Fate/箱庭の英雄達   作:夢見 双月

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もはや恒例の謝罪から。
遅れてすいませんでしたァァア!!

大体四ヶ月ぐらいですかね。色々あったんです、色々。

デスストランディングを最近買いました。


アホ、無言、窓辺にて。

 朝日に照らされ、微睡みから覚醒した俺は大きな欠伸をした。

 

 昨日、縁を一方的に切った張本人であり実父、東条キリヒトとの邂逅を乗り越えた朝。微睡みは未だに頭に淀みのように残っていた。

 

 養父(じいさん)は元気だろうか。元気に鍛冶屋でも営んで、見事な刀を造っている事だろう。

 

 いざ覚醒しようと、俺は布団から起き上がろうとして。

 

 

 

 バーサーカーの寝返りから放たれる裏拳を側頭部に受け取った。

 

 ▽▽▽

 

「今日は珍しく遅い朝だな。日曜日だから学業の方は問題ない……とは思うが、随分と珍しいな?」

「久し振りにその無垢な寝顔に殺意を覚えた」

「ああ……悪いとは思うが。頑なに布団を買わない貴様の非でもあるだろう」

「色々考えてるんだよ。第一、寝具は俺の一存じゃあ決められねぇし」

 

 面倒な、とバーサーカーにため息をつかれた気がする。

 

 コイツの寝相には慣れたものではあったはずだが、どうにも調子が悪い時の理不尽パンチは重く響くし、避けられない。だからと言って、寝具を買うとしても合うかも分からないモノを買う気は無い。言ってしまえば、ベッドが自分に合うものは本人にしか分からないと思っている。オーダーメイドとして細かい箇所を突き詰める人も世の中にはいるぐらいなのだから。

 そう、俺はバーサーカー自身に選ばせたいのだ。

 

 つまり、バーサーカーが外出許可を得る。

 

 この建物の中における外界への過干渉を防ぐためのルールであり、サーヴァントが暴走しないために設けた規則の檻。当然、その件に関してはバーサーカーのみがなんとかしなければならない問題だ。

 しかし、バーサーカーは別の事を考えているようだった。

 

「ところでマスター」

「どうした。頭の中に知識を詰め込まなくていいのか?」

「それは後でやる。問題はお前だ。そんなに悠長にしていていいのか?」

「何が?」

 

 バーサーカーは「貴様の父親の課題の事だ」と言い、真剣な眼差しを俺に向けた。

 

「人探し、だったな? 早急に対応するべきものであればすぐに動くべきだ。……狩るのだろう?」

「狩らねぇよ、やらねぇよ。あれは別に今すぐやれって仕事じゃない。でなけりゃ、アイツが期限を伝えずに帰る訳がないからな」

 

 実父であるキリヒトを父親とは決して呼ばない事に目を少し伏せたバーサーカーを無視しつつ、テーブルに置かれたままのアルバムを手に取る。あのグチャグチャな文字の手紙は念入りに処分済みだ。探偵でもない限りまず気づく事すらないし、もし解読する輩がいても不可能、又はかなりの時間がかかるだろう。

 何かある訳ではないが、念のためだ。

 

「アイツの事だ、きっと俺たちが必死に避けようとしても必ず巻き込んでくる。だとしたらもう、なんというか……わざわざ網にかかりに行く必要はないだろ?」

「そこまで執念深いようには見えなかったが……」

「執念……とは少し違うな。気づいたら俺たちの逃げ道が塞がっているんだよ。アイツは諦める事を知らない。というよりは、諦める前には既に状況を整えて都合のいいように動かせてしまう。アイツの悪質な部分だな」

 

 話しながらアルバムを本棚の下にしまおうとすると、袖を引かれる。そういえば昨日は、バーサーカーも俺と一緒で手紙が気になっていたのかアルバムの写真を見ずに寝る支度をしていたのを思い出す。

 

「そんなわけで、まだ積極的に動く気はない。もしかして藤丸立香という人間は殺人鬼なのかもしれない。探すだけで、何かの組織に目を付けられる可能性もある。下手な情報すらないうちに面倒事に巻き込まれないために、今はいつも通りに過ごす。分かったか? 分かったら、このアルバムを見てからでいいから大人しく勉強してろ」

