ナチュラルに鬼畜です。
奪われても意に返さぬ強さを。
裏切られても何も感じることの無い鋼の精神を。
あらゆる生物を超越する進化を。
零からのリトライを果たした少年の心には常にこの言葉がこびりついている。
そんな男の施す修行は果たしてお優しいのか? 答えは否で間違いない。
「おいリアス、今日から暫く俺帰らねぇから」
「あらそう…………………………………………………。で、何で?」
先輩に直接修行の面倒を見て貰える事になったという、私にとってはまさかの展開から明くる日。
約束した通り私とギャーくんは決して昨日の事を誰にも話さずに普段通りを装っていたら、放課後になって部室に来た先輩はぶっきらぼうに部長に対して言ったのを、これまた平静を装って耳を傾ける。
「さっきソーナにも言ったが、『壁』が出てきた。だからそれをぶち壊す」
「壁ねぇ……ふーん?」
頬をひっきり無しに擦りながら、何やら私たちにはよく分からない言葉を使って理由を話す先輩にリアス部長はちょっと怪しんでる。
「壁という意味はわかるし、アナタがそれを越えたらいっつも先の領域に進化してるのも知ってるけど、今回に限って私やソーナに教えるのね?」
「……。言わなきゃ邪魔されるからだ、とにかくそういう訳だから暫く飯はソーナと勝手に相談して食え。
それとだからといってサボったらしばき倒す」
「わかってるわよ、更に置いていかれたくないもの。それで、どこで修行するのかしら?」
「前にジオティクスのおっさんとポーカーして勝った時に貰ったグレモリー家の私有地。
あそこなら色々と仕掛けもしてあるから外部からの邪魔も無い」
「え、あそこ使うの? 様子が見れないじゃない……」
「だから言ったろ『邪魔』されたくないんだよ」
あそことはどこなのか良くわからない私たちを置いてけぼりにして不満がる部長に先輩はキッパリ言うと、そのまま部室を出ていってしまった。
「先輩はどこに行ったのでしょうか?」
「前にお父様とポーカーだか何だかをして贈られたグレモリー家の私有地のひとつを一誠は所持しててね? そこを専用の引きこもり修行場として使ってるのよ。
一誠が自身のレベルを上げる時になると決まって一人でその土地に引きこもるのだけど、困った事に色々と妨害をされない仕掛けを一誠が施してるせいで様子が全く見れないのよねぇ……」
私達ではまだまだ知らない先輩の一面を教えてくれながら部長は口の形を不満そうに3の形にしている。
なるほど……誰からの干渉もなく、どうやってバレずに私に色々と叩き込んでくれるのかと不思議におもっていたけど、この話を聞く限りそういう心配は要らないみたい。
……………その分本当に地獄を見せられると思うけど。
「……。あそこに他人を入れるなんて、一誠さんはそれだけ本気なんだ……」
横でギャーくんがナニかブツブツ言っててその顔は覚悟をしないといけない雰囲気を放っている。
うん、明日になっても私は生きてるのかな……? なんて事を思いながら時は過ぎていき、部活動も終了し、夜になる。
後で迎えに行くから自宅に居ろと言われた通り、着替えとか色々用意してギャーくんと待っていると、約束した時間通りに先輩はやって来た。
「お待たせ致しました。準備は宜しいですね?」
「は、はい……!」
「あの、僕もついていって良いんですか?」
「ついでにお前の神器制御の面倒も見てやる。何時までもそのままの訳にはいかないだろ」
そう燕尾服姿でやって来た先輩に連れられ、私達は町の外れまで徒歩で移動する。
「ここら辺で良いでしょう。今から転移します」
そう言った先輩が懐から古めかしそうな鍵をひとつ取り出す。
「この鍵には特殊な………理屈はよく知りませんが、簡単に言うと私が旦那様からお借りした土地へ転移する仕掛けが施されております」
スクラップ場みたいな場所の地面に鍵を突き立て、おもむろに回した瞬間、転移魔法独特の魔方陣が私達の足元に展開されると、次の瞬間私達の視界には壊れた車や何かの機材の山では無く、潮風とさざ波の音が聞こえる海岸だった。
「到着です」
「ここが先輩の……」
転移した場所は簡単に言えば島だった。
といっても人が集まればそこで家を建てて村作りが可能な程の大きさを誇る無人島で、生物の気配はあれど人の気配はまったくしない。
