Fate/箱庭の英雄達   作:夢見 双月

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色々やっていると、頭こんがらがってなにもやる気起きなくなるんですね。
しばらく書く気起きなくてどうしようと思って、それでも書かなきゃと思って……。
気づいたら令和直前……本当に申し訳ないです。

失踪はしないように頑張りますが、それでも不調や都合により遅くなる事も多くなるかもしれません。
その時は長い目で見てもらえると助かります。
これからまた少しずつ頑張り始めますので!


料理デス! オア デッド!?

「おはよう」

「ああ、おはよう」

 

 何気ない挨拶から始まる土曜日。

 大分このマンションでの生活に慣れてきた俺は少し前に大学の入学式を終え、平日の授業が始まった。それと同時に、バーサーカーも外出の権利をゲットするために勉強を始める。

 バーサーカーの現代知識については、聖杯(って何なの?)によって知識を最低限は教えられているらしいが、それはあくまで最低限であり、やはり現代の人間と等しい水準の常識になるには苦労するそう、というのはロマンの言葉だ。

 

 特に、現代人はルールが異様に多い。昔なんかでも法律はあったかも知れないが、現代程ではないと思うぐらいには、この世界は複雑だと思う。

 昔の法律といえばハンムラビ法典とかかな。確か『目を失ったなら、相手の目を抉れ』的な言葉があったはずだが……。まぁ、それらの法律と比べると雲泥の差となるほどには今のルールは難しいものとなっているだろう。

 

「……〜っ、むむっ?」

「本を読みながら朝飯食うのは流石に感心しねぇな?……置け」

「くっ、分かっているが……はむっ」

 

 サンドイッチを片手に、眉間にしわを寄せながらいろんな本を読みふけるバーサーカー。

 どれだけ外に行きたいんだ。

 

 しかし、こんな風貌をしていても本が苦手というわけではないらしい。腕には敵を切り裂く為の爪が付いているバングルはあるから、かなりの武闘派というか、脳筋に近いタイプかとは思っていたのだが……。

 しかし、集中し過ぎて睨むように見てしまう性格なのだろう。睨みつけて一点を見るような目の使い方は、比較的目を悪くしやすいから注意するべきだ。外に出られるようになったら服を何着か似合うのを選ぶだけでなく、無理をしないように眼鏡を買うのもアリかも知れない。

 

 野蛮だが意外と生真面目なバーサーカーに、眼鏡。

 似合うかどうか。

 

「……む。……どうかしたか?」

「いや、なーんも」

 

 俺はそう言ってコーヒーを啜った。

 

 苦っ。

 

 ミルクと砂糖を入れるのを忘れてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、そこの子ブタ! あなた、料理が上手いって? ちょっと頼みがあるんだけど」

「何回も出てきて恥ずかしくないんですか?」

「私って、あなたとは初対面よねぇ!?」

 

 大きなツノをつけた、やたらとピンクが映える少女に絡まれました。

 助けてください。

 

 英霊『エリザベート・パートリー』。自称アイドルを名乗る問題児、らしい。

 とある赤いセイバーとの公演ではチケットを押し売りし、事情もわからぬサーヴァントや同居人を歌という名の超音波で阿鼻叫喚の地獄絵図を作り出した張本人であるという噂があるが……。

 

 火のないところにケムリは立たぬ。

 触れぬが吉と判断して接触は避けていた。

 

 どんな暴走具合なのかが分からなかったために、ただひたすら避ける事を徹底していた俺だったが……ついに今をもって捕捉されてしまったらしい。

 

 ぷりぷりと怒りながら俺を椅子に座らせるエリザベート。もちろん、椅子を引いてくれるなんて事は無く、ただアイコンタクトで『ココ座れや』と合図しただけである。

 

 なんだコイツは。

 

 色々余計な言葉とともに本題が流れて来たので、それらを頭の中で省いて要点をまとめる。簡単に言えば、料理の腕向上の為に味見役をやってもらいたいらしい。自分で味見をすればいいだろう、という俺の意見は一貫して無視された。

 

 なんなんだコイツは。

 

 そもそも。

 絡まれたと言ったが、エリザベートがわざわざ俺に直接会いに来た訳ではない。形としては、自分から罠にかかっていくような愚行そのものを体現してしまった形になる。

 何故そんな事になったか。理由は隣の赤い男である。

 

「……ふっ」

 

 そう、ニヒルどころか、邪悪な顔で笑うエミヤ。

 

(テメェの所為だぞ、この紅茶ぁ〜〜!!)