 

 そう言って、キッチンに向かった。バーサーカーは納得はしているが、俺自身に思うところがあるらしい。それ以上は何も言わずにアルバムを開いた。

 

 ……やる気がないヤツだとでも思われたかね。

 

 危険な事に首を突っ込みたいという無謀なサーヴァントという訳ではないようだが、それでもバーサーカーはサーヴァントの中ではかなり好戦的な部類だと思う。まともな手がかりがなければ見つけるべきだ、なんて考えが頭をよぎっているかもしれない。でも、俺もどちらかといえば似たような考えだ。

 

 ただ、それ以上に慎重にならざるを得ない状況があることを知っている。それは他でもない、東条キリヒトという人間によって。

 

 とにかく、俺は遅めの朝食作りをはじめることにした。

 バーサーカーがアルバムに興味を示している時に、料理の練習だなんだと言ってわざわざ興味あることから遠ざけなくてもいいだろう。

 

 料理を作る当番は基本的には決めていない。俺は家事くらいなら2人分になろうと苦と思わないし、バーサーカーもその日によって気分などが違うだろうと考えた結果、お互いが気を遣ってなんとなしに料理修行か俺だけで2人分を作るかを判断する事になっている。

 

 バーサーカーの朝の行動はあまり変わらない。料理の腕を切磋琢磨しているか、俺がご飯を作っている間に本を読むかのどちらかになってきていた。ルーティンというものはこうやって出来ていくんだと思いつつも、本を読んでいる姿にちょっとしたオヤジ臭さを感じている。なんか、新聞をもって難しい顔をする養父(じいさん)に少し似ている気がする。

 

 本人に言ったらまず間違いなくボコボコにされるから言わないけどネ! 

 

 

 

「できたぞ。食え」

「ん」

 

 今日のラインナップは和食で、白米と焼き魚という鉄板に加え納豆と生卵を添えた朝食にしてはかなり豪勢なメニューになった。実は不意に現れた実父を前に凌ぎ切った自分へのご褒美だったりもする。

 

「いただきます」

 

 早速、できたての湯気が立ち上るお茶碗片手にお魚を突く。いい塩加減の身を白米に乗せて頬張った。

 

 ああ、いい。

 

 食べたいメニューでもあったからか、ホッカホカご飯が身に染みる。

 ……スゴイ美味い。味噌汁も作るべきだったかな。

 

 小さな幸せを噛み締めながら目の前を見ると、バーサーカーはまだアルバムに目を向けていた。

 

「おーい?」

「ああ、すぐ手をつける」

 

 あっ、これ生返事だ。

 見たいのは分かるが、別に逃げやしないんだからあとで見ればいいだろう。さっきはオヤジ臭いと言ったが、今はマンガを一心不乱に読み続ける子どものようだ。見た目も幼いし。

 

 ……なんか無性にイタズラをしたくなってきた。

 美味しいものを食べて機嫌が良くなったからか、ちょっかいをかけたくなってきてしまった。

 

 ただ、イタズラの方向性をまちがえたら反撃に拳をお見舞いされる可能性が非常に高い。ただでさえ物理攻撃多めのバーサーカーになかなか空気の読めないイタズラをしてしまえば、天井に顔が埋まるだろう。割とマジで。というか、一回やった。寝相で攻撃されたときに悔しくておもちゃの虫を置いたのだ。天井から頭を抜くのにすごい苦労した。

 

 ふと、朝食に置いておいた生卵が目に入る。バーサーカーがどう使うか分からなかったので殻を割らずに置いてあったものだ。早速バーサーカーの分を拝借してキッチンに向かい、お湯を沸かし始めた。

 

 

 

 

 

 

「ん?」

「あーん」

 

 数分後、ほかほかになったゆで卵を手に持った俺は、その手をバーサーカーに近づけていた。

 食べるための手が塞がっているなら俺が食べさせてやればいい、という安直な考えから来たイタズラだ。普段から小さくはない攻撃を食らっているのだから、こんな時くらいは恥ずかしがってもらうとしよう。別に「やめろ」と言われても善意からきていることはバーサーカー本人にも分かっているはずだから、間違っても手が出ることはあるまい。

 

 

 

 

 さあ、どうする!? 

