TS姉ガイル   作:ヴァルプルギス

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なぜか主人公以外の視点ばっかり筆が進むと言う不思議。なぜだ。


相変わらず、平塚静は平常運転である。

 

 

 

 

 

 

 

パタン、と部屋の扉を閉める。閉まる寸前に見えた彼の唖然とした、困り果てたような顔を思いだし、少し笑ってしまう。

 

おっと。いかんいかん。これではただの変人だな。ゆるんでいた口元をキュッと引き締めると、ごほんと咳払いする。

 

「…それで、これでよかったのか?」

 

「えぇ、ありがとうございます。さすがは平塚先生。頼りになりますね」

 

そういってピョンと現れたのは、比企谷穂乃花。あのひねくれ者の比企谷の実の姉で、れっきとした優等生でもある。

 

優等生といえば先ほどの奉仕部の雪ノ下雪乃もそうだが、去年この学校に居た者ならば彼女を第一に思い浮かべるだろう。

 

そう、雪ノ下雪乃の姉、雪ノ下陽乃である。

おそらく、完璧な優等生としては、雪ノ下雪乃よりも、比企谷穂乃花よりも上を行く存在だろう。

 

それくらい、彼女という存在が放つオーラは圧倒的であった。だが彼女はそれだけの存在ではない。確かに優秀ではあったが、それにともなって分かりにくいが確かに内面に欠点を抱えていた。

 

いつも分厚い仮面を被り、自分の本当の内面を決して見せない。

大抵の人はこれに騙され、陽乃の仮面が本当の性格だと思い込む。また、これを見抜いた者も、大抵は陽乃のこの性質を好むようになる。

 

また彼女の家のこともあり、通常以上に精神的に鍛えられていた陽乃はあまりにも処世術に長けていた。長けてしまっていた。

 

お陰ですっかり内面を偽ることに慣れ、本当の自分の姿を見せることがほとんどなくなってしまっていた。

 

 私には教師という立場や、やはり年齢的な意味でも陽乃の周囲のものとは違ったため、いくらか素を見せることもあったが、やはり同じ生徒の立場で本当の彼女を理解していた者は一人としていなかった。

 

 ――そう、この比企谷穂乃花という女子生徒をのぞいては。

 

彼女はどうやら陽乃とは同じ中学出身だったようだが、その時に何かあったのだろうと思う。ただ、それが何かまでは知らないが。

 

まぁそんなわけで、色々な意味でこの姉弟には興味を持っていた訳だ。去年は一緒に(というか半ば強制的に)バンドを組んだ仲でもあるしな。

 

 

今回の事は、私が彼を少しばかり問題視したのもあるが、それとは別に彼女の相談があったからだった。

 

「というか、彼なら君の言うことになら普通にしたがうのではないか?」

 

そうなのだ。私が疑問を覚えたのはそこである。この比企谷穂乃花という人物はあまり回りくどい方法を好まない。

 

どちらかと言うとド直球で物事にあたるタイプだ。それがいいか悪いかはさておき、な。

 

「いえ、八幡からすれば、あんまり高校生になってまで姉に干渉されるのは多分嫌がると思うので…」

 

いや、多分喜ぶと思うぞ。あれは私から見てもなかなかにシスコンだからな。

 

「その、先生には嫌な役目を押し付けてしまってすみません」

 

そういってしおらしく頭を下げる穂乃花。こういうところがあるからこいつは憎めないんだがな。

 

「フッ、気にするな。むしろ生徒を導くのが教師だ。遠慮せず頼るといい。···とはいえ、天下の副会長と言えども、やはり家族に関しては人一倍過保護だな」

 

と、ちょっとからかうつもりで意地悪く言ってみても、

 

「えぇ、何て言ったって自慢の弟ですからね。愛してますし。むしろ弟と妹以上に可愛い生き物なんてこの地球上にいないと言っても過言ではありませんよ」

 

そんな風に、得意気に爆弾を投げつけられてこっちが軽く赤面させられる始末。あとさすがにそれは過言だと思うぞ。

 

「···と、前までは思っていたのですが、最近気付いたんです。雪乃ちゃんも負けず劣らず可愛いなって。妹になってくれないかなぁ···」

 

「そ、そうか···それは本人には言ったのか?」

 

「···えぇ、ついこの間思わず口走ってしまって、その日は一日中口をきいてくれませんでした。顔を真っ赤にするぐらい怒って、目も合わせてくれないぐらいに···」

 

···············それ、多分照れてるだけだと思うぞ。姉のみならず妹の方まで陥落していたとは···。比企谷穂乃花、恐ろしい子!

