Fate/箱庭の英雄達   作:夢見 双月

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フレンド固定:???

敵クラス / 裁 剣 騎


『夢幻乖離境界 大和』
第1節 知るはずのない世界 前編


「……先輩! 手をッ!!」

 

 崩壊しつつある世界で、藤丸立香は消えたはずのマシュに再会した。

 

 

 人王ゲーティアとの決戦は終結。

 魔神柱達は次々にサーヴァント達によって、世界と共に崩壊していく。

 

 藤丸立香は、最愛の後輩の手を取る。

 

 その華々しくも小さな凱旋は、外の世界に青空を映した。

 

 

 ▽▽▽

 

 青空を映した画面は砂嵐となって、やがて灰色一面の液晶が突然暗転する。

 何も映さなくなった小型モニターを仕舞い、その人は話し出した。

 

 

「回帰の獣は果て、憐憫の獣は潰え、比較の獣はその在り方を讃えた。それらは、君達と我々の共通の結果である」

 

「人とはそもそもが獣から派生し生まれた生物の一つに過ぎない。だが人も獣も互いに欲望を持ち、感情を持ち、思考することが出来る。それ故に悪とも言える行いを、自ら望む事もあるだろう」

 

「では、獣と呼ばれるもの(彼ら)人と呼ばれる者(我ら)の違いとは。それ即ち愛を想い、全人類に対して受け入れさせるほどの救いの手を差し伸べられるものであるかどうかに他ならない。–––––––要は、資格だと結論付ける」

 

「元来、正義の味方如きでは到達出来ない至り。人間を不変に固定し、是を幸福と定義出来る存在」

 

「だが、獣として未熟でありながらそれを望んだ人間もいる。全ての人間を不死にする所業。隣のそのまた隣……かつてたしか……何処かの天草四郎時貞が叶えんとした救済」

 

「同時に、打ち砕く者も存在した。一つ、名もなきホムンクルスが英霊の形に依って変容し、ジークと呼ばれた其れ。彼はたった一人の聖女の為に人類の救済を捨てたという。……こればかりは伝聞だ。容赦願おう」

 

「さらにもう一つ、輪廻を持ったまま異形となり、自身の聖杯を奪われながらも人間としてその願い……救いを拒んだ者。英雄足らぬ器で在りながら英雄である己を良しとし、その願いの杯を溢したという。その時の聖杯はまだ異形と化した人間を新たな旅へ招いているようだが……その話は別の機会で話すべきだろう」

 

 

 

 

 

 

 

「ここで私は思考する。このように救いを払い退け、その手を破壊する人間がいるとするならば……それは一個人にも成り得る可能性を秘めた、人ならざる者であるならば」

 

「その名は明かされず理解される事もなく。代わりにこう呼ばれるべきだ」

 

人類の敵(アンノウン)と」

 

人類の敵(アンノウン)に善悪の概念など存在しない。人類の善性ではなく、人類悪でもない。仮に正しく表そうとするのなら、人類の敵(アンノウン)にはヒトの形でありながら()()()()()()()()()()()()()、というのが適切だろうか」

 

「そして、そう呼称される彼らの根底にあるもの。欲求か、本能か、目的か。私が思うに、それは––––––––」

 

 

 

 

「––––––––たった一つの願いだ」

 

 

 

 ▽▽▽

 

 

 立香はベッドに倒れていた。

 腕で目を覆ったために、瞼の裏は完全な暗闇となった。黒と僅かな色素が織りなす視界の中で、懐古に浸る。

 

 これまでの旅。

 オルレアン。セプテム。オケアノス。ロンドン。キャメロット。イ・ブルーリパス・ウナム。バビロニア。そして、ソロモン。

 そのどれもが苦難の連続であった。そして、かけがえの無い旅だった。

 

 何よりも変え難い自分のモノだ。

 

 だが同時に、失ったものもあった。

 

 オルガマリー所長。

 子供の様に敵に怯え、それでも世界のために自身を取り繕いながらも責務を果たそうとした人間。

 

 ドクター・ロマン。

 何処か軽薄そうな雰囲気でありながらただの人間であろうとし、それでもカルデアのために人を捨て命を投げ打った人間。

 

