執事一誠の憂鬱   作:超人類DX

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人間界篇に戻ります。

そしてここからチョロチョロと転生者が出てきます。


白い猫の悩み

 レーティングゲームも終わり、リアス部長の婚約話も無事に無かった事に出来て安心したという事で平和な日々に戻れた。

 

 あの雌鳥が先輩やサーゼクス様みたいなタイプ――詳しくはわからない『同類』という事実が発覚して少しモヤモヤとしたものは残ったけど、人間界で学生をしてる私達にそうそうもう会うことなんて無いだろうと思うことにしたい。

 先輩に近い上に先輩が認めるレベルに強いなんて羨ましい通り越して呪いたくなるのだから。

 

 

「小猫ちゃん、お昼休みはどうする?」

 

「先輩の所に行こうって思ってる」

 

「ですよね! 僕もそう思ってました! 早く行きましょう!」

 

 

 先輩が泥酔しちゃった事件で二度目となるアレを受けて数日後。

 レイヴェル・フェニックスの件が頭の中に残りながらも何とか平和に学生をやっていて、この日も学園に復学した女子の制服を着たギャーくんと一緒に教室を出ると、お弁当箱片手に先輩の教室がある階へと向かい、二年生の人達からの視線を鬱陶しく感じながらお目当ての教室の前へと到着する。

 

 

「すいません、一誠先輩は居ますか? 勿論兵藤って苗字じゃない方です」

 

「あ、うん……アレなら居るけど……」

 

「そうですか……お邪魔します。行くよギャーくん」

 

「は、はい……おじゃましまーす……」

 

 

 先輩と違って他人を怖がる人見知りのギャーくんを引き連れ、名前のわからない先輩さんの確認を取った私は、金髪の外国人の女の人やら何やらに囲まれてる先輩に似た顔をした方の 一誠……では無く、ポツンと独り窓際の端に座る一誠先輩の元へと近寄る。

 

 

『今日も小猫ちゃんとギャスパーちゃまが来てるぞ……しかもアレの所に』

『全然わからねぇ。何でアレがあんなに懐かれてんだし。クソ羨ましいんだけど』

 

『無口、無愛想……なのにリアス先輩や支取先輩達とも関わり持ってるとかムカつくよな』

 

 

 その際、毎度毎度聞かされる先輩への嫉妬じみた悪口に私もギャーくんも少しムッとなる。

 相手は一応先輩方という事になってるので追い返してやるのは我慢してるけど、こちとら何年も掛けてやっとお昼ご飯を誘える所まで来たんだ。

 ギャーくんが私の苦労を無視する位置に既に居たからアレかもしれないけど、ヒソヒソ言うくらいなら先輩に直接言えば良いんだ。

 

 ……確実に相手になんてしないと思うけど。

 

 

「こんにちは先輩、今日も来ちゃいました」

 

「良かったら一緒に食べましょうよ?」

 

「………………………」

 

 

 初めは話しかける事すら躊躇してたけど、学生になってから急に距離が縮まった気がしたお陰で、今では何も返事が無くても一方的に話し掛けられる勇気を持てる様になれた。

 

 ギャーくんは最初から平然と話しかけてたけど。

 

 

「わざわざ俺を誘うなよ……怠い」

 

「そう言わずにお願いしますよ一誠さん! 僕これが楽しみで復学したようなものなんですからぁ!」

 

「バカだろお前………チッ」

 

 

 私……では無くてギャーくんとリアス部長やソーナ先輩みたいな話し方で会話する先輩。

 微妙にギャーくんに負けてる気がしてならないのが悔しい。

 舌打ちしながらも席を立ったという事は付き合ってくれるという事で間違いは無く、場所を移動するぞという合図でもあった。

 

 

「何処だ」

 

「旧校舎裏です、あそこなら誰も来ませんし。ね、小猫ちゃん?」

 

「はい、仮に来ても追い払います」

 

 

 私の言葉に先輩はスッと目を細めるだけで声は出さない。

 やっぱり例のご奉仕モード……もしくはあの時の酒乱モードにならないと話はしてくれないらしい。

 それはそれでちょっと寂しい……けど。

 

