1話 幻想郷へ
とある神社の縁側。紅白の巫女服を着た少女がお茶を啜っている。彼女の名は博麗霊夢。この幻想郷を管轄する素敵な巫女だ。
彼女は何をする訳でもなくただお茶を飲みボーとしていた。
(暇だな)
そう、彼女は暇を持て余していた。しかし何かをしに行くほど彼女はアグレッシブではなく日課の掃除も終わっている。いつもなら悪友が遊びに来る頃なのだが今日は来る気配がない。だからといって修行をするなどと言う考えは一切浮かび上がってこない。
(こんな暇な日は随分と久しぶりね…)
またお茶を啜る。
(やることも無いし、お布団でも干そうかしら?)
今日は天気がいい。普段はたたむだけの布団。毎日太陽の下に干すということはしない。だが太陽に当てると布団はふかふかになり今日の晩気持ちよく寝れるだろう。
(そうね、いい機会だし干しましょう)
そんな自問自答をする。そして干すために1度しまった布団をもう1度取り出しに行く時…
ドスン!
何かが落ちてきたような音が外から聞こえる。しかもなかなかに質量のあるものだろう。音の大きさからして。
(何事かしら?また魔理沙が着地でも失敗したのかし…ら?)
霊夢が何事かと外を覗いてみるとそこにいたのは着地を失敗した魔理沙の姿ではなく、傷だらけで転がる赤髪の男の姿だった。
「ちょっと!どうしたのよあなた!」
普段あまり物事に動じない霊夢だが流石に傷だらけの見知らぬ服をした男が急に外で倒れていたら慌てる。
(外来人かしら?それならなんでこんな傷だらけで、しかも急に神社の庭に?)
混乱する霊夢。情報が少なく分からないことだらけだがとりあえず男を家に運び手当をすることに。非情な所のある霊夢だが傷だらけの人間を見捨てるほど鬼ではない。
(とりあえず運びましょう。って結構重いわねこいつ)
意外と体重のある男に愚痴りながらも運んでいく。
…なんだ?
『これで俺は世界を掌握できる!』
…夢か?これは?
『なに、どうせ飛ばされるのならお前を巻き添えにしようとしたまでさ』
これは…さっきの戦いだよな?
先ほどの戦いがフラッシュバックのように断片的に再生される
『不死鳥!!!貴様ぁぁぁ!!!』
『後は任せたぜ』
そこで記憶は途切れた。
ガバァ!
寝ていた赤髪は唐突に体を起こす。
(どこだ?ココ?)
すると頭に鈍痛が走る。
(っ!)
思わず頭を押さえる。そして体も覚醒しだしたのか体中から痛みが襲ってくる。しかしある違和感を覚える。
(包帯?手当されてるのか)
男は混乱する。手当されてるのであれば自分が見知った治療室のはず。あそこら辺に民家は無かったはずだから騎士団以外の人間が治療したとも考えられない。と、一つ大事なことを思い出す。
(そうだ、俺はアイツと一緒に異世界に飛ばされたのか)
夢だと思いたかった。信じたくなかった。しかしあの出来事は夢なんかではなく正真正銘自分が体験した事だった。
(それならアイツはどこにいるんだ?)
まだハッキリしない意識の中色々と考える。がまた頭に痛みが襲ってくる。
(だめだ…考えがまとまらない。)
そんなふうにしていると足音が聞こえてくる。
(誰かくる?)
そして障子が開くと自分が今まで見てきた中でもトップクラスに可愛い少女が顔を覗かせた。
「あら、起きてたのね」
これが不死鳥と博麗の巫女との初めての対面である。