東方不死鳥紀   作:はまなつ

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17話です。書いてて思いましたけどフランさんってかなり強い部類なんじゃ無いですかね?実際そうなんでしょうけど。それに負けない信二も中々ですね。まぁ今回は二人とも全力じゃ無いですけど。いつになったら信二さんの本気が書けるのか…。


17話 じゃれ合い

「あははー待て待てー」

 

フランの陽気な声が響く。しかしその声とは裏腹に行動は残虐である。

 

「くそ、油断した!フランがまさかこんなスペル使うなんて」

 

フランは今自身のスペルカードにより4人になっている。それら全てが弾幕を放つ。量的に言えば輝夜、妹紅と戦った時よりも多い。信二はそれらの弾幕を炎を展開することにより防いでいる。そして何より1番きついのはフランは手加減が下手ということ。そのため明らかに『遊び』の範疇を超えている。

 

「閉じこもってちゃ勝てないよ!」

 

「言われるまでもない!4連火炎柱(デビルバースト)!」

 

信二は4人のフランそれぞれに技を放つ。柱は4人全てに命中…とはいかず本体であるフランのみは柱を避けていた。

 

「すごーい!そんなこと出来るんだ」

 

「何とも思ってないって感じだな。本当に遊んでるのか…」

 

「次行くよー。禁忌「クランベリートラップ」」

 

「!なんだ?」

 

フランがスペルカードを発動すると同時に信二の周りに青い弾幕が、信二を囲むようにして固定される。まるで信二を閉じこめるかのように。

 

「頑張って躱してね?」

 

そういいフランは弾幕を放つ。ただえさえ周りが弾幕で動きにくいのにフランが打ってくる弾幕は1発1発が大きい。

 

「くそ!避けられるかこんなもん!強行突破だ!」

 

最初は避けていた信二だが痺れを切らしたのか自身を囲っている弾幕を壊す方向に出る。

 

「オラっ!…ってやけに硬いなこいつ!」

 

炎で弾幕を消しにかかるが周りの弾幕は硬くただの炎では消すことが出来ない。そんなことをしている間にも弾幕が襲ってくる。このままではいつか被弾するだろう。

 

「こうなったら…ふっ!」

 

信二は弾幕の目の前で腕を振りかざす。いや、ただ振りかざし炎を当てた訳では無い。その手にはどこから出したのか黒色をした剣が握られていた。その剣で弾幕を切る。剣が作る太刀筋に炎が鋭くはしり、弾幕を一刀両断に切り裂く。

 

「あ、壊されちゃったか。そんな剣も持ってたんだね信二」

 

「ああ、自慢の逸品だ。」

 

「強いね信二。全部避けられてるや」

 

「結構当たりそうだったけどな。フラン、そろそろ弾幕ごっこ以外の遊びをしないか?」

 

「えー!こんなに楽しいのに…」

 

「俺が危ないからな。当たったら痛いし」

 

「…じゃあ次で最後にする。ちゃんと避けてね?」

 

「どんとこい」

 

「禁忌「カゴメカゴメ」」

 

緑色の弾幕が交差するように広がっていく。

 

「よっと…こんなものか?」

 

「ぜーんぜん!」

 

交差していた弾幕は信二に向かって拡散する。それだけではない。先ほどとは違う位置から弾幕が並び、交差する。

 

「やっぱり一筋縄じゃいかないか!」

 

拡散した弾幕は炎や剣でいなしていく。並んだ弾幕は1列ずつに並んでいくのでその列に入らないように避けていく。前の二つのスペルカードに比べると些か躱しやすい。

 

(これならいけるな)

 

が、避けている途中にフランが別の弾幕を放ってきた。予期せぬ攻撃に信二はすこし面を食らう。更に足元から並ぶ弾幕が展開される。

 

「くっ!」

 

信二は被弾しないように咄嗟に跳躍する。しかし、並んだ弾幕はそのままだと拡散し、信二は重力に従って落下する。被弾確定だ。信二、万事休すか!

 

「って、俺もう空飛べんじゃん」

 

信二は自分が先ほどまで空を飛ぶ練習をしていることに気づいた。実戦では空を飛びながら戦ったことのない信二。空を飛ぶことを忘れていても致し方ない。

 

「でもこれなら避けられる!」

 

空への逃げ道を確保できた信二。逃げれる範囲は2倍以上だ。弾幕を避けながらフランに向かって行く信二。

 

「今までのお返しだ!」

 

信二は炎をフランに繰り出す。フランを覆うほどの炎を。しかし、フランは何事も無かったかのように腕を振り炎をかき消す。

 

「えー、嘘だろ?」

 

「思ったより強かったよ、信二!」

 

「そいつはどーも。フランもかなり強いね」

 

「へへーん!そうでしょ!でも魔理沙には負けちゃったけど」

 

「魔理沙はフランに勝ったのか?意外と強いのか魔理沙…。さっきのは手加減してたのか」

 

「さっき?魔理沙がいたの?」

 

「そこにいるだろ…あれ?魔理沙どこに行ったパチュリー?」

 

「魔理沙なら家にある本を取りに帰ってるわ。コアも一緒にいるし箒も取り上げたから途中で逃げないとは思うけど…やっぱり心配だわ」

 

「箒取り上げたってことは徒歩で行ってるのか。結構遠いんじゃないのか?」

 

紅魔館の周りに家は無かったし周辺にも特にこれと言った場所は無かった。つまり割と辺境の地に建っている紅魔館。魔理沙の家がどの辺にあるか分からないが本を持ちながら徒歩で来るとなると中々の労働になるだろう。

 

「ええ、最低でも3日はかかるでしょうね」

 

「…どんだけ本盗んでたんだよ魔理沙は…」

 

「教えてあげましょうか?」

 

「いや、辞めておこう。長くなりそうだし…」

 

「そんなことより遊ぼうよ、信二!」

 

「はいはい、次は何して遊ぶんだ?」

 

「結構面倒見いいわね、信二」

 

その後俺はフランと遊んであげた。弾幕ごっこみたいな危ない遊びじゃ無いですよ?フランは普通にいい子でした。


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