月ハヤト! こちらは任せて、お前達は戦え!!》
《傷無!! “この子達”も見ている! 私とゼルシオーネは共に戦場に立てんが、お前達の勝利を信じているぞ!》
『究極改装<エクスタシー・ハイブリッド>』で子供を生むと、体内に入れてある魔導装甲のコアが排出される為、ゼルシオーネとグラベルは魔導装甲を纏う事が出来なくなってしまい、さらに出産からまだ数週間しか経っておらず体力が落ちている故に、二人は作戦本部である皇宮から各部隊に指揮をとっていた。
「わかりました!」
「任せろ!」
「・・・・・・・・ゼル、グラベル、俺達の子供達を頼む!」
《無論だ・・・・!》
《この子達に見せてやってくれ、お前達の父上は“立派でカッコいい人なんだ”と言う事を・・・・!》
「あぁ! 勿論だ! 『フォトン・エロス』!!」
「『バハムート・マルチ』!!」
「『飛燕・閃光』!!」
傷無達はヴァイスナイト“白い装甲”と対となる“黒い装甲”を纏い、空を飛ぶ!
「・・・・・・・・・・・・」
「「「・・・・・・・・・・・・・」」」
“白い装甲の騎士”と対峙する“黒き装甲の三人”。
「うおあああああああああああああっっ!!!」
「うわっ!」
「ぐぅっ!」
「くっ!」
縦横無尽に加速しながらでの戦闘を繰り広げる四人! しかし、ヴァイスナイトの憎悪に満ちた攻撃に三人は徐々に押される!
「くぅらえええええええええええええええええええええええええええええっっっ!!!!」
左手のパーツが展開され、荷電粒子砲が発射された!
「「「うわああああああああああああああああああああああああっっ!!」」」
三人はシールドを展開して防ごうとするが、粒子砲のパワーに押され、地面に叩きつけられる!
「どうだ! これが俺の“力”だ! 全てを奪われ、“誇りも信念”もかなぐり捨てて、“悪魔”と契約して得た俺の“力”だッッ!」
ヴァイスナイトの脳裏に、自身に“ゴーレムを生み出す力”と“圧倒的な強さ”をくれた『ある存在』の姿をよぎらせ、地面に片膝を付いたルクスとハヤトと傷無を見下ろし・・・・。
「これでぇぇぇぇっ!! 終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
ヴァイスナイトは剣のエネルギーを全開にして、巨大なエネルギーの刃を生み出し、三人に向けて振り下ろす!
「傷無! ハヤト!」
「「応っ!」」
三人は再びシールドを展開させて、エネルギーの刃を防いだ!
「何っ!?」
「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!」」」
三人は力を込めて、エネルギーの刃を押し返した!
「「「まだまだぁっ!!」」」
三人は再び天空に飛び出す!
「ハヤト!」
「応よ! ルクス!」
先ずはルクスとハヤトは高速移動で“織斑一夏”に近づき、すれ違い様に一閃する!
「ぐおっ!」
「「傷無!」」
「あぁっ!」
空かさず傷無が拳を“織斑一夏”に連続で叩き込み、アッパーカットで上空に殴り飛ばす!
「うあぁっ!!」
「ルクス! ハヤト!」
吹き飛ばされたヴァイスナイトの先に先回りしていたルクスとハヤトが持っていた剣を交差させながら“織斑一夏”を切りつける!
「ぐうううぅぅぅっ!!!」
「最後は!」
「三人で!」
「決めるぜっ!!」
「「「行っけぇええええええええええええええええええええええええええええええっっっ!!!!」」」
止めに傷無は両手を組んでエネルギー波を、ルクスとハヤトは剣からエネルギー波を発射させた!
「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!??」
ヴァイスナイトは何とかシールドを展開させるも、三人のエネルギーに耐えきれず空の彼方に吹き飛んだ!!
「「「・・・・・・・・」」」
パンっ!
三人は集まるとハイタッチする。
ーグレイスsideー
「うむ! 見事じゃ兄さま! 」
《グレイスさま、ご油断しないで下さい! ゴーレム共の増援です!》
「何?! まだ来るのかっ!?」
グレイスが見ると、大量の魔方陣は消えておらず、次々とゴーレムが現れ、バトランティスに向かって来た!