 

「先輩、聞いてくれるだけで良いです。今日はちょっと先輩に相談があります」

 

「……?」

 

 

 今日はちょっと私的に先輩に話したい事がある。

 何時もの他愛のない話じゃなく、個人的には少し困った事を……。

 

 

「あまり大きな声では言えない事みたいです……」

 

「…………。それを何故俺に……リアスに言えよ」

 

「そこはほら……一誠さんですから……僕からもお願いです、小猫ちゃんの相談に乗ってあげてください」

 

 

 何となくギャーくんには先に話しちゃった困った事について聞いてあげて欲しいとフォローをしてもらいながら私も頭を下げる。

 

 

「聞くだけで良いんです、お願いします……」

 

 

 そしてヴェネラナ様がリアス部長やソーナ先輩に直伝された必殺の軽い上目遣いをして先輩を見つめる。

 曰く、これをすると先輩が少しだけ折れてくれるとの事だけど……。

 

 

「チッ……」

 

 

 一瞬だけたじろぎ、それから目を逸らして舌打ちをした。

 端から見れば単に態度が悪くとられるけど、ある程度先輩を知っていれば、それは『わかった』という意味であり、思わず内心ヴェネラナ様に感謝しながら先に教室を出ようと歩きだした先輩に、ギャーくんと一緒に着いていくのだった。

 

 

「成功しましたね小猫ちゃん……!」

 

「うん、会話はできなかったけど……良いよねギャーくんは」

 

「ぼ、僕の場合本当に偶々だっただけだから……」

 

 

 旧校舎裏へと向かう道中、ギャーくんと話しているとあっという間に旧校舎の裏に到着する。

 この旧校舎裏というのは他と比べて少しだけ木々に覆われていて好む人には好まれる落ち着きスポットだったりする。

 

 かくいう私も結構気に入ってる場所で、持ってきていた鞄からレジャーシートを地面に敷くと、その上に座ってギャーくんと一緒にお弁当を広げる。

 

 

「どうぞ先輩」

 

「あれ、一誠さんお弁当は……」

 

「俺はこれだ」

 

 

 私とギャーくんがお弁当の中、先輩はそこら辺のコンビニで買ってきたと思われるバランス栄養固形食品という味気なさそうな奴を齧っていた。

 

 

「カ○リーメイトだけじゃ味気ないんじゃ……」

 

「腹が膨れりゃ何でも良い」

 

「先輩って自分の事はとことん無頓着な気がします……」

 

「………………」

 

 

 お洒落なんてしないし、ご飯も自分が食べるものに関しては固形ブロックだったり、趣味らしい趣味も無い。

 リアス部長がため息混じりに『端から見ればつまらない人に思われてる』と言ってたのを思い出した私は、断られるのを覚悟で先輩に自分のお弁当のおかずを差し出してみる。

 

 

「食べますか? 最近自分で作る様になってまだ勉強中ですけど……」

 

「……………………………」

 

 

 固形ブロックを食べる手が止まり、私の差し出したお弁当を若干動揺した眼差しで見つめる先輩。

 あぁ、多分この顔は『コイツ何考えてんだ?』って思ってるんだろうな……。

 

 私なりの印象だけど、先輩って他人からの好意に対して耐性が全く無いって感じですからね。

 

 

「食べてあげてください。こんな事を言ってるけど小猫ちゃんは一誠さんに食べて貰いたくて頑張ったんですよ?」

 

「え、俺……? 何で?」

 

「一誠先輩だから……ですかね。他に理由は無いし別に何も企んでません」

 

「………………」

 

 

 ギャーくんに見透かされててちょっとムカつくけど、その勢いを利用して先輩に言う。

 すると散々迷った末に先輩は私のお弁当おかずを一つ手で摘まんで口に入れる。

 

 

「ど、どうですか?」

 

 

 まさか成功するなんて……と思いつつ本当に食べてくれた先輩の顔を見ながら私は恐る恐る感想を訪ねる。

 