 

「はぁ、まあいい。それも青春のうちだ。せいぜい悩みたまえ若人よ。それで、このあとはどうするのかね?私は職員室に戻らねばならんが」

 

「いえ、少しばかりここで時間を潰してから入ることにしますよ。せっかく楽しそうに会話しているのを邪魔するのもなんですし」

 

ふと耳を澄ませてみると、確かに中では二人が言い争っている声が聞こえてくる。ふむ、いい兆候だ。そういえば比企谷が学校内であれだけ喋ったのを聞いたのは初めてだな。

 

雪ノ下にも、穂乃花以外に学校で話せる人間はいた方が好ましい。そういった意味では、二人はなかなかに相性が良いのかもしれんな。ま、穂乃花がいれば、決定的な仲違いをするようなことも無いだろう。顧問としても一安心だな。

 

そう思って、くるりと踵を返す。そしてそのままかっこよく立ち去ろうとして───────────────突如、ガシッと右肩をナニかにつかまれた。

 

「それはそうと、先生。まだ一ついい忘れていた事がありました」

 

んん?あれ、おかしいな。体が動かん。それに、手の乗った肩が異常に重く感じるのだが。まるで石でも乗っけているような気分だ。

 

「な、何かね?わ、わ私は仕事がああるのだが···」

 

「大丈夫です。すぐ済みますよ。えぇ、すぐですとも」

 

そういってうふふとにっこり笑う穂乃花。ていうか目が笑ってない。な、何だ?私は特に何もしていないはず···ハッ!?

 

自分に思い当たる節があることに気付き、思わずゴクリと喉を鳴らす。いやまて、まだそうではない可能性もある。ここは一旦鎌をかけて様子を···

 

「仮にも教師が生徒に拳を振るうなんて、いけませんよねぇ?」

 

はいアウトォォ!!やっぱりそれだった!

 

「ま、まて落ち着くんだ。話せばわかる!」

 

「ええ、そうですね。なので場所を変えましょうか。もう少し静かなところで、ゆっくりとOHANASHIしましょう?大丈夫です。私は冷静ですから。超COOLですから」

 

「まってそれ大丈夫じゃないやつ···いや···いやあぁぁぁあぁあぁぁぁ·········!!」

 

このあとめちゃくちゃOHANASHI された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ···このくらいにしましょうか。反省してくれましたか?」

 

「はいぃ···グスッ···ごめんなさぁいぃぃ······ひっぐ···ぐすん···」

 

「あぁほら泣かないでくださいよもう···ハンカチです」

 

「···う、うん···ありがと」

 

「(あ、あまりのダメージに幼児退行してる···)そ、その、私も少し言い過ぎました。お詫びと言ってはなんですが、この前八幡にこの近くにある美味しいラーメン屋を教えてもらったんですが、一緒にどうですか?」

 

「···ぐすん。········うん、行く」

 

「(あ、あれ···なんか泣いてる平塚先生見てると背中がゾクゾクしてくる···何でだろ?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

「!?」

 

「な、なんか今尋常でないほどの寒気がしたんだが···」

 

「···奇遇ね、私もよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ブラコンEX、発動。

弟を想うあまり発現したスキル。口撃力と頭の回転率が大アップするが、同時に低ランクではあるが狂化が付与される。相手は(精神的に)死ぬ。

いかがでしたでしょうか。念のため言っておきますが、作者は平塚アンチではありませんので誤解なきよう。
っていうか俺ガイルのキャラは大体好きです。
俺もこんなカッコいい先生がよかった···。では、またお会いしましょう。あでゅー。
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