 

 

 

 

「はむっ」

「……へ?」

 

 何を思ったか、出されたものがゆで卵と分かったバーサーカーはそのまま一口で半分を持っていった。

 

 もきゅもきゅと、何の気なしに咀嚼するバーサーカーを目にして、俺はただただ放心してしまう。

 

 唇が妙に光っていた。

 そう見えていただけかもしれないが、俺は思わず喉を鳴らした。

 薄桃色の口が動く様に魅入られたかのように、口を含んでいる姿をただ見つめる事しか出来なかった。

 

 いやいや、そうじゃないんだ。

 

 我に帰ると、身体が熱い。頰が紅潮していると分かる程に。すかさず「おい、何食ってんだよ」ぐらい言ってそれで笑い話にするはずだったのに。こんなはずじゃないんだ。

 これじゃあまるで……。

 

 ろくに口も動かせない状態になってしまった自分に対し、まるで追い討ちをするかのように。

 

「んっ」

「ちょっ、まっ……!?」

 

 白い犬歯が見えたと感じた時には、ゆで卵の残り半分がバーサーカーの口に含まれた。摘んで持っていた指ごと。

 

 生暖かいモノに指が撫でられ、甘噛みされる。鳥肌が立ち、すかさず指を引っ込めた。指は湿って光っていた。

 

 やっと、舌で指を軽く舐められたと分かってバーサーカーを見やると、「ふむ」と声を漏らした後にこちらを見る事なく、

 

「塩味が少ないな。先程食べた方が好みだ」

 

 と、言い放った。

 

「満遍なく塩をつけれるわけないだろ」なんて言える訳もなく、凍りついたままの俺に気付いたバーサーカーと目が合う。

 

 少女は口角を少し上げ、ふんっ、と小さく鼻を鳴らした。

 

 俺は悔しさが大部分を占めながらも色々な感情を入り混じった感情に内心を掻き回されながら、ティッシュ一枚を手に取る。

 

「可愛いやつめ」

「……お前には言われたくねえ」

 

 言い返した言葉に含まれた語気が、なんとも弱々しすぎないかと自分でも思った。

 

 

 

 

「黒髪だったのだな」

「あ? ……ああ、まぁな。よく分かったな」

「流石に分かる。時系列順で、最後から見ていればな」

 

 何故最後から見たのかわからなかったが、しばらくして俺の風貌が違いすぎて遡ったのだと分かった。

 

 白髪になっている頭に手をやる。

 

 今はバーサーカーもきれいな銀髪なので目立ちにくいが、この髪も一人の時はかなり衆目を浴びていたりする髪色だ。

 

「Fashionというやつか」

「違うわ。なんでそこだけ発音良いんだよ。知ってるか? 髪ってのは基本的には栄養不足やストレスで変わることもあるが、遺伝ってのもある。実父(アイツ)の髪も凄かったろ」

「確かに、あの銀色は凄かったな」

 

「本来なら俺も銀色になっていたらしいぜ。東条の家系の一つで、あるジンクスが。ぁー……あるんだが……聞きたいか?」

「なぜそこで聞く?」

「少し、というか大分おかしいから」

「言ってみろ」

 

「……『主を見つけたものは銀に光る』ってジンクス。説明するが、東条家はメイドの家系なんだ。家としての歴史は浅いが、東条キリヒトが一代でのし上がっている。俺が家にまだいた頃、俺の弟二人が仕えたい主に出会ったんだ。まだ中学くらいの若い時だ。次に会ったときは両方髪が銀色になってた」

 

「なぜだ?」

「知るかっ」

 

 だから、ジンクスだっつーの。

 

「主とやらはどんな人間だった?」

「上の弟は妹を守るって言ってたな。もう一人は誰だったっけな……? 覚えてない。上の弟以外の兄弟とはあまり会ってないんだ」

「兄や姉はいないのか?」

 

「俺が長男だ。だから他に前例はない」

「えっ」

「えっ?」

 

 しばらく考え込むバーサーカー。

 え、そんなに長男だったのが意外か? 

