楽しい余生の過ごし方   作:Theiater

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区切りの関係で本文が少し短くなってます。登場人物紹介も一緒に更新しましたのでご容赦をー

※11/20 現実パート加筆しました。


開発責任者の心境&序章・キャラ紹介

「やぁようこそ、遠路はるばるよくいらっしゃいました。私はこのハイン開拓地区開拓責任者、兼村長のエザーと申します。」

 

……見た目に驚いていたが、どうやら彼はこの地区の長らしい。どうやら即座にお縄、という事態は避けられたようだ。

 

「ご丁寧にありがとうございます、私は杜人ソラという者です」

 

軽く挨拶を交わし、握手を交わす。

 

「して、どうしてこのような所に?左手の紋章を見る限りマスターでいらっしゃるご様子。私が言うのもなんでしょうが、ここはかなり辺鄙で何も無い場所ですし、マスターの方々が好んで来られるような場所ではないと認識しているのですが」

 

マスター……?NPCがプレイヤーの事を呼ぶ際の総称だったか……いや、だとするとこの方達はNPC?んなアホな。

正直AIとは思えない。……ただ、見るからに外国人顔なのに当然の如く言葉が通じている辺り、AIという線も十分に有り得る。よく観察してみれば、言葉に対して口の開き方も若干おかしい。うん、平凡な一キャラクターのモデリングにそこまで金を使ってられないのだと考えれば納得がいくような気がしてきた。

……ここまで来てやっとゲームらしい要素を見つけられたような気がする。

 

しかし、即座に逮捕とはならずともそこそこ警戒されているな。この分だと食事代を払って移動するのが最善か。

 

「マスター……、というのはこの紋章を持ち、何らかの変わった力を持つ人間でしょうか?」

 

「……?はい、大まかにはそのように伝え聞いております」

 

「なら、私は恐らくマスターという人種なのでしょう。申し訳ない、なにぶん少し前にこちらの世界に来たもので」

 

「あぁ、はい……」

 

エザーの表情が少し和らぐ。

 

「……一応、ここまでの経緯を詳しくお話頂けますか?」

 

……なるほど、それはそうだ。

 

俺は俺自身に何が起こったのか、向こうでの立場や職業について交えて話しつつ出来るだけ素直に説明していった。

 

 

 

□■ ハイン開拓地区・エザー

 

「ふむ……」

 

バスケス夫妻が突然家に押し掛けて来たので何かと思えば、レジェンダリア側の森の方向から歩いてマスターがやって来たと伝えてきました。……レジェンダリア方向には非常に広い森が広がっていて、歩いて渡るなど不可能に近いはずなのですが。などと思っていると、彼の話からどうやらアクシデントサークルに巻き込まれたらしい事が推測できたそうな。……うむ、あの現象なら転移が起こっても不思議ではないでしょう。

 

今話している彼の話からは大きな矛盾を感じられません。幸い今はいくら人手があっても困らない状況ですし、彼にその気があるならばこの場に残って開拓を頂きたいところです。入国の問題は……マスターですし殆ど問題はない筈です。

 

ふむ、話も一段落付いたようですし提案しますか。

 

「分かりやすい解説をありがとうございます。……ソラさん、一つ提案があるのですが」

 

「……はい」

 

ソラさんが唾を飲む音が聞こえた。緊張させてしまっていますね。

 

「あぁ、そんなに緊張しないで下さい。」

 

「……」

 

「ソラさん、貴方さえ良ければうちで開拓の手伝いをして頂けませんか?」

 

「……え?いいんですか?」

 

「無論、貴方さえ良ければなのですが」

 

「え、えぇ、この辺りの植生には興味がありますし、こちらから頼みたいとすら思ってました!是非お願いします」

 

「えぇ、では声を掛けてくれれば仕事を回しますので。活躍、期待しております」

 

「……、はい!」

 

キラキラとした良い目をしています、やはり若者は眩しい。見た目の年齢と話した感じの精神年齢に若干の齟齬を感じていましたが、気のせいだったかもしれないですねぇ。

 

 

 

□ 埼玉県 北海材グループ事務所前 南風 翔

 

「……ふぅ」

 

【尿意】と【空腹】のアナウンスが出たのて、一度ログアウトをする事にした。窓から射し込んでいるはずのひかりがなく、何かと思えば、このゲームを遊んでいるうちは現実の時間の進みが遅くなっているらしい。なんという……時代は擬似延命のような真似までできる段階に来てしまったのか。それとなく手に取って遊んでしまったが、かなり高いゲームだったのかもしれない。

 

「……」

 

鋼のような、しかしシミの目立つようになってきた自らの手を見てため息を吐く。……こちらの世界でも身体を維持できるように走り込みでもしてくるか。

と、そこで主張するように俺の腹が鳴った。……まずは飯。それとトイレだな。俺は30分程度の走り込みをして、ドリンク型の栄養食を多めに買いこんだ後、食事を早々と済ませて再びデンドロへとダイブした。




序章終了時点でのそれぞれのキャラクターの説明と近況です。

南風 翔【杜人ソラ】 (57/♂)
林業─自らの育てた木を売る仕事─を営んでいた本作の主人公。頑固なまでに約束を守る事と心内ではそうでもない癖に誰にでも丁寧な口調が特徴。T大卒。

町田 幸重【ユキ】(91/♂)
翔の運営する会社の先代。若い頃、林業でかなり稼いでいた事と、90まで仕事をしていたことが原因で、そこそこ以上にお金を持っている。ゲーム内では20ちょいの黒髪美女である。少し前にメイデンを発現した。

小池 雄大【ブライダル・ダム】(91/♂)
幸重の同級生。親友。年の割に柔軟な考え方と変わった感性をしており、20-30代の友達が多い。映画に出て来る英国紳士のような出で立ち。ゲーム内ではシルクハットを被った幼女である。ゲーム開始3時間でカップルを成立させてしまったことから、仲人系統超級職を目指し始めている。



ハイン開拓地区
開拓地区の名に違わず、現在開発中の土地である。森を切り開いて集落を大きくして人の住める土地の面積を広くしている最中なので、人を呼び込む前段階。今住んでいるのは隣の街から派遣された開拓団であった人々である。
そのような成り立ちである為住んでいるのは基本的に夫婦であり、主人公に春は来ない。

アルバロ・バスケス(22/♂)
ソラを拾ったティアンの一人。サラとは幼馴染であり、5年来の夫婦である。人一倍知識を蓄えている。美男。

サラ・バスケス(22/♀)
ソラを拾ったティアンの一人。アルバロとは幼馴染であり、5年来の夫婦である。料理が得意で、昔住んでいた街で3年程料理屋をやっていたほど料理が得意。美女。

アドリアン・ナバーロ(57/♂)
ハイン開拓地区開拓責任者。元開拓団長である。長身で大柄。ついでに赤い髪、仁王の如き厳しい顔であるが、物腰は丁寧で思慮深い人物である。


一緒にこれ単体で一話として更新しようとしたけど、文字数制限の下限に引っかかったので後書きとして投稿。
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