執事一誠の憂鬱   作:超人類DX

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後半の番外と今回の話に全く関連性はありません。

まあありえなくもないIFとでも捉えてください


再臨・泥酔執事 ※番外追加

 互いに本性を隠しながらの――謂わば様子見に近い戦闘は端から見れば凄まじき闘いに見えたらしく、レイヴェルが降参という形で終え、そのままの流れでライザーがリアスにぶちのめされた事で終わってしまったレーティングゲームは、蓋を開ければレイヴェル以外がフルボッコにされてしまうというオチだった。

 

 

「またお会いしましょうイッセー様! うふふふ♪」

 

「…………………………」

 

「おとといいきやがれ雌鳥」

 

 

 また会いに来ると一誠に微笑み、他の眷属達と共にライザーを拾って退散するレイヴェル・フェニックスは、所々一誠によって受けた打撲の跡を付けながらも笑っており、同じく所々にレイヴェルから受けた打撲の跡を付けた一誠は微妙な顔を浮かべ、その横で何故か小猫が不倶戴天の敵を見るような目をしながら中指まで立てて威嚇していた。

 

 

「本日は息子の我が儘に付き合ってくれてありがとう。

これで少しは現実を知ってくれたと思う」

 

「いえ、私達も良い経験になりましたので」

 

「そう言ってくれると助かる。……………少しだけ想定外な事もあったがね」

 

「……………………」

 

 

 ライザーとレイヴェルの両親のフェニックス夫妻からは、息子を捻り潰された事よりも娘がある種得体の知れない人間に色々とぶちまけていた方がショックだったりしく、元々の噂によるネガティブな印象が手伝い、かなり警戒した眼差しを向けられ、リアスより数歩後ろに佇んでいた一誠も内心『そんなの俺が知るか』と毒づく。

 

 

「……………………」

 

「君は娘と以前何処かで会った事があるのかね?」

 

「………………………………」

 

「何も言わないということは肯定と捉えるぞ?」

 

「あ、あの……先輩は基本的に人と喋るのが苦手なので上手く声が出せなくて……」

 

 

 冷めきった顔で何も答えない一誠に顔をしかめたフェニックス卿を見て咄嗟に小猫がフォローを入れる。

 それは紛れもない事実なのだけど、事情を知らない者達にしてみれば単にスカしてる様にしか見えず、信用を得るのは難しそうだった。

 

 

「喋る事ぐらいはできるだろう? 第一ゲームの最中は話していたのだしな」

 

「答えて頂けるかしら? レイヴェルとはどういうご関係?」

 

「……………………………」

 

 

 夫婦揃って詰め寄ってくる状況に、一誠は内心レイヴェルという小娘をある程度痛め付けてやれば良かったと後悔した。

 確かに端から見れば気色悪い問答をしながら殴りあってた様にしか見えない。

 しかし話そうにもさっきから胃がキリキリとするし、変な汗は止まらないし、吐き気もしてくる。

 多分声をひねり出した瞬間、この夫婦目掛けてゲロぶちまけてしまう自信がある。

 

 

「えっ……と……うぶっ!?」

 

「うお!?」

 

「なっ!?」

 

 

 それでも『そちら様の娘様だか何だか存じませんが、少なくとも私は彼女を知らないし、彼女から何故あんな気色悪い事を言われたのか皆目検討もございません。』と言わなきゃ収まりが付かないと何とか声をひねり出そうと頑張った一誠だったが、案の定大失敗であり、緊張やら何やらで大量に分泌された胃液を夫婦が驚いて飛び退いたその地面にゲロゲロと吐いてしまった。

 

 

「オロロロロロ!」

 

「な、何だ!? 何が起こった!?」

 

「心配しなくても大丈夫ですわ。先程言った通り、彼は少し他者とのコミュニケーションが下手というか、要らぬ緊張をし過ぎてしまう生真面目さがありまして……」

 

「ほ、本当でしたのね……」

 

 

 小猫、ギャスパー、祐斗に背中をスリスリして貰いながら涙目になってる一誠を見て夫婦は妙な罪悪感を覚え、これ以上問い詰めるのはやめようと考える。

 

 

「げほ、けほ……うぇ……!」

 

「大丈夫ですか先輩? 落ち着いて深呼吸してください」

 

「一誠くん、これお水だからゆっくり飲むんだ」

 

「部長の言うご奉仕モードが切れちゃったんですね……」

 

 

 

「見ての通り、彼は余程親しい間柄ではない限りは会話すらできません。

なのでそちらの娘さんが何故彼にあんな事を言ったのかはわかりませんが、少なくとも一誠にそんな気はございませんわ」

 

「う、うむ」

 

「そ、そんな気がしてきました」

 

 

 フラフラと眷属達に肩を貸されながら立とうとする一誠の妙な情けなさと、リアスの妙に刺のある説明を受けて思わず頷いたフェニックス夫婦。

 結局何故娘がこの人間にあんな事を他の悪魔達が見る中で言ったのかわからないまま、これから冥界中に噂されてしまう事を思うと心配しかなかったのだった。

 

 

 

 

 

 そんな訳でライザー・フェニックスとのレーティングゲームをパーフェクトエンドで勝利したリアス達は、ご奉仕モードが切れてコミュ障モードに戻ってしまった一誠を連れてヴェネラナやグレイフィア達が待つグレモリー家へと帰って来た。

 

