Fate/箱庭の英雄達   作:夢見 双月

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こんにちは。こんばんは。おやすみなさい。

起きてぇぇ!!!

前編・中編・後編に分けて書きたい(願望)
「燃え尽き症候群には負けないんだからねッ!」と言って、見事に無気力になった作者デス。
ゆるーく頑張ってまいります。



2日目 明けない夜 前編

 エレベーターに乗り、地下一階へ向かう。前にエミヤさんに教えてもらった場所と時間通りである。

 こういうのはマナーとして、五分遅めに来るのが正しかった筈だ。待ち合わせには早めであるべきだ。しかし、あまりにも楽しみだったので結局は丁度の時間に来てしまった。

 

 エミヤさん曰く、歓迎会の会場入り口である。

 

「マスター。ドアが三つあるが、どっちに向かえばいい?」

 見ると、エレベーターを中心にして両端と真ん中にドアが見える。

「ここの階には多目的室一部屋しかないらしいから、どこからでも入れるんじゃないか?……というか、目の前に説明が書いてあるじゃねぇか。……ふむ、壁を作って最大三部屋にまで分割出来るらしい」

「そうなのか」

 

 バーサーカーは先に目を付けた中央のドアに向かっていった。俺はそれを尻目に左側のドアに向かう。すると、ずんずんと音を立ててバーサーカーが戻ってきた。

 

「待てマスター」

「どうかしたか?」

「何故一緒のドアに来ない?」

「いや、ドアごとに模様が違うみたいだから確認しに行こうと」

「模様は一緒だろう、何を言っている。さっさと行くぞマスター」

 

 そう言ってバーサーカーは左へ向かった。俺は行った事を確認してから右のドアへ向かうと、今度はバーサーカーが走って来た。

 

「マスター!」

「どうかしたか?」

「どうかしたか、ではない!明らかに私を避けてるだろう!?」

 

「おいバーサーカー、あれを見ろ」

「何をだ!?」

「あれだ、あれ。ほら、ドアの向かいの隅っこにあるあれだ」

「……んぅ?」

 

 遠くてよく見えないのか、隅っこに近づくバーサーカー。離れてからしばらくして、そんな彼女に対し俺はこう伝える。

 

「ほら、何もないだろ?」

 

 

「おちょくってるのか貴様は」

「ちょっとした出来心だった。すまん」

 もう少し早く、おちょくられている事に気付くと思ってた。

 

 正直な話、バーサーカーは騙されやすい体質だ。騙されている過程の行動が偉そうな普段とのギャップがあってなかなか面白い。バレた後に睨まれるからマジで怖いけど。

 

「さっさと行くぞ!」

「どっちに?」

「真ん中だ!」

「じゃあ俺は……」

「お前も来い!さっさと!」

「イダダダダ!?耳を掴むな耳を!!」

 

 耳を犠牲にしながら、ドアの前で心を整える。

 

 バーサーカーと息を合わせ、せーので思い切り開く。

 

 中に入るとそこには、煌びやかとした––––––––

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「シロウ、おかわりです」」」」

 

「体は剣で出来ている。ち、血潮は鉄で、心はガラススススsss……」

 

「セイバー共ぉ!!この我に酒を入れよ!!」

 

「「そんな命令聞くかカリバー!!」」

 

「「ついでに死ね!!ロンゴミニアド!!」」

 

「おのれぇぇえええ!?!?」

 

「行くぜフェルグス!!」

 

「応さ!!」

 

「いいさね!あっはっはぁ!!やっちまえー!」

 

「アウトォ!!」

 

「セーフゥ!!」

 

「「よよいの……!!」」

 

 

 

 扉を閉める。

 

 思わずしゃがんで片膝になり、片手で目を覆う。

 バーサーカーでさえ両手をついていた。

 

 

 

 

 –––––––そこには煌びやかな地獄絵図があった。

 

 

 

 

 おかしい、想像してたのと違う。

「わーいわーい」と和やかな俺らの歓迎会のはずが、その名目をぶら下げて「ヒャッハー」な飲み会をしているようにしか見えない。青い髪の男と豪傑と言えるマッチョが野球拳やってたし。

 さらに、俺を萎えさせるように暴動の嵐が渦巻いている。聖なる光が、邪悪な闇が、一直線に金ピカ鎧の男を炭にしていた姿を見て、明らかに来る所を間違えたと確信出来る。

 ……というか、エミヤが今壊れてなかった?