 そんな私に対して暫く咀嚼していた先輩がゴクンと飲み込むと、摘まんだ手とは反対の手の人指し指を自分のこめかみに当ててグリグリとし始める。

 それがどういう意味なのかは後になって分かった事なのですが、どうやらこの行為の意味は自己暗示をする意図があるらしく、次の瞬間先輩の顔つきはあのレーティングゲームの時に見た先輩に変化していた。

 

 

「卵焼きを頂いたのですが……殻が入っててジャリジャリしましたね」

 

「え? あ……は、はい……」

 

 

 キリッとした顔で思いきり低評価の言葉を貰ったのだけど、私はそれよりも先輩があの時見たご奉仕モード状態になってるのに驚いてしまう。

 つまりそれは会話が出きるという事なのだから。

 

 

「も、もっとがんばります……!」

 

「ご健闘を祈ります。私個人としては美味しいと思いますがね」

 

「!? ほ、本当ですか!? ………ふへ! ふへへへへ……!」

 

「こ、小猫ちゃん……その笑い方は女の子がしちゃ駄目だと思います……」

 

 

 どうしよ、ニヤニヤするのが止まらない。

 だって先輩に初めて……自己暗示でご奉仕モード状態とはいえ褒められたんですよ? めちゃくちゃ嬉しいに決まってます。

 この前の野獣のごとくワイルド化した泥酔先輩にあんなことやこんな事された時の気持ちよさ並みに嬉しい……。

 

 それこそ相談事なんてどうでも良くなってしまうくらいに……。

 

 

「…………。それで塔城様、私に相談したい事とは一体?」

 

「ふっ、ふへへへ………………ハッ!? あ、は、はい……!」

 

 

 でも先輩から振ってきたからには話さない訳には、寧ろ全部ぶちまけるべきだと思った私は、さっきから緩んで仕方ない頬やら、周期じゃないのに来たアレと同じ感覚をお腹に感じながら先輩にちょうどあのレーティングゲームやその後の泥酔襲われが終わって人間界に戻った後のとある夜に起きた事を話す。

 

 

「先輩は私が何故リアス部長の眷属になったのかを知ってますか?」

 

「一応お嬢様から無理矢理聞かされた事があるので、眷属の皆様の持つ事情は把握してるつもりです」

 

「うそ……知っててくれてたんですか? ………は、ふひっ! きょ、今日の先輩はテクニシャンですね?」

 

「……は?」

 

 

 知らないと思ってたのにまさかの知ってましたというサプライズにまたしても私は言葉では表現できない幸福感に支配されるのと同時にお腹の下辺りがウズウズしてしまう。

 まさか先輩にそう言われるだけでこんな事になっちゃうなんて、あの獣さんみたいな激しいアレも相俟って、もしかしたら私は先輩無しではダメな身体にされちゃったのかもしれない。

 それは……うん、良いかもしれない……いえ、良い。

 

 

「こ、小猫ちゃん……! そんな話じゃないでしょう? お昼休みも限られてるんだから早く言わないと……!」

 

 そんな私の余韻を邪魔するかの様に横からギャーくんが揺さぶって現実に引き戻してくる。

 一瞬私は反射的に女の子状態のギャーくんの私よりムカつく事にデカい乳をもいでやろうと思ったが、先輩をこれ以上待たせる訳にはいかないので、コホンと咳払いをひとつ挟んで本題に入る。

 

 

「実はその……一昨日の夜にはぐれ悪魔になった姉が私の前に姿を現したんです」

 

「………………。それで?」

 

「その、一応話をしたのですが、どうも私を連れていくとか何とか……いえ勿論断りましたよ? 私は部長の戦車でありたいですし」

 

 

 私の言葉に先輩はスッと目を細くする。

 口じゃあやっかんでるけど、先輩って割りとリアス部長とソーナ先輩には甘いというか、お二人に何かする輩にはかなり容赦ありませんからね。

 前に不意討ちしようとしたはぐれ悪魔をかなりすぐ死なないように痛め付けてましたし……。

 

 勿論今先輩に言った私の言葉に嘘は無いけど、誤解されたくないので一応言いました。

 