 

 そう叫びたくなる気持ちを限界まで抑えつけ、眉ひとつ動かさないまま眼をエミヤに向けて睨み返す。……あ、エミヤの口角がさらに上がった。しまった、無表情のまま睨んだから笑えて逆効果になってしまったか。

 このやろうっ。

 

『料理について、別の観点から意見を貰いたい。すまないが手伝ってくれ』

 

 そう電話を通して連絡しにきたのが正午を過ぎる前。

 エミヤからの誘い出しに、以前の件で迷惑をかけた負い目もあって軽々しく了承してしまったのがここに至るまでの分岐点だったのだろう。今思えば、エミヤから発せられる声に妙な感覚を覚えたものだったが……。

 

 俺を巻き込む為に、平然と諸々の感情を押し殺(ポーカーフェイス)してたな?

 ……おい、その顔やめろ。お前もまだ地獄の底に浸かってるんだからな?

 

「あのー、エリザベートさん……でいいか?」

「エリちゃんまたはエリザと呼びなさい。そっちの方が可愛いから。で、何かしら子ブタ?」

「じゃあ、エリちゃん。そこに見えるのは、料理の材料でいいんだよな?」

「ええ、そうよ。今からとっておきを目の前で披露してあげるから泣いて喜びなさい」

 

 なるほど。料理を作る前という段階なら、エミヤの言った『料理のアドバイス』というのもあながち間違いではないのかもしれない。如何にヤバそうな料理の腕だとしても、事前に口出しすれば矯正の道は見えるだろうから。

 

 問題は。

 

「なんで食材がことごとく赤いんだぁ……!?」

「諦めろヤマト。私は諦めた」

「悟ってんなぁ!? なら一人で勝手に死んでろよ! 俺を巻き込むな!」

「騒がしいわね。叫ぶほど嬉しいのかしら。早速ちょうりちょうりぃ、っと♪」

「くっ、……待つんだ!!」

「……なによ」

 

 不機嫌オーラを隠すこともなく細目になるエリちゃん。だが、引くわけにはいかない。ここで引けば、不味い料理以上の劇物が目の前に置かれる予感がある……!

 なら……!

 

「テストを……させてくれ」

「は?」

 

 エリちゃんにとって突拍子のない提案だったのは、その顔を見れば一目瞭然だった。

 

 そんなわけで、目の前に置くのは赤く陳列された内のどれでもない食べ物。

 その丸くて白いソレは、サイズは大きいものの普通に販売されているものと同一のものだ。

 

 それは、卵である。

 

「料理において大切なのは組み合わせと最適な調理だ。だが、何も美味しいものを重ね合わせ続ければ究極の品が出来るわけではない。世界三大料理の一つと呼ばれる中華料理などはよく『足し算』の料理と呼ばれ、あらゆる物を料理に使うのは周知の事ではあるが……。反対に、『引き算』の料理も存在する。こちらは中華料理の鮮烈さと違い、繊細な味わいを楽しむ事が出来る。その筆頭とも言えるのが日本料理だ。生食なんかがあるのも特徴だが、寿司のように生のままの食材を調理せずに酢飯に乗せて食べる、なんて料理は外国ではあまり見かけないのも特徴だ」

「つまり、何が言いたいのかしら?」

「君が用意した食材。それはいわゆる『足し算』の料理をするための食材だろう。だが、沢山の食材をゴミに……いや、使わなくても少量の食材で料理の上手い下手は判別出来る」

「ふーん……」

「もちろん、特定の料理のアドバイスが欲しいなら話は別になるけどな。その前に、君の腕をこの卵を使って計りたい。……なにせ初めてエリちゃんの料理を初めて食べるし、どちらかといえば苦手な部類だと前もってエミヤに言われたようなもんだからな。エリちゃんは前菜の一つだと思って作ってくれればいい」

「なるほどね……。確かに不安だと思うのは当たり前の感情よね。えーと……」

「ヤマトだ。子ブタなんかと呼ばれるより名前で呼んでくれた方が嬉しい」

「分かったわヤマト。その挑戦受けて立つわ! アイドルは家事も完璧だってところ、見せてあげるっ!」

「あー、アイドルってそんなんだっけ? まあいいや。ちなみに料理は卵だけならなんでもいいぞ。目玉焼きとか、卵焼き。あとはスクランブルエッグぐらいかな。好きに作ってくれ」