 いつだって、心に残り続けていた。

 ドクターに至っては、立香にとっては居なくなって数日も経っていない。

 立香もマシュと同じくバイタルチェックの為に何度も医務室に行った事があるし、通信での数知れない手腕とその指令によって助けられてきた。

 あの微笑みは二度と見ることが出来ない、という重い実感が立香を締め付けた。それが心に棲みついた時には後ろにいたマシュも涙を流して抱きつき、しばらくお互いに離れられなかった。

 

 それからは、心臓に鉄の杭でも打ち込まれたみたい体が重い。冗談混じりに「ヴラド三世の宝具に当たってしまうとこんな感じなのかな」と思ったが、すぐに思考は悪い方向へリセットされていく。

 

『立香くん。管制室に来てもらえないかい?』

 

 ダヴィンチちゃんに呼ばれたのはそのような心持ちの時だった。

 

 

 

「どうしました?」

「先輩!」

「やぁ、マシュ。何があったかわかる?」

「いいえ。お話はまだです。ダヴィンチちゃんがみんな揃ってからだと……」

「うん、みんな揃ったね? それじゃあ説明を始めよう」

 

 立香が到着すると共に、女性の風貌でありながら大きな義手を着けているキャスターのレオナルド・ダ・ヴィンチは前置きもなく本題に入った。

 

「我々カルデアは人類悪ゲーティアによる人理焼却を防ぎ、人理を復元した。それにより、カルデアスは人理焼却以降の未来は元通りとなった。しかし、特異点自体は無くなった訳じゃない。魔神柱の生き残りだったり、または全く別の要因で亜種特異点になる事もあり得るだろう」

「はい、ですからそういった特異点を発見、観測し次第に解決に向かう方針になりました」

「そうだね。しかし、観測した特異点が少々異常な事態に陥っている」

「異常?」

 

 立香は頭を傾けた。

 異常な特異点と言えば、今までの特異点全てが当てはまるだろう。魔神柱による異常な歴史の改変。それらと同じ様な存在が現れたという事なのか。

 

「特異点の場所は日本。それも未来、2020年の日本だ」

「未来!?」

「……今回はかなり特殊なケースだと考えている。なにせ未来の特異点だ。先程言ったように特異点の要因は魔神柱や聖杯、そしてその他の原因という分類に分けられる。私達が経験したのは殆どが前者だと言えるだろう。しかし、今回は後者の可能性が高い」

「後者ってことは……!」

「魔神柱に近いレベルの存在がいる……という事ですか!?」

「そういう事になる。今分かっている事として、現在よりも過去の年代に中規模な亜種特異点が四つ程観測出来ているが、この特異点の規模はそのどれよりも大きく、ゲーティアが作り出した特異点と大差ないレベルだ。早急に対処すべき事案である事に間違いはない」

 

 その事実は立香やマシュだけでなく、発見時にスタッフの殆どが驚愕に顔を染めた程だった。

 ゲーティアという人類悪と同等の存在。

 それは彼らを絶望させるには十分な情報だろう。

 

「黒幕の目的は分からない。少なくとも、ゲーティアの様に人理焼却するような体勢は整っていないだろう。しかし、今回は未来の観測という事もあって、まともにレイシフト出来るかも分からない。……それでもやってくれるかい?」

 

「はい、やります!」

「いい返事だ。それでは準備をしよう。……くれぐれも注意してくれ。今回において、アクシデントは高確率であると見ていいだろう。通信によるサポートが行えるかも分からない。でも安心して。天才である私も、スタッフ達も全力で君を支える。必ず帰って来られるようにね」

「分かってます」

「マシュは現地に同行してサポート。くれぐれも警戒を怠らないように」

「私も、ですか?」

 マシュが現地に向かうという予想外の言葉に驚く。同時に、不安そうな顔持ちでダヴィンチちゃんを見た。

「デミ・サーヴァントとしての力が無くなっているのは理解している。だが、何が起こるか分からない以上、立香ちゃんが孤立する事態だけは避けなければならないと考えている。……もしもの時に、立香ちゃんの支えになって欲しい。頼めるかい?」

 

「……分かりました。私が先輩を護ります!」

 

 

 

「良い返事だ。二人とも気をつけて。……よし、レイシフトの準備だ!」

 

 

 

 

 

 カルデアのリソースを消費、再びのレイシフトが起動する。

 光が貫き、特異点の道へ誘う。

 幾度となく経験した転移。レイシフトによって届けられる自分とマシュの肉体は……。

 

 

 

 

 

 何者かによって、唐突に阻まれたのだった。

 

 

 

 

 

「聴こえるか、天文の異世界人」

 