 ………。なんて思いながらギャーくんが水筒に入れて持ってきたお茶を飲んでると……暫く黙っていた先輩が口を開く。

 

 

「はぐれ悪魔の姉ですか……。確か塔城様の本名は白音と聞きましたが、間違いは――――――」

 

「はぅっ!?」

 

「っ!?」

 

「こ、小猫ちゃん!?」

 

 

 先輩の口にした言葉を聞いたその瞬間、私の身体は全身に電撃が走った衝撃に襲われ、思わず身体を大きく痙攣させてしまった。

 

 

「は、はひぃ……ま、間違い、あ、りましぇん……」

 

「ど、どうかなされたのですか? 先程から変というか……」

 

「ら、らいじょうぶでふ……」

 

「小猫ちゃん……」

 

 

 良い。凄く良い。雑魚だのなんだの扱いされ続けてからのこの不意打ちはズルい通り越して最高かもしれない。

 横でギャーくんが何かを察した顔をしてるけど、この気持ちは既に先輩と気安くできるギャーくんには味わえないでしょうね。

 

 

「はぁ、はぁ……も、もう大丈夫です。あ、午後の授業が始まる前にちょっと部室に行ってシャワー浴びてジャージに着替えないといけませんけど………」

 

「シャワー浴びてジャージに着替える? お茶を溢されたご様子では無さそうですけど……」

 

「こ、溢しましたよ……。

ちょっと大きな声で言えない箇所がびしょびしょです」

 

「こ、小猫ちゃん……そんなにまで……」

 

 

 とんだサプライズで着替えとシャワーが必要になってしまって大変だとは思わず、寧ろさっきの先輩の声を携帯でも何でも良いから録音しておくべきだったと後悔しながら、お腹の中の私が欲しい欲しいと訴える疼きを我慢し、先程の話へと戻す。

 

 

「それでその……姉は強力なはぐれ悪魔で、正直無理矢理の実力行使に出てこられたら私は抗えません。

なので、定期的に行われる先輩からの修行の回数を特別に増やしてくれたらな……とか思ってたり」

 

「貴女の姉を返り討ちにする為ですか……?」

 

「はい。私はもう姉とは別の道を歩んでますから。それに、今の姉は以前よりも何を考えてるのかが読めなかったので」

 

「読めない? それは何故……」

 

 

 流石に私の姉には興味が無かったのか、読めないという私の言葉に引っ掛かる顔をしている。

 ……………。そう、私はかつてその力を恐れ、今はあの人が何をしたいのかが読めない。

 

 いや、というよりその姉の傍にいるのがあの人のせいで謎が深まったというべきなのか……。

 

 

「………………。兵藤一誠って人がさっきも先輩と同じ教室に居ましたよね? その、何故かは知らないのですけど、姉はその兵藤って人と一緒に行動してるみたいなんです」

 

「………………………。あ?」

 

「それだけじゃ無いみたいなんです。小猫ちゃんが言うには、只者じゃない小柄な髪の長い女の子も居るとか……」

 

「それは置いておいて、何故奴が塔城様の姉……はぐれ悪魔の―――すいません、名前は?」

 

「黒歌です」

 

「その黒歌とやらと一緒に行動しているという点に問題がありそうですね。

前に私は奴に妙な因縁を吹っ掛けられましたから……」

 

 

 そう言う先輩の顔はどことなく反吐が出るといった様子だ。

 

 

「兵藤って人は確か一誠さんの事を……」

 

「もう昔の話だ」

 

「……。やっぱり先輩とあの人ってただの空似ってだけじゃないんですか?」

 

「ただの他人で間違いはありません。が、個人的に彼は好きませんがね。

それよりアナタ様の姉と奴が一緒ですか……最近妙な気配が町中をうろついてると思ってましたが……」

 

「すいません、確実に姉です」

 

「いえ、アナタ様が謝る事はありません。事情も事情もですから稽古を増やす事は了承しましょう」

 

「ほ、本当ですか? あ、ありがとうございます……!」

 

 