 

「……ああ、納得した」

「待て。何を思って納得した貴様」

 

 その事について小一時間ほど問い詰めたい。

 

「それはそれとして、だ。このページを見てくれないか。三つぐらい同じ構図のシャシンがあってな……」

「どれどれ? ……あ、懐かしいな」

 

 椅子から立ち上がり、回り込んでバーサーカーの背後でアルバムを覗く。どれも俺が同じような凄い顔をして驚いている顔の写真だ。我ながら、頭の上に「!?」って浮かんできそうな面白い顔だと思う。

 

「これは?」

「確か、信じて送り出した弟が銀髪になって帰ってきた時の俺だ」

「まぁ、驚くな」

「まじめな奴だから、グレたと思って大騒ぎしちまった」

 

「これは?」

「東条家のパーティーで酔っぱらった女の人が半裸になった時の俺だ」

「……お前なら気絶しそうだな」

「この時はまだその体質じゃなかったが、この人が原因だ。そもそも俺が痛い目にあってたのは大体この人自身のせいだと思う」

 

「これは?」

「俺の母親が血縁上の祖母だと知った時の顔」

「え?」

「父親だと思いたくなくなったのが大体この時期だ」

「急に重いのをぶっこむな!」

 

 

「何か詳しいことが聞きたいのはあるか?」

「あえて言うなら最後だが、聞きたくない」

「最初は驚くけどあんまり重くないぞ。あー、事情が複雑だから全部は言わないが……キリヒトが幼い頃にばあさんと別れちまって、お互い死んだと思ってて、キリヒトとばあさんが結婚するあたりで血がつながっていることが判明したって感じだ」

「物語でも聞いているのか、と言いたいぐらいにはついていけん……」

「気持ちは分かる」

 

 コイツは何を言ってるんだ、というのが三時間程かけて事の顛末を聞いた当時の感想だ。

 キリヒトはどこを目指しているのかは元息子にも分からん。

 

 

「というか、勉強はいいのか?」

 

 もうおなかいっぱいだ、と疲れた様子のバーサーカーに問う。時刻は正午過ぎとなっていて、もう昼食の時間だ。

 

「ああ、今日は大丈夫だ。自信がある」

「自信?」

 

 急に突飛なことを言われて疑問符が浮かぶ。バーサーカーはその様子を見て少し驚きつつ、口を開いた。

 

「知っているとばかり思っていたが。テストを先日終わらせて採点待ちの最中だったのだ。ロマンには随分と苦労をかけてしまったが、今日で終わると思うぞ」

「勉強してないのは……」

「もちろん、手応えを感じたからだ」

「なるほどな」

 

 だからといって、勉強しちゃいけないというようなことではないんだが。バーサーカーの頭の構造がなんとなく分かってきた気がする。よくいる高校生くらいの考え方だ。

 

 それはそれとして、アルバムを見ているほど余裕とは思わなかった。大学だなんだと外出している間に、外に出たいというモチベーションが余裕と言えるまでの実力にまで到達したのであろう。

 やはり努力の人間。天才肌と言われる英雄よりも親しみが持てるな! 

 

 

 

「二十問に一問は確実に解けた」

 

 

 

 ん? 

 あれ、聞き間違い? 

 親しみ……努力……あれ、努力ってなんだっけ。

 

「えっ? ……マジで?」

「ふっ、冗談だ。安心しろ。知識の貯蓄も申し分ない。ちゃんと秘策も練ってあった」

 

 そう言って、見覚えのない筆箱から秘策らしきアイテムを取り出した。

 

 

 

 

「これがストライカーシグマV(ファイブ)、こっちがプロブレムブレイカー、そしてシャイニングアンサーだ」

 

 出てきたのは、後ろに数字が入ったコロコロ鉛筆が三つ。

 あー、なるほどね。ほら、分かんなくなったときに振って、ね。

 

「運に委ねるな馬鹿野郎!?」

「うるさい、こやつらを馬鹿にするな! 私のために道を示してくれた功労者だぞ!?」

「何処から持ってきたそんなもん!!」

「マンション内を散歩してたら、金ピカがくれた」

「何渡してんだその金ピカ!? 後、誰だ金ピカって!?」

 

 