私が姉とあの兵藤ってよく見たらそんなに先輩と似てない人に負けない為の修行をする場所なんだと思うと自然と気合いが入る。
「一誠さんの許可無くこの場所に来れる事は、例えリアス部長でも無いのに、僕と小猫ちゃんがまさか入れるなんて……」
「大袈裟なものでも無いがな。
さて塔城様とギャスパーにはこれから島の中心に建ててある小屋に案内します。
お荷物等はそこに置いてしまった方が良いですし」
「あ、はい……」
スタスタと海岸の反対側に威圧的に広がる広大な森へと入っていく先輩に慌ててバッグを片手に追いかける。
修行場というのだからもっとこう、岩肌だからけのゴツゴツした場所なのかなと勝手に想像してたけど、思ってた以上に綺麗な所で、そういえば元々はグレモリー家の土地だったと考えると、多分別荘だったんだなとぼんやり考える。
「ここです」
「小屋……?」
「普通に別荘っぽいですね」
暫く割りと整備された森の道を歩いていき、たどり着いた先は先輩いわくの小屋なのだが、私とギャーくんから見ても小屋には思えない豪華な作りの家だった。
「電気と水……それから一応の生活環境は維持してます。中に入ったら適当な部屋に荷物を置き、破損しても構わない服装に着替えてください」
「行きましょう小猫ちゃん」
「うん……」
基準が違うなぁ……なんて思いながらギャーくんに先を越される形で豪華なお家に入り、言われた通り適当な部屋に入った私は、用意していたジャージに着替えて外に出る。
別荘の前には既に先輩が待っており、さっきと変わらない燕尾服姿だ。
「先輩は着替えないのですか?」
「今回私自身の修行ではありませんからね。それに、アナタ様と組手等は致しますが、果たしてこの服が汚れるのかどうか……」
「………」
ちょっと挑発的に笑って、『お前ごときにこの服が汚されることはねーよ』的な事を言われてちょっとだけムッとしてしまう。
けどそれと同時にそれだけ今の私と先輩の差があると考え、遅れて出てきたギャーくんにちょっと八つ当たりして気を紛らわせておいた。
「む、無言でお尻をつねらないでよ小猫ちゃん……怖いです……」
「…………」
ふん、実は先輩に土をつけてたと知ってどんなに悔しかったかわからないでしょうねギャーくんは。
絶対に姉を越えて、自分の意思で生きてやる…………なーんて意気込みながら張り切って修行を始めた私なんだけど、やっぱり先輩は容赦が本当に無かった。
「塔城様の戦闘スタイルはある程度把握しておりますが……ハッキリ言いましょう、全てが中途半端です。
馬力もない、速さもない、技術はただ前に突っ込むだけ。
戦車の駒の特性ばかりに頼るだけで、地力がまるでない。
だから吹っ切れてもないギャスパーにすらそのザマなのです」
「だ、大丈夫小猫ちゃん……? ごめんね? ちょっとやりすぎちゃった……」
「………………………」
まず軽い組手をしたのだけど、汗のひとつもかかない先輩からゴム毬みたいに何度も蹴飛ばされ、ギャーくんとやりあった時も普通に負けて……。
そして挙げ句の果てには……。
「あっぷ!? あっぷぷ!?!?」
「塔城様、早くしないと何時まで経ってもお夜食は食べれませんよ?」
「がぼ!? がぼがぼ!?!?」
「けほけほ……うう、ギリギリなんとかなったですぅ……」
「それでも遅い。ったく、フィジカルにかまけて引きこもりするからだ馬鹿が」
「ご、ごめんなさい……はぁはぁ……」
両手足を縛られた状態で、おかしなスピードで流れる別荘の中庭にあったプールに投げ込まれ、自力で先輩の所まで泳げという、そもそも泳ぐのすら苦手な私にとってはまさに地獄の修行。
「頑張って小猫ちゃん! もっと全身をタコさんみたいに使うんです!」
「がぼぼぼ!?」
「ギリギリ1メートル進んでは流されるか……。
チッ、思ってた以上に貧弱だな……」
しかもギャーくんは私と同じ条件でこの鬼畜なスピードで流れるプールに放り込まれたのに、開始3分には陸に上がって微妙な顔をしてる先輩の横から私の応援までする余裕すら見せていた。
これがまたよりにもよってギャーくんに負けっぱなしという展開が相まって悔しくて仕方ない。
こっちは両手足を封じられた関係で必死に全身を使って泳いでは端に戻されるの繰り返しなのに……! というかタコみたいにとか言われても良くわからないんだけど!
