こんなに見てくれている事に感謝しつつ、七月初めに投稿するつもりがめっちゃ遅れた事を謝罪します。
ごめんね!
ありがとう!
それではどうぞ。
「貴様の野望もここまでだ!ゲーティア!」
「ふん!ちっぽけな存在でよく吠える!貴様は塵一つ残さずに消し飛ばしてくれよう!」
「俺たちの絆はテメェ程度に断ち切れるものじゃねぇさ!行くぞバーサーカー!正真正銘、これが最後の戦いだッ!」
「おいマスター」
「助けを乞え、嬌声を上げろ。苦悶の海に溺れる時だ!それが、貴様らにとって唯一の救いである」
「そうだ。俺たちが今まで積み上げてきたもんは全部無駄じゃなかった。これからも俺たちが立ち止まらない限り、道は続く」
「来るか!人間!!」
「うおぉぉぁぁあああ!!」
「マスター!!」
「なんだよ、今イイトコなのに」
「何をしているのだ!?」
「ゲーティアと人理焼却ごっこ」
「本当に何をやっているのだ!?」
この後、全力疾走して来たロマンがソロモンして、場は収まった。
安心して。ロマン生きてるから。
戻り戻って自室。
「流石に死ぬかと思ったぞマスター」
「何処が?」
「何故、ビーストとなりきり遊びをしているんだ!?途中から訳分からんビームを全身から出されて尚、何故貴様は全て避けられる!?というか、アイツ割と本気で攻撃してたぞ!?」
「あの程度なら避けれるだろ」
「向こうが直接殴りに来たら対抗して、何故貴様は打ち勝てるんだ!?あれだけでマスターが死ぬ程の強さだぞ!?」
「ラッシュの速さ比べはまだまだのようだな」
「んあああああああああ!!!!!」
隣で発狂しているバーサーカーを尻目に考える。
あれから、一ヶ月程経ち、今ではある程度の魔術的知識はふわっとだが学んでいる。
エミヤやロマンに感謝だな。
かと言って、魔術師になる気はないけど。
とにかくそれいわく、神秘的な要素がないとサーヴァント達にはダメージを与えられないという。
簡単に言えば、ゲーティアとじゃれあい(?)をしていた時、ゲーティアは俺の攻撃に対して全くの無傷で、文字通り屁でもないという事だ。
ならば、神秘的なぽわーんとした魔術を習得し、強くならねばなるまい。
そう思索に耽る。
「…………うん」
めんどくさいわ。やめよやめよ。
これはそんな根性とか努力を謳う作品じゃねぇし。
そう結論づけ、考えを打ち切った。
布団に入ろうとすると、バーサーカーが真ん中を陣取っていたので横に転がしといた。
次の日の朝。
一週間の終わり。特に大学のない土曜日は非常に最高だろう。
二度寝最高。
しかし、そんな土曜日は俺の日常には当てはまらない。
二度寝と共に、隣から
上手く言ったつもりか。
こうして朝から、騒ぎが始まるのだ。本来あるはずの平穏とは真逆の生活だろう。
「マスター!!やったぞ!!」
「んっく、ちょ、鳩尾がまだ痛いからそっとしといて……」
「マスター!!」
「揺らすんじゃねぇ……!なんだよ、なんだなんだ」
「魔力不足で苦心して数週間……!遂にモーニングスターを出せるようになったぞ!」
「は?なんて?モーニングスター?」
「ああ!」
「なにそれ?何のこと?」
「これだが」
「すぐ仕舞え。トゲ付きハンマーのことかよ。朝から星になりたくねぇよ」
壁からメキメキと抜け出し、砂埃を払いながらシャワーを浴びに行く。「メシ作っとけよ」と言うと、「うぐっ」と呻きながらバーサーカーは了承した。
バーサーカーには以前から料理に興味のある様子だったので、実際に作らせて、少しずつ経験を積ませる様にしている。
少なめに作らせて、実際に食べて批評。さらにそこからバーサーカー用の品と不味すぎたときのための自分用を見本で見せる。