 

 どうするかと二の足を踏んでいると、後ろから声がかかった。

「何やってんのよ?入らないの?」

 

「ん?ああ、変人女か」

「違うわよ!?」

「何ッ!?変人女じゃない!?じゃあ誰だお前は!?」

「そういう事じゃない!!ちゃんと理沙って名前があるの!!そっちで呼んで!!」

 シェヘラ……しぇ……キャスターのマスターである理沙は叫ぶように言った。

「ところで何しに来たんだ、へん……り……変人女」

「なんで迷うのよ!?しかも挙句に違うし!!私も歓迎会に誘われたのよ!」

「不夜城のキャスターはどうした?」

 復帰したバーサーカーが口を挟む。

「不夜……?ああ、キャスターは不参加ですって。嫌な予感がするからって。でも、たかが歓迎会でしょう?そんな危険な事があるわけないでしょ」

 

 –––––ウン、ソーダネ。

 

 あからさまに横に目を逸らした俺たちを見て、理沙が訝しむ。

「どうしたの?」

「い、いや、何も?」

「……?まぁいいわ、先に入ってるわね」

「おい!?やめ……」

 理沙は俺の制止を気にも留めずにさっさと扉を開き、

 

「……」

 

 閉じて、座った。

 

 –––––あれ、なんかデシャヴ。

 

 理沙は手で顔を覆う。そして小さく囁くように。

「なによあれ……」

 と呟いた。

 おれ達は何も言えなかった。

 

 

 

「どうする?俺たちは誘われた立場だ。参加しなければ心象は悪くなるだろう。だが、あそこに飛び込むのは至難の業と言える。そこで、君達の意見を求めたい」

 

「帰るぞ」

「帰りましょう」

 

「満場一致で何よりだ」

 

 三人の決断は早かった。足音を極力無くし、忍者の如く颯爽と逃げ出す。

 あのカオス過ぎる空間で生きて居られる気がしない。察知されていない今がチャンス……!ここの三人で口裏を合わせて『忘れてましたっ!!』と言い張ろう。そうしよう。

 

 エレベーターのボタンを連打する。

 その間に理沙は階段の方へ逃げていった。理沙は別行動を取るようだ。

 バーサーカーは俺の近くで周辺の警戒を行なっている。

 

 大丈夫だ。誰も廊下には出てこない……!

 

 エレベーターの表示が一階に変わる。よし、これで俺たちの勝ちだ。思わず汗を拭う。

 

 この戦い……我々の勝利だ!!

 

 

 

 

「……っ!?マスターッ!!」

 

 何事か、とバーサーカーに振り向く。しかし、その行動が全てを決定付けた。不意に流れる芳醇な料理の香り。それは振り向いた事で背後になったエレベーターから漂うモノだった。そこに居たのは…………、

 

「ん?君達、見たことない顔だね?君達が新しい入居者?」

 

 地獄への片道切符。エレベーターで料理を運ぶ女性だった。

 

 

 

「「いえ、違います」」

 即座に対応する俺たち。自身の危機を告げる警報が頭の中で以前うるさく鳴り響いている。

「え?そう?何号室の人かな?多分私とは初対面だと思うけど」

 

「S26号室です」

 悠然と嘘を吐く俺。

「……そこは私の部屋なんだけど」

 おっと失敗したようだ。

 

(マスターッ!?何をしている!?)

(分かっている!上手くフォローするから!!)

 

「ち、違うんですよ。間違えちゃったんですよ」

 口をあたかも滑らしたように繕いながら訂正を試みる。

「そうだよね。流石にそんな嘘……」

 

 

「あなたのいるべき部屋が違うんです」

「怒られたいのかな?」

 苦笑いしていた女性に殺気が籠もった。

 

 

「……っ!……!!」

「分かった!悪かった!悪かったから、無言で蹴るなバーサーカー!!」

 

 

「どうしたんですか?ブーディカさん」

 バーサーカーの虐待に耐えていると、綺麗な女性二人目が横から現れた。こちらは、今現在笑っていない笑顔の人の赤とオレンジの間の色みたいな髪色と比べると、綺麗な金髪でまた違った魅力がある。

 その金髪の女性は首を傾げながら聞いてきた。

 