「げほげほ! うぇぇ……!」
「前にリアスとソーナを似た環境の状態でやらせた事がありましたが、二人は初見で突破しましたよ」
「あ、あのお二人と小猫ちゃんを同列にするのはどうかと思うんですけど……」
結局泳げずに陸に上げて貰うという情けない結果で終わったこの修行でわかった事がひとつあります。
私ってもしかしたら眷属で一番弱いのかもしれない……と。
「今日はここまで。
都合良く祝日もあって三連休な為、帰りたくばお送りしますが……」
「い、いえ、ご迷惑で無ければ別荘に泊めてくだ、さい……」
「僕も同じで。一々一誠さんに送り迎えして貰ってたら悪いですし」
「……畏まりました。では戻ってお夜食の準備をしましょう」
は、ははは……これで姉をぶち抜いてあのレイヴェル・フェニックスに勝つってよくイキってましたね私。
単なるアホですよこれじゃあ……。
「大丈夫小猫ちゃん? 先輩の本格的な修行を初めて受けたにしては気絶しなかっただけすごいと思うよ? 僕なんて慣れるまで半年も掛かったし……」
「な、なぐさめなんて要らない。
これでハッキリ私は眷属で一番弱いってわかった……。でもこのままで済ませない……絶対に……!」
アホだけど、このまま諦める訳にはいかない。
今はまだ身の程知らずかもしれないけど、その内身の程知らずでは無くなるレベルに……。
「明日……いえ、もう日付は変わってるので正確には本日となりますが、昼間は向こうに戻ってリアスに顔を出しておいてください」
「怪しまれちゃいますからね」
「あぁ、オメー等に真面目こいて何かやってるなんてソーナやリアスに知られたら嫌だしな。
それと――んんっ、塔城様、例のアナタの姉とやらの事を把握させて貰いますが宜しいでしょうか?」
「それは構いませんけど、あのー……私もギャーくんと同じ調子で話しても構いませんよ?」
「いえ、先程からそうしてみようとは思ってるのですが、しようと思うと吐きそうになるので暫くはこのままで。
それに今のアナタ様に強くなって貰わないと、この先この妙な親近感から来る興味が持続しないと思いますので……」
「何がなんでも強くなります!」
何気に初めて先輩の作ったご飯……それも和食を食べながら見限られる訳にはいかないと今一度先輩に向かって誓う。
リアス部長に拾われて眷属となって出会った、当時は私より背とかも低くて小さかったけど物凄く強かった人間の男の子とここまで、壁はまだあるけど話せる様になれたんだ。
「まあ、精々期待しますよ塔城様」
「ええ、あのレイヴェル・フェニックスより強くなりますから!」
「…………へぇ? あの小娘より……ですか。大きく出ましたね」
「妙に対抗意識燃やしてるんですよ小猫ちゃん……」
「だって気に食わないんだもん。いきなり先輩にすり寄ろうとしたし……」
その苦労を自分の弱さで台無しにする訳にはいかない……何がなんでも。
続く。
オマケ・確認の為に……。
レイヴェル・フェニックスを越えてやると意気込む小猫を見て、無意識ながらもほんの少し素になって頬を緩めた一誠。
とはいえほんの一瞬な為にギャスパーも小猫もその変化には気づいておらず、暫くパクパクと一誠の作った料理を食べまくる小猫がふと思い出した様に……そして確認するように口を開いた。
「あの、明日――じゃなくて正確には今日、姉の姿を確認すると先輩は言ってましたけど、一体それは何故ですか?」
