BIOHAZARD Iridescent Stench 作:章介
・・・・うん、もう二度としない(笑)
毎日投稿してる人はすごいなあ。
場所:秘密研究施設 中枢
――――銃声が絶えることなく響き渡る。対峙するのは2人の男、対人戦においては右に出る者のいない彼らの駆け引き、ナイフ捌きは見る者の目を釘付けにしただろう。尤も、事あるごとに透明になる2人をただの人間が捉えられれば、だが。
ベクターは死と隣り合わせの環境で、改めて師の偉大さを痛感していた。本当の意味で敵となった者に対する師の恐ろしさ、そして自身が普段使っているものが敵からすれば如何に厄介であるかを噛み締める。まさか師まで『クラマト』を使用するとは思わなかった。しかもそれを師は自分以上に使い熟している。
死神の鎌もかくやという鋭いナイフ捌きに目を奪われた一瞬のうちに透明化を行い、歩幅、足音の強弱、そして体捌きのリズムを変幻自在に組み替え、さらにはアイソレーションを組み合わせることで、ゼロ距離でありながら一発の被弾も許さない。恐らく自分でなければ瞬時に命を刈り取られたことだろう。
そんな師の絶技に必死で喰らい付く。例え姿が捉えられなくとも彼の癖、戦術理論は熟知している。故に只管体に染みついた動きに従い、剣林弾雨を潜り抜ける。しかしそれは向こうも同じであり、戦いは千日手となっていた
「ほう、これは面白い。我らアンブレラが誇る『死神』相手に互角で戦える者がいるとは」
同じくこの戦場に赴いたセルゲイは何をしているかというと、早々に戦いを放棄し
これまでのタイラントと異なり、より人間らしい体系にカスタマイズされ、さらに非常に高い知能を有している。即ち、これまでのB.O.W.に殆ど見られなかった、戦術的な立ち回りを可能としている。これによりアースクエイクの役割である、馬鹿正直に突っ込んでくるタイラントの駆除が機能しなくなってしまった。イワンは只管専用武装である携帯用ガトリングと自慢の跳躍力を武器に引き撃ちに徹している。しかしいくら鉛弾をぶち込んでもアースクエイクには僅かなダメージにもならず、此方の戦況も硬直してしまっている。
「さて・・・・『恐怖の観測者』と『黄衣の王』は退路を無事確保したのだろうか?」
場所:緊急避難通路
「どわあっ!?畜生、随分立派なモンぶら下げた彼氏だなあオイ!どこで引掛けてきたんだあ!?」
「あら、彼の良さが分かってもらえて嬉しいわ。そのジョークの低俗さが無ければなお良いのだけど」
「ハッ!悪趣味な女なら間に合ってるよ!!」
ヘリポートから内部へと侵入したベルトウェイは順調に予定を消化していた。すでに敵勢力の大半は壊滅しており、後は消化試合だと高を括っていた所にある女性と遭遇した。金髪セミロングの髪に白のレディーススーツを身に纏った、プロポーションと顔が整っている以外は特に変わったところのない女だ。問題はその女の真上から降ってきた『ナニカ』だ。
―――全身を黄色のレインコートの様な衣に包まれ詳細は不明。分かっているのは下半身と思わしき部位から露出している無数の触手と、漫画等に出てくるようなガンブレード状の右腕のみ。その腕から射出される弾丸状の塊は非常に貫通力が高いため遮蔽物が効かず、また狙いも正確なため避けるのも一苦労である。
それより何より、目の前の怪物の特筆すべき点はその堅牢さである。接敵当初、リッカーの舌とショットガンの乱射を仕掛けたが、体色が変化したかと思えばすべて弾き飛ばされ、数秒後には変色した皮膚が全身から垢の様に零れ落ちた。これには見覚えがある。彼の新しい雇い主が開発し、チームリーダーも愛用する『ビーフィーター』だ。ただし、オリジナルが僅かなT細胞を活性化させているのに対し、此方は自身で大量に生成しているらしく、インターバルは5秒ほどしかない。
そしてもうひとつ、そのわずかな隙をついて大量の腹マイトを極めたリッカーを放り込んで爆発四散させ、肉片一つ残さず消し飛ばした筈だったが、黄衣からまるで生えてくるかのように再生して見せたのだ。あのコートに仕掛けがあるのかと思い、集中砲火をかけたが傷一つつかず、正直逃げ出したい気持ちでいっぱいである。
「ったく、堪んねえぜ!ボスとてめえらの夢の共同作業ってか!?そいつ童貞を拗らせて空を飛べるようになったかと思ったが、その太くて長い一物を透明にしてるんだろ!さっきから扱いてる音が丸聞こえだぞ!!」
「・・・・本当に下劣な男。でも、彼からこれだけの時間逃げ続けられているのだから、腕だけは一流と認めてあげるわ。あの人が初めて世に生み出したB.O.W.。ずいぶん高い買い物だったけれど、一ファンならどれだけ出しても惜しくないわよね?」
「あ?ファンだあ?ゲテ物趣味ここに極まれりってか!それとも、こんなトンデモ女に惚れられたボスの不幸を嘆くべきか」
「失礼ね。むしろあの男に興味を惹かれない女がいるかしら。不完全とはいえ、この世界で唯一死を克服した男のことを」
どこか陶酔したように怪物の触手をなでる女にベルトウェイは心底ドン引きした。ちなみにこの間も絶賛ドンパチの真っ最中であり、何度も銃弾を放っているがことごとく触手に阻まれ無駄に終わっている。
