光に選ばれし勇者達   作:BREAKERZ

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タイガ編はこれにて終了です。

トモユキはナレーションと、タイガスパークの声も担当しています。


アズールレーンT Story.0 Ⅱ

まだセイレーンが現れていない時代。

海守トモユキがまだ小学生位の子供の頃。

トモユキは漁師の父と母の三人暮らしだった。トモユキには、1つの秘密があり、今日もその秘密と遊ぼうと近くの海岸に向かうとーーー。

 

【チビスケ!】

 

【こらっ! 大人しくしろっ!】

 

【キュァァァァ・・・・!】

 

トモユキが住んでいる町の近くの海岸に、ナマズのような姿をした動物がひっそりと生息しており、トモユキはその動物と親に内緒で何度も遊んでいた。

そして今、作業服を着た、“頭部が長く、上下にずれた目をした異形の人間?”に連れ拐われそうになっていた。

 

【やめろ! チビスケを離せっ!!】

 

何か光の柱が異形な人間を包むと、異形な人間はチビスケを連れて天に昇って行く。それを見たトモユキは昇って行く異形な人間の足を掴んでぶら下がった。

 

【うわっ! なんだこの小僧っ!?】

 

【チビスケが嫌がっているだろうっ! チビスケを離せよっ!!】

 

【えぇいっ! 喧しいっ!!】

 

【うわっ!!】

 

異形な人間がトモユキを蹴っ飛ばすと、トモユキは手を離してしまい、既に地上から1000メートルも離れた上空からまっ逆さまに落ちていった。

 

【うわあああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!】

 

悲鳴をあげて落ちていくトモユキの身体を、空から降りた“赤い光の粒子”が包み込んだ。

そして、トモユキは気がつくと、自分は海岸で横になっていた。

 

 

~現在~

 

セイレーンの技術を利用する事を提唱する鉄血がアズールレーンを脱退し、独立した組織を作ろうとする動きが見られる事が問題となり、重桜上層部は、鉄血と同盟を組むか、アズールレーンに残るかを協議する為、アズールレーン脱退に反対派の筆頭であるトモユキ指揮官にも出席するように通達がきた。

しかも、護衛として艦船<KAN-SEN>の同行は認めないとも書かれていた。

 

「指揮官様。よろしいのですか? 上層部の命令通りにお一人で出席して?」

 

「確かにな。でも赤城。これを無視したら、アズールレーン脱退に賛成派が勢いづくだけだからな。俺が行かなきゃならんだろう」

 

本土に向かう連絡船に乗り込もうとするトモユキに、赤城が心配そうな顔色を浮かべていた。トモユキは赤城を安心させるように笑みを浮かべる。

 

『指揮官!!』

 

「おう皆」

 

今度は、他の艦船<KAN-SEN>達が、トモユキ指揮官を見送ろうと集まってきた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

赤城は不承不承とトモユキから離れると、とびきり小柄な少女が二人、トモユキの足にしがみつくように抱きついた。

重桜の中でも最も幼い『睦月型駆逐艦』で、特徴とも言える園児服を着用した最年少組の艦船、黒髪の天真爛漫な睦月と桃髪で内気な如月だ。

 

「しゅきかん! すぐにかえってくるよね?!」

 

「しきかん・・・・い、いかないで・・・・ううう・・・・」

 

睦月と如月がトモユキを行かすまいと、ギュッと掴むが、トモユキは二人の頭を優しく撫でる。

 

「大丈夫だよ。ちゃちゃっと会議なんてすぐに終わらせてくるさ、睦月、如月」

 

トモユキに今度は黒髪のポニーテールに頭に犬耳を付けた艦船・時雨と灰色がかった白い髪にピョンと生えた犬耳を付けた野性味ある艦船・夕立、銀髪に小柄な艦船・雪風が近づく。

 

「指揮官! さっさともどってきなさいよね!」

 

