「…暇ね」
信二はパチュリーと一緒に図書館に行ってしまったし咲夜はレミリアとフランが起きたらしく、今は二人の世話をしにいっている。そんな中一人残された私は時間を持て余していた。
「私も図書館に行けば良かったかしら…」
でも図書館に行ってもそこにある本は魔術に関するものばかり。それ以外の本も多少あるのだろうけど、そもそも私自身読者をすることに向いていない。
「…でも、信二が来る前もこんな感じだったか」
思い返せば信二が幻想郷に来た日も暇を持て余していた。それ以前も、異変解決や宴会などを除けばこれといって何かをした記憶が無い。
「そう考えると魔理沙ってかなりアグレッシブね」
魔理沙はいつも何かをしている。魔法の研究だったり、人里や家に来たり、
「私も何か趣味でも始めようかな…」
ただ趣味と言っても何をしたらいいのか…この時も博麗の巫女としての修行をするということが一切浮かばないあたり霊夢である。
「すこし散歩でもしましょう」
そういい部屋をあとにする霊夢。紅魔館の外には美鈴が世話をしている花があると咲夜から聞いたことがある。それを見に行こう。ついでに美鈴と話でもしよう。
「あら霊夢、どこに行ってたのかしら?」
散歩を終えて広間に戻るとレミリアとフランがお茶を飲んでいた。フランは目をこすっておりまだ眠そうだ。
「散歩に行ってたのよ。あなたこそようやく起きたのね」
「あまり人間にうろちょろされたくないのだけど…まぁいいわ」
レミリアの物言いにムッとする霊夢。
「その言い方はないんじゃない、あなたが起きるのが遅かったから散歩に行ったのよ」
「気を悪くさせたなら謝るわ。でも、あなたが人間だから悪いのよ」
レミリアのその発言により、霊夢は完全にキレる。同じく聞いていたフランと咲夜も、普段のレミリアとは違う様子に気づき、動揺していた。
「さっきからまるで私を…いえ、人間を馬鹿にしたような口ぶりね」
「だってそうじゃない?私達吸血鬼からしてみれば人間なんてとても脆弱な存在だもの」
「その人間にあなたは敗れて、野望を阻止されたのを忘れたの?」
「あの頃は私も未熟だったから。今となっては人間なんて、取るに足らないわ」
「なら試してみましょうか?どちらが上か」
霊夢が椅子から立ち上がり、手にはお祓い棒を持っている。
「いいの?後悔するわよ」
「お、お姉様?どうしちゃったの?」
「私はどうもしてないわよフラン。それよりあなたこそ、随分人間に骨抜きにされてしまったわね」
「どうもしてないわけない!お嬢様はもっと優しくて…」
「フラン。自分がどれだけ腑抜けになったのか分かってないのね。いいわ、あの頃に戻してあげる」
レミリアはフランの頭に手をかざす。
「何を……うぅ、あああああああぁ!」
突然フランが叫びだし、体が宙に浮く。とても苦しそうに頭を抑えている。
「フラン?!レミリア、フランになにをしたの!」
「何って…戻してあげるのよ。
「冗談が過ぎるわよ!」
霊夢はレミリアに対して弾幕を放つ。レミリアはそれを浮いてかわす。
「急に打ってくるなんて、危ないじゃない」
「うるさい!また懲らしめるわ!」
また弾幕を放つ霊夢。
「あらあら、無謀ね。天罰「スターオブダビデ」」
スペルカードを発動するレミリア。通常に打たれる弾幕と定期的に放たれるビーム状の弾幕が霊夢を襲う。
「あなたこそ!霊符「夢想封印 散」」
霊夢も負けじとスペルカードを発動する。御札状の弾幕が散らばりながらレミリアに向かう。途中でレミリアのスペルカードと相殺し合いながら。
「スペルカードじゃ互角かしら?ならこれよ!」
レミリアは弾幕のあいだを通り抜け霊夢に接近する。弾幕ごっこは何もスペルカードだけではない。接近戦もその中に含まれる。…だが、この勝負はもはや
「望むところよ!」
霊夢もレミリアに近づいていき接近戦を仕掛ける。その最中でも弾幕を出すことを忘れずに。
「はぁ!」
霊夢がお祓い棒をレミリアに振るう。レミリアはそれをいとも容易く、片手で受け止める。
「うそ!」
「言ったでしょ…無謀だって!」
レミリアはお返しにと蹴りを繰り出す。霊夢はそれを左腕で受け止めるが、受けきれずに吹き飛ばされてしまう。
(何この力…この間戦った時よりも全然強い…)
「! 霊夢後ろよ!」
今まで状況の変化に取り残されていた咲夜が霊夢に襲いかかるフランを見つける。
「な!っく!」
咲夜の声によりなんとか反応する霊夢。しかしその力は到底人間が太刀打ち出来るものではなく、地面に叩きつけられる。
「いっつ…」
地面に落とされた霊夢は頭から血を流す。だが、間髪入れずに、レミリアが追撃にかかる。
「終わり……」
「よ!」
が、レミリアが腕を振るった場所には霊夢の姿はなく、空振りになる。
「…咲夜。どういう事かしら」
「レミリアお嬢様。申し訳ございません。しかし、今のあなたは私の知るお嬢様ではありません!」
「そう、残念ね。あなたは優秀だったのに」
「お姉様、あの二人…壊しちゃっていいよね?」
「ええ、フラン。殺っていいわよ」
「あははは!それじゃあ…禁忌「フォーオブアカインド」」
フランが4人に増える。そして弾幕を打つ。しかし、その弾幕の量は信二と戦った時よりも圧倒的に多く、もはや逃げ場などない。
「紅符「スカーレットシュート」」
更にレミリアもスペルカードを発動する。二人の赤い弾幕は霊夢と咲夜を覆い尽くす。
「いける?霊夢」
「あなたこそ!」
霊夢と咲夜はそれらをいなしていく。お祓い棒とナイフで弾幕を受け流し、弾幕同士で相殺させ合い、避けていく。咲夜は時を止めレミリアにスペルカードを発動する。
「幻符「殺人ドー……」
「甘いわよ咲夜」
しかしレミリアは予知していたかのように咲夜の弾幕を撃ち落とす。
「なっ?!」
「避けなさい咲夜!」
霊夢の声によりレミリアから距離をとる。しかしレミリアの放った弾幕の質量は容赦のないものだった。
(く…多い!)
あまりの物量により段々と押され始める咲夜。ナイフと弾幕で捌ききれなくなる。
「夢符「二重結界」」
霊夢が結界をはり、弾幕を防ぐ。
「その傷で持ちこたえられるかしら!」
そこにレミリアとフランが更に弾幕を増やす。防ぐ霊夢はレミリアの言う通り頭の傷が原因で上手く集中ができない。
(目元が霞む…ダメ…このままじゃ…)
「2連
霊夢が諦めかけていた時、突如としてレミリアとフランに炎が襲う。今までの比ではない量の炎が。しかし、レミリアはかわし、フランも本体はかわす。
「…信二?」
「まったく、上が騒がしいと思ったら…」
信二がレミリアとフランを睨む。
「穏やかじゃねーな」
その顔は、信二が幻想郷で初めて見せる、敵を本気で討つ時の顔だった。