31話 またも永遠亭へ
「大丈夫か霊夢?」
白玉楼を出て一目散に永遠亭へと向かう信二。走りながら霊夢に呼びかけるが反応はない。
「くそ、やっぱりだめか!……急がないとな!」
霊夢の今の状況は信二や魔理沙にかなりの不安を与えている。怪我などと違って見た目で今どれくらい危機に瀕しているか分からないからだ。
「朱雀!お前も先に妹紅を探してこい!」
現状まだ空を飛ぶより走った方が早い信二は空から妹紅を探すために朱雀を出す。だがまだ白玉楼を出たばかり…先は長い。
「耐えてくれよ霊夢…」
「信二!こっちだ!」
迷いの竹林辺りに来た信二を妹紅が呼ぶ。
「妹紅、話は魔理沙から聞いてるな」
「聞いてるよ、こっちだ!」
止まることなく竹林に向かって走り出す2人。
「霊夢は今どんな感じだ」
「詳しくは分からない。だけどやばい状態ってのは分かる」
「怖いな…飛ばすぞ信二!」
「ああ!」
「来たぞ永琳さん、どこだ!」
「こっちです信二さん!」
「鈴仙、準備は」
「出来てます!さぁこっちに」
鈴仙に案内された部屋を開けるとそこには永琳に魔理沙がいた。何やら医療道具のようなものが沢山ある部屋だ。
「信二、霊夢をこのベットに」
「ああ」
背負っていた霊夢をゆっくりとベットに寝かせる。すぐさま永琳が霊夢の状況を確認する。
「……話に聞いていた通りね。外傷もなく病気でも無いのに、何故か生命力だけが著しく落ちている」
「どうするんだ永琳」
「生命力を上げる薬ならあるわ。けど少し材料が足りないの」
「なら材料の場所を教えてくれ。俺が採ってくる」
「信二はダメよ」
「どうして!」
「隠してるけど、あなたもかなり疲弊してるからよ」
永琳に自身の疲れを見抜かれた信二。信二が先程放った炎王強襲激は信二の魔法の中でもトップクラスに魔力を消費する。加えて白い化け物との対決中にも少しずつ、生命力や魔力を喰われていたのだ。
「っ!…そんなことは…」
「強がらない。材料の確保は魔理沙と妹紅に行ってもらうわ。場所は優曇華院が教えるわ」
「任せろ。鈴仙、案内頼む」
「はい、2人ともこちらに」
「あたしらに任せな信二。お前は霊夢のそばにいてやれ」
「…分かった。頼んだぜ妹紅」
「ああ、速攻でとってくるよ」
迅速に材料を取りに行った3人。魔理沙もいることだし、すぐに集まるだろう。
「…それで?一体白玉楼で何があったの?」
霊夢の処置をしならが聞いてくる永琳。
「…そうだな、初めから話そう。」
「…まぁざっとこんなもんだ」
「そう……あの幽々子が別人のようにね…」
「ああ。何かに取り憑かれたようにな。紅魔館のときもそうだったが、明らかに人が変わってる」
「……」
「永琳さんの周りにもそういうのはいないか?人が変わったようになった奴が」
「…いえ、見てないわね…」
「そうか、ならいいんだが…」
「あら、その声…信二かしら?」
戸を開けて入ってきたのはこの永遠亭の主にして、禁忌の薬を飲み月を追い出された大罪人。
「ああ、久しぶりだな輝夜」
「久しぶりね信二」
蓬莱山輝夜である。