 城の門を開ければ、ジオティクス、ヴェネラナ、サーゼクス、グレイフィア、ミリキャスだけでは無く、ソーナ達やシトリー夫婦も居てちょっとしたお祭り騒ぎになってしまうのだが、ある種主役に祭り上げられていた一誠はといえば、顔色悪く軽いパーティをしてる城の中庭の隅っこに引きこもっていた。

 

 

「それで、あのフェニックス家の娘さんは何故一誠を?」

 

「本人曰く、一誠やお兄様と同類だからと言っていましたわ」

 

「同類? どういう事だサーゼクス?」

 

「えーっとですね、彼女はアレです、安心院さんの分身です」

 

「それで一誠の事を知っていたと? 12年云々言ってましたが……」

 

「いやぁ、定期的に安心院さんの元へと集まる席でつい一誠の事を自慢しちゃってまして……。

あのレイヴェルという子はその自慢話から一誠に対して色々と思ってるクチです」

 

「なるほど……あの様な面前でいきなり一誠を口説き始めた時は思わず『私たちに挨拶も無しに良い度胸ですわね!』と乗り込んでしまいそうだったけど、そう……同類と来ましたか」

 

「あの子は正直言うとかなり上位に位置する悪平等(ボク)です。

ゲームの時一誠に軽くじゃれついてましたが、本来はあんなものではありませんからね……」

 

 

 唯一事情を端から端まで知るサーゼクスの説明に、父、母、妹、娘、嫁、妹のライバル、妹のライバルの両親は面白くないぞといった表情を浮かべてしまう。

 

 

「おい、あの子と何処で知り合ったんだよ?」

 

「……………」

 

「匙先輩、先輩は初対面だと言ってました。アレは向こうが勝手にほざいてただけですから」

 

「だ、だがよ、向こうはかなりマジな雰囲気だったぜ? いや別に責めるとかじゃないんだ。ただ、会長や会長のお姉さんからも色々とアレなのにその上ああいう女の子からもって、何かズルいっつーか……なぁ、そう思わね木場?」

 

「いや、僕は別にそんな事思わないけど……。

そもそも一誠君ってモテるというのとは微妙に違う気がしないかい? 僕なんかみたいに友達になりたいと思ってる人だって居るんだし」

 

「……………」

 

 

 城壁に向かって体育座りし、皆に背だけを向ける一誠の元へと集まり、なんやかんやと眷属達が話している内容もまたレイヴェルという謎少女についてだった。

 

 

「とにかくいくらあの雌鳥がほざいた所で先輩にそんな気はありませんから……!」

 

「お、おう……わかったよ。けど随分と彼女に攻撃的な言い方するけど、どうしたんだよ?」

 

「別に、なんとなくですよなんとなく……」

 

「何となくって……」

「あのレイヴェルって方が一誠先輩にあんな事を言ってから小猫ちゃんはずっとこの調子なんです……」

 

「ま、まぁまぁ……色々あるんだよきっと。

それより向こうのテーブルから食べ物や飲み物を貰ってきたんだ。皆で食べようよ?」

 

 

 ケッ! と何処と無く普段リアスやソーナを相手にする一誠に似た態度の小猫を見て苦笑いをした祐斗は、一誠が隅っこを好む性質を考えてパーティーに出された食べ物や飲み物を小皿に盛って持ち込んでたのを差し出す。

 色々と遺恨が残ったゲームだが、無事にパーフェクト勝利した事には変わり無いし、リアスの婚約という妙な話も無くなったのはめでたいのだ。

 

 

「ふん、二度と会うか、あんな雌鳥……!」

 

「や、やけ食いしてるぞ……」

 

「こ、怖い……」

 

「は、ははは……」

 

「…………」

 

 

 ムシャムシャと一誠の代わりだぜと祐斗の持ってきたローストビーフを丸かじりする小猫。

 その口調はやはりどことなくヤサグレの入った一誠に似ている。

 

 

「まるで日之影君の妹みたいだね……」

 

「口調とかも会長と話すときの日之影くんそっくりだしね」

 

「これって笑う所なのかしら……」

 

 

 女王の椿姫以外のソーナの眷属達も自然と集まり、気付けば一人壁に向かって体育座りしてる一誠の所は大所帯となっていた。

 

 

「……………………」

 

 

 そんなガヤガヤした声に一誠は内心『全員して向こう行けし』と思いながら、レイヴェルという存在について考えていた。

 

 

(なじみの分身……サーゼクスに続いて会うのは二人目だが、あのガキの底は結局わからなかった。

いや、違う……知りたいという気分になれなかったのが正しいのか。

奴は確かに強い……剥き出しになれば無傷じゃ済まない事にもなってただろう……けれど何でだろうか……興味が全然沸かなかった。

奴より、奴をリアス達が越えたらという根拠も無い可能性の事を考えていた……………何故だ? さっぱりわからねぇ)

 

 

 『小猫ちゃん食べ過ぎですよ!?』

『うるさいギャーくん。私より女の子verの時の胸が大きいからって調子に乗らないで』

『いだだだぁ!? も、もげちゃうですぅ!?』

 

 的なやり取りがすぐ後ろで繰り広げられてる中もバカ真面目に考える一誠は、サーゼクスと同類であったレイヴェル・フェニックスに対する無関心さに頭を捻っていた。

 強いことは強いし、認めざるをえない所も確かにあるのだが、どうにもそれ以上の関心が沸かない。

 こう、サーゼクスとやりあう時に感じる高揚がレイヴェルには全く沸かない。

 

 これはどうしたものなんだろうかと一誠は失った事で捨てた感情を知らずに考えるが、やはり自問自答しても答えは導き出せない。

 

 

