東方不死鳥紀   作:はまなつ

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35話です。だんだん投稿頻度が、落ちていくー。上げて行きたいんですけど文字に起こすと難しいですね。全然文が思いつかなかったり。まぁ頑張ります。


35話 鈴仙の覚悟

本当の事を言うとものすごく怖い。姫様と信二さんは私が本気でやっても絶対に勝てない格上の相手。私が戦っても何の意味もなさないかもしれない。けど、ただ見てるのだけは嫌だった。苦しんでいる2人を眺めてるくらいなら私は戦う!

 

「一緒に戦いましょう、妹紅さん。お二人を助けるために」

 

「鈴仙………頼りにしてるぜ」

 

妹紅は何も語らない。鈴仙がどれだけの勇気を振り絞って2人と対立したのかが分かったから。今も尚震えている鈴仙に多くを語るのは無礼だと知っていたから。

 

「いくぞ鈴仙!」

 

輝夜は何も言わずただ呆然としている。いや、何も言えないのか…。鈴仙が、自分を敬いしたっていた従者が離反するなど今の輝夜には理解できないことだからだろう。

 

そんな輝夜を狙い妹紅が猛進する。当然の如く信二が立ちふさがる。炎と炎のぶつかり合いはやがて爆炎となり、辺り一帯を紅く染め上げる。

 

「っ…!鈴仙…」

 

そんな爆炎に身を隠し信二を狙い撃つ鈴仙。鈴仙の弾幕は拳銃のようなもの。速く、そして的確に狙った所を撃ち抜ける。信二を撃ち抜くことはできなかったが、傷を負わせることができた。

 

「まさかあれを避けるなんて…」

 

「気にするな!相手は信二だ、一筋縄じゃいかない。それより次だ!」

 

「はい!」

 

信二との接近戦は妹紅が、信二の死角となる場所からスナイパーのように狙い撃つ鈴仙。妹紅は鈴仙に炎が届かない様に立ち回り、鈴仙は妹紅の邪魔にならないように、しかし確実に信二を狙える位置に移動しながら戦っている。

 

「…やりずれぇ…」

 

鈴仙は自分の評価が低い。しかしその腕前は決して低くなく、現に鈴仙の加入により着々と信二を追い詰めている。

 

「……………もういい」

 

「「!」」

 

輝夜の声が響く。その声は大きくは無いがしっかりと聞こえた。その声音は怒気を含んでいるのか、それとも悲しんでいるのか、あるいは失望しているのか。ともかく感情の読めない輝夜がゆっくりと妹紅達へ振り向く。

 

「もういいわ。あなた達2人は……」

 

()()()()()()

 

その言葉をきっかけに信二が焔を繰り出す。その質量は今までの比ではない。

 

「鈴仙!」

 

 

 

 

 

 

「………うぅ」

 

「無事か……鈴仙……」

 

「妹紅さん!私を庇って…」

 

「気にするな…。それより気を引き締めろよ。こっからが本番だぞ」

 

鈴仙を庇ったことにより満身創痍な妹紅。不死とはいえ痛覚もしっかりある。それに精神力も無限では無い。徐々に疲弊していく妹紅。しかし立ち向かうことを辞めない。まだその闘志は燃え続けている。

 

「立ち向かうだけ無駄よ。難題「蓬莱の弾の枝 -虹色の弾幕-」」

 

信二だけでも辛いのに輝夜までもがスペルカードを発動する。その弾幕は幻想郷では禁止とされている命を奪う弾幕である…。

 

『デビルバースト』

 

信二も先程と違い技を多様してくる。容赦なしに殺しにかかってきているのだろう。

 

「滅罪「正直者の死」!」

 

「散符「真実の月(インビジブルフルムーン)」!」

 

「鈴仙!2人を止めようなんて甘い考え捨てろよ…。殺す気でいかないと……こっちが殺されるぞ…」

 

「……っ…はい!」

 

一瞬血の気が引いた鈴仙。しかし、もう戻れない。今更泣き言を言ったところでどうにもならない。

 

『紅焔の勾玉』

 

信二が新たな技を使用する。淡い紅色をした玉が信二を中心として散布される。その玉は数秒後に爆発し炎を撒き散らす。

 

「なんだよそれ…そんな技見たことないぞ信二!」

 

それもそのはず。この技は信二が弾幕を参考にして作ったのだから。

 

「でも、これなら…」

 

「甘いわよ鈴仙」

 

「なっ!」

 

妹紅と戦っていた輝夜が鈴仙の背後に向かって弾幕を放っていた。ギリギリで被弾する寸前に同じく弾幕を放ち相殺した。だが相殺した時の衝撃で吹き飛ばされる。

 

「…!避けろ鈴仙!」

 

吹き飛ばされた先に信二が剣を構えて待ち構えていた。このまま行くと鈴仙は……。

 

「蓬莱「凱風快晴 -フジヤマヴォルケイノ-」!」

 

信二に向かって最大のスペルカードを放つ。さすがの信二も全力で対処しなければやられる程の超火力。

 

「余裕じゃない、私をほっとくなんて!」

 

しかしそれを信二に向かって撃った。それは輝夜をフリーにする事と同じ。今妹紅が輝夜の手に…

 

「ばーか、お前も道ずれだ!「焔符「自滅火焔大旋風」!」

 

「なっ!」

 

妹紅渾身の自爆。輝夜を巻き込み燃え盛る。

 

「妹紅さん!姫様!」

 

 

 

 

 

 

「ゆる…さない…!」

 

「…くっ、これでもダメか…。タフな奴だ」

 

妹紅最後の技でも輝夜を戦闘不能にすることは叶わなかった。妹紅は全ての力を使い果たしもう動く事が出来なかった。

 

「でもいいわ、あなたはもう動けないから後よ。だから次は……」

 

鈴仙を見て睨む輝夜。次はお前だぞ……と言っているように。

 

(姫様もボロボロだけどまだ戦える。それに信二さんもいる…。このままじゃ…)

 

折れかける心。だが仕方ない、どうしようも無い実力差が確かにあった…。

 

(やっぱり私じゃ…勝てない)

 

自分の無力さに打ちひしがれる鈴仙。そこに輝夜がゆっくりと近づいてくる。

 

「逃げろ鈴仙!」

 

「………さぁ、あなたもこれで………………終わりよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドンドンうるさいわね」

 

「「「「!!」」」」

 

「静かに寝られないじゃない」

 

「……霊夢…」

 

眠れる巫女覚醒。


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