予め、バーサーカーにレシピを探すところからやらせて、基本的な技能をレシピ通りに作る事で上達、分からんところや応用を後で伝えてさらに成長させる、というコンセプトだが、実際のところ効果は出ている。
批評こそボロボロに言うと凹むが、そもそも最初は食べられないものの連続だった。焦げたり、炭だったり。
それでもバーサーカーが食らいついて努力した辺りは流石だろう。いい嫁になる前の原石の様なヤツだ。
シャワーから上がると、テーブルには半分に切られてトーストされた食パンの上にスクランブルエッグが乗っかっていた。
「割れたか」
そう聞くと、
「……割れた」
と返された。
どうりでいつも練習してる目玉焼きがスクランブルエッグに変わってるはずだ。雑に割ったせいで、黄身が破れたのだろう。
「割れた時の対応は柔軟でグッド。トーストは黒焦げでもなくて美味いが、スクランブルエッグは手際がものを言う。素早く混ぜることを心掛けるんだ。……ふむ、ケチャップか。味は丁度いいな。これはコーヒーが欲しくなる味つけに思えるから、今度実家からコーヒーのツールを取り寄せて使ってみるか?そろそろ和食も覚えて良さそうだし、色んなところに手を出してみてもいい頃合いだ」
「そうか……!」
「十分に満足出来る品だ。こっちに来い。ミスりやすい細かいところを見せるよ」
そう言って菜箸片手に卵を割り、手際よく卵を混ぜ始めた。
「「ごちそうさまでした」」
「やはりマスターのは美味いな」
「当たり前だ。じゃなきゃお前に教えるなんて出来るかよ」
牛乳を一気飲みして、郵便を確認しに行く。いくつかのチラシをテーブルに広げ、ゆっくり吟味していく。
何枚目かに、一風変わったチラシが目に付いた。
「ん?『スカサハによる誰でも強くなれるケルトトレーニング講座』?なんじゃこりゃ。この場所が英雄の集まりっつーなら教えを請う奴もいないだろうし、まさかマスターを鍛えようとか考える酔狂な奴もいないと……」
「……ほう」
「……あっ」
「マスター」
「な、なんだ?」
「それ、やってみる気はあるか?」
「……」
「……」
すっ、と立ち上がり、チラシを粉砕するためにシュレッダーに向かっていく。
無言で立ちふさがるバーサーカー。
「退くんだ」
「断る」
「体を鍛えろ」
「嫌だ」
「……」
「……」
「ヤマト式ステゴロパンチ!」
「アウトレイジ・アマゾン」
「グワァーッ!!」
「……なんだ今のクソザコパンチは?」
思いっきり引っ叩かれた。しかも煽られる始末。
これが神秘の差かッ……!ちくしょう!!!
ところ変わって、宴会をしていた例の多目的ルームへ。
引き摺られながら向かった先にいるのは、全身タイツ槍師匠ことスカサハである。サーヴァントの中での現代にはしゃいでいる筆頭で、迷惑にならない程度に暴れて楽しんでいる人である。弟子の青い誰かと毎回試合をしては瀕死にしているらしいが。
「ん?今回は貴様らだけか?せっかくあれだけ広告を作ったというのに……」
集まりが俺たち二人だけだったからか、少し不機嫌なスカサハ。
それとは対照的に、こっちの『
「今日からとは良かったではないかマスター。我がマスターたるもの、強くなってもらわねばな……!」
目を輝かせるな。
「ソデスネ-。ん?そういや、チラシには一回目の今日の日程しかないっすけど?」
「当然だ。今日で終わるのだからな」
「何という……!こんな優れた武の師がいたとは……!?」
「いや単純にスパルタ過ぎるだけじゃね?」
俺の声なんてどこ吹く風。
スカサハから訓練方法を聞かされている内に、俺は逃げ出す事を諦めて大人しく従う事にした。
「まず、どうせならば二人で参加するとよい。個人の力も重要ではあるが、パートナーとの連携も重要な闘いの智慧だ。息を合わせる事は、時に戦力を爆発的に上昇させる要因となるだろう。また、逆も然り。噛み合わなければ一人で戦った方が良いと思えるほど粗末なものになる」
