とりあえず、私から言えるのはたったひとつだけっ!
めちゃんこ遅れてすんませんしたぁっ!!
放課後。特別棟の奉仕部部室にて、俺こと比企谷穂乃花はこの世の春を謳歌していた。
パラリ、パラリとページを繰る音だけが部屋に響いている。誰も喋らないために、普段ならば聞こえないような小さな音でもよく聞こえてしまうのだ。
部屋にいるのはたった三人。そのために部室がやけに広く感じる。長机の端と端に雪乃ちゃんと八幡が陣取り、そのちょうど真ん中に俺が座っている。二人はまるで他に誰もいないような感じでそれぞれ持ってきていた本を読んでいる。
雪乃ちゃんの読んでいるやつはカバーがかけられているためタイトルがわからないが、雪乃ちゃんのことだから、多分真面目なやつだろう。なんか賞とか受賞してるやつとか。
雪乃ちゃんには前から俺のおすすめのラノベをぐいぐい押し付けるくらいの感覚で勧めているのだが、これがなかなかうまくいかない。ラノベって読まない人はホントに読まないから、仕方ないといえばそうなのかもしれないが、俺は諦めない。絶対にこっち側に引き込んでやる。
対して我が弟八幡の方は分かりやすくラノベである。タイトルは···「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」
ドストレートなやつきた。まあラノベのタイトルなんてこんなもんすよ。めちゃくちゃなタイトルでも面白いのはいっぱいあるし。ただもう長文タイトルは廃れてるという噂も···。そして時々クククとけちな悪役みたいな顔して笑っている。うんうん、わかるわかる。本読んでるときについつい笑っちゃうときってあるよね。俺もよくするわそれ。
そして俺はというと特になにもしていない。一応暇潰し用の本は持ってきてはいるが、この時間をそんなことのために潰すなんてもったいない。考えても見てほしい。
左には妹同然(と、俺が勝手に思っている)の雪乃ちゃん。右には本物の弟である八幡。見ろ、まさに両手に華じゃないか! え、片方違うって?うるせえ俺にとってはそうなんだよ!
てなわけで、俺は二人が互いに本を読んでいるのをじっと見つめているという普通に無神経な行為にいそしんでいる訳である。
さっきから二人共若干居心地悪そうに時々身をよじったりしているが、そんな様子だけでも見ていて心がほんわかする。ああ、何て幸せなんや!
「せ、先輩、その···言いにくいのだけど。さっきから気が散ってしかたないわ。それ、やめてくれない?」
ついに我慢の限界に来たのか、雪乃ちゃんがパタンと本を閉じて話しかけてきた。
まあそうだよね。俺だって自分が本読んでるときに無遠慮に見つめられれば気が散ってしょうがない。だがあえてこう言おう。
「だが断る」
「」
なにいってんだこいつみたいな顔でこちらを見てくる雪乃ちゃん。かわいい。
と、ちらりと八幡の方を向くと、まるで意外なものでも見たといわんばかりの表情を形作っていた。
「ん?どったの八幡?」
「ん、あ、いや···てっきり昨日みたいな罵詈雑言吐くかと思ってたから···なんだ雪ノ下、今日は大人しいのな。具合でも悪いのか?」
「あなたは黙っていなさい。というか、気持ち悪いので会話に入ってこないでもらえるかしら」
鋭すぎる切り返しに胸を押さえてうずくまる八幡。弟が負った心の傷は大分深い。
「こらっ!そんな言い方しちゃダメでしょ!八幡が傷ついてるでしょうが」
うぐっと雪乃ちゃんが怯む。中学時代とはまた違うのだが、どーも他人への当たりがまだ強いようだ。特に男子に対して。ま、この部活設立時に色々あったから、しょうがないのかもしれないが。
まあでもすぐに変わるのはやはりむりというものだろう。人なんて早々簡単に変わりやしない。
ただ願わくは、雪乃ちゃんが八幡とのこの部活の時間を通してもうちょっと人との関わりを持ってくれることだ。そうなってくれれば俺としても嬉しい。交遊関係が広いことは、決して損ではないのだから。あとはほら、かわいい弟妹が相争うなんて見たくないからね。···これは完全に俺の私情だな、うん。
「べ、別に全然傷ついてなんかないんだからねっ!俺そんなの全く効いてないから!」
明らかにテンパりながらそうのたまう八幡。時々こんな風にツンデレみたいなことを言うことがある。恐らくは心の中で思ってることをそのまま口に出してしまったのだろう。いってすぐにしまったと言う顔をしていた。うむうむ。雪乃ちゃんだけならいざ知らず、ここには俺もいるからな。普通に恥ずかしいよね。すこしだけ耳が赤くなってるのを見逃す姉ではないのだ。どうもごちそうさま。とてもかわいいです。
「······何をいっているのかしら?まぁいいけれど。それと、これは前々から言おうと思っていたのだけれど、あなたのその本を読みながら笑う癖、とても気味が悪いからやめた方がいいと思うわよ」
返す刀で心臓に止めを指す雪乃ちゃん、そして同じく胸を押さえてうずくまる俺。くっ···まさかの範囲攻撃とは·····。
もう絶対に雪乃ちゃんがいるところでラノベは読まないと誓った瞬間であった。今までもしかしてそう思われてたのか···もう死んじゃおうかな···。
家へ帰って小町をうりうりすることで癒されようと決意し、ようやく立ち直ったとき、何故か雪乃ちゃんが裏切られたような顔をしていて、八幡は継続して耳が赤くなっていた。なんで?
「なんで···私とあんなに差が···姉さんは全然大きいのに···一個しか年違わないのに···」
あっダメだ!闇堕ちしそうになってる!何でか知らないけどとりあえず戻ってきて!
と、そんなふうに無意識に互いを傷つけ合うという実に不毛なやり取りをしていると、不意に部室の扉が控えめにノックされた。
そのことで何とか闇堕ちから立ち直り、雪乃ちゃんが返事をする。俺や八幡も、どうにか他人には取り繕えるほどには心の傷が回復していた。···何やってんだろね俺たち。
「し、失礼しま~す···」
カラカラ開いていく扉を見つめながら、無駄に疲れた気分を感じていた俺だったが······ん?待てよ。この声、確かどっかで···。
そして。扉からひょっこりと顔を覗かせたのは、ある意味、とても久しぶりで印象深い生徒だった。
「あの~平塚先生からここで生徒の悩み相談聞いてくれるって聞いたんですけど···ヒィッ!?」
おい今なんで俺みて悲鳴あげた?
どうでしたでしょうか?クオリティ下がってないといいんですが···。
最近は何でか書きたい二次創作が湯水のごとくどんどん湧いて来てて···。Fate にTo loveる、だんまち等々···。あとはこれとは別にオリ主と小町のラブコメとか書きたいなぁ~とか。そっちの方はまだ構想の段階ですが。なので、姉ガイルの更新はかなり不定期になると思います。すみません···。それでもよければ、たま~に読んでくれると作者としてはありがたいです。では。