 ご奉仕モードの先輩に個人修行の時間を増やしてくれた時点で嬉しくて思わず小躍りしそうになった。

 

 

「しかしその……こういう事を実の妹であるアナタ様に言うべきでは無いのかもしれませんが、少し覚悟はした方が良いのかもしれません。

例えばアーシア・アルジェントと同じ様に彼にそういった気持ちを抱いた挙げ句一線越えてるとか……」

 

「あ、別にそれはどうでも良いです。先輩に何にも抱かなければどこの誰と交尾しようが」

 

「そ、そこはドライなんだね小猫ちゃん……」

 

「だって別に姉も子供じゃないし。兵藤一誠って人が好きなら好きで結構だと思いますよ? 私を巻き込まなければ良いだけですから」

 

 

 うん、問題はレイヴェル・フェニックスみたいな事にならなければ良い。

 姉がどこの誰と……目の前の一誠先輩を敵と思うのならそれで良い、兵藤一誠と幸せにでもなんでもなってくれたらパーフェクト。

 要するに私を連れ出そうとさえしなければ良いのだ―――という私の気持ちを先輩はわかってくれたのか、ご奉仕モード特有のクールさを見せながらフムと呟くと、私に向かって言った。

 

 

「なるほど……その意見があるなら遠慮も要りませんね。わかりました……リアスお嬢様やソーナお嬢様に笑われそうだし、内緒にして頂ける条件を守れるなら、一つアナタ様にお約束しましょう」

 

「絶対に守ります。ギャーくんもバラしたら酷いからね?」

 

「う、うん。でも珍しい……一誠さんからこんな事言うの」

 

「いえ、正直言うと初めて塔城様に対して微妙な親近感が……」

 

 

 死んでも言わないと即答する私。

 先輩の態度にギャーくんが珍しいものを見るように驚いてる様だけど、どうやら先輩は私にちょっとだけ親近感みたいなものを感じたらしい。

 

 

「アナタ様の姉がどれ程のレベルかは知りませんが、確実にそれを超越する領域までアナタを鍛えます。

それと、その過程でもしアナタの姉……もしくはおかど違いの正義感を振りかざした兵藤一誠やらアーシア・アルジェントに連れていかれそうになった場合、私が阻止する事をお約束しましょう」

 

 

 あぁ…………私もう明日にでも死ぬかもしれません。今までで一番先輩に近づけたし、先輩にこんなことまで言われるなんて……こんな事ならパンツの替えを持ってくるべきでした。

 

 

「い、いいなー小猫ちゃん……」

 

「テメーはさっさと神器の制御を完璧にしろ。それに誤解すんな、俺はこの最近イマイチよくわからんガキにとっととレベルアップして貰って余計な手間を掛けさせないようになって貰いたいんだよ」

 

「あははは……あははは」

 

「小猫ちゃんがトリップしちゃってるし……僕に対してはご奉仕モードじゃないし……」

 

「最近ずっとこんなんな気がするが、何なんだこのガキ? 俺の思ってる事の大半を言い当てるし、正直気色悪いんだが……」

 

「僕からは言えませんよ……というか言いたくない」

 

 

 パンツが何枚あってもダメかも。

 この先できたら素の先輩とお話しできたら良いんだけど、もしそうなったら私はとてもエッチな雌猫になりそう――いやなっちゃう。

 

 だって先輩……不意打ちばっかりなんだもん。

 

 

終わり

 

 

 

 

 そんな訳でリアスやソーナに内緒で、ギャスパーも交えての対黒歌特訓を開始した小猫たん。

 当然ながら今までの比では無い壮絶な修行だった。

 

 

「スキル?」

 

「うん、一誠さんやサーゼクス様、部長やソーナ先輩……それから多分あのレイヴェル・フェニックスさんに共通することの一つとして、同類とされる理由であるスキルを持ってるんだ」

 

 

 その過程でギャスパーからスキルの存在を知る。

 

 

「スキルってどうやったら発現するんですか?」

 

「……………。誰からその事を」

 

「ギャーくんです」

 

「……」

 

 