「なるほどな。言われてみれば道理だ。流石はあのクー・フーリンの師匠だ」
「次に対戦相手だが、流石にすぐ私を相手にしろとは言わん。以前にセタンタにも諌められた事だしな。だから、代わりに適任の者を用意した」
「かのギリシャの大英雄、ヘラクレス(×3)だ」
「「「■■■■■ーーー!!」」」
「ちょい待てやァァァアアア!!」
「どうした?少年」
「どうしたもこうしたもねぇだろ!?なんでヘラクレス!?あとなんで増えてんの!?」
「相応の試練がなければ特訓になるまいよ。ああ、増やすのは案外簡単だったぞ」
「あんたの中でヘラクレスは一体どうなってんだ!?そんなホイホイ作れるもんなの!?」
「はっはっは。相変わらず元気だなぁ!!坊主!」
「へっ?」
突然聞こえた男の声に、思わず振り返る。
そこには、一人だけ朗らかに笑うヘラクレスが。なにあれ怖い。
他のヘラクレス二人とも「…………」みたいな感じで睨んでんのになんだお前だけ喋れるんだよ。
「俺だよ俺。なんてな!変装までは見せた事なかったっけか?」
そう言ってヘラクレスから変化したのはアサシンこと、燕青だった。
「あんただったのか。確かに、変装のプロフェッショナルに頼めば簡単だけど……。なんでわざわざ協力してんだ?」
「なに。聞けば、お前はあのベオウルフとも対等にやりあえてるらしいじゃないか。ちょっと俺も腕試ししたくてね。まぁ、ここにいると腕が鈍るから、ってのが最大の理由かね」
「なるほど。確かにそう考えると武闘家には現代はツライかもな。……ちなみにもう一人のヘラクレスって誰?」
「バーサーカーのランスロットさ。ほら、あいつにもあるだろう?『
「あれ?あれは確か、ステータスの隠蔽とかのスキルじゃなかったっけ?」
「なんでも令呪ってのを使えば変身出来るらしい。後は本人の気合次第でも出来るって聞いたな。実際、月の聖杯戦争の延長線上では色んな奴に変身してたらしいし」
「頑張ればやれるのか」
「ちなみに、なんでランスロットは参加を?」
「スカサハの姐さんが頼んだら一発だったぞ」
「性根は狂っても変わらんのな」
「おい、ヘラクレス。私を覚えているな」
「■■■■■ーーー!?」
見ると、バーサーカーがヘラクレスに話しかけていた。
彼らは面識があったのか。もしかして友人だったりしたのかな?
「忌々しい事に、我が姉の仇が目の前にいるな?」
「■■■■■ーーー!?!?」
バーサーカーの言葉と共にギラリと光る彼女の眼光。
あっ、これ違う。やばいヤツや。
ステイ、ステイですよバーサーカーさん。
ヘラクレスさん何やってるんだよ。コイツめっちゃ怒っとるやん。
なんかヘラクレスの巨大な体躯が凄い小さく見える。反省はしてるのか。
いや、おれだって家族がやられたらブチギレするし、弁護する気はないけど。
ちょっと気になるのが、バーサーカーの方のバーサークしない点だ。こういう時どうなるんだろう。
以前の飲み会で(よく分からんが)俺が近くにいれば絶対に狂化のスイッチが入らないと聞いた。
原理は相変わらず知らん。
もしかして、過去の因縁を持ち込まずに仲良くしようと対応出来るのでは……!?
「今すぐ、潰れて死ね––––☆」
「■■■■■ーーー!?!?!?(逃走)」
「ヒャッハー!!死ねぇ☆」
あっ、ダメだこれ。怒りが一周回った挙句、狂えないせいでテンションが変なことになってる。
正直、語尾に何をつけてもバーサーカーの殺意は隠せないと思うんだ。
今朝に出来たばかりのモーニングスターを取り出して暴れまわる俺のサーヴァント。自分のサーヴァントを御しきる?出来るわけないだろ。
「よし、始めるとしようか」
スカサハから無慈悲に告げられるトレーニング(という名の殺戮)の開始の合図。
てか、あいつ一人でよくない?