「この雪風様が見送りに来たのだ! 感謝するのだ!」

 

「早く帰ってこいよな指揮官!」

 

「分かってるよ、時雨、雪風、夕立」

 

三人を下がらせると、今度はウサギ耳を頭に付け、眼鏡をかけた青い長髪の女性・蒼龍、同じようにウサギ耳をつけた銀髪の女性・飛龍が近づく。

ちなみに二人は赤城・加賀の一航戦の次の二航戦。

 

「指揮官。まだ書類が残っているのですから、すぐに帰って来て下さい」

 

「皆待っているからね」

 

「おう。蒼龍、飛龍」

 

次に、フワフワとした黒髪の女性と黒髪をポニーテールに結わえた侍然とした女性、二人とも豊満なバストとグラマラスな肢体をした艦船・愛宕と高雄である。

トモユキは二人の豊満なバストに視線を向ける。

 

「指揮官、すぐに帰って来てね。お姉さん心配しちゃうから♪」

 

「指揮官。待っているからな」

 

「分かってるって愛宕、高雄」

 

愛宕がトモユキの顎の下を優しく撫で、高雄が愛宕の首根っこを掴んで一緒に下がった。

次に、美しい白い髪に巫女服のような服を着用した女性と少し露出のある格好をした茶髪のポニーテールに侍然とした女性、五航戦の翔鶴と瑞鶴が近づく。

 

「ハァ、指揮官が居なくなったら、一航戦の鬼のような先輩達の訓練が始まるわ~」

 

「まぁそう言うなよ翔鶴。先輩からの愛の鞭だと思えよ」

 

「そうだよ翔鶴姉。訓練頑張ろう!」

 

「瑞鶴、お前はもう少し肩の力を抜けよ」

 

お淑やかなに見えて毒舌家の翔鶴、生真面目な性格の瑞鶴に苦笑いを浮かべるトモユキ。

トモユキに次に近づくのは、緑色の長髪に猫耳を付け、袖の長い上着を着た小柄な少女、明石だった。

 

「指揮官。借金の返済はどうするにゃ?」

 

「さて、次の艦船にちゃんと挨拶を・・・・」

 

「借金はどうするにゃ?」

 

艦船達の新衣装の為に結構明石に借金を作っているトモユキは、明石から目を外すと、見送りに来た長門達を向く。

 

「指揮官。気をつけて行ってくるのじゃ」

 

「ああ。必ず戻るよ長門」

 

そして他の艦船の女性陣と一言話を終えたトモユキは、赤城と加賀に向き直る。

 

「赤城。ここを任せる」

 

「承知しましたわ」

 

「加賀。赤城をしっかりと支えてくれよ」

 

「無論だ」

 

頼もしい二人に頷くと、トモユキは最も古参メンバーである、綾波に向き合った。

 

「よぉ綾波」

 

「指揮官。・・・・その」

 

「俺が言ってた“言葉の意味”、少しは“答え”が出たか?」

 

「・・・・なんとなくですが」

 

綾波は仲間の艦船<KAN-SEN>達を見渡す。

 

「指揮官が言っていた言葉、少し分かった気がするのです」

 

「そっか。んじゃ続きは帰ってから聞くな?」

 

「はいなのです」

 

艦船<KAN-SEN>の皆に見送られながら、トモユキ指揮官は連絡船に乗り込み、本土へと向かった。

 

 

 

* * *

 

 

 

『ギュワァアアアアアアアアアアアッッ!!!』

 

「なんなんだよこれはっ!」

 

母港を離れ、間もなく本土にたどり着く前に、海の中から巨大なナマズのように丸っこい顔に、全身に刺々しい棘が大量に伸び、青黒い身体に若干黄色いっぽいラインがある怪獣・『海獣 キングゲスラ』が連絡船に襲い掛かった。

 

『ギュワァアアアアアンンンッッ!!!』

 

キングゲスラが手を上げて、連絡船に振り下ろした!

