妖夢の魂のひと振りが幽々子に一閃する。幽々子はそのまま倒れる。妖夢も力を使い切ったのかその場に倒れる。
「…どうなったんだ?」
「さぁな。けど油断するな。あの白い化け物、動いてこそいないが消えていない。また襲ってくるかもな」
「……うぅ…私はなんてことを…」
先に幽々子が起き上がる。緊張の糸を今だ切らない二人は警戒する。
「…妖夢!しっかりして!」
あたりを見回したあと真っ先に妖夢の元へと駆けつける幽々子。その足取りはふらついている。
「大丈夫?…お願い、目を開けて」
「……うっ…ゆゆ…こ様…」
「妖夢!良かった、本当に…」
「元に……戻ったんですね、幽々子様。……良かった…です」
「ええ。本当にごめんなさい。ありがとうね、妖夢」
「いえ…従者として当然の事をしただけです」
力ないながらも精一杯に笑顔を見せる妖夢。その顔を見て安堵する幽々子。
「…どうやら幽々子は大丈夫みたいだな」
「そうっぽいな。妖夢もとりあえず無事みたいだし……魔理沙!」
「分かってるぜ!」
魔理沙がその場を離れた理由。それはこの異変の核心、白い化け物が襲ってきたからだ。
「幽々子さんを正気に戻してもこいつは消えないのかよ!」
「一体どうすれば消えるんだ…」
「…満たすのよ」
「幽々子さん?」
「あれはエネルギーを求めて喰い荒らしているのよ。エネルギーはなんでもいい…だからあれが満たされるほどのエネルギーを撃てば消えるはずよ」
「そんなエネルギーどっから持ってくるんだよ!」
「俺がやる」
「信二!そんな無茶な…」
「要はあれをパンクさせるくらいの威力がありゃいいんだろ。少し時間を稼いでくれ魔理沙」
「……ったく、早くしろよ!」
そういい魔理沙は化け物の注意を引くために弾幕を放つ。化け物は素直に魔理沙に向かって飛んでいく。
「ふぅぅぅー」
信二は両手を広げ手のひらに魔力を溜めていく。
「…出来るのね、信二」
「任せてくださいって。一瞬で消し炭にしてやる」
「……頑張って…ください、信二さん」
「…任せろ妖夢。お前の努力をここで無駄にはさせない」
ここで化け物を満たすことが出来なければ全滅だろう。だが、そんなことはこの男がさせない。燃え上がる闘士と共に魔力も高まっていく。
「魔理沙!そいつを上空に持ってきてくれ!」
「了解!そら、こっち来い!」
箒にまたがりどんどんと上昇していく魔理沙。
信二が化け物を上空に持っていかせたのは至極簡単、他の者を
「これでも食ってろ!「恋符「マスタースパーク」」
マスタースパークを放った魔理沙。化け物はそれを喰らっている。だが、それでいい。魔理沙が逃げれるだけの隙ができれば。
「おい化け物、そんなに腹が減ってるなら…」
信二の莫大な魔力に気づき、信二に向かってくる化け物。
「これでも食らってな!『炎王強襲激』!」
魔力を溜めていた両手を勢いよく合掌させる。すると信二の後から大きな獅子が…炎で出来た獅子が現れた。
「………なんつー密度だよ…」
同じ魔法使いの魔理沙にしか分からない。その魔法はとてつもない密度で出来ていると。オーバードライヴの比ではなく、今の魔理沙では出せないくらいの魔法であると。
炎の獅子は白い化け物に向かって牙をたてている。そして、勢いよく両者が喰らいつく。化け物は獅子に飲み込まれる。いや、あえて飲み込まれたのかもしれない。しかし、それは1番してはいけないこと。
「…燃え尽きな…」
先程も言った通りこの獅子の魔力密度はとてつもない。その獅子に喰われるとどうなるか。四方八方から獄炎が襲ってくるのだ。
「……終わりだな」
燃え盛る獅子が消える頃には白い化け物も姿を消していた。
これにて白玉楼での異変は幕を下ろした。
「ありがとう信二。私を救ってくれて。そしてあの化け物を消してくれて」
「いいってことよ。ただ今はゆっくりとしてられないな」
「そうね、私のせいで霊夢が……」
幽々子の生命力を喰われた霊夢は今だ目を覚まさない。顔色も悪くなる一方だ。
「俺はこのまま永遠亭に向かうよ。魔理沙には一足先に行ってもらってるし」
魔理沙には霊夢の状態を先に永琳に伝えてもらうため先に永遠亭に向かって行ったのだ。
「道には迷いませんか?」
今も尚足元がふらついている妖夢。治療は白玉楼で行うらしい。
「魔理沙が先に妹紅を見つけるだろうから大丈夫だよ」
「そうですか。…改めてありがとうございました、信二さん」
「おう、じゃあ俺は行くわ」
「ええ。霊夢を宜しくね」
「ああ」
「…信二さん、またいつか稽古をつけてくださいね」
「おう、また今度な」
そう言い残し足早に白玉楼を後にする信二。次なる目的は永遠亭。そこには何が待ち受けているのか…