「大体何なんですか!? 先輩の同類だかなんだか知りませんが、何が勝ったら先輩のモノにしてくださいですか! 許せるわけないでしょう!?」

 

「ま、まぁね。初対面でアレは無いと僕も思ったよ」

 

「一誠先輩も物凄く嫌そうな顔してましたからね……」

 

「そんな台詞、俺が言われてぇし」

 

「多分あの所だけ空気が止まったよね絶対」

 

「うん、その時の会長、持ってたグラスを無表情で床に叩きつけてたもん……怖かった」

 

「止めなかったら映像機も叩き壊してたしねぇ……」

 

「ミリキャス様もよくよく見てみるとさっきから無言だし……」

 

 

 小猫は余程レイヴェルを気にくわないのか、珍しく感情的になってディスりまくっており他の者達も概ね『いきなり過ぎて戸惑うわ』的な意見に纏まってっている。

 

 やがて一人で考えすぎて喉が乾いて来た一誠は、それまで無言で体育座りしている体勢そのままに後ろを向くと、ムシャムシャ食べてる眷属達の馳走の中にまだ空いてない瓶の飲み物を発見し、無言で手を延ばして手に取る。

 

 

「あ、日之影くん、それ飲むならグラス持ってくるけど……」

 

「……………………」

 

「……。先輩はどうやら『そのまま飲むから要らない』と言いたいみたいです」

 

「あ、そう……よくわかるわね塔城さん……」

 

 

 ソーナの眷属の一人が気を利かせてグラスを持ってこようとするのを内心断る一誠の顔色を見て小猫が代弁するこの流れにギャスパーや祐斗は特に驚くのだが、一番驚いてるのは一誠だった。

 

 

(何だこのガキ……何で今わかったんだ? 気持ちわりぃ……)

 

 

 リアスやソーナでも無いのにと内心ちょっと小猫に警戒心を抱く一誠は、恐らく葡萄のジュースだと思われる飲み物のコルクを開けてらっぱ飲みをし始める。

 

 

「んぐ、んぐ…………………………」

 

「おお、ワイルド……」

 

「こんな行儀悪い飲み方したらヴェネラナ様に怒られちゃうんじゃないのか?」

 

「今見てないから大丈夫だと思うよ……」

 

「多分、私たちと同じくあのレイヴェル・フェニックスについて話し合ってるみたいだからね」

 

 

 グビグビとよっぽど喉が渇いてたのか、ヴェネラナやグレイフィアに見つかったら怒られるレベルの豪快なラッパ飲みをする一誠。

 

 

「………………。ねぇ、今思ったけど日之影君の飲んでるのってジュースなの?」

 

「そりゃそうだろ? なぁ木場?」

 

「うん、本当なら僕達が使うテーブルから持ってきたしね……どうしてそんな事を?」

 

「いえ、ほんのりお酒の匂いが……」

 

 

 飲み干したのか、適当に瓶を投げた一誠からほんのりと葡萄とお酒の匂いがするとソーナの眷属は言い、ピタリと全員の動きは思わず止まってしまった。

 

 

「………………………………………………。」

 

「こ、小猫ちゃん、小猫ちゃんは鼻が利くでしょう? ……………ど、どうなの?」

 

「……熟成された葡萄酒の匂いが先輩からします」

 

 

 妙に冷静に答える小猫に全員して嫌な汗が吹き出し、恐る恐る上を見上げたまま立ち尽くす一誠を見つめる。

 

 

「………………………ヒック!」

 

 

 上を見たまましゃっくりを出す一誠。

 その瞬間、眷属達は一斉に……小猫とギャスパー以外は離れようとビクビクしながら後退しようとするのだが……。

 

 

「うぃ~……………もう考えるのもめんどくせぇぇぇぇぇ!!!!!! あひゃひゃひゃひゃ!!!」

 

 

 気付かずに飲ませてしまった時点で遅かった。

 

 

「フェニックスだか何だか知らねーが、興味ねーよヴァーカッ! ヒャハハハハハハ!!」

 

 

 ご奉仕モードとは真逆の酒乱モードが発動してしまったのだから。

 

 

「? 一誠の所が騒がしいですね、一体何が――」

 

「お、お逃げください! 一誠副長がまた誤ってお酒を飲んでしまいました!!」

 

「なっ!? バカな!? 酒は用意してない筈だぞ!?」

 

「も、申し訳ございません、良かれと思って私が何本か……」

 

「おいおい……じゃあ今の一誠はこの前みたいな事を……」

 

「いえ、もうしてます……ソーナ様とリアス様の眷属が襲われてます。しかも今回は前回の比では――きゃっ!?」

 

 

 グレモリー家に勤めるメイドさんが焦った様に報告してる最中、不意に背後から抱き締めようとする腕が現れる。

 

 

「うぃ~……ひっひひひひ! よぉ、なぁに楽しそうにしてんだよ? 俺も混ぜてくれや? なぁ?」

 

「ふ、副長? あ、あの……ひみゅ!?」

 

 

 目が据わり、普段のシャイな彼とは思えない異様な大胆さ……と言えるのかは甚だ疑問だが、グレモリー家のメイドさんの一人を無理矢理自分の方へと向かせた一誠は、泥酔時に出ると発覚した悪癖を発動させた。

 

 

「や、やめてください副長! 副長にはお嬢様が……あ、あ……あぅぅ……!」

 

 

 無差別テロならぬ、無差別キス魔。

 それが酒乱化した一誠の持つ悪癖であり、歳にしたらグレイフィアよりちょっと下の立派なメイドさんだった女性悪魔は見事に餌食にされてしまい。

 

