ハリエット・ポッターと優しい世界   作:スターダスト

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初投稿(仮)です!
めちゃくそ駄文ですが、お手柔らかに!



ハリエット・ポッターと賢者の石
1話 ハロー、聞こえますか


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ___ハリエット

 

 

 

 ___それがお前の名前だよ

 

 

 

 ___生き、て、愛おし、い、私の___

 

 

 

 

 

 

 記憶の彼方で誰かが泣きながら笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を開ける。

 視界に映る天井は見慣れたもので、ヒビやシミの目立つ木目はこの()()()の古さを物語っていた。

 

「.........あれは、誰だろう」

 

 未だ覚醒しない脳とはっきりしない視界に目を細めながら呟く。

 口にしたのは、ここ数日見る夢についてだった。

 それは、悲しい時もあれば楽しい時もある。場面は違えど、いつも同じ声がするのだ。柔らかな女の人と、朗らかな男の人の声。彼らは、決まって私の名前を愛おしそうに呼ぶ。噛みしめるように呼ぶ。それに、私はいつも泣きたくなるのはなぜだろうか。愛に飢えているが故の羨望か、真偽も分からぬ記憶への懐古か。

 どちらにしろ、私には関係ないことだ。幻想への憧れも、無くしてしまったものへの執着など、何の役にも立たない。

 それは、私がまだ希望を胸に抱いていたときに思い知ったはずなのだ、きっと今日の昼ごろにはこの夢のことも忘れているに違いない。

 

 寝起きの倦怠感を振り払い、一つ大きな伸びをする。ようやく働き始めた脳は胃に空腹の信号を送っている。

 

 ___トントントン

 

 軽やかなノック音に私は小さく息を吐いた。()()()()

 

「はい」

「もう時間よ、下に早く来なさい」

「すぐ行耳きます」

 

 短いやり取りの中の意図一つでも汲み取れなければここではやってけない。シスターの言葉には注意深く耳を傾けなければならず、精神が削られる。なんとも生きにくい社会である。

 

 階段を降り、厨房のドアを開けてその奥の食材庫に向かう。今日の朝食は何にしようか。ああそろそろケビンの誕生日のはずだからあの子の好きなものを入れてあげるのもいいかもしれない。

 

 そんなことを考えながらも手は休まず、着々と準備を進めていく。

 やがておよそ20人分の朝食を作り終え、それぞれが個別に取っていけるよう長机にセッティングする。やることが終わると途端に暇になってしまったが、シスターが一番最初に食べるのがルールである。本でも持って来ればよかったかもしれない。

 

 

 

 ────

 

 

「ハリー。今日は貴女にお客様よ。きちんと身だしなみを整えておきなさい」

「はいシスター」

 

 朝から機嫌が良かったのはこれのことか、と密かに納得した。

 引き取りの話だといいが、そう上手く事が進むはずがない。この孤児院に捨てられてから10年間、養子の話が出てくることは何度かあったがどれも直前に破棄になってしまっている。おかげでここの最年長になってしまったため、今更引き取るなどの話があがることはそうない。厄介払いをしたくて仕方ないシスターたちのことだ、用意される服も普段なら絶対着させてもらえない上等なものだろう。

 

 

 

「──まさかここまでされるとは」

 

 白のワンピースは、やはり予想通り普段着がボロ布に見えるくらいには綺麗で、形も流行りのものなのだろう、フリルが所々に付随しており肌触りも柔らかい。ここまでは大方予想通りであったのだが、まさか髪のセットまでされるとは思わなかった。

 ()()()()()()は丁寧に編みこみされていて見ていて複雑だ。鏡を覗く翠の目が、不思議そうにまんまるく見開いている。

 

「上流階級の人なのかな」

 

 そうでなければこんなめかしこんだりはしないだろう。今までの養子縁組の話でもこんな格好をしたことがない。

 

 ───コンコン

 

 控えめな音を合図に息を1つ吸い、鏡の翠を見つめ返した。

 

 

 

 

 

 

 困惑した様子のシスターの後を首を傾げながらもついて行くと、通された部屋にいた人物に、私はなるほど、と思った。

 

「こんにちは、ハリエット」

 

 朗らかに笑う目の前の老人は、サンタクロースもビックリな髭を生やしており、時代錯誤も甚だしい紫のローブを床に引きずっている。

 

 確かに見た目は怪しいが、眼鏡の奥に光るキラキラしたブルーの瞳が、私には海にも星にも見えた。まるでなんでも見透かしてしまいそうな瞳だが、暖かい色をしている。

 冷え切った色しかないここでは、それは何より綺麗に見えたのだ。

 

「こんにちは」

「こんにちは。随分立派に育ったようじゃの、ハリエット」

 

 この老人はどうやら私を知ってるらしい。

 

 それにしたって、懐かしく思える声音である。ハリエットと呼ぶ声は、最近よく見る夢と似ても似つかないが、それに近しい何かを感じた。

 

「ハリエット・ポッター、です。…貴方は?」

「おおいかんの、老人にもなると順序を忘れてしまう。わしはアルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア。ホグワーツ魔法魔術学校の校長をしておる」