「何故? いや、アナタ様の姉とやらのレベルがどれくらいかなのかを把握しないと修行の密度の調整ができませんからですが? 何か気になることでも?」
「い、いえ……それなら良いんですけど」
首を傾げながら問い返す一誠に小猫は内心ホッとしながら誤魔化す様に味噌汁を飲む。
するとその様子をきんぴらごぼうを食べながら見ていたギャスパーが口を挟む。
「ひょっとして小猫ちゃん、レイヴェル・フェニックスさんみたいな事が小猫ちゃんのお姉さんとの間に起こるとか心配したの?」
「っ!? げほげほ!?」
図星突かれてむせる小猫。
「レイヴェル・フェニックスみたいな?」
「い、いや……この前姉と再会してしまった時に、その……まぁ、色々と私の姉なのかよと恨みたくなる姿してたので……」
「は?」
「リアス部長や副部長みたいなですか?」
「若干それよりも出てます……多分」
サッと水を差し出す一誠にお礼を言いながら飲む小猫が、姉の姿について嫉妬まじりに言及する。
それによりやっと何の事なのかと察した一誠は、心底どうでもよさげに……かつ嫌そうな顔をしながら言う。
「私ってそんなに女好きか何かに見えるのでしょうか? アナタ様の姉とやら自体に興味なんてありませんよ。というかそもそもですよ? 確か彼女は、兵藤という男と宜しくやってるんじゃありませんか? 例の神器使いの外人と同じで」
死ぬほど興味ないと、褪めた顔で言い切る一誠。
「でも格好とか凄かったんですよ。まるで花魁みたいな……」
「だから? 忌々しい話ですが、私こう見えても異性の裸体は見慣れてますからね。
冥界に居た時は毎日毎日ヴェネラナのババァ――じゃなくて奥様に弄ばれ、こっちではリアスお嬢様とソーナお嬢様に身体洗えだの髪洗えだの……」
「!? そ、そんな事を二人にしてあげてるんですか!?」
「ぼ、僕も今初めて知りました……」
「じゃあ誰にも言わないでください、こんな恥みたいな話を。
とにかくです、塔城様の姉とやらが素っ裸だろうが、目の前で勝手に発情して迫ろうが知りませんし、寧ろ反射的に首でも刎ねてしまうでしょう。
…………そもそも兵藤という男と宜しくやってる奴がそんな真似するとは思いませんが」
キッパリはっきりと小猫の姉……つまり黒歌がどんな存在だろうと興味無しと言い切る辺りの一誠は普段のコミュ障っぷりもあってある意味信用できるものがある。
寧ろ一誠的にイライラする案件は、背後に居てチョロチョロと鬱陶しい兵藤一誠という、転生者の存在だった。
「大人しく隅で震えてりゃあ良かったものを……」
「え?」
「いえ、こっちの話ですからお気になさらず。
仮の話、もしアナタ様の姉とやらと兵藤一誠がそういう関係だった場合で、もしもアナタ様が向こう側に連れていかれたら一応覚悟はした方が良いと思いますよ。
多分、押し倒されて何かされますから」
「そ、そんなの例え話でも聞きたくないです! 気持ち悪い……!」
「でしょうね。あ、でも大丈夫です……期間内に限ってはそんな事は私がさせませんから」
「ぁ……そ、そうですか……ありがとうございます―――――ふへへへ」
二天龍のバランスが崩れるからと生かしてやったが、場合によっては今度は死んだ方がマシな状態にしてやるべきなのかもしれない。