 

「はぁ、はぁ……あ、あの小さかった副長がこんな……あひぃ……」

 

 

 抵抗していた力は弱まり、遂には骨抜きにされてしまったのだった。

 

 

「前回よりやばくね?」

 

「み、みたいだな……」

 

「ど、どうするんだね? よく見たらソーナとリアスちゃんの騎士と兵士の少年が目を回してひっくり返ってるが……」

 

「性別関係ないですからねぇ……逃げないと我々男衆も――」

 

「ま、待て一誠!? 私は男だぞ!? よく見ろ――アーッ!!」

 

「…………。言ってる間にジオティクスがやられたぞ」

 

「父よ、どうか強く生きてください。という訳で我々だけでも逃げましょう。

グレイフィアと母上とシトリー夫人も――」

 

 

 

 ジオティクスがなにかされ、ひっくり返っているのを見ながら割りと簡単に見捨てるサーゼクスとソーナの父はそれぞれ嫁やヴェネラナを連れて逃げようとしたのだが……。

 

 

「は、はへ……む、息子に襲われちゃったわ……」

 

「こ、この前より上手になってるわ……」

 

「不覚です……」

 

 

「なん……だと……」

 

「高速プレイ……だと……」

 

 

 既にヴェネラナとグレイフィアとシトリー夫人は一誠によって腰砕けにされており、リアスとソーナも為す術なく襲われ、残す所はこの二人と小さな赤髪の娘だった。

 

 

「い、いっそのことほとぼりが冷めるまでどこかに行かないか?」

 

「そ、そうですね。こりゃもう逃げた方が――」

 

「どこへ行くんだぁ……?」

 

 

 せめて自分達だけはと逃げようとした二人だったが、その二人の肩を掴み、まるで某伝説の超サイヤ人が一人用のポッドで逃げようとした親父ィに言った台詞と共に退路を塞ぐ。

 

 

「い、いやほら、一誠が楽しそうにしてるから私とサーゼクス君は邪魔しない様にと……な?」

 

「そ、そうそう……」

 

「別に邪魔とは思わないぜ? 何なら皆で楽しくやろうぜ? ひひひひひ!!」

 

 

 ミシミシミシミシと二人の肩の骨が悲鳴をあげるパワーで掴みながら嗤いまくる一誠に、サーゼクスとシトリー卿の顔が引きつる。

 酒の影響か、無意識にする手加減が消えてるせいで抜け出すのが非常に難しい。

 

 

「「アレーッ!?」」

 

 

 その後この二人がどうなったのか……それは語るべきではないのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

 

 その頃グレモリー領土の城下。

 一人遅れて今回のレーティングゲームの勝利パーティに出席する為にやって来ていたセラフォルーは、彼女らしからぬ深いため息を吐きながら足取り重く歩いていた。

 

 

「いーちゃんのばか……」

 

 

 理由はそう、レーティングゲームの際にフェニックスの娘さんからかなり熱烈な告白をされていた一誠の事についてであり、モニター越しに見てしまったセラフォルーは今の今まで本気で泣いてしまっており、合流するのに遅れてしまったのだ。

 

 

「あのレイヴェルって子がいーちゃんやサーゼクスちゃんと同じだったなんて……うぅ……」

 

 

 平たく言えばヤキモチで、自分には持ち得ない……一誠と共通のモノを持つレイヴェルが羨ましく、そのレイヴェルが一誠にアタックを仕掛けたのがショックで思わず悔しさで泣いてしまったセラフォルーの足取りは本当に重そうで、一誠と顔を合わせたらと考えるだけで胸が苦しくなってしまう。

 

 所謂『恋煩い』というものだが、その相手がどうしようもなく嫌がりな癖して妙にモテるせいでセラフォルーは毎度モヤモヤだ。

 

 

「はぁ、どうせいーちゃんはしれーっとした顔なんだろうけどさぁ……」

 

 

 初対面の時に痛い奴扱いされ、手合わせしたら竹で出来た定規で素っ裸にされるという、好く要素がありそうもない事ばかりされてきたのが、年月を経ていく内に良いかなと思い、泥酔してたとはいえ唇を奪われてからは本気になってしまい、気付けば事あるごとに小さかった男の子の事ばかり考えていた。

 

 今だって考えてるし、グレモリー家に到着する間もずっと考えていた。

 

 

「もう先にソーナちゃん辺りが聞いてるのかな……あのレイヴェルって子の事。

どうしよ……もしも『悪くない奴かも』なんて言ってたら……うぅ、考えただけで胸がズキズキする……」

 

 

 なるべく悟られぬ様にと何時もの『正装姿』であるセラフォルーが要らぬ心配をしながら城の中へと入る。

 出迎えが誰一人として出てこなかったのが不可解なのだが、今の彼女にそれを疑問に思う余裕も無いらしく、モヤモヤした気持ちを抱えに抱えたまま、会場である中庭に到着。

 

 

「え、なにこれ……?」

 

 

 そして到着したセラフォルーの眼前に映るは、バタバタと倒れ伏す悪魔達と……。

 

 

「うぃー……ひっく……グビグビ」

 

 

 行儀悪くテーブルに片膝ついて座り、ワインのボトル片手にできあがってる一誠の姿であった。

 

 

「い、いーちゃん……?」

 

「あ? ひっく……」

 

 