「ああ、この子達がおかしな事を言ってるから困ってて。ところで、ジャンヌちゃんの抱えてるその子は?」

 

「この子ですか?おそらく、新しく入って来た子の一人ですよ。先程階段でぶつかって転がっていってしまって……。気絶してしまったのでついでに看病しようかと」

 

「うん、いいと思うよ。それより、次は君達の番だよ?何で嘘を吐いて誤魔化そうとしてるのかな?怒らないから教えなさい」

 

 ブーディカさんが母親のような穏やかと厳しさで迫ってくる。俺とバーサーカーはすかさず同じ所へ指を指す。

 

「「こいつがやれって言ったので」」

 

「君達はよく悪びれもなく言えるね!?」

 

 死人に口無し。指を指したのは担がれていた理沙の方。ブーディカさんは一周回って驚愕していた。ジャンヌさんも「えっ!?」と困惑している。

 

 俺は涙を流して訴える。必殺・泣き落としだ。

「だってそいつ、中が入りづらい雰囲気と分かった途端、『サボろうぜ』とか言ってきて……!俺は流されるままに……」

 

「ちょっと!?何デマ流してくれてるの!?」

 

 悪いタイミングで理沙が目覚める。邪魔なので、

 

「バーサーカー」

 

「ふっ!」

 

「ぶえぁっ!?」

 

 バーサーカーの強烈ビンタでもう一回気絶してもらおう。許せ。

 

 

「……俺は流されるままに付き合わされて……!」

 

「もうここまで行ったら君達は天才だよ」

「とにかく、一緒に行きましょう」

 

「「何故だァァアア!?!?」」

 

 完璧に誤魔化せたはずなのに!?

 

 嫌だ!明らかに恐ろしいと分かっている場所に行けるかッ!!俺をナメるなよ!どんな手段を使ってでも脱出して……

 

 

 

 

「俺は無力だ……」

 

 ジャンヌさんの『神明裁決』スキルというものによってバーサーカーが暴れられなくなり、俺が必死に暴れてもブーディカさんの抱擁(即死付与)によって失神。

 

 

 その間に話は進んだようで、目覚めた頃には自己紹介の時間が設けられていた。「マスターで最後だ」とバーサーカーが言っていたので、急いで立ち上がる。

 

 

 

 失神から醒めた怠さを払い、辺りを見回す。

 

 全ての人が俺に注目していた。

 

 思わず目を見開く。

 

 

 

 英雄達の視線の交錯に、ここが世界の中心と幻視した。

 

 

 

 

 

 実は土方さんに会った時に気付いた事がある。

 

 マスターと呼ばれる人はともかく、もう一人の召喚された人間は普通の人間ではない。俺の所に現れたバーサーカーも例外ではないだろう。

 

 そして有名な名前が頭の中で飛び交う。

 土方歳三、沖田総司、茶々、織田信長。

 ブーディカさんは分からなかったが、ジャンヌは恐らく、()()ジャンヌ・ダルクだろう。

 

 ただの与太話かも知れない。偶然なのかも知れない。

 

 でも土方さんは言っていた。「こいつは本物の沖田だ」と。

 

 お互いがお互いに本物だと証明しているならば、きっと。

 あの時目の前にいたのは誰もが聞いたことはあるあの有名な英雄で。

 

 

 ここにいるのも、数々の伝説を残した英雄達なのだ。

 そんな彼らの視線の先に俺がいる。

 

 体の震えが止まらない。それは決して恐怖じゃない、武者震いだ。

 

 

 その気づきが、確かな実感へ。

 より身近に、より近くに漂う威圧感は知識としての『英雄』は消し飛んだ。

 

 

 前を向く。彼の英雄達に負けないように。

 叫ぶ。彼の英雄達に自分の在り方を誇るように。

 

「俺はエルドラドのバーサーカーがマスター、ヤマトです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 よろしくお願いしまぁぁすッ!!」

 

 

 

 喉が擦れるぐらいの声で必死に叫ぶ。

 

 

 

 一歩。人間として、進んだ気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい挨拶だったのではないか?」

「お世辞はいらん。……まぁ、マジでそう思ってるならありがたくもらうけどよ。……あー恥ずかしい!」

「……ふっ、そうか」

 自己紹介が終わった後、適当な所に座ってジュースを飲む。すると、バーサーカーが近づいてきた。少し言葉を交わすと隣に座ってきた。

 

 

