TS姉ガイル   作:ヴァルプルギス

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とりあえず三話目。
早く俺ガイルの最新巻が読みたい········!


いつものごとく、比企谷八幡は物事に乗り遅れる。

 

 

 

 

 

知らない天井だ…。

あ·······れ··········?俺、どうしたんだっけか。

えっと、確か今日は高校の入学式で···。

 

そうだ、近くにいたアホが犬のリード離しやがったんだ。それで車に犬が轢かれそうになってて···思わず助けちまったんだった。

 

で、じゃあここは病院か?多分そうだな。あの病院特有の薬品の臭いがするし。

ていうか目覚めてすぐにネタに走るなんてさすが俺。

 

結局、あの犬は助かったのか···?これで犬は残念ながら···なんてことになったら骨の折り損なんてもんじゃねぇぞ···いや実際足折れてるみたいだし。

 

ていうかなんか両手が柔らかい感触に包まれてるんですが···。

少しだけ頭を上げて周囲を観察してみる。長年のぼっち生活で鍛え上げた八幡アイはすぐに左手を握って俺のお腹を枕に眠っている愛しのマイリトルシスター小町を発見した。

 

そして右側はというと、俺の姉ちゃんが俺の手を握りながら壁にもたれていた。

 

こちらも若干うとうとしてる。そういえば昨日夜更かししてたからな。

 

俺の姉ちゃん。比企谷穂乃花。俺の一個上の姉で、比企谷家の長女である。

そして俺の目指す目標であり、憧れであり、なおかつ俺が唯一尊敬する人でもある。

 

え?親?母ちゃんには感謝してるし好きだけど尊敬ってガラじゃないし。

親父?誰それ食えんの?

 

俺の姉は一言で言うと完璧超人である。少なくとも、姉を見て最初は誰もがそう言う。

 

実際にそれは間違っていない。成績はいつもトップクラス、運動も出来て家事もこなす。

人当たりはいいし、何より美人だ。流れるような艶やかな黒髪に、ぱっちりとした目。顔立ちももちろん整っていて、スラリとした細い脚に、スタイルも抜群だ。出るとこは出て引っ込むところはちゃんと引っ込んでいる。すれ違った10人のうち12人が少し振り返るレベルと言えば分かりやすいだろうか。それにコミュ力も高くて、誰に対しても平等に接する。これは文字通り平等で、それがイケメンだろうが、陰キャのキモオタだろうが同じ。

これのすごいところはどちらも全く取り繕ってはいないということだ。

まあ、オタクに普通に接してるのは多分自分も同類だ、という同族意識のなせる技だと思うけどな。実際俺の漫画やアニメの師匠は姉ちゃんだし。

 

普通、これだけ優秀な姉を持つと比べられる俺達は鬱屈したりひねくれたりしてもおかしくないだろう。ほら、ラノベでもよくいるだろ?そういうキャラ。ま、俺はひねくれてるけどな。

 

でも、俺達は別に姉弟仲が悪かったりしないし、疎遠になったりもしていない。

 

これは姉弟だから、誰よりも姉ちゃんの近くにいるという立ち位置故だろう。

 

確かに姉ちゃんがみんなに言われてるような家でも外でも完璧だったらそんな感情も生まれていただろうが、あれで結構抜けている所もあるのだ。人並みではないがたまには失敗したりやらかしたりするし、喧嘩だってする。

つまりは俺達にとって姉ちゃんというのは雲の上の存在のようなものではなく、ちゃんと等身大の人として見れている。

 

例えば、姉ちゃんはいわゆる隠れオタクだったりする。夏コミなんかの本格的なイベントへ行くほどではないが、ラノベや漫画が大好きだし、ポスターやグッズに大体のお金を費やしている。

 

読書好きの癖にラノベや海外の本ばかり読んでいて、太宰治や漱石なんかの純文学はあまり好きではなかったり。

 

女の子なのにケーキなんかのスイーツよりもラーメンが大好きだったり。数え上げればまだまだある。

 

 

とはいえ、これはいわゆる舞台裏。別に姉ちゃんが意図的に隠している訳ではないが、それでも知っている人なんて昔から交流のある数人に限られている。

 

つまり、姉ちゃんはモテる。そりゃあ嫌ってほどにモテている。

 

当たり前と言えば当たり前なんだけど。

これだけの好条件でモテないとしたら世界中誰もが非リアでモテないということになる。

···········ん?それはそれでありか?