「くっ! コヤツらそんなに脅威ではないが、こう数が多くては・・・!」
戦闘力ならばそれほどでは無いが“数の暴力”で攻めてくるゴーレムにグレイス達は霹靂する。
ーヴァイスナイトsideー
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・・!!」
ヴァイスナイトは空の彼方で息切れしながら遥か向こうにいる傷無達を怨念に満ちた瞳で睨む。
「何で・・・・何で俺が押されてるんだよ・・・・! ダメだ・・・ダメだダメなんだ・・・・! 俺は負けちゃダメなんだ・・・・! ここで、ここで負けたら・・・・俺は、俺は何の為に・・・・!!」
ヴァイスナイト、“織斑一夏”の脳裏に思い出されるのは、“機械神”によって殺された仲間達と滅ぼされた自分の世界の光景。
奴等は突然に、何の前触れも無く自分達の世界に現れた。
神々しく、美しくも何処か恐怖を感じるその出で立ちはまさしく神か悪魔であった。
機械神は、“織斑一夏”の世界を破壊する為にその猛威を振るった。『世界最強の兵器IS<インフィニット・ストラトス>』を纏った世界中のパイロット達が立ち向かったが、まるで『巨像に挑むコバエ』のように、機械神の相手にはまるでならず、自分達の世界に『女尊男卑』を常識として広げ、『男なんかと戦争すれば3日で女の圧勝』とまで云われた『世界最強の兵器』は簡単に、呆気なく、そして脆くも粉砕された。
まだ学生だった“織斑一夏”達も駆り出され、機械神に挑んだが、“織斑一夏”はあっさりと叩きのめされ、地べたを這いつくばりながら見上げたその先に見えたのは・・・・仲間達と『死』だったーーーーーーー。
『狂喜の機械神 ホクト』により原形が無くなる程に燃やされた『金色の長髪のお嬢様』、『茶髪のツインテールの幼なじみ』。
『幻惑の機械神 オシリス』の幻術により同士討ちさせられ息絶えた『金色の短髪の少女』と『銀色の長髪に眼帯をした少女』。
『闘争の機械神 オーディン』の持つ槍に貫かれ絶命した『水色の髪をした姉妹』。
そして、『最悪の機械神 タナトス』の剣で両断された『黒い長髪を結わえた幼なじみ』と『たった一人の姉』。
“織斑一夏”はただ地べたを這いつくばるだけで何もできなかった。茫然自失していた自分は仲間と姉が“殺された事実”を認識すると怒りに我を忘れ、遮二無二に機械神達に立ち向かうが、まるで相手にならず、塵でも払うかのようにあっさりと撃墜された。
『信じていた力を粉砕された“屈辱”』、『自分の力はこの程度のモノであった事への“絶望”』、『全てを奪われた“憤怒”』、『大切な人達を守れず失った“悲嘆”』、『何もできなかった“無力感”』、有りとあらゆる負の感情に支配された“織斑一夏”はただただ血の涙を流しながら愕然となり、機械神により破壊されようとする『世界』を眺めることしかできず、機械神タナトスに放つ光が全てを破壊したーーーーーー。
しかし、“織斑一夏”だけは生き残り、『次元の狭間』に一人でいた。だが、彼は蹲り何もしないまま時が流れ、彼の耳に『ある存在』からの誘いを受けて機械神への復讐を誓ったが、その復讐を奪われた。
その復讐を奪った相手は、自分と同じ人生を歩んできた『飛騨傷無』。
彼は“光の巨人ウルトラマン”に選ばれた存在。しかも飛騨傷無だけではなく、無数の平行世界にウルトラマンは存在し、“邪悪な存在”と戦っていた。
そして彼の心に宿った、自分の復讐を奪った者達や、“光”に選ばれた存在達への憎悪!
「何で・・・何でアイツらは“守れたんだ”・・・! 俺は守れなかったのにぃぃぃぃぃぃぃっ!! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!」
“織斑一夏”は左腕から“宝石が付いた小刀”を取り出すと、天に向けて突き上げる!
「『ヴァイスナイト』ーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!」
“織斑一夏”の身体が禍々しい白い光に包まれると、その姿が変わった!
ー傷無sideー
三人は空の彼方に光る、禍々しい白い光を睨むと、ヴァイスナイトが現れた!
しかし、前回現れたよりもその姿は、“織斑一夏”が纏っていた装甲と同じ装甲を纏い、より禍々しく、より刺々しく、より凶暴な容貌になっていた。まるで“織斑一夏”の憎悪に呼応したかのように。
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
三人はヴァイスナイトの姿を確認すると、ルクスは“スパークレンス”を、ハヤトは“リーフラッシャー”を、傷無は“エスプレンダー”を構えて、共に戦う“光の巨人”の名を叫ぶ!
「ティガーーーーーーーーーーーーッ!!」
「ダイナーーーーーーーーーーーーッ!!」
「ガイアーーーーーーーーーーーーッ!!」
“スパークレンス”の先端が開くと、中のクリスタルが光輝き、ルクスの身体を包む!