 

 

 

 

 ふと思う。英雄ということは、バーサーカーにだって何か伝説のようなものがあるはずだ。それはきっと、名前にも関わりがある大事な事なのだろう。

 

 

 

「なぁ……」

 

 

 

 

 気が付けば、バーサーカーを呼んでいた。

 

「どうした?」

「え、あっ、いや……」

 

 声に出てしまっていた事に狼狽を隠せない。少し考えて言う。

 

「なんでもないわ、すまん」

「そうか……?」

 

 バーサーカーはしばらく訝しんでいたが、俺が話そうとしない事に気付くと飲み物を啜り始めた。

 

 焦らなくてもいいな。

 

 バーサーカーを見ているとそう思う。なんとなくだけど、現状でバーサーカーは楽しんでいる事は分かってる。なら、無理に関係を変える事もない。

 

 

 

 

 

 

 

 見ていたその一瞬、バーサーカーが笑った。

 

「微笑んだ」に近い、柔らかな笑顔だった。

 

 

 

 俺を見ているようで、

 

 周りを見ていて。

 

 

 

 それに見惚れてしまったのは内緒だ。

 誰にも言わない。

 

 こいつにも。

 

 

 

 

 

 

「なるほどねぇ、確かにそれは入りづらいよね。うん、分かる分かる。でもそれは一部の英霊だけだよ」

 

 どうせなら他の人たちとも交流をしたい。という事で、

 バーサーカーと共に移動してブーディカさんの所へ向かった。謝罪と、それまでの経緯を話せばちゃんと分かった上で訂正してくれた。

 

「確かにここの辺りは静か……というより、騒がしくないですね」

「こっちは比較的、食事をしたい人達が集まる所かな。まぁそれでも騒がしい場所はあるけど。改めて、私はブーディカ。ブリタニアの女王。よろしくね」

「よろしくお願いします」

 

 バーサーカーに挨拶させようと振り向いたら、既に近くで舌鼓をうっていた。速いなこいつ……。

 ケータイでブーディカさんについて調べながら、談笑をする。

 

 曰く、ローマの侵略に抗い、尊厳を取り戻す為の反乱を起こして負けてしまった『勝利の女王』。かなり若く見えても、二人の娘がいるらしい。

 

「何か困った事があったら、お姉さんに任せなさい」

 

 

 ブーディカさんはそう言って笑った。……ん?

 

 お姉……さん……?

 

 

「何か言「なんでもないですすいませんでした」

 

 取り敢えず目から光を失くすのはやめて欲しい。というか何で聞こえてるんですか。

 

 

 席を離れ、他の人のところに移る。紹介がてら、軽い会話を交わしてまた席を離れるの繰り返しをした。バーサーカーは後ろからついてきては、近くのご飯にがっついていたが。

 

「荊軻だぞー。よろしくなー!!あははは……」

「俺でもあなたがそんなキャラじゃないって分かるぞ、というか完全に酔っ払ってんじゃん!!おい、待て!そのドスをしまえっ!!」

 

「改めて、ジャンヌ・ダルクです。よろしくお願いします」

「こちらこそ、迷惑かけてすいません」

「大丈夫ですよ!何かあったら手助けしますので!」

「これが聖女か……」

 

「マリーよ!よろしくね!」

「『パンがなければ』?」

「『ケーキを食べればいいじゃない』♪私の事を知ってるのね!嬉しいわ!」

「あなたが立派な政治をやってた事も知ってますよ。光栄です」

「まぁ、嬉しいわ!」

 

 

 

 

 

 コミュニケーションには平等に声をかける事の出来る気概が必要である。なればこそ、ここでうつ伏せで死んでいる青年にも声をかけなければなるまい。

 これは同情からか。思わず口から言葉が溢れる。

 

「大丈夫か、エミヤさん」

「だからよ……止まるんじゃねぇぞ」

「止まろうとしてる奴が何を言ってんだぁ!!」

 

 オル……エミヤに蹴りで目覚めの喝を入れる。「ぐはぁ!?」と言いながら転がっていき、元気に復活してくれた。よかったよかった。

 

「ぐっ、ううぅ……ヤマトか!?何故ここに!?」

「呼ばれたから来たんですよ。その調子だと、俺の紹介もまともに聞いてないみたいですね」

「すまない……!迎えに行こうと考えてはいたのだが、運悪く彼女らに見つかってしまってな……」

 苦虫を噛み潰したような顔で伝えられた言葉は、エミヤの他人を気遣う心と危険な気配を孕んでいた。

 