俺は若干蒼褪めてる燕青に、「ヘラクレスにならなくていいから、こっちで手合わせしようぜ」と言葉を投げかけ、燕青はそれに頷いてくれた。
燕青との試合を切り上げた時、ランスロットはヘラクレスに変化したまま壁に埋まり、ヘラクレス本人は文字通り肉ダルマになっていた。
生きてはいた。とは、思う。
バーサーカーは妙にスッキリした顔をしていた。
「さっき言った事を忘れたのか?連携が重要だと言ったろう。それをお主らは何故各々で闘い出すのだ」
「でも、スカサハさん。あの時のあいつに割って入ったら俺が死にます」
「お主なら出来よう」
「話し聞いてます?出来ませんって」
「最悪、死んでも問題はないから安心するがよい。こちらで治せるからな」
「『問題はない』じゃねぇよ!?話を聞けBBA「あ?」……って、クー・フーリンらしき青タイツが愚痴を言ってました」
「分かった。セタンタは後で刺す」
「マスター。今の会話は愚かだと思うんだが?」
「自分の命が優先だ。悪く思え」
「……!!……あー、釣果は悪りぃが、今師匠から殺気が飛んできたから帰りたくねぇな……」
ランサーを生贄に、免罪符を召喚。
この人でなし?……まだ死んでないぞ。
スカサハがヘラクレスの代わりの相手を探しているため、現在は待機である。
今いるのは、俺、バーサーカー、燕青の三人だ。
俺のところのバーサーカーにしばかれたヘラクレス二人は、どこからか現れた鉄の看護婦に持ってかれた。
「へぇ、あんた料理すんのか。悪いが、そういうのは疎いと思ってたんだけどな」
「つい最近、マスターに触発されてな。人に出せれるものではないが、部屋に来ればご馳走してやろう」
「俺がな。お前、人に出せねぇもんを食わせるのか。ともかく、歓迎はするよ燕青。気軽に来てくれ」
「今度、行かせてもらうさ。サンキュー!」
「……変装すんなよ?」
「誰で来て欲しいんだ?」
「グラマーでぼんきゅっぼんって感じで、後は……」
「マスター?」
「……これは罠だ」
「はっはっは!!愉快だねぇ!!」
こんな風に歓談に花を咲かせていると。
「待たせたな」
「あっ、スカサハ先生」
「うむ、私を先生と呼ぶその意気やよし。だが、もう少し敬意を持つがいい。だらけながら言えば、いつ槍が飛んで来るか分からんのだからな」
「もう飛んで来てるんですが?」
「難なく掴むマスターもどうかと思うが」
「やっぱお前、人間にしちゃ中々いい線いってるぜ?」
「とにかく、次の相手はこやつだ」
そう言って、半開きのドアを全開にするスカサハ。
そこに出てきた相手は。
「–––––––––––!!」
「「「……え?」」」
……なんかクトゥルフっぽいの出て来た。
「いや、なんっすかそれェェエエ!?」
「デメキンみたいにキモい奴から拝借した。攻撃してくるので持ってくるのに苦労したがな。名前は『サイコー・ノクール』ちゃんだそうだ」
「それ名前違う!『最高のCOOL』系キャスターのヤツや!?」
「うぐっ……」
「なんか、すごいうねうねしてんな……」
あまりの気持ち悪さに絶句するサーヴァント二体。
ていうか臭っ!!
あー、SAN値が削られるー。
「頑張れよ勇士共。精々、己が生き様を刻め」
「ええい、やってやるよ!バーサーカー!燕青!応戦するぞッ!!」
「分かっている!」
「おっしゃ、やるかぁ!」
駆け出していくサーヴァントを率いる様に突撃する
敵は海魔。質量的に考えれば、大体男五人分ぐらいの大きさだ。
この程度なら。
「俺は神秘ねぇから動いて撹乱させる!バーサーカーと燕青はその隙に吹っ飛ばせッ!!」
三人でも行ける筈だ––––––!
蛸よりも気味の悪い触手が俺に向かって伸びて来る。
回避と同時に、触手同士を結びつけ絡ませていく。妙に粘っているから気持ち悪い。前方から発射される体液には身体を捻って対応する。
幾重にも重なって触手が飛び出せば、体操選手のように華麗に避けていく。
回避運動は割と得意なんだよ–––––!