“リーフラッシャー”に折り畳まれた部分が展開されると、展開されたクリスタルが光輝き、ハヤトを包む!
“エスプレンダー”の中央部のクリスタルが光輝き、傷無の身体を包む!
「おおおおおおおおッッ!!」
「ディヤッ!」
「シャッ!」
「ジュワッ!」
そして、バトランティスの大地に『悪に染まった白き騎士』と、『三人の光の巨人』が降り立った!
白く禍々しい鎧更に凶暴な姿にしたヴァイスナイト。
銀の身体に青紫と赤のラインが入り、胸元にプロテクターを付けた光の巨人、『超古代の勇者 ウルトラマンティガ』。
銀の身体に赤と青のラインが入り、頭部にクリスタルの付いた角を付けた光の巨人、『熱き闘志の巨人 ウルトラマンダイナ』。
銀の身体に赤のラインが大きく入った光の巨人、『赤い大地の光 ウルトラマンガイア』。
目の前に現れた三大ウルトラマンをヴァイスナイトは身体を小刻みに振るわせながら憎々しげに吠える!
「お前達を殺す! 殺してやるっ!!」
ヴァイスナイトは左腕から“赤い玉”と“青い玉”と“緑の玉”と“紫の玉”と“黄色の玉”を取り出す。
「(あれは・・・・!?)」
「(レイキュバス達か!?)」
「(何もするつもりだ・・・・)」
その玉は、アタラクシアで戦い倒された怪獣達の“核”である玉だった。ヴァイスナイトは五つの玉を混ぜ合わせると一つのなった“核”が赤黒くなりそして徐々に膨張し、ヴァイスナイト以上の体積になった!
「さぁ新たな姿となった現れろ! お前の名は、『超合体怪獣 ファイブキング』ッッ!!!」
膨張した“核”が内側から引きちぎられ、中から倒した5体の怪獣が混ざった怪獣が現れた!
頭部と胸部が『超古代怪獣 ファイヤーゴルザ』、額と背中の翼と尾が『超古代竜 メルバ』(メルバの顔がファイヤーゴルザの顔に張り付いている)、左腕が『奇獣 ガンQ』、右腕が『宇宙海獣 レイキュバス』(手が頭から直接生えたハサミになっていた)、下半身と合体している『宇宙戦闘獣 超コッヴ』(顔が腹部に張り付き、足は超コッヴのモノにコッヴシッケ(超コッヴの腕の鎌)が生えていた)。
「「「「「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!」」」」」
『超合体怪獣 ファイブキング』は5体分の怪獣の雄叫びを上げた! その雄叫びで大地は震え、空の雲は吹き飛び、暴風が吹き荒れた!
「ディヤァッ!」
「ジュワァッ!」
「ハアァッ!」
「フンッ!」
「「「「「グワアアアアアアアアアッッ!!」」」」」
三大ウルトラマンとヴァイスナイトとファイブキングは近づき、土煙や岩盤をひっくり返しながら激戦を繰り広げる!
「ジィヤッ! タァッ! シュゥワッ!」
「ジャッ! ジュッ! シェヤッ!」
「「「「「ギャァァァァッ!!!」」」」」
ティガとダイナとファイブキングが戦い、ハサミが生えた左腕をダイナが押さえ、ティガが右腕を押さえてガンQの眼から発射される光線を別方向へ反らす!
「ウオアアアアッッ!!」
「ティヤッ! シュワッチ! トアッ!」
剣を振り回すヴァイスナイトの攻撃を交わしながら拳をぶつける!
ーグレイスsideー
「なんじゃと!?」
《グレイスさま!》
「何も言うなゼル! あんな化け物まで現れるとは、最早ヴァイスナイトは手段を選ばぬ様じゃな!!」
魔方陣から次々と湧いて出てくるゴーレムを倒しながら、遠目から見えるヴァイスナイトとファイブキングを見据え、各区画で戦う仲間達や国民に向けて空中ディスプレイを開いて指示を飛ばす!
「各区画で戦っている戦士達や、この映像を見る民に伝える! ヴァイスナイトと化け物は三大ウルトラマンに任せ、我等は魔導装甲部隊はこのままバトランティスを守る為に戦うのじゃ!民達よ、ウルトラマンは負けん! ウルトラマンを信じよ! 我等が信じる限り、ウルトラマンは絶対に負けたりしない!! 我等の“希望の象徴”を信じるのじゃ!!!」
《『ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!』》
グレイスの言葉に、司令室にいるゼルシオーネとグラベル、別区画で戦うアルディアやハーキュラス達や懲罰四剣<クアルトウム>、避難しているバトランティス世界の民達が歓声を上げた!