 え、ドッキリ? と疑う程に荒れ果てたパーティ会場には、自分の両親と妹……それからリアスやリアスの両親……更にはサーゼクスやグレイフィアやミリキャスまでもが倒れ伏しており、そんな状況のど真ん中で未成年の分際で酒を飲みまくる一誠に一体何があったのだとセラフォルーは恐る恐る話し掛けてみた訳だが、セラフォルーに気づいて顔を上げた一誠の目は完全に据わっており、泥酔しきってるのが丸分かりであった。

 

 

「なんだ……ひっく……セラフォルーじゃんか。

ひぇへへへ、今までどこに居たんだぁ? あはははは!」

 

「ちょ、ちょっと遅れるって伝えたつもりだったんだけど……。

そ、それよりこの状況は何? なんでいーちゃんはお酒飲んで――あ、ダメだよ!」

 

 

 よく見たら大半が夢見心地良さそうな顔で眠って――いや気絶してると気付きつつ、空になったワインボトルをそこら辺にポイ捨てし、また新たなボトルを開けようとする一誠に駆け寄ってボトルを引ったくるセラフォルー。

 

 

「まだ大人じゃないのに飲んだらダメだよいーちゃん!」

 

 

 未成年で、しかも一滴でも飲んだら悪酔いする一誠がこんな大量に飲んだ理由は、多分また誰かが間違えて飲ませてしまったからだとセラフォルーは考えるのだが、それは概ね正解だ。

 

 

「ちっ、細けぇこと言うなよ、こちとらくだらねぇ茶番に付き合ったんだ。少しくらい――」

 

「それでもダメ! もう、飲みすぎだよ!」

 

「んだと? この程度で俺が酔っ払うとでも思ってんのか………おっととと……」

 

「ま、満足に立てない癖に酔っ払ってない訳ないでしょう!?」

 

「あれれー? 地面が起き上がって俺の前に立つじょー? あははははは!」

 

 

 酔った一誠の餌食になったんだと察したセラフォルーは、訳も分からずテーブルから転げ落ちてケタケタと笑う一誠に近づき、ちゃんと立たせようと手を伸ばす。

 

 

「ほら、椅子にちゃんと座ろ?」

 

「へへへへ、悪い悪い……ひへへへへへ!」

 

 

 今度実家に備蓄してある酒は全部誰かに贈答してしまおうと密かに決意するセラフォルーは、ケタケタケタと笑う一誠を何とか椅子に座らせる。

 この時点でさっきまで抱いていた悩みは全部ぶっ飛んでおり、その前にも何度かスッ転んでたのか所々汚れてる服を払ってあげている。

 

 

「何でこんなに飲んじゃったの? しかも皆に襲い掛かっちゃうし」

 

「しりましぇーん! あひゃひゃひゃひゃ!」

 

 

 せっせとお世話しながら聞くセラフォルーに対して一誠は愉快に笑って答えにならない返答をするのだが、その中で何個か気になる事を聞けた。

 

 

「あの、ほら……なんだっけ? フェニックスだかなんだったかのガキに訳のわからん事言われてよぉ、そしたらババァもリアスもソーナもミリキャスもギスギスし始めて……」

 

「!? そ、それで? いーちゃんはその子の事どう思ったの? 勝ったらいーちゃんのモノにして欲しいとか言ってたじゃん……」

 

「べっつにー、確かにサーゼクスと同じかもしんねーし、本気出したらつえーんだろうけどそれまでだな。

あと別にあのガキに興味なんてねーし、モノだかなんだかも知らねー」

 

「ふ、ふーん?」

 

 

 レイヴェルに対しての多分本音と思われる評価に少しホッとするセラフォルー。

 これでもし興味あるとか、モノにする事にその気があったとか聞いたら立ち直れる気がしなかった。

 

 

「そっか……それ聞いて安心したよいーちゃん……」

 

「安心? そりゃよーござんしたね……うへへへ」

 

 

 思わず頬を緩めるセラフォルーと目を合わせ、ヘラヘラと笑う一誠。

 何にせよ泥酔したからこそ聞けた一誠のこの本音は安心すべき事なんだろう……と、ちょっと気を緩めてしまったその瞬間だった。

 

 

「ところでテメー、この前は随分と俺にやってくれたよなぁ?」

 

「へ?」

 

 

 ガシッと手首を掴まれ、飲みすぎて酒の匂いのする状態のまま至近距離まで顔を近づかせて来た一誠に少しドキッとしてしまう。

 

 

「いきなり不意討ちして馬乗りされたのは実に悔しかったぜ? 何せよりにもよってお前にしてやられたんだからなぁ?」

 

「え、いや……あ、あれは別に勝負とかじゃなくて―――ぁ……」

 

 

 耳に息を吹きかけられ、囁くような声を聞かされたセラフォルーは全身の力が抜けてしまいそうなりながらも、違うと弁解しようとする。

 

 というか、かなり覚悟を決めての行動が一誠にとっては勝負と認識されてるのが地味に傷付く。

 

 

「い、いーちゃん耳朶噛まないでぇ……おかしくなっちゃうよぉ……!」

 

「リベンジしなけりゃ気がすまねぇ……ひっく!」

 

 

 しかるに一誠がしてくるのはどうも官能的というか、嫌だと口では言ってるけど、本気で拒絶はしたくないと思っている自分に気付くセラフォルーは、耳朶をハミハミされてヘナヘナと力が抜けてしまう。

 

 けど、ピンと閃いたセラフォルーはわざと挑発的に笑いながら言ってしまうのだ。

 

「い、いーちゃん……わ、私絶対に負けないもん……☆」

 

 

