東方不死鳥紀   作:はまなつ

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36話です。この章も終盤に差し掛かって来ました。次は風神録か地霊殿か…悩みますね


36話 主人公の実力

「何してるのかしら輝夜。どんどんうるさいのよ」

 

「私だけ責めるのは筋違い何じゃなくて」

 

「どう考えてもあなたが元凶でしょ。妹紅はともかく普段のあなたは絶対に鈴仙と対立なんてしないのよ」

 

ゆっくりと縁側を降りる。起きたばかり、病み上がりという状態にも関わらず既に臨戦態勢をとっている霊夢。霊夢は既に気づいている。輝夜の異常を。

 

「それに…何してんのよ信二」

 

霊夢の信二に対する態度は咎めるような、怒ているような。お前だけはそちら側に行っては行けないと。

 

「今幻想郷で起きている異変……それはあなたが関与しているのは明白よ」

 

少しずつ信二に歩み寄る。

 

「あなたが解決しなくては行けない事よ。なのに……なんであなたが異変(そっち側)にいるのよ!」

 

「……すまん、霊夢。俺が情けなかった。けど今は俺の力じゃどうしようもないんだ。だから……俺をぶっ倒してくれ」

 

その想いは信二の心からの願い。

 

「もちろんよ。あなたは絶対に倒す。…あなたを救うために」

 

「信二を救う…ですって…」

 

妹紅の事を忘れて霊夢に怒りを向ける。

 

「その言い方だと私が悪役みたいじゃない」

 

「あら、違うの?」

 

「違うわよ。私はただ欲しいのよ。人も物も、万物すべてが!」

 

「それが悪だと言うのよ。出すぎた欲は裁かれなければいけない」

 

「そうなるとあなたは正義の味方かしら。笑わせないで!」

 

「正義の味方なんかじゃないわ。少なくともあなたよりは正しいってだけ」

 

「あなたには分からないでしょ!何をしても何を手に入れても満たされることが無いものの心が!」

 

「分かるわけが無いわ。…いや、分かろうとしてはいけないのよ、博麗の巫女はどんなものにも平等に接しなければならない。幻想郷の理に今のあなたは反している。あなたを倒す理由はそれだけよ」

 

「……そう、どうやら分かり合うのは無理そうね」

 

「ええ」

 

「だったら霊夢も手に入れるまで!」

 

輝夜の叫びと共に信二の炎が霊夢を飲み込む。

 

「いきなりは卑怯と言うものよ」

 

結界を即座に張った霊夢には届かないが。

 

「信二!殺してもいい!霊夢を倒しなさい!」

 

輝夜の命令により苛烈さが増していく信二の攻撃。その攻撃は逃げ場が無いもの、死角をついてくるものなどもはや弾幕ごっこのレベルを越え本気で敵を倒すようなものばかり。

 

「……なんで、なんでひとつも当たらないのよ!」

 

しかし、その攻撃は何一つ霊夢に当たらない。それもそのはず。霊夢はこの幻想郷において最強の座に最も近い者の一人。数々の修羅場をくぐり抜けてきたのだ。そう簡単に被弾する訳がない。

 

「今までと同じと思わないことね信二」

 

今回の戦いはレミリアの時、幽々子の時とは違う。先の戦いは不意打ちの要素が強かった。だが今回の霊夢は万全の状態で臨んでいる。

 

「…やっぱり強いんだな霊夢」

 

「当たり前よ」

 

「何もたついてるのよ!」

 

痺れを切らした輝夜も弾幕を張る。

 

「霊符「夢想封印」」

 

それは霊夢の代名詞とも言えるスペルカード。原点にして強力なスペルカードである。

 

「…くっ!」

 

「邪魔よ!」

 

対処に手を焼かされる2人。すると突如辺りが暗くなる。その事に気がついた2人は空を見上げる。

 

「まとめて潰してあげる。宝具「陰陽鬼神玉」」

 

巨大な玉。それをぶつけるだけ。それだが強力なのだ。

 

「そんなもの!信二!」

 

『オーバードライブ=デュアル』

 

両手から勢いよく出る炎が玉とぶつかる。質量が質量だけにすぐには相殺は出来ないが押しとどめてはいる。

 

「隙だらけよ」

 

動けない信二に霊夢が特攻する。

 

「…隙はねぇ。『王の御前(キングバーン)』」

 

信二を中心として起こる爆発。予備動作がほとんどないため見分けるのが難しい技。

 

「……なぜ…!」

 

それを霊夢は予知していたかのように結界を張っていた。

 

「博麗の巫女はね」

 

無防備な所をお祓い棒で一閃する!

 

「がっ!」

 

「勘が鋭いのよ」

 

さらに御札を信二にばらまく。それらは信二に当たると爆発し、終いには信二をがっちり拘束する。

 

「くっ……!」

 

「さて、厄介なのが居なくなったわね」

 

「なんで信二が…やられるの!」

 

激昂する輝夜。その姿は思い通りにいかなくて怒る子供のようだった。

 

「……分からないの?」

 

「何がよ!」

 

「信二は全力を出していなかった。いや、力を出さないようにしていたのよ」

 

「は…?そんなはずは…」

 

「恐らくあなたの力に抗っていたのでしょうね。信二が本気を出していたらもっと時間がかかっていたもの」

 

「なんで…なんで信二はそんなことを」

 

「そんなの決まっているわ。今の輝夜に従うものは誰もいないってことよ」

 

「………」

 

辺りを見渡す輝夜。そこにはボロボロの妹紅、鈴仙に信二がいる。そこに輝夜を肯定したものはいない。

 

「さぁいい加減諦め「…ない」ん?」

 

「…りえない」

 

「何?何か言った?」

 

「ありえない!!そんなこと!認めない!!」

 

輝夜の体から黑い鎖が溢れ出てくる。

 

「!なによそれ」

 

「私は全てを手に入れるのよ!!」

 

黑い鎖が霊夢に襲いかかる!

 

「そんな能力あなたには無かったでしょ!」

 

霊夢は鎖を避ける。その鎖は標的を失い地面に激突する。鎖が当たった地面は深くえぐれている。

 

「これは…当たったらやばそうね…」

 

「霊夢がいなければ!お前が来なければ!」

 

輝夜の感情に呼応するように鎖は激しさを、質量を増やしていく。

 

「ちょっと早すぎないかし…ら!」

 

結界を破ってきた鎖をお祓い棒で弾く。その反動はものすごく、霊夢の体制が1回受けるだけで崩れるほど。

 

「消えなさい!」

 

霊夢の直感に実力を持ってしても避けきれない鎖。霊夢を飲み込み叩きつける。

土埃が舞う。

 

「霊夢さん!」

 

(霊夢……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夢想天生」

 

戦況は終幕へと向かっていく。

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