ー三大ウルトラマンVSヴァイスナイト&ファイブキングー
その歓声はウルトラマン達の耳にも、ヴァイスナイトの耳にも届いていた。
「「「(コクンッ!!)シュゥワァァァッ!」」」
頷き合った三大ウルトラマンは更に攻める!
「何処までも・・・・!! 何処までも俺を苛立たせやがってッ!! このヒーロー共がぁああッッ!!」
ヴァイスナイトは人々の“希望”となっているウルトラマンと傷無達に怨嗟を燃やす!
「ファイブキング! ティガとダイナを殺せっ! ガイアは! 飛騨傷無だけは! 俺の手で殺すっ!!」
「(来いっ!ヴァイスナイト!!) シュゥワッ!」
ガイアは赤いラインと黒と青いラインが入り、身体が筋肉質になった、ガイアにアグルの力が加わった姿、『ウルトラマンガイア スプリーム・ヴァージョン(ガイアSV)』となってヴァイスナイトと戦う!
袈裟斬りで迫るヴァイスナイトの剣を『シャイニングブレード』(本来はブーメランだが、今回は武器として使用する)で防ぎ、そのまま剣劇を繰り広げる!
「「「「「ギュワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」」」」」
ファイブキングは5体分の雄叫びを上げて、背中の翼を広げて、その巨体からは想像できないスピードでティガとダイナに迫る!
「ディヤッ!」
「ジュッ!」
ティガは高速飛行戦闘に優れた銀と青紫の姿、『ウルトラマンティガ・スカイタイプ(ティガS)』へとタイプチェンジし、ダイナは変幻自在の超能力を駆使する銀と青の姿、『ウルトラマンダイナ・ミラクルタイプ(ダイナM)』へとタイプチェンジし、ファイブキングと空中戦を繰り広げる!
ブォンッ! ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギッッッ!!!
ヴァイスナイトの剣とガイアSVの『シャイニングブレード』が火花を散らす!
「剣で俺に勝てると思っているのか?! 飛騨傷無!」
「(負けない! 負けられない!! 俺には、“守るもの”があるからな!!)」
傷無の脳裏に浮かぶのは、ゼルシオーネとグラベルが産んでくれた自分の“子供達”を守る想いが、傷無を奮い立たせ、『シャイニングブレード』でヴァイスナイトと剣を弾き飛ばした!
「“守るモノ”だと・・・・ふざけるな・・・! 俺は、守れなかった・・・守れなかったんだぞ!!」
ヴァイスナイトはもう片方の腕から光線をガイアSVぶつけた!
「ぐああああああっ!!」
ガイアSVは大きく吹き飛び倒れ、更にその近くをファイブキングに叩き落とされたティガSとダイナMが落ちてきた!
「ドアアアッ!!」
「ヅァッ!!」
倒れる三大ウルトラマンにヴァイスナイトは迫り、殴り付ける!
「守れなかったたんだよ俺は!!」
「グァッ!」
「“箒”を!」
「グハッ!」
「“セシリア”を!」
「ガッ!」
「“鈴”を!」
「グホッ!」
「“シャル”を!」
「グッ!」
「“ラウラ”を!」
「オォッ!」
「“刀奈”を!」
「アァッ!」
「“簪”を!」
「グォッ!」
「“千冬姉”を!! 誰も守れなかったたんだ!! なのに! 何でお前達は守れるんだよ!? 何でお前達は“光”に選ばれたんだよ!! お前らみたいなヒーローがっ!!」
怨嗟に満ちた雄叫びを上げながら三大ウルトラマンを殴り続けていたヴァイスナイトは、ゆっくりと着地してきたファイブキングと並び、共にエネルギーを貯めて、倒れる三大ウルトラマンに向けて光線を放つ!
「グゥゥゥゥゥッ・・・!」
「ウァァァァァッ・・・!」
「オォォォォォッ・・・!」
「死ねエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッッッ!!!」
ファイブキングの口と頭部のメルバと下半身の超コッヴと右腕のレイキュバスと左腕のガンQの目からそれぞれ赤と緑と黄色と青と紫の光線が、ヴァイスナイトの放つ白の光線に螺旋状にまとわりつき、極大の光線となった!
「「「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!」」」
極大光線によって大爆発が起こり、三大ウルトラマンは爆炎に呑まれた!