 

 早速、調理に取り掛かるエリちゃん。いきなり意図も意味も不明な行程が来るかもしれないと身構えていたが、予想外にフライパンを手に取ってくれた。思ったより大丈夫なのかも知れないと希望が少し見えたぞ。

 実は、日本料理がなんだのと御託を並べてはいたのは結局の所、俺に来るであろうダメージを軽減するためである。禍々しい食材や異質な調味料が使われることを減らす事により、不必要な危険を退けるという算段だ。ちなみに、料理の腕なんかは微塵も期待してはいない。

 そんなのは隣のエミヤの様子見れば想像できるだろっ!

 

 処刑前の晩餐、っつーぐらいに全身真っ白になってんだぞ!?

 

 あまりの白さに驚きと心配を織り交ぜつつも、エリちゃんに聞こえないように小声でエミヤにコンタクトを取る。

 

「おい! 少しは楽にしてやったんだから感謝しろよ……! 後は、難癖つけて俺たちで完全監修すればなんとか一命は取り留め––––––あれ? エミヤ、聞いてる?」

 

 返事が来ない。それどころか、生きてる気配がない。まるで人形を目の前にしているかのような……。

 そう思っていると、次第にエミヤだったものが透けていく。

 

 やがて、人形だったものの構成されていた魔力の塊が空気中に溶けていった。

 

「えっ……?」

 

 不意に紅茶の声が頭の中に反響した気がした。

 

 投影開始(トレース・オン)––––––☆

(アイツ逃げやがったァァァアアア!?)

 

 ふざけんなぁ!! あんの野郎、自分そっくりの人形を投影して逃げやがった!! しかも余裕綽々と投影を消しやがってぇ! テメェのどこが正義の味方じゃあ!! 

 

「出来たわよー」

「ぐっ……!」

 

 あの野郎をどうしてやろうか考えていると、悪魔の宣告が告げられる。

 ……いや、まだ悪魔と決まったワケじゃあない。料理も見ずに勝手に決めつけるのはダメだ。エリちゃんがそもそも悪魔みたいな格好だけど。

 

「これが私の目玉焼きよ!」

 

「……ほう、綺麗な半熟の黄身だな」

「我ながらいい感じに焼けたわ!」

 

「……白身は、少し黒いな」

「うっ……、少し焦げたの!」

 

「……そんで、この赤い部分はなんだ?」

「……あ、赤身??」

「んなわけあるかこの野郎……!」

 

 何故、赤くなるのか。これが分からない。

 赤身は魚の身を呼ぶためにある一つの名称だ。

 断じて。

 

 断じて。

 

 赤い目玉焼きなんて存在しない。

 

 ソースみたいにかけられてるとか、そんなものではないのだ。あろうことか、黄身のど真ん中に陣取ってやがるのだ。この赤いナニカは。

 

 正直、食いたくない。

 うわっ、赤身(?)が黄身をどんどん侵食していってる……!?

 目ん玉みたいなデザインになって来た挙句、なんかこっちを睨んでるかのように見えるんだが。

 

 これがほんとの目玉焼き、ってか。うるさいわ。

 

 恐る恐る、口に運ぶ。

 マナー的に外側から食べなければならない分、より恐怖が助長される気がする。

 

 白身、淡白で良し。

 黄身、とろりとして濃厚。

 赤身……やっぱこの色どう考えてもおかしいってぇ!!(思考放棄)

 

「やっぱ食べたくない! やだぁ! 誰か助けてくれェェエエ!!」

「ヤマトあんたっ、このアタシに作らせておいてそれはないわよ! 食べ物は粗末にしちゃダメ、って親に教わらなかったの!?」

「お前に言われたくないわぁ!!」

 

 こんなおぞましいもん作っておきながら、この小娘は何を言っているんだ!?

 

「仕方ないわね……。ほら、あーん」

「ちょ、マテヨ! その劇物を俺に向けるなっ、こっち向け……ん!」

 

 パクリ、と。

 一瞬の出来事だったように思える。

 

「ムグッ……。……ッ!? ゴハァ!?」

「あら、入ったわ」

 

(ガタガタ……バタン!!)

「イスから転げ落ちるぐらい美味しいのね!」

 

(ビクンッ……ビクンッ……!)