「……貴方は?」

 

 不意に、声を聴いた。

 意識が覚醒していく。目の前が鮮明になった時、佇むヒトを見た。

 その人物は漆黒のスーツを纏い、銀のネクタイを締めていた。まるで何処かの上級貴族に仕える、執事のような……。

 

 でも、顔は朧げでよく分からない。

 体付きから見て、女性なのだろうか? しかし、声は男性に近い。

 何というか、チグハグな印象を受けていた。

 

「ふむ、喋っているようだが声は聞こえない。……所詮は夢魔の真似事。先回りするためとはいえ、万全な状態には程遠いようだが……今は間に合って何よりだ、と言っておこう」

 

 景色が白一色の眩しい世界から、青空が広がる世界へと変わっていく。

 

 

 そこは、寂しげな世界だった。

 目の前の人物を除けば。人一人いない、無色の世界。

 

 白い大地には、考えうる全ての物が存在せず。

 

 どこまでも地平線が広がっていた。

 

「ここは?」

 

「明晰夢だ。目覚めれば忘れる程度の小さな夢。本来ならばここで会うまでもなかったのだが」

 

「明晰夢って……夢の中? 貴方は……?」

 

「……? すまない。もう少しジェスチャーを大袈裟にやってもらっていいか? それと、唇の動きを手を当てて隠さないで貰いたい。考え事をしたいのは分かるが、君の言いたい事に齟齬が発生してしまう」

 

 はっ、となる。先程、目の前の人が「声が聴こえない」と言ったばかりではないか。意思疎通は取れるが、何故か声が届いてはいない。

 大きく口を開けて、伝わりやすく喋るようにする。

 

「あ、な、た、の、な、ま、え、は–––––––!」

 

「そこまで気を遣わなくて結構だ。伝えようとする意識さえあれば、ある程度の意思疎通はこちらで出来る」

 

 黒い手袋を着け直すように引っ張った後、その人物は自分に正面を向けて真っ直ぐに捉える。

 

「さて、色々聴きたい事はあるとは思う。取り敢えずは、私はサーヴァントという認識でいればいい」

 

 ふぅ、と息を吐き出し、執事服のサーヴァントは踵を返す。

 

「ところで、君は悪夢でも見ていたのか? お茶でもあれば気を利かせられたのだが、生憎此処には副交感神経を優位にさせる物は何も無いようだぞ」

 

 悪夢、という言葉に私は反応する。

 

 周囲を見れば、前方から人の形をした影がこちらを見ていた。

 数は三体。しかし、此処にマシュの姿はいない。

 

「悲しみの感情から漏れ出した、と言ったところか? 夢の中に潜り込むというのは新鮮なのだが、状況が状況だ。そこな少女、ヤツらに殺されれば現実でも死ぬ事になる。下がっていると良い」

 

 段々と影の者達に色が表れる。

 彼ら……いや、彼女たちは特異点で見た英雄達の形をしていた。

 

「さて、此処は君の夢の中だ。君の空想が何よりも上回る。私も負けるつもりはないが、今回は……そうだな、『最強なのは常に己自身』などと考えず、最強の私をイメージしてくれると助かる」

 

 

 目の前サーヴァントがシャドウサーヴァントに立ち塞がり、銀の長棒を取り出す。

 

 私は「夢の中ならば」と、紅く輝くみぎてを突き出す。

 想像するのは、目の前の執事服のサーヴァントに魔力を渡すイメージ。

 

 

 そして、最強の英雄の姿––––––––!

 

 

「さて負の感情諸共、まずは清掃させて貰おう。上品に、念入りに消毒しなくてはな」

 




【BATTLE START】

エネミー情報

オルレアンの悪夢 
使用スキル 啓示

セプテムの悲鳴
使用スキル 皇帝特権

オケアノスの劣等
使用スキル 嵐の航海者


フレンド
???→謎のサーヴァント(ランサー)

使用可能スキル
第一スキル 「十条百般 EX」
 味方単体のクリティカルを発生させる状態(3回・3ターン)を付与&クリティカル威力アップ(3回・3ターン)
第二スキル 使用不能
第三スキル 使用不能

宝具『???』
 敵全体の強化解除&味方全体に「人類への脅威」特攻を付与&敵全体に神性が低いほど超強力な攻撃


特殊ギミック
『夢想令呪・開放』 
 謎のサーヴァントのNPを100増やす
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