期間限定で守ると解釈したのか、ひとりギャスパーに引かれながら笑ってる小猫を見ながら一誠はひとり考えるのだった。
終わり
※番外・やらかし執事……8股篇
本編とは本当に何の関係もありません。
何を言われようが独りで生きるというストイックな未来を考えてたのに、蓋を開けたら8股という地上最低とも言える粗相を誤って飲んでしまった酒のパワーに文字通り飲まれてしまったとはいえしでかしてしまった一誠。
これが例の転生者であるなら『皆平等に愛する』だなどと宣うのかもしれないけど、生憎一誠にそんな器用な真似が出来るわけが無く、ただただこの状況が楽しくてしかたないサーゼクスの言われるがままに演じるしかできないでいた。
「け、結婚を前提に同棲!?」
「う、うん……」
「この前から何を一人で突っ走ってるんですか!? あの時の事はお互いに無かった事にしましょうと言ったのに!」
「い、いや……無かった事にするにしては流石にやらかした度合いが大きすぎるし、色々と見据えて予行演習を……」
八股掛けてしまった責任……というよりはどう上手く一人一人と棘無く元通りになれるかを考えた結果、サーゼクスの提案により一人一人と暫く同棲生活をする事にし、八股相手全員をサーゼクスが趣味で購入した古めのアパートにバレない様に呼び、ヴェネラナから同棲の話を持ち掛けた。
「じ、実際一緒に暮らしてみないと色々とわからないだろうし……。まぁ俺が嫌になったら遠慮しないで出てってくれよ」
「既に人間界では実際一緒に暮らしてるし、嫌に思うことなんて全く無いわよ?」
「そうよ、もう一誠の事は全部を知ってるし今更な様な……」
「あ、あれは所詮アレだろ!? これはほら、あ、アレだよアレ……もっと距離を縮めてみましょうって意味で……」
「キャー! 聞いたソーナ今の一誠の言葉!?」
「縮めるって何かしら!? やっと私達を意識してくれたと思うと……きゃっ! 色々と衣装の準備をしといて正解だったわ! 今日は何着る!? 手堅くメイドにしちゃう!?」
「ナースもアリだわ!」
(う、うるせぇバカ二人……)
ぶっちゃけ改める必要は実は無かったりするリアス&ソーナにも下手に出たり……。
「あの、同棲と言ってもお互い忙しいですし、来られる時だけ来ましょう。
他の連中にもケジメがつくまで内緒ということに……」
「そうですね、では月、火、水、木、金、土、日を私、月、火、水、木、金、土、日をギャー君でいきましょう」
「これなら問題ないですね!」
(何でどっちも皆勤なんだよっ!!)
皆勤する気満々の小猫とギャスパーに内心突っ込んだり。
「お、俺も昼間は人間界の方の学校だったりリアスとソーナ達の事もあるけど夜はなるべく来るから……」
「夜だけ戻ってくるなんてどういう事よいーちゃん! それって身体だけなの!? 私のお腹がタプンタプンになるまでアレしてくれるの!? キャー!! キャー!!! いーちゃんのえっち~!!☆」
(……。コイツは放置しても問題なさそうかもしれない)
横に大きいお布団の上で転げ回りながら喜び、確実にできちゃったを望んでるセラフォルーだったり。
「こ、この物件俺が購入したから家賃とかの心配はいらない……だからもう……色々と気にするな」
「あぁ……ここが堕ちてく部屋だと思うと、やはりそれも悪くないな……」
(頬を染めんなよおっさんが!!)
