「何か永遠亭が騒がしいから出てきたけど、あなただったのね」
「その言い方だと俺がやらかしたみたいに聞こえるだろ」
「ふふ、ごめんなさい。でも実際相当のことが起こったのね。…霊夢もこんなんだし」
輝夜はベットに寝ている霊夢を見て言う。その顔は少し驚いた様子が伺える。無理もない。霊夢は幻想郷でも屈指の実力者であり、これまで数々の異変を解決してきた。その霊夢が瀕死の状態にいること自体が、幻想郷にとって異例の事態といえる。
「結構危ない様子なの?永琳」
「そうね…少し危険かもしれないわ。でも私にもよく分からないのよ、今の霊夢の状態は」
「あら、永琳にも分からないことがあるのね」
「私にもありますよ。今の霊夢は怪我もなく病気にかかった訳でもない。なのに生命力が低下している。流石の私も元気で死にかけてる人なんて見たことないわ」
「本当に治るのか?霊夢は」
「これから作る薬は細胞活性剤を中心としたものよ。これが効くことを祈る事ね」
「そうか…早く来てくれよ、妹紅」
程なくして材料を持ってきた妹紅達。その材料を使い永琳と鈴仙が今薬を作っている。気が散ると行けないと思い、信二達は部屋の外に出る。
「治るかな、霊夢の奴」
「あの霊夢だ、心配しすぎるなよ」
「そうは言っても…心配なものは心配なんだぜ」
「…そうだな」
「あーあたしの生命力でも分けられればな」
「それはいいわね妹紅。いっそ干からびるまで分けてあげるといいわ」
「そういう輝夜こそ、霊夢に生命力をあげれば元気が無くなってお淑やかになるんじゃないか」
「あなたよりはお淑やかよ」
「笑わせるなよ」
「やめろよ2人とも。ここで喧嘩するなよ」
「分かってるよ」
「流石にしないわよ。…そうだ信二、朱雀を出して欲しいの」
「朱雀を?なんでまた」
「久々に見てみたくなったのよ。朱雀の羽はとても綺麗だから」
「それは同感だな。それに魔法で出来てるなら私にも似たようなのが作れるかもしれないしな」
「作るのか…」
「あたしはさっき見たけどな」
「なんで妹紅が見てるのよ」
「信二があたしを探す時に使ったんだろ」
「あぁ、そう言えばそうだったな」
「妹紅だけ見てるなんて不公平よ、見せなさい信二」
「あーはいはい。…出ておいで、朱雀」
信二の呼びかけで姿を現す朱雀。
「…やっぱり綺麗ね、この羽」
「前から思ってたんだけど朱雀って生きてるのか?」
「生きてるよ。ちゃんと自我もあるし」
「じゃあなんで信二から出てくるんだ?」
「朱雀は元々魔力を持っていた鳥でな。卵から孵化した時に偶然俺が目の前にいて懐かれたんだ」
「じゃあ偶然出会ったのね」
「ああ、と言っても今はほぼ俺の魔力で体が出来てるけどな。普段は霊体化して俺の中にいるんだよ」
「ふーん。そうなると作るのは無理そうだな」
「残念だったな魔理沙」
「まぁいいさ」
「…本当に綺麗な羽だわ」
「どうした輝夜。ずっと朱雀を見つめて」
妹紅が呼びかけるが反応のない輝夜。
「…輝夜おま…」
妹紅が再度呼びかけようとした時部屋から永琳が出てきた。
「永琳霊夢は?」
「薬を飲ませてから良くなってるわ。もう2、3日たてばだいぶ回復すると思うわ」
「ふぅー、良かったぜ」
「なんやかんやで1番心配してるな魔理沙」
「べ、別にそんなんじゃないぜ」
「照れんなって」
「うるさい!」
霊夢が無事なことを知り安堵する2人。だが、その傍らでどこか顔つきが悪いものが1人。
「どうした?妹紅。怖い顔して」
「いや…なんでもないよ」
「そうか。ならいいんだが」
何かに煮え切らない様子を残しつつ妹紅は自宅に帰った。魔理沙も霊夢の顔を一目見て家に帰っていった。信二は霊夢が元気になるまで永遠亭に厄介になることにした。
そしてその夜…。
「どうした輝夜、夜中に俺を呼び出して」
信二は夕食中輝夜に、自室に夜中来るように伝えられていた。
「ありがとう信二。来てくれて」
「それはいいんだが、何か用か?」
「…最近私ね、欲しいものが沢山あるのよ。それはもう数え切れないほどに…」
語りながら信二に近づいていく輝夜。
「輝夜…?」
「でも永遠の命を持つ私はどんなに物を集めてもいすれ形あるものは崩れてしまう…」
信二の手を握りながら喋り続ける輝夜。
「輝夜、お前まさか…!」
「けれど最近新しい能力を手に入れたの。万のもの永遠に保存出来る能力よ」
「…!」
新しい能力を手に入れた…その言葉を聞いて輝夜に異変が起きていると確信した信二は、輝夜から距離を取ろうとしたが急に視界が暗くなって動けなくなる。
「信二、私はあなたが欲しいわ」
「くそ……かぐ…や……」
「だから……永遠に私のものになって、信二」
信二の意識はそこで途切れた。