 

「うわあああああああああッッ!!」

 

ゴワシャァアアアアアアアアアンンッ!!

 

連絡船が破壊されると同時に、赤い光が連絡船から飛び出し、光が大きくなり、巨人となった!

 

銀色の身体に赤いラインがあり、胸の中心に青く光る丸い水晶を付けたプロテクターを身に付け、銀の顔にはトサカと牛のような角をつけた巨人だった。

 

『「ここは、一体どこなんだ・・・・?」』

 

トモユキは、自分の周りが赤いオーラの宇宙空間にいた。

 

『危ないところだったなトモユキ』

 

『「お前は?! 子供の頃からいつの間にか聞こえていた声か・・・・?」』

 

『ああ! 俺は、タイガ。光の勇者! ウルトラマンタイガだっ!!』

 

『「ウルトラマン、タイガ・・・・?」』

 

『俺はお前、お前は俺。俺達は、一心同体だぜ!』

 

『「一心同体・・・・」』

 

『さぁ! 一緒に戦おうぜ!!』

 

ウルトラマンタイガは、キングゲスラに向かって構えると、空高く飛び上がり、右足にパワーを集中させ、急降下し、キングゲスラに向かう。

 

『父さん直伝! 『タイガキック』!!』

 

急降下した飛び蹴りをキングゲスラの頭部に撃ち込んだ!

 

『ギュワァアアアア!』

 

キングゲスラは大きくのけ反りながら倒れると、水飛沫を上げた。

 

『シュアッ!』

 

大きく反転したタイガは海に着地(着水?)すると、こちらも水飛沫を上げて、キングゲスラに向かって構えた。

 

『キングゲスラの棘には、毒が仕込まれているって聞いたことがあるぜ』

 

『「という事は、接戦戦は避けるべきだな。タイガ、で良いんだよな?」』

 

『ああ。それにしても、もうこの状況に順応したのかよ?』

 

『「かなり特殊な事態なのは分かったが、こちとらセイレーンなんて謎の侵略者と戦う艦船<KAN-SEN>達の指揮官をしているんだ。こんな異常事態に一々狼狽えていたら身が持たないぜ」』

 

『なるほどな!』

 

『ギュワァアアアアアアアアアアアッ!!』

 

キングゲスラが起き上がると、タイガは腕を十字に組んで、ブレスレットから光弾を連続で発射した!

 

『『スワローバレット』!』

 

タイガから放たれた光弾が、キングゲスラに当たった!

 

『ギュゥゥゥゥゥ!』

 

『よしこのまま一気に!』

 

『「っ? まてタイガ!」』

 

『っ! なんだよトモユキ?』

 

トモユキは、痛みで悶えるキングゲスラを見据える。

 

『クゥゥゥゥ! キュゥゥゥゥゥッ!』

 

『「・・・・・・・・・・・・」』

 

トモユキの脳裏に、幼い頃助けられなかった動物の友達の姿が、キングゲスラと重なった。

 

『「チビスケ・・・・? チビスケなのか?」』

 

『ギュワァアアアアアアアアアアアッ!!』

 

キングゲスラはタイガに向かって行こうとする。

 

『「・・・・・・・・クンクン、パッ!」』

 

『っっ!?』

 

トモユキはタイガの身体を使って、手を二回上下に振って、パッ!の所で大きく手を広げる芸を見せた。

その瞬間、キングゲスラの身体がピクッと静止した。

 

『「クンクン、パッ!」』

 

『クゥゥゥゥ・・・・』

 

『「クンクン、パッ! クンクン、パッ!」』

 

『キュゥゥゥゥゥ』

 

キングゲスラは大人しくなり、タイガにすり寄るように身を寄せた。

 

『「チビスケ、やっぱりおまえなんだな?」』

 

『キュゥゥゥゥゥ』

 

『「ハハハハハ。大きくなったなぁ!」』

 