最早完全に受け入れ体制という気色悪さ全開のジオティクスだったり……。
ひとつのアパートの各部屋に呼び起こされた8股中の7人はなんやかんや言ってるヴェネラナを含めてやっぱり乗り気だった。
「何でひとつのアパートに呼び寄せんだよ!?」
だがどう考えてもひとつのアパートに全員を呼び寄せる事がおかしいと感じた一誠は、提案主のサーゼクスに詰め寄る。
もし互いに鉢合わせしてしまい、一誠の事を話されたらそれだけでアウトだという事を考えれば当然の突っ込みだ。
しかし同じアパートの最後の部屋にてサーゼクス&グレイフィア&一誠部屋ということになってるこの空間にて呑気に緑茶を飲むサーゼクスはテーブルをバンバン叩く一誠に向かって冷静に返す。
「確かに危険は伴うけど、何かが一斉に起こった場合の対処はやりやすいだろ? それにこのアパートは安心院さんに貸してもらっためぞん一刻の舞台である一刻館に酷似してて個人的に買い取ったものだ。
つまり母もリーアたんも父も知らない物件だから、グレモリー家の動きはバレない」
「だ、だけど……」
「一誠、やるしかないんだ。皆を鉢合わせさせず、尚且つ向こうから嫌気を持たれる様に振るまい一人一人と上手く別れる様にしないとお前は永遠に8股男として生きなければならない。
まあ、一誠が良ければそれでも良いけど……何せ向こうは満更じゃないし」
「くっ……」
「グレイフィアと僕も暫くこの場所に住む。
ちなみにグレイフィア的には僕と一誠の二人にハメられても吝かじゃないみた――」
「その件はもう良いしやらんわっ! くそったれが!!」
一人もじもじしてるグレイフィアの態度とヤる気満々のサーゼクスに突っ込む事しかできず、また他の全員もヤる気満々なのにこれから先が不安でしかない一誠。
「取り敢えずこれは渡しとくよ………はい、避妊するためのコンドーさん100ダース」
「俺がやらかす前提か!? 正気である以上んな事するかよ!」
「え、しないの? 折角サーゼクスとアナタに縛られた後、代わり代わりに物凄いことされる覚悟してたのに……」
「お前はこの前から何なんだよ!?」
果たしてこの泥沼すぎる隠れ8股生活にゴールはあるのか……コミュ障一誠の禊は今静かに始まった。
続く?
補足
流れるプールの件ですが、どんだけ流れが急なのかというと、某地上最強の生物がバカンスでバタフライ泳ぎした時のあのプールの三百倍とだけ言います。
そんなプールの中へと両手足を縛られたまま放り投げられる小猫たんとギャスパーちゃま。
その2
性格はビビりですが、何気に一誠に先んじて叩き込まれてるので地力は地味にスゴい。
手足縛られて鬼畜プールに放り込まれても普通に泳げる程度には。
その3
姉が先輩に……と余計な心配をしてしまう小猫たん。
しかるにそれは絶対にありえなないとだけ言っておく。
というか、この執事の周囲があまりにも色んな意味でレベルが高いので、今さら常時盛ってる程度じゃ個性にもなりゃしないという……。
裸にひんむいてにゅるにゅる洗いっこしようとするヴェネラナさんとか、授乳させようとする人妻だとか、好きすぎてマセちゃった娘さんだとか、本気になった途端不意討ちかまして押し倒す魔王少女だとか。
そして遅れがちに見えて実は一番アレなリアスさんとソーナさんだったりとかとかとか……。
ね、個性だらけやろ?
番外補足
元ネタの場合、ジオティクスさんポジのマダオは犬小屋に突っ込まれてたけど、一誠は流石にそこまでできないので同じく一刻館に似た部屋に……そしてやはり満更じゃないジオティクスさん。
これ、元ネタと違って恐ろしいのはほぼ全ての相手が満更じゃないどこかカモーン状態だから、マジで間違えたらそのまま――ってオチならぬ堕ちが待ってる。
ちなみに誰よりも喜んでるのはセラフォルーさんだったり……。
そしてグレイフィアさんは何故かマゾ心が芽生えてる。