『ふはは、高得点が欲しい? ならばこれだ! かの大馬鹿者が使用し、見事窮地を脱したという逸話のあるこの鉛筆を使えばよかろう! 我は今機嫌がいい、くれてやる!』

 

 そんな声が聞こえた気がした。

 

 

「なんてもん渡してやがる……ッ!? ソイツ蹴り飛ばしてやろうか!」

「大丈夫だ、きっといける。任せておけ」

「もう任せられる気しねぇんだけど……」

 

 なんか酷く疲れた。もうコイツに期待しない方がいいかもしれない。でも、頭が悪いわけではないはずなのだ。それは近くにいる俺がよく分かっている。ただポンコツなだけなんだ。きっと。

 

 意気揚々と郵便受けに向かったバーサーカーを見て、初めて外出許可を取ろうと問題に苦しんでいた時を思い出す。

 あの時みたいに泣きじゃくらない事を願おう。

 

 

 

 

 

 

『得点 121/200 評定 可』

 

「やった……っ! これでやっと……!!」

「あぶねーな。『可』ってギリギリじゃねぇか」

 

 心配とは裏腹に、意外にも合格点だった。らしい。

 口では褒める言葉はでないが、マスターだからこその自負というか、「まぁ、俺のサーヴァントだし当然だよね」というような思いが心を占めている。

 テストの詳細を見させてもらいながら、バーサーカーに手を伸ばして撫でようとして–––––––手首を掴まれた。

 

「なんだこの手は」

「あ、いや、すまん。勝手に手が出た」

「手が出る? 努力したつもりだったが足りなかったか?」

「違う。褒めようと撫でるために手を伸ばしただけで、叩いたりするつもりじゃない。悪かった。…………何故手を離してくれないんだ?」

 

 

「……(じーっ)」

「な、なんだよ?」

 

 

「やらないのか?」

「や、やらない!」

 

 どうせならもう少し凄い事をした時のためにとっておこう。わざわざやってと言われてやりたくない。

 バーサーカーはしばらく少し沈んだ表情をしていたが、なんでさ。

 

「てか、合格点が120点?」

「……(ぎくっ)」

 

「……選択問題全部間違えてるけど、これってまさか」

「合格したならいいじゃないか! いつまでも過ぎた事をねちねちと垂れおって! キャスターのマスターリサが言っていたぞ! 『細かい男は嫌われる』とな!!」

「必死になり過ぎだろ」

 

 まぁこれで外に出られる事になった。

 

 もう午後だが、出かけて遅い昼食を取るのも悪くないかもしれない。

 

「よし、出掛けるか」

「ああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと外に出られる。三十一回目にして、やっとの快挙というヤツだな!」

「……ん? 俺らってこれまでで何ヶ月ぐらい過ごしてたっけ?」

 

「二ヶ月ぐらいか?」

「そっから三十一回って……大体二日に一回?」

「そうだな」

 

「そのテスト、誰が用意してくれてた?」

「ロマン」

「問題は?」

「ロマン」

「採点は?」

「ロマン」

 

「……」

「……」

 

 

 

 

「ロマァァアアン!!!」

 

 

 

 

 この後、玄関受付にて死んだ目をして倒れているロマンを発見した二人は、婦長呼び出しナースコールを連打した。

 

 ロマンには絶対何かお詫びをしなければならないと固く誓ったのだった。

 

 ちなみに、出掛けるのは翌日となった。




〜トビラと天井〜

リサ「ところで、このトビラいつになったら直るの?」

キャスター「ヤマトさんが勝手に開けていったままなのはおかしいと思います……」」

リサ「開けていい?」

キャスター「お声をかければ大丈夫かと……」

リサ「開けるわよー!」バンッ

ヤマト「……(天井に刺さっている)」

リサ「何事!?」

ヤマト「リサか? ……ちょっと助けてくれないか」

リサ「生きてた!?」



ヤマト「助かった。実はイタズラにこのオモチャのゴキブリをだな……」

リサ「虫!? 嫌ァァアア!?」ドゴォ!

ヤマト「ぐふぉあ!?」ズボッ

リサ「帰る! きゃすたぁぁ!!」

ヤマト「……(天井に刺さった)」

バーサーカー「……まだ刺さっていたのか」

ヤマト「……俺が悪かったから、抜いてくれ」
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