トモユキはタイガの身体を使いながら、毒棘に気を付けながらキングゲスラ、チビスケの頭を撫でた。

 

『スゴいな。怪獣を倒さず大人しくさせるだなんて』

 

タイガは怪獣を大人しくさせたトモユキに素直に驚いていた。

 

『「さて、チビスケをこのままにしておく訳にはいかないな。・・・・そうだなぁ、ウチの母港には閉鎖された洞窟のドッグがあったな。あそこなら綾波や赤城と加賀くらいしか知らないし、広さ的にもチビスケが入れるからソコでしばらくチビスケを・・・・」』

 

『っ! トモユキ!!』

 

『「ん?」』

 

トモユキがタイガの言葉に反応するとーーーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズシャ・・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ギュアッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チビスケの身体から、“鋭い爪が伸びた青い腕が、チビスケの身体を貫いていた”。

 

『「チビ、スケ・・・・??」』

 

トモユキはいきなりの状況に愕然となった。

 

『トモユキ!』

 

タイガが後方に大きく飛び退くと、チビスケの身体を貫いた腕がチビスケの身体から引っこ抜かれると、チビスケの身体が横に倒れ・・・・。

 

『キュゥゥゥゥゥ・・・・』

 

チビスケはそのまま瞼を閉じると、静かに息をひき取り、海の底へ沈んでいったーーー。

 

『「チビスケ・・・・! チビスケーーーーーーーーーーーーッッ!!!」』

 

トモユキはインナースペースの中で、チビスケの死に涙を流し、両膝をついた。

そんなトモユキに向かって、暗く、冷たい声がかけられた。

 

『つまらない展開は止めて貰いたいな・・・・『海原の軍者』?』

 

『お、お前はっ!!?』

 

チビスケの後ろに立ち、たった今チビスケの身体を貫いてその命を奪った腕を払う巨人を見て、タイガは憎悪と憤怒を混ぜた声を上げた。

 

『トレギアーーーーーーッ!!!』

 

青い身体に胸の水晶には×印のプロテクターに身体には鎧を身に付け、手足にはベルトのようなものをつけ、全身に拘束具を付けたような姿。

顔には仮面のようなものを被り、仮面の瞳は血のように真っ赤になっており、額はクリスタルのようになっており、足のつま先の先端が反り返るような形状をしている。顔の輪郭や耳の形は鋭く伸び、黒い戦士のようにも見える巨人。

 

〈ウルトラマントレギア〉。

 

タイガは怒りを込めた拳を突き出して、トレギアを殴ろうとするが、トレギアは余裕でその拳を掴んだ。

 

『フフフフフ』

 

トレギアはタイガの拳を握ったまま、不気味に笑い声を上げると、上体をのけ反らせるように動いて、タイガを見上げる。

 

『クゥッ! シュワッ!!』

 

『ふん』

 

タイガはトレギアを拳から離れると空中を翔び、トレギアも追撃した。

それから2体は空中を高速で飛びながら何度もぶつかり合って上昇する。

 

『なぜ殺した!? あの怪獣を殺す事なんて無かっただろう!?』

 

『せっかく面白そうなものが見れると思ったのに、台無しにしてくれた役立たずを始末しただけだよ?』

 

『ふざけるなぁ!!』

 

『「・・・・・・・・タイガ。アイツは一体何者だ?」』

 

それまで黙っていたトモユキが、トレギアを睨みながらタイガに聞く。

 

『アイツは、『ウルトラマントレギア』。闇の道に堕ちた悪のウルトラマンだ!』

 

『ふん。正義だの悪だの、光だの闇だの、そんな風に区別するのが、君たち光の国のウルトラマンの浅はかさだね』

 

『うるさい!! お前は許さない! 俺の仲間だけじゃなく! トモユキの友達までっ!!』

 

『「っ! タイガ・・・・君もなのか?」』

 

『あぁ! 俺の仲間、〈タイタス〉と〈フーマ〉は、アイツに殺されたんだっ!!』

 