 どこぞの『くっ、殺せ』的ニュアンスで言ってのけたその意図は簡単。

 元来の負けず嫌いに泥酔が加わればアホみたいに簡単に一誠が乗ってくると思ったからだ。

 

 そして案の定……。

 

 

「あへ……あへぇ……☆」

 

「…………………………………………………。な、何が起きた!? 敵襲か!? お、おいセラフォルー!」

「い、いーちゃんのケダモノさん……♪ 赤ちゃんみたいにちゅーちゅーされちゃったぁ……えへへへ☆」

「アァ!? 何を訳のわからねー寝言ほざいてやがる! 起きろゴラ! てか全員起きろぉぉっ!!」

 

 

 正気に戻った一誠の目に映るは、衣服が結構乱れた姿で自分の隣でひっくり返ってるセラフォルーやら、同じくひっくり返ってる面子達という光景であり、真実を知ったらまず自殺でもしかねない地獄絵図であった。

 

 

「い、一体何が……ミリキャスまで……」

 

「兄さま……すゅごいです……」

 

「こいつもダメだ……というか、セラフォルーは何か呪いでも掛けられたのか? 所々に赤い跡みたいなのが……くそ、専門外だからわからねぇ……! おいリアス! ソーナ!」

 

「だ、だめいっせー……そ、そんな所ペロペロされたらはずかしい……」

 

「あ、あぁ……私まだミルクは出せないのにぃ……」

 

「…………。さ、錯乱の催眠なのか? どいつもこいつも――」

 

「ひ、日之影ぇ……俺男なんだぞぉ……あげぇ……」

 

「い、一誠くん……僕は……あぐぅ……」

 

「……………………。ほ、本当に何なんだ……」

 

 

 お酒は大人になってから嗜む程度に留めましょう。

 

 

 

 

オマケ

 

 

 

※前回のオマケとも本編とも関係ありません。

 

 

「…………んぁ?」

 

 

 朝日が昇るとある朝、何時もは4時前には起きて二人のお嬢様の朝食の準備や軽い鍛練をする一誠にしては6時起きは寧ろ寝坊とも言える時間だった。

 

 

「あー………?」

 

 

 しかし頭がボーッとしている今の一誠にその事を考えてる様子は無く、のっぺりとした表情で身体を起こす。

 

 

「っ!? ぐおぅ……! あ、頭痛い……っ!? 何だ……一体何がどうなって……」

 

 

 意識が徐々に覚醒すると同時に襲われる猛烈な頭痛と胃の重さに頭を押さえる一誠は自分が今まで寝ていたこの部屋を見渡し、全く知らない部屋である事に気が付く。

 

 

「な、なんだここ? 何で俺裸なんだ……?」

 

 

 見知らぬ部屋に軽く困惑しつつ、ふと自分が比喩じゃなく生まれたての姿であることをベッドの布団を捲って気付く。

 そして……。

 

 

「…………え?」

 

 

 自分が今横になってるその隣が人一人分程にもっこりしている事に同時に気付く。

 

 

「…………」

 

 

 最初はただ呆然とそのもっこりを眺めていた一誠の顔が徐々に青ざめ、大量の脂汗が流れる。

 

 

「え、うそ……、いや、え……マジ? へ?」

 

 

 もぞもぞと動くもっこりを見て急激な不安に襲われていった一誠は両手で頭を押さえながら心の中で叫ぶ。

 

 

(嘘だろ!? こ、こここれ、俺やっちまったのか!? スキージャンプばりにジャンプしちゃったのか!?)

 

 

 これまでに無いくらいに狼狽えるのは、昨日までの記憶が何故か抜け落ちているからであり、また全く知らない部屋であるのも手伝っていた。

 何せ枕元にはティッシュ箱があるし、横になってるベッドはデカいし、何よりこのまだ布団が全部被ってて見えないものの隣には誰かしら眠ってる……しかも自分は全裸。

 

 リアスやソーナの悪戯であるなら二つこんもりしてないといけないことを考えたら現時点で一誠がやらかしてしまった――と解釈するしかないのだ。

 

 

(き、昨日なにがあった!? た、確かグレモリーとシトリーが全員集まって飯を食った様な気がするが……あああぁ駄目だ全くそこから思い出せねぇ……!)

 

 

 不安のせいか普段の一誠が嘘の様に狼狽えまくりながらも思い出そうとするが、何故か昨日の大半の記憶が抜け落ちているせいで思い出せない。

 

 暫く痛む頭を我慢しながら昨日の記憶をひねり出そうと唸っていた一誠は此処でこの隣で寝てるのは誰なのかという事に気がつき、恐る恐る布団を捲ろうと手を伸ばす。

 

 

「つ、つーか誰だ? リアスとかソーナの悪戯ならもうそれで良いけど――いや良くないけど、とにかく全く知らない誰かだったら俺はもうどうしたら……」

 

 

 知ってる人物だったら何かまでは分からないが終わる。ならばせめて知らない誰かであってくれ……と祈りながら開帳した一誠の目に飛び込んできたのは……。

 

 

「ん……ぅ……」

 

 

 長い茶髪に、今仕方なく護衛をしてあげてる赤髪の少女そっくりの顔立ちの女性。

 

 

「……………」

 

 

 一誠にとっては一応どころか少なすぎる他人関係図の中に堂々入り込んでる知り合いであった。

 思わず一旦捲った布団を戻してしまった一誠はもう一度捲ったのだが、二度捲ろうがその人物が他の誰かに変わるなんて事はありえない訳で……

 

 

「んー………あら、いっせー……?」

 

 