 姉よりも寧ろレイヴェル・フェニックスばかり意識する小猫はそれを会得したがりだす。

 

 ……そして。

 

 

「本当にイッセーそっくりにゃ、でも目付きは悪いから見分けは付くね。

聞けば白音の事を虐めてるんだって? 許さないにゃ……!」

 

「白音を俺たちに渡して貰おうか?」

 

「……………………」

 

「見事に先輩が悪者認定ですね……というか修行なのに怪我のひとつや二つするに決まってるのに……」

 

 

 大人しく隅で震えてれば良いのに地雷を勝手に蒔いて勝手に踏んで自爆する奴。

 

 

「嫌だ……私は戻らない。アナタを越える事が私に課せられた先輩からの試練。

アナタを越え、レイヴェル・フェニックスを越え……先輩や部長達の領域に入る……!!!」

 

「………………!?(白ガキの精神が爆発した……)」

 

 

 SS級はぐれ悪魔の姉にまだ至らず、ギリギリまで手出しをしない一誠にこれ以上不甲斐ない姿を晒したくないという執念が小猫から覚醒させる。

 

 

「な、なに……それ……? 白音……なの?」

 

「お、俺の倍加した力が……」

 

 

 

 

 しゃくっ!

 

 

 

「……………。あんま美味しくないですね、赤龍帝の力って」

 

 

 頼もしき白音(ネオ)へと。

 そして……

 

 

 

「合格だ白ガキ。くくっ、そして生まれて初めて感謝するぜヘボ似非野郎……! お陰で俺自身に新しい進化の可能性が見えた……! 礼だ……死んだ方がマシな地獄を見せてやる……!」

 

 

 無神臓(イッセー)もまた進化する。

 

 

 …………なーんてなる訳はない。

 

 

 

 

 

 

番外・やらかし執事…がんじがらめ。

 

 

※やはり本編とは関係ありません。

 

 

 記憶がすっとんでる昨晩という、たった一夜で一気にやらかした疑惑が殆ど確定的になってしまった一誠。

 

 人妻、腐れ縁の三人、そして人妻の夫。

 

 記憶を辿れば辿る程に発覚してしまうやらかし具合に一誠のメンタルはズタボロであり、冥界の公園でひとりベンチに座って項垂れていると、そこに現れたのは――

 

 

「あぁ、昨日の事ね……一応お前が何をしたのかは知ってるけど僕は。ね、グレイフィア?」

 

「え……ええ……」

 

「…………。頼む教えてくれ、俺は一体本当に何をしでかした。ていうか何故記憶がすっ飛んでる?」

 

 

 魔王サーゼクスとグレイフィア夫妻が公園のベンチに座る……というだけでギャラリーの悪魔達が大量発生したので場所を移動し、人気の無い方の公園へと移動した。

 勿論その過程で多くの悪魔達がキャーコラとなったが、今の一誠はとにかく昨日の記憶を取り戻したいだけなので黙って付いていった。

 

 

「まぁでも大丈夫じゃないの? 僕もそこまで詳しくはないけど、取り敢えず一誠が間違ってお酒を飲んで泥酔しちゃったのは確かだね」

 

「はぁ!? さ、酒!? 俺まだ未成年なのに何故に酒!?」

 

「うん、ジュースと間違えて飲んじゃったみたいでね。んで、具合が悪くなったリアスとソーナさんをトイレに連れていって介抱しに付いていったね。

で、30分くらいしたら先に部屋に戻したといって一誠だけが帰って来たねぇ――妙にスッキリした顔で」

 

「なっ……!」

 

「で、次はセラフォルーが具合が悪くなったといって連れていっての繰り返しだね」

 

「く、繰り返しって……」

 

「うん、小猫さんとかギャスパーさんとかもね」

 

「はい!?」

 

 

 どうやら間違えて飲んでしまった酒のせいで次々と粗相をしでかしたのまではサーゼクスの話でわかったが、何とその中にはリアスやソーナやセラフォルーやヴェネラナだけでは無く小猫やギャスパーも含まれていたらしく、一誠はまたしても固まってしまう。

 

 

