「おやすみ」
リッカがシイナに優しく言う
ああ、おやすみ
とシイナは言おうとするが言葉が出ない
しゃべれない
ズブズブとベットに自分が沈んでいく
必死にもがくが這い上がれない
_________
「っ!」
シイナが目を覚ますと隣にはシュウが横たわっていた
すぐさま立ち上がり神機を構える
神機でつつくが動かない
どうやら死んでいるようだ
「あ…」
安心したのか崩れ落ちるシイナ
幸いだったのは周りにほかのアラガミがいなかったことか
「さっきのは夢か…」
少し悲しそうな顔で先ほどのリッカとの病室での会話の夢を思い出す
「帰らなきゃな…」
刀を杖替わりにしてアナグラに帰るルートを歩く
「頼むからオウガテイルなんて出るなよ…」
まぎれもない本心でつぶやく
実際シイナの身体は満身創痍だ
左腕には力なくだらりと垂れさがり
右足は腱が切れたのか動かない
身体のいたるところの骨が折れたりヒビが入っている状態だ
こんな状態で歩けること自体が異常なのだ
アラガミに襲われたら確実に死ぬ
だが、現実は非常である
「マジかよ…」
そこにはお供のザイゴートを連れたサリエルがいた
見つかればシイナは死ぬだろう
シイナは見つからないように距離をとり
腕輪の録音機能を起動する
「えっと、これで撮れてるのか?とれてるよな?あ~今からいう事は私の遺言だからな、もし私の死体を発見してくれたらこれを聞いてるれると信じてる。まぁ、一言しか言うことがないけどな…」
ふふふ、と自嘲気味に笑う
「そのな…みんな悪いけど先に逝ってる、じゃあな」
そう言って録音を切ると右腕でなんとか刀を構えてサリエルを待つ
極度の緊張でふさがっていたシュウとの戦闘でついた傷が開く
いつものように集中できない
喉が渇く
身体が熱い
身体中から悲鳴が漏れる
逃げ隠れることも考えた
けど自分はゴッドイーターで
目の前にはアラガミがいる
だったら、
「殺さなくっちゃなぁ!」
シイナを発見したザイゴートが仲間のザイゴートとサリエルを呼び寄せる
サリエルのレーザーがシイナの脇腹を貫きザイゴートの毒がシイナを侵す
それでもシイナは倒れずに1体のザイゴートを葬る
攻撃をかわすたびに死にそうになる程の痛みがシイナに走る
シイナが飛びザイゴートを足場にしてサリエルのコアを貫こうと飛びかかる
これを外せばもうサリエルを倒すのは無理だろう
角度、速度、高さともにパーフェクト
そして刀はサリエルに突き刺さる
サリエルが絶叫する
それでもサリエルのコアには届かなかった
神機はサリエルに突き刺さったまま
どさりと
シイナが落ちる
かろうじて生きてはいるが身体が動かない
だんだんと視界が赤く暗くなる
ああ、死んだなそんな確信があった
サリエルがレーザーを放とうとしていることが肌でわかる
そしてレーザーが
「シイナさん!!」
意識を失う瞬間ユイの声が聞こえた気がした
_________
シイナさん!シイナ!シイナ先輩!
シイナを呼ぶ声がシイナに聞こえる
「シイナ!」
ああ、リッカかと心の中で返答する
大丈夫、どうやら私はまだ生きてるみたいだから
いつもみたいに私に笑いかけてくれ
そんな悲鳴みたいに私の名前を呼ばないでくれ
起きたくても動けないんだ
瞼が重たいな
ごめんな、もう少しだけ寝かしてくれ
そこでシイナの意識はまた真っ暗になる
_________
「おはよう」
みんなが寝静まっている夜中
シイナが目を覚ました
誰もそれに答えてくれないがみんなシイナのそばにいた
リッカが右手を握ったまま寝ている
ユイとアリサはすぐそばで椅子に座ったまま寝ている
サクヤとコウタも椅子に座って寝ている
ソーマは壁にもたれかかって寝ているようだ
「ん、起きたのか、うちの元隊長みたいなことはやめてくれよ」
ソーマが目をさましてシイナに言う
「ああ、大丈夫だよ。心配かけたな」
「そういうのはそこの奴らに言ってやれ」
「わかった、でもありがとな」
ソーマはそうかい、とだけ言い残して去って行った
「あ、どのくら寝てたか聞くの忘れた」
時すでに遅し
ソーマはもう病室から出てしまっていた
「夢じゃないよな…」
自分の頬を引っ張ると確かな痛覚がシイナを襲う
だけどそれはシイナを安堵させる痛み
夢じゃないことの証明
シュウとの死闘とサリエルとの自滅覚悟の戦い
死んでもおかしくなかった
でも生きている
リッカがそばにいる
ユイも
アリサも
サクヤとコウタとソーマ
アナグラのみんなにまた会える
いつ振りだろうか、仲間の死以外で泣くのは
そしてシイナはもう一度眠りに落ちる
次に目を覚ました時にはみんな起きているだろうか?
………………
「おはよう」
シイナが目を覚ますとリッカが泣きながら抱き着いてきた
「よかった…本当に生きててよかった…」
病室にはリッカしかいなかった
どうやらユイ達第一部隊は任務に駆り出されたようだ
「私を助け出してくれたのはやっぱりユイ達か」
「うん、そうだよ。凄かったんだから、特にヒバリちゃんが、シイナさんが!シイナさんが!って地声でアナグラ中に聞こえそうだったよ」
リッカが苦笑いしながら話す
だいぶ落ち着いたようだったが急に真面目な顔でシイナに
「あんまり無茶しないで…今回の事件でね本当にシイナが死んだらどうしようって思った…嫌だよ…嫌だよシイナがいなくなるなんて」
「大丈夫だよリッカなら私が死んでも」
「大丈夫じゃない!私、リッカが行方不明って聞いて胸が張り裂けそうになってリッカがもしリンドウさんみたいにいなくなったらと思ったらもう居ても立っても居られなくなって」
そこまで言うとリッカは涙でしゃべれなかった
そんなリッカを見ているとシイナの胸がズキンと痛んだ
シュウやサリエルなどアラガミにつけられた痛みではなく
しいていうなれば心が痛んだ
「ごめん、私は死なないから、ずっとアナグラをリッカを守るからだから泣かないで、ね?」
優しくリッカを抱きしめながらそう言う
「うん…うん…」
シイナの腕のなかで泣くリッカの頭をシイナは撫で続けた
………………
「隊長!?」
シイナが大声を出す
「うん、ユイちゃん第一部隊の隊長に就任したみたいだよ」
第一部隊はまだ帰ってこないが後でユイに隊長就任祝いしなきゃな
そう思うシイナだった
カッコいい戦闘シーンを書きたい