 

そして質が悪いのは姉ちゃんが天然であるということだ。いや、天然というよりはそういった感情に極度に鈍い、といったところだろうか。

 

他人の感情にはそれこそ直感スキルでも持ってんのかってぐらいに鋭いのに、自分のこととなるとてんで疎くなる。

 

今でも自分はモテないなんて言ってるし。その原因はおそらくあまり告白されたりしたことが無いからだろう。

 

なんでも噂によると姉ちゃんを好きな男達が互いに牽制しあって完全に硬直状態にあるらしい。そのせいでモテる割に告白されることがほとんど無いという奇妙な状況が出来ているわけだ。

 

そして、そのせいか姉ちゃんは女子にもモテる。どっちかっていうと男子よりも女子の方がファン多いんじゃねぇかな。何て言うか、言動が時々イケメンなのだ。まるで男であったときがあるみたいに。俺も時々やられるからわかる。あれは男だと自信を無くすし、女だとクラっとくるものだ。

 

そして妙に男心に関して理解が深かったりもするし···それなのにその男からの好意には一切気づかないところは矛盾してるような気がしなくもないが。

 

 

まぁ、俺としても姉ちゃんをそこらの男にあげるつもりは更々ないが。もちろん小町もだけど。その一点においてだけは親父と意見が一致し、共同戦線を張っている。姉と妹に近づく毒虫は(俺と親父が)葬る。

··············シスコンだと?そうだ悪いか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぅ···あれ···?あ、八幡!目が覚めたの?体はどう?大丈夫?どっか痛いとことかない?」

 

と、うとうとからようやく意識が覚醒したのか、俺が起きているのを見て飛び付いてきた!

 

「お、おう···大丈夫だよ姉ちゃん···っておわああああぁ!?」

 

一気に視界が真っ暗になったと思ったら、顔が柔らかいものに包まれるのを感じる。

抱擁、英語で言うとハグ。最近はこっちが恥ずかしくなって避けていたために、久しぶりの感覚がダイレクトに伝わって来た。

 

ここ数年で著しく成長した姉の胸部装甲は思春期真っ盛りの男子高校生には刺激が強すぎる。だから避けていたのだが、今の状況ではこうなっているのは俺のせいなので甘んじて抱き締められるしかない。

 

ちょっとやはり恥ずかしいが、これは仕方のないことなのだ。そう、仕方ない。

ホントよ?ハチマンウソツカナイ。

 

でもさすがに窒息しそうになってきたので慌てて腕をタップして脱出する。

若干赤くなった顔を扇いで誤魔化す。べ、別に照れてなんていないんだからね!

··········自分でやっといてなんだが吐き気がした。もうしないようにしよう。

 

「あ、ごめんね急にハグしちゃったりして。苦しかった?」

 

「あ、あぁいや大丈夫。それより、ここは病院か·····?」

 

「うん。車に轢かれたってきいて、小町なんかすごい泣いて大変だったんだから。私だって心臓が止まるかって思うくらい心配したんだよ?」

 

左手を握っている小町の顔を覗き込むと、確かに泣き腫らした目をしていた。おそらく泣き疲れて眠ってしまったのだろう。

 

よく見てみると姉ちゃんにも涙の跡があった。ヤバい。罪悪感で八幡死んじゃいそう。体は普通で、心は硝子なのだ。

 

「········で、意識もはっきりしてきたみたいだし、そろそろ聞かせてもらおうかなぁ。何でこんなことになってるのか」

 

ん?あれ?なんか雰囲気変わってないですか姉上。さっきまでの優しく心配そうな顔はどこへ?笑ってはいる。笑ってはいるんだけど怖い。あ、これあかんやつや。

 

姉ちゃんはいつもニコニコしてるから温厚な性格に見られがちだが、実はかなりの激情家である。ただ表には出さないだけで、一定を越えると怒る。それはもうすごく。

しかも烈火のごとく怒る、というよりは静かに怒るため、相手は怒鳴られるよりも大きな恐怖を味わうことになるのだ。しかも笑ってない笑顔で。美人って怒ると怖いよね。不思議。

 

なかにはそれがいいという変態(アホ)もいるらしいが、何度も味わっている俺としては頭がおかしいとしか思えない。

 

とりあえず小町に助けを求めようとして、いつの間にかいなくなっていることに気づく。バッと振り返ると、病室の閉まっていく扉の隙間からピョコンとしたアホ毛が。

こ、小町め····俺をおいて逃げやがったな!

 

「さ、説明して?大丈夫。今日は学校休むことにしたから、時間ならたっぷりあるから···ね?」

 

 

 

 

 

おれはめのまえがまっしろになった

 

 

 

 

 




どうでしたか?あと一話くらいしたら時間が一気に飛びますが何卒ご了承を。感想、指摘待ってます。
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