「それと、ね、グレイフィア?」

 

「え、ええ……はい……」

 

「は?」

 

 

 だがそれ以上に修羅場になる案件はすぐ近くに……。

 それは肩を震わせて笑いを堪える様にしながら隣を見るサーゼクスと、あからさまに俯いたり目を逸らすグレイフィア……。

 

 

「凄いよね、夫目の前に二人の人妻とアレしちゃうとか……。

いやぁ、一誠ってば介抱するんじゃなくて自分の解放をしちゃったんだもんさぁ?」

 

「…………」

 

「ばぁぁぁぁっ!?!?!!?」

 

 

 

 記憶を取り戻す過程で更に発覚してしまった粗相一覧に一誠はその場にしゃがんで頭を地面に何度も打ち付けながら吠える。

 それはだって……そういう事だから……。

 

 

「でもまぁ、グレイフィアの場合は逆だったけどね、ほらお酒弱いじゃないグレイフィアは? で、飲んで酔ったら無理矢理一誠の方が連れ出されて、40分くらいしたら戻ってきたよ……泣きながら服を引き裂かれた状態で」

 

「………」

 

「わっつ!?」

 

「そして最後は夜風に当たりたいという母の付き添いで外に出ていったのを見送ったんだけど、いやぁまさかねぇ……? ちなみに父の時は一時間は戻らなかったっけ?」

 

「全部アウトじゃねぇか!? どこのド変態クズ野郎だ!! つーか俺一回完全に襲われた側だよな!? ジオティクスのおっさんの時だけ長いのはどういう訳だよ!?」

 

「二ラウンド挑戦したのが流石に若くともキツかったとかじゃな――」

 

「テメェゴラ! その場で見てたんなら止めろよ!? 簡単に出来たろーが!!」

 

 

 ニヘラニヘラと笑うサーゼクスの胸ぐらを付かんで揺さぶりまくる一誠の顔色は最早死人の様に真っ青だった。

 

 

「落ち着きなよ一誠、別に行為自体が悪い訳じゃないだろ?」

 

「悪だろうが! テメーの嫁とやらかしてるんだぞ!?」

 

「勿論グレイフィアの件は何も思わない訳じゃないけどさ、でもほら……一誠からというよりはありゃ完全に襲われてるしねぇ?」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「それに問題はそういう事をしたのに無責任に知らん顔をしちゃうことだろう?」

 

「う!? そ、それは……」

 

「だろう? 僕の場合はこの世に一夫多妻があるなら一妻多夫もあってもいいかなってさ……これである意味本当の兄弟になれた訳だし、あぁ兄弟といっても穴きょう――」

 

「それ以上は言うな!! ぐ、くそ……なんでこんな事に……」

 

 

 聞けば聞くほど昨晩の己のやらかし方が尋常では無いことに絶望するしかなく、取り敢えずサーゼクスにぶち殺されないだけマシと考えるしかない。

 で、相談した結果――

 

 

ヴェネラナの場合。

 

 

「は、一妻多夫を前提にお付き合い!?」

 

「あ、あぁ……」

 

「な、な、何を言ってるんですか一誠!? 頭でも打ったの!?」

 

(お、俺だってこんな事言いたくねぇよ……)

 

「い、いやこの前の事だけど、あれから色々と考えた結果――」

 

 

リアス&ソーナの場合

 

 

「――覚えてないって言ったけど段々思い出してきたというか……」

 

「え、ならそのつもりで……?」

 

「一誠が……」

 

「う、うん――」

 

 

セラフォルーの場合

 

 

「――ちゃんと責任は取りますよー……的なそんなアレというか……」

 

「そ、そうか! この前逃げた時はそのまま捕らえてセラフォルーがおめでたになるまで地下に監禁してやろうと考えてたが……」

 

「セラフォルー、よくやりました……一誠がこれで本当の息子になりますよ」

 

「うん!」

 

「こ、子作りの件はまた今度な! それより――」

 

 

 

 小猫&ギャスパー

 

 

「あ、あの……先日は本当に……」

 

「い、いえ……私はもうホントに大丈夫ですから」

 

