楽しい余生の過ごし方   作:Theiater

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もし無職になったら漫画版四話に出て来たサブタイの一コマを沢山使うんだ……


一章 樵夫の日常
あっ俺無職だったわ


□ ハイン開拓地区 杜人ソラ

 

大きな雲が浮かんでいる。いい青空だ……

 

開拓の手伝いを始めてからこちらの世界で1週間が経過した。

俺はデンドロというゲームに完全にのめり込んでいた。……というより、俺が開拓を進め、本物の人間のようなNPCからお礼の言葉をもらうことに喜びを感じていると言った方が正しいか。まだ人の増やす段階にない閉じたコミュニティである為、人付き合いが楽であったのものめり込んでしまった原因かもしれない。

 

そろそろ太陽が真上に上る。さて、そろそろ村に戻るかな。

今日の昼ご飯は俺の好きな山菜だ。内心スキップしながら道を戻っているとグリーンマンが声を掛けてきた。

 

「……おい」

 

「んん?何です?」

 

こいつは最初の数日こそ喋っていたが、最近は不満げなのか黙りがちである。

 

「あのさ、せっかく第一陣としてこの世界に来たのにレベルも上げないで木を切るだけってどうなんだよ」

 

「……第一陣だったんですか?」

 

最近、リアルで情報を手に入れていない。幸重さんの葬式は……家族葬だから来なくていいと本人が言ってたな……ん?家族は既にこの世に居ないはずだが……。

 

「そうだよ!……ったく。ここは確かに居心地がいいが、そろそろ街を見に行ったりしてもいい頃合じゃないのか?」

 

「……それもそうですね」

 

「街には樵のジョブクリスタルもあるだろうし、早めに行った方がいいと思うぞ?」

 

「了解、帰ったら頼んでみますか」

 

と、話している間に村長宅に到着。いやっほー!山菜だ!

 

「お前本当に山菜好きだな……」

 

 

♢

 

 

「ソラさん!今日もお仕事お疲れ様ですー」

 

「はい、ジオ君も出迎えありがとうね。」

 

このジオっていうのは村長の甥っ子だ。10歳であるというが、発育が良く既に140cmはある。既に村長に似て大男になりそうな予感がする。

 

「で、今日も向こうの話聞かせてくれるの?」

 

「そうですね、では道路の話をしましょう」

 

「道路?」

 

「ええはい。この世界の自然と調和する道も大変素晴らしいものですが……」

 

「ご飯が出来たわよー」

 

お。流石奥さん、早いな。

 

「んん、とりあえず食事が冷める前に頂きましょうか」

 

「えー、ソラさんはご飯と僕のどっちが大事なのさー!」

 

「どちらも大事だからあなたにも食事を撮ってもらいたいんですよ」

 

「ぬ……」

 

言いくるめは年寄りとTRPGプレイヤーの特権だ。

 

 

♢

 

 

食事を取り、ジオ君に話をしてあげたところで本題に移る。

 

「ということでそろそろジョブを取りに街に行きたいんです」

 

そういうと村長は驚いた顔をする。

 

「ふむ、ソラはジョブを持っていなかったのですか?あんなに早く伐採をこなすものですからてっきり既に【樵夫】なのかと思っていました」

 

「はは、一応はそのつもりでいたんですけどね」

 

「すぐに帰ってきます?それとも送別会を開いた方がいいでしょうか?」

 

「何も無ければすぐに帰って手伝わせていただきますよ」

 

「おお、それは良かった。ローグの兄弟も貴方の事を慕っているようですし」

 

ローグの兄弟とは、俺が来るまで木を切り、居住できる地区を増やしていた若者の兄弟である。若者と言ってもこいつらは20代後半で、胸を張って若いと言えるかどうかは疑問である。まあ若いか。

ちなみに二人の彼女も姉妹であり、その姉妹は畑関係を担って……

って、俺は誰に説明してるんだ?

 

「へぇ、有難い話です」

 

「まあ、それはともかくです。三日前から毎日来てくれている熱心な行商人さんが居るのですが、その方が夕方頃に来ると思います。妙な乗り物に乗ってやって来るマスターですので、頼んで乗せてもらってはいかがでしょうか。お金が必要となれば負担しましょう」

 

「いやいや、そこまでして頂かなくても。お金は自分で払いますよ」

 

そもそもこの村にいるお陰で1回も使ってないしな。

 

「うん?年寄りの好意を受け取れないと?」

 

「……もし必要になれば頂きます」

 

そもそも俺も老人なんだが……まあ交通費が浮いて良かったと思おう。しかし、妙な乗り物に乗った行商プレイヤーか。楽しみにしておこう。

 

♢

 

それから数十分過ぎ、村の入口で待つ俺の前に現れたのは車体が黒く、闇そのものを纏ったような紫の靄に包まれた大型バイクをドリフトさせながら停車させる笑顔の眩しい、しかしそれを加味しても30過ぎに見える女性であった。

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