……ところで、誰かデンドロのTRPG作ってくれませんかね?(チラッ)
「……やっと着いたか」
夜通し歩き詰めでなんとか光の元である場所へたどり着いた。幸いただの発光ファンタジー生物の群れという訳ではなく、小さな集落のようだった。
「……大丈夫か?少し足取りが頼りなくなってるぞ」
エンブリオのグリーンマンに声を掛けられる。移動中のこいつの無駄話は精神的な疲労を和らげるのに想像以上に役立った。後で礼くらいはしておくか。……こいつの言う通り、俺は長時間の歩行と徹夜でかなり消耗していた。
都合24時間歩き続けたわけだから当然ではあるか。
「……少しきついかもしれません」
今でこそなんとか堪えているが、無事に人里につけた安心感で今にも倒れそうだ。
そんな事を考えながら最後の数十mの距離を詰めていた時、20代前半程に見える西洋風のカップルが確認できた。どちらもそれなりに顔の造形が整っており、丸太作られた簡素なベンチで話をしている様子は非常に様になっていた。
声を掛ければこちらに気づいてくれるだろう。
「すみませーん!こちらに……」
そう声を上げたところで俺は力尽きて倒れた。
こちらを向き、駆け寄ってくる男女の姿を最後に俺の視界は閉ざされた。
「えぇ!どうしたのさこの人!」
「……事情はよく分からないけど、この人かなり汗をかいてるし、体力が削れてる……一旦うちに運びましょう。」
「おう!ありがとよ!心遣い感謝するぜ!」
「はぁ!?こいつ背中にしゃべる石の顔が付いてるぜ!」
「うっ、言いたくはないけどちょっと気味が悪いわね」
「うるせぇな!俺だって好きでこんな体してねぇよ!」
「わっ!運ぼうとしてるんだから突然叫ばな――」
……こいつめ、人が寝てる間に好き勝手しやがって
しかし、いつまでも意識を維持出来る訳もなく、俺の感覚はそこで途切れた。
♢
「大丈夫ですか!」
ベッドの上で顔の両側を叩かれ目が覚める。ふう、なんとか生き残れた。先程からバシバシとしてくる彼は…バシバシと……
……痛い痛い痛い!
「起きました!起きましたからもう叩かなくて結構です!」
「あ!起きましたね。……良かった、これ、水なんで食事までの繋ぎに飲んでおいて下さい。」
食事……?確かに助けてくれるという打算はあったがこの人達は食事まで提供してくれるってのか。
「……申し訳ない、ありがとうございます」
「はは、お兄さん丁寧だね。もっと肩の力抜いてフランクに接してくれていいんだよ?」
「あー、これは性分ですので。お気になさらず」
「そう?なら僕も敬語使った方がいいかな?」
「いやいや、慣れない喋り方をする事を強いれる立場でもないですし、気楽に話して下さい」
「んー、ありがとう。ではお言葉に甘えて。じゃあ食事の準備してくるからそこで待っててね」
……とんでもない程気のいい人間だな、顔もいい上こんな性格ならあれだけ綺麗な奥さんが居るのも頷けるというものだ。
用意された水を飲む為に起き上がろうとした時、背中から曇った声がしてきた。
「おい!俺を下敷きにして寝るとはどういう了見だ!」
「……すみません、素で忘れてました」
「おい」
♢
そのまましばらくして、俺は俺を見つけてくれた2人の男女と共に食事を頂くことになった。どの料理も非常に箸が進んだが、特に進んだのは見たことのない山菜の天ぷらだった。
「……おいしい」
「おお、君冴えてるね!妻は【料理人】のジョブを持ってて、数年前までは店やってたくらいなんだよ!材料にした葉はレジェンダリアの方では有名な山菜らしいね!ここはレジェンダリアにかなり近い場所なので、レジェンダリアの方から風で運ばれてこの地に定着したんじゃないかなって思うんだけど」
優男がすごい勢いで説明をし始める。食事はいいのだろうか。
しかし気になる言い回しも幾つかあった。
「ん?ここはレジェンダリアじゃないんですか?」
「そうですね、この森は一応アイセンの管轄ですから」
そう美女が言う。……ふむ。
「アイセン……とは何処でしょうか」
「えぇ!?君何処から来たのさ」
「……レジェンダリア?」
「そんなアホな、レジェンダリアは近いとはいえ、歩きで渡るにはここからでもまず数日は掛かりますよ?」
なるほど、となると1番最初に見た、地面に火花が散っていた現象が関わっていそうだ。……話してみるか。
俺が辿ってきた道のりを軽く話してみると、女は納得したように首を振った。
「それは……多分アクシデントサークルという現象じゃないでしょうか?」
「アクシデントサークル?」
「レジェンダリアの各地で不定期に発生する……空気中に散らばるMPの暴発、と言われる現象だと知識にはあります、おぼろ気ですが。それに遭遇すると、突然火が吹き出したり、状態異常に掛かったりするそうです。転移した、という事例もあるようですからそれが原因かと」
「……なるほど」
そんな現象に開始早々巻き込まれてしまったのか。不運にも程がある。
「となると、入国の際の審査とかしてなさそうですね」
「……あぁ、それはまずそう」
何やら夫婦が不穏な事を話している。流石に犯罪者になってしまうのは避けたいところだ。
「……何をすればいいのでしょうか?」
「「そうだね……」」
♢
――という話の後、二人に連れられて村長の家という建物の前まで来ていた。ここで待っていてくれ、と2人は先に入っていった……これはもしかすると捕まってしまうかもしれないな。
しばらくするとかなりの体格を持つ、具体的に言うと現実の俺を一回り大きくしたような男が出てきた。
……あぁ……これは警察機関か……普通には逃げられそうにないし……、いざとなればログアウトして逃げるしか無さそうだ。
「――ようこそ来訪者よ、遠路はるばるよくいらっしゃいました。私はこのハイン開拓地区開拓責任者、兼村長のエザーと申します。」