不意に背後から、他の触手が鞭の様にしなり、迫って来る。
しかしそれには目もくれずに回り込む。
触手は高速でうねりながら俺の首筋に狙いを定め–––––。
「あーらよっとぉ!!」
燕青の一回の殴打によって破壊された。
燕青とは、燕青拳の始祖。
この程度、壊せずして何が拳の使い手か。
「千山万水語るに及ばず!」
隙あらば本体の中心に掌底や蹴りを繰り出してはすぐに退避するヒット&アウェイの戦法をとっていた。
「爆ぜよ!」
バーサーカーが鎖に繋がれた鉄球を振り回し、海魔を潰し、砕き、吹き飛ばす。相手の攻撃が来ようが、諸共弾いて消し飛ばしていく。
「おいおい、効いてねぇのかよ……!」
「くっ……退がるぞ!」
しかし、まとわりつく足に変化は無い。燕青の呟きを聞き、この海魔には何かあると踏んで即座にヤマトは一時退避を指示した。
貫かんとする海魔の攻撃を各々、跳躍、カウンター、ステップでいなしながら元いた場所に戻る。
「再生能力だな」
燕青がそう告げる。
「ありゃ、一気に勝負を決めなけりゃまずいタイプだ。対軍宝具でもあればいいんだが……バーサーカー、あんたにその持ち合わせは?」
「……無いな。スカサハとやらも中々敵を選ぶ目が良い。流石だな」
「……」
再生能力。ならば、納得はいく。先ほどから燕青が近くにいたからか、手応えのある攻撃がいくつか見えていたのだが海魔に倒れる様子はなかった。
合点がいったことで、戦略を組み立てていく。
今、出来ること。
燕青。
「宝具の規模は?」
「対人だ。もうちょい小さいならいいんだが」
バーサーカー。
「令呪っての使えば行けるか?」
「あやつと同じ対人宝具だが、少しヤツは大きいな。半分にでもなれば確実に殺せよう」
「なるほどなぁ」
「じゃあ真っ二つに斬れば良いんだな?」
「おっ、なんかあるのかい?」
「剣には少し覚えがあってね。バーサーカー、確か剣を持ってたよな。貸してくれ」
「ん?無いぞ?」
「あ?」
「え?」
「前言ったではないか。貴様から魔力来てないから他の武器も服もまともに出せないと。モーニングスターだって、今朝出せたばっかだぞ」
「おいおいマジかよ……」
「いや、せめて服を先に出せよ。そういや、いつまで俺の服着てんだよ」
「いいから、魔力を寄越せ能無しマスター」
「お?やんのか脳筋バーサーカー」
「着目する点が違うだろう!?てかっ、それどころじゃねぇって!!」
「「……ん?うがああああ!!」」
会話の間に海魔が待ってくれるワケもなく。
一本の触手に仲良く払われる二人。
「ぐえっ」
「がぁっ」
「重いっ!!」
「ちょ、まっ、ぎゃあああ!!」
バーサーカーに乗っかり、押し飛ばされる俺。綺麗に回り、頭から着地した。
何故、追い討ちが……。
「何やってんのさ……」
呆れる燕青を尻目に、ヤマトは考える。
そもそも、今までまともな供給を行えてないヤマトである。
何度か試そうと思ったが、バーサーカーの擬音だらけの説明でほとほと参っていた。未だにイメージすら掴めていない。
だって、「だから、ぐわーって出せばいいだろう!」的な事を言われりゃ「は?」としか言えないだろ?
「くそっ、どうすりゃいい……!?」
今、思えば、今日は散々な土曜日だった。
ついでに死ぬのかもしれないのだから。
もうダメかもしれない。
そう思った時だった。
「もう一つの血管をイメージしろ」
呟くようなスカサハの声が、体の奥にまで響いた。
「それが魔力が流れる道だ。……
…………。
…………出来る。多分。
イメージを明確化させる。全身に青い線が流れるような感覚。
それを体の中で循環させていく。
瞬間、全身へ痛みが走った。
目を開けて、全身を見る。
腕や体全体に変化はない。だが、確かにいくつかの線が見えた。
なんとなく、体内にある。それがわかる。
「燕青」
「どうした?」
「時間を稼いでくれ。少しだけ、要る」
「りょーかい」
音速で海魔に向かう燕青を軽く見送り、集中を続ける。
この時点で修行もせずに魔術回路が開くという天才じみたことを行なっているヤマトから脂汗が浮き出て来た。
「マスター……」
「すぐ終わらせる。待っててくれ」
何がいい。これで何が出来る。
いや、そんな事よりも今は。
今は、バーサーカーに魔力を送る事だけを考えれば。
ふと、彼女を見上げる。
確かに、今。
バーサーカーとのラインが見えた。
そう、確信した。
あれだッ……!!