ーグレイスsideー
「兄さまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!」
グレイスの悲痛な叫びが、バトランティスの空に響いた。
ー三大ウルトラマンVSヴァイスナイト&ファイブキングー
ピコン、ピコン、ピコン、ピコン、ピコン、ピコン、ピコン・・・・・・・・。
カラータイマーが鳴り響きながら、ティガとダイナとガイアは倒れていた。
「見たか・・・・! これが俺の力だ!! この力を得るために、俺は捨てたんだ、“信念”を・・・! “矜持”を・・・! “己自身”さえも!! 」
ヴァイスナイトは止めを指そうと、剣を持った。
「グ、ウゥゥゥゥゥ・・・・!」
ガイアは立ち上がろうとするが、ダメージは大きく、身体に力が入らなかった、ガイアはゆっくりと近づくヴァイスナイトを弱々しく見つめる。
「(ダメなのか・・・・俺は・・・俺達はこのまま何もできないのか・・・・)」
「(諦めないで・・・・傷無・・・!)」
「(ルクス・・・・)」
「(まだまだ・・・・本当の戦いは、これからだろう・・・・?)」
「(ハヤト・・・・)」
「(僕達は、こんな所でやられる訳にはいかないんだ・・・・!)」
「(傷無、お前も言ってただろう・・・・? “守るもの”が有るって・・・・!)」
「(ッ!!)」
傷無の脳裏に、“我が子達”だけではなく、グレイス達バトランティスの仲間達、アタラクシアにいるユリシア、ハユル、シルヴィア、スカーレット、玲俐、ケイ、そして愛音の事をーーーーーー。
「(そうだ・・・・! 諦めない・・・!! 俺は諦めたりしない!! 例えこの先どれ程の戦いが起きようとも、俺は、俺達は決して諦める訳には・・・行かないんだーーーーーーッッ!!!) ジュゥワァァァッ!!!」
ーグレイスsideー
《グレイスさま!》
「なんじゃ! ゼル!?」
《『創世の御柱<ゲネシス>』に高エネルギー反応が!》
「何!?」
グレイスが見ると、バトランティス世界の中心部と言っても良い『創世の御柱<ゲネシス>』から強い光が生まれ、ガイアに向かって放たれた!
ーガイアsideー
立ち上がったガイアの身体に『創世の御柱<ゲネシス>』から放たれた強い光を浴びて、ガイアの身体が光り輝いた!
「何!? うわあああああああああッ!!」
「「「「「ギヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」」」」」
ガイアから放たれた光にヴァイスナイトとファイブキングは吹き飛び倒れた!
「(これは・・・・?)」
ガイアの身体は2つの“赤い光”と“青い光”に別れた。
“赤い光”がガイアの姿に“青い光”がアグルの姿に変化した。
「(ガイア・・・・アグル・・・・!)」
傷無の前に“エスプレンダー”と“アグレイター”が現れ、一つになった!
“エスプレンダー”の中に“アグレイター”の中央部に輝石が入り、“エスプレンダー”の後ろに畳んだウイングが付いた形、“エスプレイター”になった!
「(ガイア、アグル・・・君たちはずっと俺と共に戦ってくれた・・・そして今・・・俺達と一緒に戦ってくれる仲間達もいる! 俺達は、一つだ!!)」
新たな姿になった“エスプレイター”を握ると、力強く叫ぶ!
「ガイアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!」
“エスプレイター”のウイングが開き、中の輝石と共に“エスプレイター”が光り輝き傷無の胸元にくっつくと、ガイアとアグルが一つとなった!
銀の身体に赤と青が全身に広がり、ガイアの頭部にアグルの頭部のクリスタルを付け、“エスプレンダー”を身体に装備し、背中に“アグレイター”のウイングを付けた姿となった!
「何だ・・・・! 何なんだよその姿はっ!!??」
ヴァイスナイトは戸惑いながら叫ぶ。
「これが新たなガイアの姿! その名は・・・『ウルトラマンガイア ゲネシス・ヴァージョン』だっ!」
「傷無・・・!」
「俺達も、行くぜ・・・!」
新たな姿となったウルトラマンの両隣にティガとダイナが並んだ!
その姿は“希望の象徴”と呼ぶにふさわしい程に雄々しく、気高い姿だった。
ー『ウルトラマンガイア ゲネシス・ヴァージョン(ガイアGV)』
『創世の御柱<ゲネシス>』のエネルギーを受けてガイアとアグルが合体した姿。『スプリーム・ヴァージョン』の数倍の能力を持ち、『衝突面<エントランス>』を開く能力も持っている。
ー『エスプレイター』ー
エスプレンダーの内部にアグレイターの輝石が入り、後ろにウイングを付けたアイテム。『創世の御柱<ゲネシス>』のエネルギーを受けて進化した。