「震える程美味しいのねぇ!」

 

「……」

「気絶するほど美味しかったのねぇっ! よかったわ!」

 

 そんなわけあるか。

 彼が生きていたならば、そう言っていただろうか。

 

「さて、この調子よエリザ! どんどんと舌がとろけるほどの料理を作っていかないとね!!」

 

 おいやめろバカ。

 舌どころかいろんなところが溶けるだろうが。

 そう言って止めることができる人間はここには居なかった。

 

 

 ▽▽▽

 

 

 ガチャリ、と扉を開けて部屋に入る。

 バーサーカーは黒の薄い上着に白の緩いTシャツを身に着けて、外出から帰ってきていた。その服は今のところマスターの私服なのだが。

 

「ロマンからの資料は中々役に立つ。次からは許可が無くとも持っていっていいとはなかなか。精々これからも使わせてもらうとしよう」

 

 満足気に言い放った言葉は、リビングの方へ。

 しかし、返答が聞こえるはずもない。

 

 いつもならば「おっ、よかったな」ぐらいの言葉が聞こえるはずだが、生憎と今はマスターたる人間はここにはいない。

 

 エミヤとの電話に出て、料理を教えに行くと言っていたからだ。

 

 

 だから、いないと思っていた。

 

 

「……マスター、いたのか?」

「……」

 

 本を読んでいた。椅子にもたれかかり、机にはコーヒーが一杯置かれている。寝ているようにも見えた。

 反応しない事によるムカつきが自分の腹の底に見えたが。ふと、思い出す。

 

 ここ最近の私は、このような感じではなかったか?

 

 他人の振り見て我が振り直せ、という諺をマスターなら嬉々として教えるだろう。

 たまたま目に移ったマスターの行いによって自戒する。特に、最近はマナー関係を勉強しているバーサーカーである。より深く理解するため、観察する事が増えたからこそ気づいたことであった。

 

 自身の成長を実感しながらも、しかしマスターに無視されるというのは面白くない。

 普段はマスターから近づいてくるというのに。

 いつもとの違和感によって、何かが少しズレている気がした。

 

 しかしだ。自分のサーヴァントを無視してまで読む本というのには興味がある。

 言ってしまえば、私の事を考えてくれているのは分かる。だが、彼自身は中々に自分の事を教えてくれない。少し前に鍛冶屋を営む養父が居る事は教えてくれたが、ヤマトの好物などは一切知らない。

 

 自分がヤマトの話題を話さないだけなのかもしれないが。

 

 そんな好奇心も相まって、コッソリと……実際にはバレても問題ないと思いながらも後ろから近づいていく。

 ひょいっ、と顔をマスターの肩から出し、読んでいる本を確認する。

 

 見覚えのある、子育てに関する本だった。

 これはバーサーカーがロマンに借りた本の一つである。

 

 あくまで、現代知識としての常識を補完するためのものであり、これを読むのに下心は存在しない。

 バーサーカーは女性であるから、むしろ読むべきともヤマトに言われた。例えば、公園で泣いている子供への対応が間違っていたらどうする、というような不安を解消するため。このような考えが二人の中で一致した。

 

 こんな感じで主従の二人は極めて純粋に考えているため、側から囃されたとしても疑問符がこの二人につくぐらいには、色恋に疎い二人組なのだ。

 

 知識を蓄えるために読んでいる。そう考え、借りた本の一つだったためにどの本か理解したバーサーカーはあっさりと引っ込んだ。大方、マスターは目の前にあったから読んでいるだけで、大体は把握しているのだろう、と思いながら。

 

 ふと、黒いコーヒーに目をやる。

 しばらく眺めて、何の気なしに呟いた。

 

「ミルクと砂糖はいいのか?」

 

「……ん、ああ、ブラックのままだったのを忘れていたか。すまない、砂糖とミルクは何処にあったか……?」

 

「……」

 

「……どうした?」

 

「ここだ」

 

「ありがとう」

 

 手を出そうとして、手が止まった。

 何故なら彼の目の前には、既に武装したバーサーカーが殺気を放っていたからだった。

 何か、確実にズレている。

 そう、バーサーカーの直感が警鐘を鳴らしていた。

 

「今朝の事だ。……覚えているか?」

「何の話だ?」

 