「狼さんになった一誠さんは意外にも優しかったので……あはははー」

 

「ぐ……で、ですがその、本当に良いのですか? 私は――」

 

 

ジオティクスの場合

 

「――言っとくけど俺まだガキで甲斐性とかゼロだぞ!? 良いのか本当に!?」

 

 

 

 

 

 

 

「…………二人一緒に堕ちていくなら、それも悪くない。今はそんな事を考えてる……」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員割りと乗って来たんだけど!?」

 

 

 取り敢えずサーゼクスの言われた通りの責任と誠意を示す為に、サーゼクスの『言われた通り』に個別に呼び出したやらかしの相手と話し合いをしたのだが、全員して一誠と一緒になる事に乗り気で絶望していた。

 

 

「誤算だったね、これなら真面目な面をアピールし、重い男と思わせて篩にかけられると思ったんだけどなぁ。

でもよく考えたら皆一誠に好意的だったから意味なかったかも」

 

「ふざけんなテメー! どこが真面目だ、ただ8股かけてるだけじゃねぇか!!」

 

「グレイフィアも含めてだからねー」

 

「泥沼だろうが!!」

 

「一晩で八人と粗相をやらかした一誠の言う台詞じゃあないね」

 

「うっ!」

 

 

 グレイフィアだけは事情を知るサーゼクスが居るので少し勝手は違うしぶっちゃけ状況的に一誠を襲った方だからはしょってるものの、実質合わせて8股というどこのハーレム王だと云わんばかりの状況。

 

 

「見ようによってはアレだよ、安心院さんが前に持ってきて悪平等(ボク)達に読ませた漫画……ええっとToloveるみたいに見えるよ?」

 

「どこに人妻二人とおっさん含めたToloveるがあるんだよ!? 裁判沙汰って意味でホンマもののトラブルだろうが!!」

 

「大丈夫よ一誠、私は転んだ際に巻き込まれてパンツや股ぐらに顔を突っ込まれても平気よ? 寧ろサーゼクスと一緒に襲われても……」

 

「うるせーよ!? さっきから何顔赤くしてモジモジしてんだよ! やめろ!!!」

 

 

 本来の一誠であるなら無問題だが、生憎対人恐怖症を拗らせ、愛情という概念に懐疑的なめんどくさい性格になってしまってるこの一誠にとってはただただ八方塞がりな件でしか無く、本気で項垂れている。

 

 

「ど、どうるすんだよ……いっそ殺してくれた方が楽な気が……」

 

「どこぞの男みたいに斧でNice boatされるのは勝手だけど、一誠が斧で傷がつくとは思えないし、そもそも僕の妹や母や妻を泣かせる事になるから許さないよ?」

 

「じゃ、じゃあどうすれば良いんだよ!? お前の嫁すら何か乗り気だし!!」

 

「ここは僕に……お兄ちゃんに任せなさい! グフッ――な、何とか上手く回るようにするからさ!」

 

「……」

 

 

 ニコニコとしながら……どう見ても今の一誠の状況を楽しんでるサーゼクスは一誠に耳打ちする。

 何を言われたのかは聞こえないが、終わったと同時にこの世の終わりみたいな顔をする一誠が見える辺り、お察しなのかもしれない。

 

 

終わり




補足

なんやかんやとコソコソとやってる転生者。
何故潰されないかというと、初見であまりにも弱すぎて一誠本人に殺す価値すらないゴミと断定されたのと、彼がまだ一誠と親しい人達にちょっかいを出さないからです。

出したら即出動されておしまいですからね。

その2

なので小猫たんはともかくとして、その姉と何してようがナニしちゃおうが一誠からすればどうでも良のですが、はぐれ悪魔である以上放置は出来ない程度には思ってます。

その3
小猫たんはその……うん、好きすぎてちょっと変わった子になっただけです。



その4番外

結果、8股という泥沼
しかし魔王の嫁は流石魔王の嫁らしく、寧ろ襲ったらしい。

ちなみに元ネタは6股でしたが、全員化け物レベルでした……色んな意味で。
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