【『グァアアアアアアアアアアアッ!!』】

 

【『タイタスゥゥゥゥゥゥッ!!』】

 

【『ウワアアアアアアアアアアアッ!!』】

 

【『フーマァァァァァァァッ!!』】

 

タイガの脳裏に、仲間達の死に様が、鮮明に甦った。

そしていつの間にか、タイガとトレギアは、成層圏を抜けて、宇宙空間に飛び出し、距離を空けて睨み合った。

 

『「そうかタイガ、君も友達を、仲間を奪われたんだな・・・・」』

 

『トモユキ・・・・』

 

『「討とうぜ。君の仲間を、俺の友達を奪ったあのクソヤロウをなっ!!」』

 

『ああっ!! フゥゥゥゥゥッ!』

 

タイガは右腕を天高く掲げると、両手を頭上で合わせて腰にぐっと引き寄せた。

すると、タイガの全身に光が集まっていき、タイガの身体が虹色に輝く。

 

『ストリウム! ブラスター!!』

 

右の拳を下から左手の平に当ててT字を作ると、右腕のから虹色の光線が発射された!

 

『トレラアルティカイザー!』

 

それを迎え撃つように、トレギアは全身のエネルギーを両腕に集めて、青黒い光線を打ち出す!

2つのエネルギー光線が一瞬拮抗するが、徐々にトレギアの光線がタイガの光線を押していくーーー。

 

『フフフフ、ハハハハハハハハハハっ!!』

 

『クゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥっ!』

 

トレギアの『トレラアルティカイザー』がタイガを押し飛ばされた。

 

『く、くっそぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!』

 

『「(・・・・ゴメンな綾波、みんな・・・・どうやら、帰れそうに、無い・・・・)」』

 

トモユキとタイガはそのまま光線に押されて大気圏を落ちていったーーー。

 

『フフフ、良き旅の終わりを・・・・タロウの息子よ』

 

落ちていくタイガに向かって、トレギアはそう言ってお辞儀した。

 

 

 

 

 

 

ーロイヤル近海の島ー

 

そこは、ロイヤル近海にある小さな島。

その島に、先日宇宙から落下した物を調査するためにやって来たロイヤルの艦船<KAN-SEN>達が、浜辺に倒れている重桜の軍服を着た若者を引き上げた。

その時、若者の左手の甲に、薔薇のような痣が浮かんでいた。

 

 

 

 

ー綾波sideー

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・・」

 

綾波は、息を切らせながら、重桜軍港を見渡せる丘へ向かった。

丘へ到着した綾波の目に、トモユキの姿がーーー。

 

【見ろよ綾波。これが俺達の、俺達が作った重桜軍港だぜ】

 

「指揮官っ!!」

 

綾波は、トモユキに触れようと手を伸ばすが、トモユキの姿は消え、綾波の伸ばされたその手は、虚しく空を切っただけだった。

 

「・・・・・指揮官・・・・!!」

 

綾波の瞳に涙が浮き始める。

先日、重桜本土へ向かった指揮官は、セイレーンとはまったく違った謎の巨大生物によって船は沈められ。

 

海守トモユキ指揮官は行方不明とされた。

 

それを聞いて、重桜の艦船<KAN-SEN>達は悲しみに打ちのめされた。

ある艦船はその場で泣き崩れ。

ある艦船は信じないと茫然自失になり。

ある艦船は指揮官が帰ってくると言って軍港でずっと座りっぱなしになった。

他の艦船達もそれぞれにショックを受けていた。

綾波は、遮二無二に、指揮官との思い出がある丘へと走った。しかし、その場に指揮官の姿は当然無かった。

 

「指揮官・・・・! 指揮官・・・・!!」

 

綾波もまた、その場で両手で顔を覆って泣き崩れ、重桜軍港では、艦船達の嗚咽とすすり泣く声が響いていたーーー。

 