 彼女らとは誰か。無論。

 

「シロウ、起きましたか。とにかく、この状況を説明してください。あなたの説明なしではまとまらない」

 

 美しい金髪にちょこんと跳ねたアホ毛に、凛々しく映る翠目の少女。白シャツに青いスカートを身につけてはいるものの、その姿は見るだけで圧倒されるようなな神々しさを感じた。

 

 

「あなたは……」

 

「こんにちは、ヤマト。私はアルトリア・ペンドラゴンと言います」

 

 

 流れるような礼儀正しい挨拶に反応出来ずにしばらく呆然とするが、それに気づいて慌てて挨拶を交わす。

 

「こ、こちらこそ!……よろしくお願いします」

 

「むっ、もう来たのか」

 

 アルトリアさんの後ろからパーカーと短パンを着た、全体的に黒い服を着ている少女が顔を出す。こちらは髪が白く、目が黄金に輝いてはいるが目の前のアルトリアさんによく似ている。

 もっきゅもっきゅ、と近くのハンバーガーを片手に、もう片方の手でハンバーガーを食べていた。

 

 ……てか、ハンバーガー多ッ!?ハンバーガーの山が出来てんじゃん!?

 

「歓迎しよう」

 ハンバーガーの量に驚く俺を意に介さず、無表情でそう言った。

 

「すみませんが、お名前は……」

 

 

 

「アルトリア・ペンドラゴンだ。覚えておけ」

 

「はぁ……。アルトリ…………ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたは?」

 

「アルトリア・ペンドラゴンです」

 

 

 

 

 

 

 

「それで、あなたは?」

 

「アルトリア・ペンドラゴンだ。何度も言わせるな」

 

 

 

 

 

 脳裏から引き剥がされるように、ある言葉がフラッシュバックした。

 

 

『アルトリアは、10人ぐらいいるんだ』

 

 

「アルトリア、挙手!!」

 

 俺の号令に九人が振り向き、その九人が手を挙げる。

 エミヤと同じくらい、胃が痛みを訴え始めた。

 

 

 

 

 要約はこう。今まではエミヤが細心の注意を払い、全員のアルトリアにそれぞれお互いを接触されないように工作を施していたそうだが、今回の歓迎会で全員の存在を知り、一触即発の危機になったところで今に至る。

 

 

 つまりは、「同じ人物なのに、誰がエミヤにとって一番か」を決める不毛な争いになっていたらしい。

 

 流石モテる男は違う、という事で問答無用でエミヤをその中心に投げ入れた俺は、そろそろ呑兵衛集団に行かなければならない事に億劫になっていた。まともな人達には挨拶をもう済ませてしまったのだ。

 

「仕方がないか。たまには思いっきり騒ごう。そんで、怒られよう」

 

 誰に、とは言わないが、そう言って覚悟を決めて向かう。

 

 すると、誰かにすそを引っ張られた。

 

「どうした?」

 

 

 

 

「バーサーカー?」

 

 そこに立っていたのは、エルドラドのバーサーカー。

 

「…………ヒック」

 

 

 

 もとい、顔に赤みが差し込み目が虚になった、潰れかけのバーサーカーがそこにいた。

 




ヤマト
ロリコンの時といいエミヤの時といい、結構見捨てる。割とゲスい。

エルドラドのバーサーカー
おや?バーサーカーの様子が?

理沙
やっと名前が分かる割と不憫な子。良い子ですよ。多分。

ブーディカ
お姉さん(?)優しいオカンオーラで全てを包み込む。

ジャンヌ・ダルク
バーサーカーのためだけに令呪を使うアグレッシブ・サーヴァント。令呪は回復するらしい。卑怯な。

荊軻
酔っ払い過ぎていつものキャラ崩壊をする系アサシン。素面の時はいい姉御なんだけどなぁ……

マリー・アントワネット
ヴィヴ・ラ・フランス(説明不要)

エミヤ
第一話の面影が突如消え去ったオカン。修羅場製造機。どうしてこうなった。

アルトリアズ
由緒正しきアルトリアの方々。まさか自分がこんなにいるとは思うまい。しばらくしてメイドが来ることにより、10人とキリが良くなる。
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