 

 名前が長すぎてよく頭に入ってこなかったが、なんとなく魅力的な単語が聞こえた気がする。

 

「今、なんて?魔法って聞こえた気が…いや気のせいか」

「気のせいではない、ハリエット。君は立派な魔女の卵じゃよ。それも学べば偉大な魔女になること間違いない」

「そんな、何かの間違いだ。私が魔女だなんて、いつか夢で見た空飛ぶ車並みに馬鹿げてる」

 

 ここのシスターはおかしなことが大嫌いだ。それはもう嫌いすぎて魔法なんて言葉が出た日には折檻が確定である。何よりも普通を重んじるシスターなのだ。

 それなのに、私が魔女だなんて言ったらシスターは発狂してひっくり返ってしまうに違いない。

 

「嘘ではない。君は今までに周りで不思議なことが起きなかったか?」

「数えきれないほど。切られた髪が翌日には元通りの長さになってたり、さっきまで中庭を走ってたのに気付いたらガーゴイルの上にいたり」

「それら全部君に魔力がある証拠じゃよ。まだ子供で魔力の操作がうまく扱えない君は思いがけない場面で魔法を使ってしまっておるようじゃがの」

 

 先程から日常ではあり得ない会話ばかりしていて、これが夢か現実かわからなくなりそうだった。もしこれが白昼夢であったら、私はショックで2、3日は寝込むことだろう。

 

「なら、…あー、ダンブルドア、先生。私はその魔法を学ぶためにそのホグなんたらとやらに行くんですか?」

「その通りじゃ。それにホグワーツでは魔法を学ぶだけではない。君のご両親についてもたくさん知れることがあるじゃろう」

「え…」

 

 "両親"。それはなんとも言えない響きを持つ言葉だ。

 そもそも、私はその両親に捨てられてこの孤児院にいる。物心つく前にシスターから教わったそれは、幼い頃の自分には大きな傷跡を残したが、今では縁遠く感じた。

 

「でも、私の両親は…」

「君は捨てられたと聞いておるようじゃが、君のご両親は君を捨てたわけじゃない」

 

 なら、何故。何故10年間も迎えに来てくれないのだろうか。

 そんな猜疑が、首を擡げる。

 

 だけど、私はそれをどこか否定していた。

 

 

「しかし、君のご両親────ジェームズとリリーは、どちらももうこの世にはいない」

 

 

 なんてことない、ただそれだけの話だっただけ。それ以下でも以上もない、そんなありきたりな話で、どこか分かっていた現実だった。

 先程思い出された夢の声は、今でも愛おしげに私の名前を呼ぶ。宝物を呼ぶように。

 

「そう、ですか。…うん、なんとなく分かってました」

 

 黙ってこちらを見つめるブルーの瞳は悲痛そうな色を滲ませ、まるで私の心情をすべて汲み取っているようだった。

 

「きっとこれは…どこにでもあることで、物語では、散々使い古された話なんだ」

 

 先生に言っているのか自分に言い聞かせているのか。

 今の私には、分からなかった。

 

「それでも、君は確かにジェームズとリリーの最愛の子じゃ。彼らの愛は、決してどこにでもある話ではない。ほんの少しの奇跡と、無償の愛情が、今の君を君たらしめている」

「どういうことですか?」

「彼らは、よく戦った。魔法界のため、そして──君のために。彼らほど勇敢な者もそういない」

 

 抽象的な先生の話に少しだけじれったさを感じたけれど、それでも私は先を促した。

 

「そうじゃのう。まずは君に、魔法界の話をしなければならん。それは、遠く昔のような話だが、いまだ魔法界に大きな爪痕を残している。冷酷で、残忍な──1人の闇の魔法使いによって」

 

 それから先生はたくさんのことを私に話した。

 闇の魔法使い──ヴォルデモートのこと。その魔法使いによって集められた死喰人。光と闇の戦い。両親の活躍。そして──両親の最期。

 本当にたくさんのことを話した。途中、何度も悲しそうな目をして遠くを見つめた。

 先生はとてもすごそうな魔法使いに見えるけど、きっと多くを先生も失い、後悔があるのだろう。その混乱の時代を私は知らないが、話を聞くだけでも悲惨な時代だったのがうかがえる。実際はもっと残酷で非情だったに違いない。

 でも何より私が耳を傾けた話は、両親の話だった。

 

「先生。私は、本当に愛されてましたか」

 

 散々両親の話を聞いて分かっていた。分かっていたが、あまりにも唐突で実感が湧かない話だったのでつい、聞いてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうか、覚めないで。

 

 

 

「もちろん」

 

 

 

 この夢が永遠に続かなくたとしても、私はきっと永遠に覚えてるから。

 

 

 

「ジェームズとリリーは確かに」

 

 

 

 いつまでも、忘れたくない。

 

 

 

「君を愛していたよ」

 

 

 

 それが過去のものだったとしても、私は歓喜に涙してしまうのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 "確かに私は、愛されていたんだ"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





正直途中から何書きたいのか分かんなくなった。
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