 

ー赤城sideー

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「姉さま・・・・」

 

赤城もまた茫然自失もなり、トモユキが行ってしまった水平線を見つめていた。

加賀も気持ちでは赤城と同じだった。

 

「うふふ、うふふふふふふ・・・・」

 

「姉さま?」

 

「大丈夫よ加賀。指揮官さまは必ず帰って来てくださるわ。その為にも、“あの計画”を始めましょう」

 

「っ! “あの計画”を!? アレは指揮官も難色を示していたではないですかっ!?」

 

「このまま指揮官さまの不在が続けば、上層部の愚か者共が、別の指揮官を寄越すわ。この軍港の、この重桜の指揮官は、指揮官さま只お1人。安全な場所で喚くしか能がない有象無象共が来ないように、私たち艦船がこの軍港を守らなければならないわ。そして“あの計画”が成功すれば、“あの人”も帰ってくる。指揮官さまの“帰る場所”を守る為にも、“あの計画”を進めるわ。そうよ、この重桜艦隊の指揮官は、海守トモユキさまだけ、あの方がお戻りになる為にも、この場所は誰にも汚させない!重桜上層部だろうと、鉄血だろうと、アズールレーンだろうとね・・・・!」

 

「・・・・・・・・」

 

赤城のその瞳に宿る狂気を帯びた光りに、加賀は息を飲むが、トモユキと最後に交わした会話を思い出した。

 

【加賀、赤城をしっかりと支えてくれよ】

 

「(指揮官・・・・)」

 

加賀もまた覚悟を決めて、赤城を支える事を決意した。

 

 

 

 

 

ー???sideー

 

ロイヤルに保護されたその若者が目を覚ますと、ベッドの上だった。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

若者はベッドの上で上体を起き上がらせると、ベッドのある部屋を見る。どうやら個室らしい、ベッド以外には小さなテーブルと椅子が置いてある簡素な部屋だった。不意に若者の頭に声が響いた。

 

≪トモユキ! 起きたんだなっ!? 無事でなによりだぜ!≫

 

「っっ!!?」

 

そう、若者は重桜指揮官、海守トモユキだった。

タイガの声が頭に響くが、トモユキは身体をビクッ! と強ばらせて、キョロキョロと辺りを見回す。

 

「???」

 

≪トモユキ? どうしたんだ??≫

 

「っ?・・・・・・・・」

 

トモユキはタイガの声に戸惑っているかのような態度だった。

 

ガチャ・・・・。

 

「?」

 

≪?≫

 

部屋の扉が開くと、部屋の中に入ってきたのはーーーーーーメイドだった。

 

「お目覚めになられましたか。お加減はどうですか?」

 

そのメイドは実に美しい女性だった。

絹のような精細な白髪。

フリルに彩られたステレオタイプのメイド服と、首には小さく破断した鎖を垂らしたチョーカーを首輪のように身に付け、凛としていながらも、どこか柔和さと艶やかさを兼ね備えた瞳が魅力の美少女だった。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

トモユキは、目の前のメイドに見惚れていた。

 

「いかがなさいました?」

 

メイドはにこやかに微笑みながら、トモユキの視線に気づいていると言わんばかりの態度だった。

トモユキはメイドを見つめながら、ようやく言葉を発した。

 

「あの、聞きたいんですけど・・・・」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「“僕は一体、誰なんですか”・・・・?」

 

「っ?!」

 

≪なっ!?≫

 

トモユキの言葉に、メイドとタイガは驚いたように目を見開く。

 

「失礼します」

 

メイドはトモユキの近づき、トモユキの額に手を当てた。

 

≪トモユキ! お前、まさか記憶が・・・・!≫

 

「っ・・・・!」

 

≪どうしたトモユキ?! 何か思い出したのかっ!?≫

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

トモユキの目線の先には、メイドの胸元が開かれたメイド服から、今にもこぼれんばかりの白く大きく、形も整った巨乳に注いでいた。

 