「……!?うあ……!」
急造の魔力をそのラインに詰め込む。
バーサーカーが一瞬、驚愕に染まる。急な供給による衝撃が来たようだ。
そして、その彼女の手の中に。
一振りの剣が握られていた。
「よし、行くか」
「ああ」
「終わったかい!?そろそろ来てくれねぇとヤバかったな!!」
「待たせた。やるぞバーサーカー」
「ああ。その剣、折るなよ」
「言ってろ」
海魔の正面に立つ。
構えは必要なく、ただ柄を握るだけである。
異端なれど、その構えは居合。
呼吸を整え、一息に放つ。
「居合斬り–––––
かつての、記憶を反芻する。
俺自身の起源を。
『父ちゃん。俺……』
『そうか。坊っちゃんの竹刀で相手を傷つけてしまったことを考えて苦しんでいるんだね?大丈夫だ、安心して』
『だって……俺がケガさせたんだし……』
『詫びは大人がやるべき事だよ。坊っちゃんは謝る心を、ごめんねと言える心を持っていれば問題ないんだ』
『……』
『覚えておいて。剣の道には、二つの大きな道がある。殺人剣と活人剣の二つだ。君が選びたい道を探しなさい』
『……俺は……』
『ゆっくりでいい。今、決める事じゃない。どちらを選んでも、正しくも間違ってもいないんだ』
『……父ちゃん』
『坊っちゃん。君が道を選んだ時。ここにまた来なさい。その時には、君のための剣がここにある』
『それまでに、剣の在り方を見失わないように』
今はまだ答えは分からない。
しばらくは身勝手な剣となろう。
構うもんか。
目の前にいるてめぇなんざ。
––––––––裂かれて死ね、ってな」
逆手で抜刀されたその剣は刹那の殺気を乗せ、一寸の狂いなく海魔を両断した。
ここで畳み掛けるは、中国拳法の始祖とアマゾネスの女王。
「おっしゃあ、行くか!!『
「令呪を使う!『アイツをぶっとばせ、バーサーカー』!!」
「『
「『……
「『……
三人の目の前には微塵と消えた海魔の残骸だけが残った。
「…………で、終わればよかったのにな!本当に!」
その後。
これからが本番とばかりにスカサハが前に出て、「お主と一対一でやろう」と名指しの処刑。
やっとのことで怪物を倒した後の、これである。
死ぬ。
その後の記憶がないところまでがケルト式訓練のテンプレだろう。
え?スカサハ戦での見どころ?きっとねぇだろうよ。
一発ボコっとやられて終わりじゃね?
ただ、あれだ。
たま〜にだが、あの後を期に、師匠から熱い視線をもらう。
恋の視線?違うわ、バカ。どう考えても殺気だわこれは。
なんてーの?「もう一回戦おうぜ」みたいな感じ。
とりあえず、見つかったら逃げるしかないので。
やっぱ、強くならなくてもいいや。
これだけは強く思った。
そういや親父、元気にしてるかな。
最近、会えてないな。
あの海魔との戦いの時に、一緒にフラッシュバックした事がある。
『あのさ。なんで俺のこと坊っちゃんって言うんだよ。父親なら俺を名前で呼べよ』
『それは、私が本当の父親じゃないからですね』
『あ、そうなんだ。だから……か……。え?』
『あっ。つい、うっかり』
『ええええええええええ……』
あの時、邪念が入ったせいで若干、切っ先が鈍った。
もう少し綺麗に斬れるはずだったんだが。
あの時に言っていた、『俺のための剣』というのはもう出来ているのだろうか、親父のヤツ。
あれから、剣の道とやらは定まらない。
「マスター」
「ん?」
「魔力不足だ。結局、モーニングスターと剣しか残ってないんだが」
「あ?供給って結構辛いんだけど、他に出来る事なかったっけ」
『AUOから学ぶ初心者サーヴァント講座』を取り出し、簡単な方法を探す。
「別に、普通に供給出来るならいいだろう。早くしろ」
「ウルセェ。こっちはあの後怠くなって……ん?」
「どうした?」
「あんじゃん。ここだここ。えーっと」
「魔力供給の仕方」
次の日から、バーサーカーが俺を避けるようになった。
ヤマト
意外にもボンボンな万能超人。養父は鍛冶屋を経営する優しい人で、実父からヤマトを育てるよう言われた。
一話に出てきた親父は血が繋がっている方で、偉いのにヤマトに蹴られている。なんていうドラ息子だ。
バーサーカー
服を着てくれ。
スカサハ
エロタイツ師匠。超エンジョイ勢。隣で高確率で青タイツが倒れてる。
ヘラクレス
うっかりバーサーカーの姉、ヒッポリュテを殺してしまった。そりゃ恨まれるわ。
燕青
ヘラクレス二号機。侠客であり、意外と気さく。女の子にもなれる。大歓喜。
ランスロット
ヘラクレス三号機。アーサー王物語の裏切り者。ヘラクレスになってたら気付くとボコボコにされてた不憫なフルアーマーランスロット。
COOLキャスター
ジャンヌぅぅぅぅうううう!!!