「特別に教えてあげるわ。アンブレラのネットワーク、及びコンピュータはすべてある人工知能に掌握されているの。だから彼が作った成果も、データ上にある物は全て我々の手の内。彼の発明品はB.O.W.のさらなる飛躍、それから大佐のウィルス制御に大きく貢献したわ。それだけでも幹部待遇で迎えるには十分だけれど、彼の価値が分からない役立たずたちのせいで彼もまたアークレイで命を落とした。そう、彼は一度死んでいるのよ。監視カメラの映像から確かに私たちはそれを把握している。けれど、彼は知っての通り今現在も活動を続けている!肝心の部分はカメラを壊されてわからなかった。だからこそ私たちは彼から聞き出さなければならない!!死を克服したその方法を、その軌跡を!!」
「・・・・・はあ、付き合っちゃいられねえな」
そうベルトウェイがこぼした瞬間、強烈な爆音とともに、浮遊感が一同を襲う。彼らと銃撃戦を繰り広げ注意を引いている内にリッカーの一部を階下に向かわせ、持たせていた爆薬を仕掛け、ここから一気に地下までぶち抜き一回きりの疑似エレベーターへと大改造を行ったのである。彼は壁にへばりつくリッカーの舌に回収されたが、アレックスと『黄衣の王』はそのまま闇へと墜ちて行った。尤も、全く仕留められた気がしないが。
「やれやれ、とんだ化け物どもだったぜ。さて、お次は―――『ゴゴゴォッ!!』―――あ、ヤベ・・・やり過ぎた。こいつは不味い。早くとんずらしねえと生き埋めになっちまう」
場所:秘密施設中枢
何処かで爆弾魔がやらかしたことによって、此方も凄まじい轟音が響いていた。状況を察したセルゲイはイワンを連れてさっさと離脱してしまい、残されたハンクは満身創痍のベクターと共に、周囲を取り囲むハンターの群れの中心にいた。
「マスター。白兵戦では未だ貴方に及びませんが、状況は貴方の詰みです。どうか投降してください」
「・・・・忠告は感謝するが、不要だ。ブランドン所長を逃がし、且つ単身でお前たちの追撃を振り切る。それが私のアンブレラでの最後の任務だからな」
その言葉にベクターは驚愕する。U.S.S.最強と言っても過言でない『死神』を手放す選択をしたアンブレラに、そしてこの状況でなお逆転を匂わせる師の底知れなさに。
「度重なる失態を受け、アンブレラは崩壊の危機に瀕している。上層部は、もし敵にアンブレラ内部に詳しいものがいればアフリカは危険だと判断し、施設封鎖の為に我々を派遣した。結果はご覧の通りだがな。そして施設の隠蔽が不可能だと判断された場合、アンブレラは極限まで規模を縮小すると共に地下に潜り、再起を図る。そうなればU.S.S.にもはや存在価値はない」
「そ、それでは尚更投降すべきでは!?ここから出られるなら同じことでは――」
「教えたはずだ。プロは決して自分の仕事を裏切らないと。雇い主に背中を刺されるのはただの愚か者だ。だが、自ら任務を放棄するのは3流のやることだと。後、切り捨てられる段になれば、私は情報を知り過ぎている。暫く潜るのにこの任務はちょうど良い」
そう言いながら、突如ナイフを放棄しマスクを外すハンク。突然の行動に訝しみながらも、咄嗟に感づいた彼らは腕を翳し眼を保護する。――瞬間、ナイフとマスクの二か所から閃光が放たれる。
直に視界が回復したハンターは追撃を行おうとするが、ハンクの姿は見当たらず、見えたのは2人のベクターの姿。本物は即座に強襲するが偽物に寸分違わぬ動きを披露され、素人目にはどちらが本物か見当がつかない。困惑するハンターの中心でハンクは悠然と姿を透明に変える。ベクターは勘の命ずるままにナイフを数本投擲するが、僅かに布を裂く音がするのみで、食い止めることはできなかった。
「・・・はあ、これまでか。追撃に回す時間はもう残されていない。急いで脱出するぞ」
場所:研究施設跡 正面
「なるほどな。こっちは飛んでもねえ化物コンビで、そっちはあの『死神』か。お互いついてねえぜ。・・・・・・・ところでよ、これってまさか、任務失敗とか言わねえよな!?」
「連中に証拠の消毒を行う時間はなかった。ここら一帯を捜索し、瓦礫からデータをサルベージすれば十分奴らには致命傷になるはずだ。完璧には程遠いが問題はない」
「おおっ!そうか、そりゃなによ―――」
「ところで、派手な花火を打ち上げておきながら連絡ひとつ寄越さず一目散に逃走したことについて、納得のいく理由を聞かせてもらおうか」
「は?いや、これには海より深い訳があってだな――『ブンッ!』オワァッ!?やめろ、ナイフを仕舞え、殺す気かテメエッ!?」
「最初からそのつもりだが?」
「テメエが言うと冗談になってねえよ!!!」
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今回出てきた『黄衣の王』ですが、みんな大好きハスター様・・・では勿論ありません。他人の空似です(笑)。
後日、キャラクター等紹介を作りますので、詳しくはそちらで。