「(でっかくて綺麗な胸だな・・・・)」

 

≪あっ、スケベ心は忘れてないのか≫

 

記憶は失ってもスケベの心を失っていないトモユキに、タイガはガクンっとずっこけた。

 

「・・・・・・・・どうやら、嘘は言ってはいないようですね」

 

「貴女は、誰ですか? そしてここは・・・・?」

 

トモユキがそう聞くと、メイドは二歩・三歩後ろに引くと、スカートの両端を両手で摘まんで優雅にお辞儀をした。

 

「これは失礼したしました。ここはロイヤル。そして私は、このロイヤルを守るロイヤルメイド隊の艦船、名を『ベルファスト』と申します」

 

 

~半年後~

 

トモユキは、重桜の指揮官であったその指揮能力をロイヤルの旗艦『Q<クィーン>・エリザベス』に認められ、名を『カイン・オーシャン』と名乗り、アズールレーンの指揮官として、新たに設立された基地に向かう船に乗り込もうとしていた。

 

「ご主人様。服が少々乱れております」

 

「あぁ、すまないなベル」

 

ベルファストを愛称のベルと呼び、ベルファストに服を直してもらった。

 

「ご主人様にご同行できないのは、メイドとしてあるまじき行為なのですが・・・・」

 

「仕方ないさ。メイド隊のメイド長のベルがいないと、陛下が基地に来たとき格好がつかないしな」

 

「そうでしょうか」

 

「それに大丈夫だよ。向こうにはすでにウェールズにイラストリアス、それにユニコーンもいるんだ。何か起こっても対応できる」

 

「ご主人様がそうおっしゃるならば、これ以上は言いませんが。私どももすぐにそちらに向かいます」

 

「あぁ。待ってるぜ」

 

船に乗り込んだカインこと、トモユキは水平線の向こうにある筈のアズールレーン基地を見据えていた。

 

「(・・・・不思議だな、前も誰かと、こんな風に水平線の向こうを見ていた気がする・・・・)」

 

≪(トモユキ・・・・お前の心は覚えているはずだ。重桜の皆の事を・・・・!)≫

 

そして、アズールレーン基地に潜入しようとしていた外套に身を包んだ綾波は、不意に水平線の向こうを見た。

 

「指揮官・・・・」

 

小さく、そして切なそうに呟いた綾波は、外套のフードを目深に被って、基地へと向かった。

 

 

カイン・オーシャン、海守トモユキとウルトラマンタイガは、再び戦場に戻ってきた。そこで彼らは、艦船達に新たな力と、タイガの仲間達と出会う事を今は知らない・・・・。

 

「行くぜ、タイガ!」

 

『ああ!』

 

「タイタス!」

 

『うむ!』

 

「フーマ!」

 

『おうよ!』

 

『カモン!』

 

「光の勇者! タイガ!!」

 

『ハァアアアッ!!』

 

「力の賢者! タイタス!!」

 

『ヌゥゥゥンッ!!』

 

「風の覇者! フーマ!!」

 

『フゥゥゥゥッ!!』

 

「バディー! ゴーーーー!!」

 

この青く美しい海の星に、宇宙人達が密かに住んでいる事は、誰も知らない。

これは、戦いの大海原で出会った若者達と、気高い艦船達との絆の物語である!

 

 

 

ー『アズールレーンT』ー

 

誰かに笑われたって構わない。自分の信じる物を貫け。そびえる壁の向こうへ、手を取り合って行けるなら怖くはないさ。君だけの答えが待つ銀河へ今すぐ飛びだそう!

 

『生まれた星は違っていても!』

 

『共に進む場所は一つ!』

 

「永遠の絆を胸に!」

 

『我ら四人ッ!』

 

『『『「トライスクワッド!!」』』』

 




これから、アニメ アズールレーンの第1話に繋がります。
いずれは連載したいですね。
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