「この中が冥界か?」
冥界の中に入った信二と霊夢。
「そうよ。この先に行くと白玉楼があるわ」
「そうか…」
「テンション低いわね」
「そりゃ…これで俺実質死んだみたいなもんだろ?」
ここは冥界。死者が集う場所である。そんなところにいるのだ、信二の言い分も間違いではない。そしてそんな考えをしている信二は若干テンションが低い。今までどんな死地を駆け回っても死なずにいた信二。その事があり、不死鳥と讃えられていたのに、こんなあっさりと死んだことになるとは…。
「そんなに深く考えなくていいわよ。実際は死んでいないし、戻ろうと思えばすぐ戻れるわ。そうね…友達の家にいく感覚よ」
「普通はそんなに軽い感じで冥界に行かないけどな…」
「幻想郷だもの。とあるバカはこう言ってたわ。『幻想郷では常識に囚われてはいけない』ってね」
「なるほどね、幻想郷ではそうやって生きていくのか」
「信二は随分と幻想郷に慣れ始めたと思うけど…」
「全然だよ。幻想郷に来てから驚きの連続だ」
不死身の人間にあったり、女の子がみんなすごい強かったり、時を止める女の子がいたりと…俺のいた世界でも考えられないことが多かった。それにまだ俺は幻想郷を全て回れていない。まだまだ俺の知らないことだらけだ。
「そう、意外ね。そんなにびっくりしてる素振り見せないから」
「何事にも動じないようにしてるからな。でも、楽しいよ。幻想郷での生活は」
「そう…良かったわ」
「あぁ」
なんて話をしていると目の前に大きな階段が見えた。
「この階段を上がれば白玉楼にたどり着けるわ」
「おっきいな〜。大変そうだ」
「もう空飛べるでしょ」
「あ、そうか。すっかり忘れてた」
「まだ慣れてないのね」
「飛べるようになってからそんなに日が経ってないからな。忘れることもよくある」
「早く慣れなさいよ。楽なんだから」
「歩くってのも結構好きだけどな俺」
「そうなの?」
「ゆっくりと風景が見れるからな。それに幻想郷は自然が多くて見てて飽きないしな」
「そうなの。なんか意外」
「そうか?」
「そうよ。ほら、着いたわよ」
「おお!ここが白玉楼か…」
階段を登った先にある建物。そこにはとても大きな屋敷があった。雰囲気としては永遠亭に似ている。そしてなにより1面に広がる桃色の木々達。
「ほー!綺麗だな。これが桜か霊夢?」
「そうよ。あの桃色の花を咲かせてるのが桜よ。綺麗でしょ」
「想像以上にな。こんな綺麗な花もあるのか」
「あれ?霊夢さんですか?」
桜吹雪の向こうから白髪の腰に剣を二振り携えた少女が箒手にこちらに駆け寄ってきた。
「こんにちは妖夢。今日はお花見をしに来たわ」
「また連絡もなしに……。そちらの方は?」
「はじめまして。火渡信二です」
「はい、初めまして。魂魄妖夢と申します。この白玉楼の庭師をしています。」
「へぇー。それじゃあこの桜も妖夢が手入れしたのか?」
「そうですね。全てでは無いですけど」
「すごいじゃないか。とても綺麗だよ」
「そ、そうですか///ありがとうございます」
「はいこれお土産。おつまみお願いね」
「また急に…」
「いいじゃない妖夢。楽しそうだわ」
「幽々子様、いらしてたんですね」
屋敷の奥から出てきたのは薄い青色のゆったりとした服を来ている女性。
「はじめまして。俺は…」
「聞いてたわ。信二でしょ?」
「聞いてましたか。それであなたは?」
「私は西行寺幽々子。白玉楼の主よ。宜しくね」
「よろしくお願いします」
「お花見させて貰うわよ幽々子」
「いいわよ〜。私もちょうどお腹が減っていたところだし」
幽々子がお腹を擦りながら言う。深い笑みを浮かべて…。