 自分と同じく生まれたての姿の、一誠が普段ババァと呼んでるグレモリー夫人―――ヴェネラナ・グレモリーなのだから。

 

 

「あ、あ゛あ゛あ゛あ゛!?!!!!??? 新記録どころか太陽系ぶち抜いたぁぁぁっ!?!?!?!?」

 

 

 

 番外・やらかし執事

 

 

 

 

 

 

「オロロロロロロ!?!?」

 

 

 日も明るくなった頃、太陽系をジャンプで突破してしまった一誠は夢のお城の路地裏で思いきり吐いていた。

 

 

「あの、その……一誠……」

 

「ひっ!?」

 

 

 そんな一誠の背中を擦るババァ………にはどう厳しく見ても見えない女性悪魔ことヴェネラナに声を掛けられて思わず小さな悲鳴を出してしまう。

 

 

「あ、あの俺、悪いんだけど昨日の記憶がまったく無いんだけど……」

 

 

 本当に記憶が無いのと、居た場所、互いの状態から察せる色々で何時もはババァだ何だと強気な態度の一誠も流石に強気にはなれず、取り合えず吐きまくりで顔色悪い姿でヴェネラナに言うが、直後に内心『な、何悪いんだけどって!? 気持ち悪いんだけど!』と自分の言動に後悔する。

 

 

「そ、そう……私も……」

 

 

 昨日の記憶が無いと言った瞬間、ヴェネラナは一誠に背を向けながら軽く俯く。

 その声は何時ものグレモリー夫人のしっかりした声では無く、その容姿に似つかわしい少女っぽい声であった。

 

 

(な、何で背を向けだすんだよ!? 何でしおらしくなってんだよ!? 何時ものババァになれよ!?

やめてくれぇ! あっけらかんとしろぉぉっ!!!)

 

 

 そんな一誠の心の慟哭を嘲笑うかの様に、ヴェネラナは背を向けてモジモジしながら話す。

 

 

「つ、都合が良いじゃない。二人とも覚えてないんだから………何も無かった……それで良いじゃない。

お互い……今回の事は忘れましょう……」

 

(わ、忘れられる訳ねぇだろぉ!! こんな訳のわからん事ぉぉぉっ!!)

 

 

 どう見ても覚えてないとは思えない態度に一誠はますます真っ青になるが、それでもひきつった顔で口を開く。

 

 

「そ、そうか……は、はは、な、何かごめん……。(な、何だよごめんって? もう訳がわからない!!)」

 

「よ、よしなさいよ一誠、謝る事なんて無いわよ。ほ、ほら実際は何もなかったかもしれませんでしたし……ね?」

 

「うっ!」

 

 

 儚げな笑顔と共に振り向いたヴェネラナが直視できずに思わず背を向ける一誠。

 

 

「そ、そうだよなぁ、は、ははは……多分サーゼクスにまた負けて気絶して偶々一緒に寝てただけかもだしな……あははは……」

 

「そ、そろそろ帰りましょうか? あ、でも一応別々に帰りましょう、へ、変な勘違いされても困りますからね」

 

「あ、あぁ……じゃあ二、三時間したら俺は戻るわ。(何でそんなコソコソしなきゃならねぇんだよ!? そもそも無理矢理子守唄だか何だかで頼んでもねーのに来るじゃねぇかババァ!)」

 

 

 よそよそしく先に帰る為に消えていくヴェネラナの背を見送った一誠……その次の瞬間一誠は雄叫びをあげながらグレモリー城下の街を爆走した。

 

 

「ぬぐわぁぁぁぁおげぇぇぇぇ!??!?!?」

 

 

 グレモリー家とシトリー家から何故か執事を任されてる人間ということでちょっと顔が割れてるせいか、奇行ともいうべき一誠の姿に道行く悪魔達は驚く。

 

 

『あ、あれグレモリー家の……』

 

『なにしてるのかしら……あ、吐いてる』

 

「オロロロロロロ!?!?!!」

 

 

 道の隅でひたすら吐いては走っての繰り返しをする一誠は最早只の不審者だが、声を掛ける勇気は誰もないらしく誰もが遠巻きに見るしかできない。

 

 

(も、もう何だこの吐き気は! 何でこうなった!? もうリアスやソーナ達がめちゃくちゃ遠くに見えるぅ! 雑魚達なのにぶち抜かれた気持ちにしかならねぇ!!)

 

 

 後ろにいたリアス達が遥か先からこっちを見ている幻想を抱きながらひたすら吐きまくる。

 一体全体一誠の身に何があったのか……まずはそこから調べなければ始まらない。

 

 

(だ、誰に聞くべきなんだ? リアスか? ソーナか? いやでも知ってたらヤバイし。くそ、これじゃ戻れねぇ……でもまともに話せるのはアイツ等しかいねーし……ぐぅ……!)

