編みて我身を遺さず 作:水系三文字
やらかしてしまった。
時は少し遡りとある町外れにポツンとある酒場。
そこで私はとあることを一番言っちゃいけない人に口を滑らしてしまったのだ。
とあることというのも、元々の発端はこの国の王妃と、円卓の騎士の一人、ランスロット卿の不倫である。
私は、とある日の昼休み、彼らの不貞行為を覗いてしまったのだ。
それからというもの何度も何度も不倫光景を目撃していった。
それはもう、人には言えないレベルまで。
そんな爆弾をうちに抱え込んでしまった私は明くる日も明くる日も酒場に逃げ込むようになっていった。
その日、その場所には変装したアーサー王がお忍びで酒を飲んでいた、それも私のとなりでだ、しかしそれに気がつかず酒場の店主に、ランスロット卿と王妃の不倫の話を愚痴感覚で漏らしてしまった。
それはもちろん隣にいたアーサー王の耳にも入ってしまう。
「今の話本当か!?」
アーサー王は机が壊れるのではないかというほどの大きな音をたてて立ち上がった。
それで私の酔いはすべて消え去った、しかし頭が回るわけではなかった
やってしまったと私の心のなかは猛烈に吹雪が舞っていた。
アーサー王に肩を揺さぶられ、話をさらに続けてしまう。
最初に見たときのことだったりそういう店に入っていくのを見てしまったり等々、かなりヤバいことまで話しに話してしまった。
そのあとの記憶は全くない、ただ普通に家に帰ったそうだと思っていた、次の日に目覚めるまでは
目が覚めるといつもの天井が見えた
何かをやらかしてしまった、そういうことが頭に浮かんできた、そして寝る前、隣にアルトリアがいたようなと?
「あれ……夢か……」
そう呟いたその瞬間体からとんでもない量の汗が吹き上がってきました。
目線の先には完全装備なアーサー王が……
その時私は死ぬかと思いましたが、運良く枕元においてあった一回限りの転移魔術式で難を逃れました。
それからゆっくりと過ごそうかと木株に座ると後ろから殺気が飛んできます。
はい、言わずともアーサー王その人です。
それから走って走って走り続けました。
馬に乗り、猪にのり、牛に乗り、羊に乗り、あらゆる手段で逃げました。
それから私はキャメロット付近に潜伏して記録を続けていきました。
それは唐突に始まった
モードレット卿とランスロット卿による反乱だ、これにより町は焼け落ちていった。
聖剣と聖剣とがぶつかり合い、大地をえぐりとっていく。
この戦いに意味はなかった。
ランスロット卿がアーサー王の配慮を素直を受け取っていればよかった、アーサー王がランスロット卿に厳しく罰を与えておけばよかった。
故にこの戦いは二人の両方に否があった。
二人の不祥事、それがこの国を巻き込んだ戦争のきっかけともなったと言えよう。
それから何度地形が変わったのだろうか、元の緑豊かな森林は土乱れし荒野へと変貌していた。
そこには倒れたランスロット卿とボロボロになりながらも、剣を支えに立つアーサー王がいた。
アーサー王の顔は悲しみに塗られていた。
涙も出ていたし、目も赤くなっていた。
さらには手は握りすぎたのだろう、そこから血が流れ出ていた。
そして僅かにだがその剣は黒くなっていた
これは早々に立ち去った方がいいと思い、あの時に磨かれた乗馬スキルで逃げました。
それから二日後、あっさり私は殺されちゃいました。
ヤバい方向に堕ちたアーサー王によって。
つまりアルトリア・ペンドラゴン・オルタナティブによって。
じわじわと痛め付けられていき、最後には首を跳ねられたと言うことを覚えていた
気がつけばあの白い空間、今回は特に捻りがあるわけでもなく、テーブルの上に座っていました。
なんの間違えもなく、かなり高級そうなテーブルの上に座っていた。
ピョンっと飛び降りたと思えばすぐに私の目の前にたっていました。
「やあ、久しぶりだね……どうだった?まあすぐにさよならさ、頑張っておいで?」
蹴り、それもかなり溜めた、その衝動で私はまた何処かへと落ちていった。
「さあ、ちょっと未来に飛んでもらったけど……まあ頑張ってくれるでしょ……」
今回は特に会話出来なかったなと、その穴を落ちているときにぼんやりと思っていた
次回は一二月になるかと。
また手を加えていく予定です