 バーサーカーの手にはモーニングスターが握られている。

 そこにはいつもの姿のバーサーカーではなく、本来の姿である戦士の眼で睨みつける英雄が一人。

 

「今朝のことだ。マスターはブラックコーヒーを飲んで顔をしかめたのだ。余所見しながら飲んだせいか、何も入れてない事に気付いてなかったようでな」

「……」

「だから、テーブルに砂糖とミルクを()()()用意して置いたんだ。……知っているか? 人間の記憶力というのは他人が行った事に比べて、自分で行った行動に対しては比較的覚えてる事が多いそうだ」

「……ふむ、なるほど」

「マスターの受け売りだ。そういう豆知識を教え伝えられるのは我がマスターの美点だが……」

 

 

 

 

「その事を知らずにどこに置いたか忘れたなどとほざく貴様は何者だ。今思えば、胡散臭いぐらいにマスターに似ている貴様は一体なんなのだ!?」

 

「……全くの偶然か。それとも血は争えないという事か。戯れとはいえ、ここでネタバラシというのも哀しいものではあるが、ふむ……仕方ないな」

 

「……認める、という事だな?」

「それしかあるまい。もとより、いつかはバレると踏んでいた」

 

 マスターだと思っていた男が、バーサーカーに向く。

 外見などは一切似ていなかった。

 完全に私服で過ごしているヤマトと比べて、堅く漆黒のスーツを纏っている。銀髪のその人物による、前髪によって隠れた片目から射抜くような視線が刺さる。

 やや能天気な声色とは裏腹、その顔には何も表情が張り付いていない。

 黒の手袋をはめ直す仕草の後に、悠然とイスから立ち上がった。

 

「何故……と、思ったか?」

 

 男の声が正面から聞こえる。

 

「何故、外見にかかわらず騙されたか。何故、自分がそれに違和感を持てなかったか。……それらは全て単純な事だ。視覚以外の情報全てにおいてヤマトという人間と錯覚させられていたからに他ならない。私が錯覚するように仕向けただけの事だ」

「貴様……何をした。アサシン紛いの変装ならばサーヴァントである以上、看破できる筈だ」

「どうということはない。ならば君たちが気づかぬ程度に極めればいいだけの話だ。無論、これらは誰でも出来る範疇のものに過ぎない。所詮はただの技術だ」

 

 ただの技術、という言葉にバーサーカーは頭の底で引っかかった。

 気付いたのは偶然だろう。

 

 誰かと同じ。技術、という言葉で片付ける人間。

 

『魔術じゃねぇ、技術だ』

 

 ––––それはまるで、マスターのようではないか。

 

 

 この人間は、ヤマトという個人になりきる前から似ているのだ。

 

 

 マスターに似ている人物という事はつまり、遅かれ早かれ彼らの見えない接点に気付くものだ。さらに、敵意がないというのならば、人間関係が近い人物と絞り込む事も出来る。

 

 故に、真っ先にバーサーカーは家族関係であると感づいた。

「まさか、鍛冶を営んでいるというマスターの父親……?」

「……そうか」

 

 

 同時に、違和感も感じていた。

 しかし、その正体まではバーサーカーも分からなかった。

 そして、その違和感は目の前の男によって払拭されることになる。

 

 

 

 

「鍛冶……という事は、そうか。アイツは養父の話はしていても、実父の話はしていないのだな」

「実父……だと!?」

 

 

 家族関係ではなく、血縁関係。

 似ている、その根幹とは遺伝子の相違である。

 例え、育ての親であろうと養子と血を繋げる事は不可能。それゆえの違和感。

 

だが、それらの知識は知っていなくとも、バーサーカーは直感で感じ取った。

 

 

「アマゾネスの気高き女王、お初にお目にかかる。私の名前は東条斬人(トウジョウキリヒト)。以後お見知り置きを、といったところだ」

 

『このにんげんこそが、マスターの父親だ』という事を。




ヤマト
エミヤにカンチョーした負い目を感じて今回参加。すぐに後悔。次回にはたぶん復活してる。

エミヤ
それが正義の味方のすることかよォォオオオ

エリちゃん
もうなにもしないでくれない?(切実)

エルドラドのバーサーカー
外に出ても大丈夫だと認識されるために勉強中。エルバサの私服ってどんな感じが一番似合うと思う? みんな教えてくれない?

東条斬人
ヤマトの実父らしいが……。目的は不明だが、明らかにヤマトに用があるように思える。
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