 

 

 コミュ障故に話をする相手が限定されてしまう事に絶望する一誠。

 だが聞かなければこの気持ちからは永遠に抜け出せない……故に一誠は腹を括り、グレモリー家にこっそり戻ってこっそりリアスの部屋の戸を叩いたのだが。

 

 

「よ、よぉ……」

 

「あ、一誠……」

 

「ど、どうしたのよ?」

 

 

 リアスの部屋にいたのはリアスだけでは無くソーナも居た。

 

 

「ちょ、ちょっと昨日のことをだな……」

 

「え……あ、き、昨日の、事ね……」

 

「き、昨日がなにか?」

 

 

 ソーナが居たのは軽い誤算だが、二人共気兼ね無しに話が出来る点では好都合だった為、動揺そのままに昨日何があったのかを聞く。

 

 

「…………。何で後ろ向くんだよ……?」

 

「「………」」

 

 

 しかしリアスもソーナも思ってたのとは違うリアクションをする。

 まるで何かを隠してるみたいに……。

 

 

「べ、別に私もソーナも気にしないわ」

 

「そうよ……だって男の子だもの……寧ろ今まで不能っぽいのがおかしかったのよ……」

 

「な、何で揃って目ェ合わせないんだよ!? 絶対なんか知ってるだろ!?」

 

「秘密にするから……」

 

「そ、そうよ、一夜の過ちということにするから……」

 

「嘘つけぇ!! 引きずりまくりじゃねぇか! ちょっと待て! 俺昨日からの記憶か何故か無いんだよ!? だから一体何があったのか――」

 

「覚えて…」

 

「無い……?」

 

「へ?」

 

 

 覚えてないという言葉にそれまで背を向けていたリアスとソーナが振り向く。

 よく見ると二人して涙目であり、一瞬固まってた一誠の横っ面にビンタをする。

 

 

「え……えぇ?」

 

 

 泣きながらいきなりビンタされた一誠は何時もの強気も無く頬を抑え、肩を震わせるリアスとソーナを見つめてると……。

 

 

「わ、私達の……女の子の……!」

 

「純潔をあんな激しく奪っておきながら全部覚えてないですって!?」

 

「出てってよ!!」

 

「最低!!」

 

「ちょ、お、おい!?」

 

 

 部屋を閉め出されてしまった一誠は暫く部屋の前で立ち尽くす。

 

 

「私達の……純……潔? ど、どういう事だ、ババァはとっくにジオティクスのおっさんのスティックで貫通してるのに純潔って……それってまさか―――――ひぇ!?」

 

 

 そして何かに気づいた一誠は窓を突き破り、グレモリー城から脱出し再び爆走する。

 その爆走っぷりや半端ではなく、あっという間にレヴィアタンの都市部まで到達すると、にもなくその長が居るだろう居城の扉を門番が居ないので叩きまくる。

 

 

「セラフォルーちゃーん!!? お願い出てきてぇぇ!!!」

 

 

 最早何が何だかわからなすぎてパニックだった。

 

 

「(ま、まさか俺はババァだけじゃなくてソーナとリアスにまでも……!?)

お願いしますお願いします! ここを開けてくださいおねげーしますぅ!!」

 

 

 地面に額を流血するまで叩きつけながら土下座し続けること十数秒、重い門がひとりでにゆっくり開けられるのを見た一誠は即座に立ち上がり、門の隙間に腕を突っ込んで無理矢理開け放つ。

 

 

「せ、セラフォルー! お前昨日来ただろ!? 昨日一体俺に何が―――」

 

 

 普通に話せる相手の一人であるセラフォルーからすべてを聞こうと門を開け放って食い気味に中へと入った一誠だが、その目に飛び込んできたのは赤い絨毯がしかれ、横に整列するレヴィアタン城で働く悪魔達と……。

 

 

「来たか息子よ!」

 

「これで私達も本当の親子になれますわね!」

 

 

 ソーナとセラフォルーの両親……つまりシトリー家当主とその妻が泣きながら一誠の到着をハグしながら迎い入れるという展開だった。

 

 

「なん……だと……」

 

「いやぁ、聞いたぞ一誠、昨晩セラフォルーをお持ち帰りして漸く腹をくくってくれたとな!」

 

 

 感激の涙を流し、呆然とする一誠の両手をブンブン振るシトリー卿とシトリー夫人。

 すると二人の後ろから遅れてやってきたのは――

 

 

「それにともない今までセラフォルーのやってきた遊びを辞める事になってあの子は悩みましたが、今しがたあの子は魔王少女から――」

 

「妻になると!!」

 

「いーちゃん……」

 

 

 ウェディングドレス姿のセラフォルーだった。

 

 

「魔王少女を引退する事になったけど、いーちゃんと永遠に一緒ならそれで良い☆

だって昨日はあんな……えへへへ」

 

「ひぃぃえぇぇぁぇあぁぁあっ!!?!?」

 

 

 

 にっこりとウェディング姿で微笑むセラフォルーに全てを察した一誠は奇声をあげながら逃げ出す。

 

 

「逃げたぞ! 追えぇぇっ!!」

 

 

 そうはさせんと追っ手を繰り出す両親。

 最早がんじがらめ過ぎて視界ゼロパーセント。

 

 だがそれで終わりではなかった。

 

 

「ぜぇ、ぜぇ……そ、そんなバカな俺は、俺は……!」

 

「……いっそ酒でも飲んで忘れなさい」

 

「!? じ、ジオティクスのおっさん! お、俺は一体昨日――」

 

「私も忘れるさ………………昨日のことは……」

 

「!? あ、あんたも……かい………」

 

 

 遠い目をしながら肩を叩くジオティクス・グレモリー。

 そう昨日の一誠はモンスターだった……らしい。

 

 

終わり




補足

強いのは認める。けれど別に興味あるかと言われたらそうでも無かったらしく、正直彼女レベルに達したリアスやソーナとしばき合い対決したいとか思っていたり。

その2

木場きゅん、痛恨のミス。
お陰で地獄絵図到来。

その3
何かされちゃったセラフォルーさん達。

内容はご想像に……。


その4
これも元ネタはアレの不祥事篇です。

あれも大笑いしたなぁ……特に最初から飛ばしてたし(笑)
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