東方不死鳥紀   作:はまなつ

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37話です。今回で永遠亭編は終わりです。次回は多分風神録、妖怪の山ですね。待ってくれてる人は気長にお待ち下さい。


37話 寄り添うもの

夢想転生。それは霊夢の最大のスペルカード。それが無制限で発動出来るとなると()()()()()()()()。だから魔理沙が名前をつけて時間制限があるスペルにしたのだ。それでも発動中の霊夢は…

 

「ここからは本気でいくわ」

 

無敵である…。

 

輝夜が先ほどと同じようにおびただしい数の鎖で霊夢を攻撃する。

 

「知ってるでしょう、効かないわ」

 

黑い鎖は霊夢をすり抜けていく。夢想転生を発動中の霊夢はこの世の理全てから浮く。それは何を意味するか…霊夢に触れられるものは無くなると言うことだ。つまり今の霊夢に攻撃を加えることは不可能なのだ。

 

「……知ってるわよ、実際私が食らってるんだし…」

 

輝夜に向かって自動的に放たれ続ける弾幕。鎖とぶつかり合いお互いに相殺していくが徐々に鎖が追いつかなくなっていく。

 

「でもそれには時間制限がある。なら発動が解けるまで待てばいいじゃない」

 

輝夜は寸前まできた弾幕を避けようとせずに…直撃する。

 

「…輝夜のやつ、まさか時間まで攻撃を受け続けるのか?」

 

「そういうつもりならやめておきなさい。何発も食らって平気な弾幕なんて出してないから」

 

確かに蓬莱人は死ぬ事は無い。だが体力、精神力共に限界はあるし痛覚だってちゃんとある。弾幕を…しかも本気の霊夢のものを何発も受けることは想像を絶する苦痛を伴うだろう。

 

「…本当に受け続けるつもりなのね。いいわ、泣き言言っても聞かないから」

 

弾幕を緩めること無く攻め続ける霊夢。

 

 

なんでかしら

 

弾幕を受けどんどんボロボロになる輝夜。

 

なんで皆は私が異常だと言うの

 

激しさが増していく弾幕により輝夜の体が土埃で見えなくなっていく。

 

誰だって欲しいものくらいあるはずよ

 

何分経ったのだろう。いや、弾幕を受けていた輝夜は経過した時間以上に感じているだろう。

 

それなのに私だけが強欲だと口を揃えてみんなが言う

 

今弾幕が止まり…霊夢が開眼する。

 

確かに人よりは欲が強いかもしれない。けどそれだけで否定されるのはおかしいわ

 

輝夜の様子を伺う霊夢。しかし未だ土埃は晴れず。

 

元々私は死ぬことがない。なら人より欲があってもいいはずよ。私が異常なんじゃない、おかしいのはみんなよ……皆が………皆が!

 

「異常なのよ!!」

 

土埃の紛れて霊夢の後ろから現れた輝夜。その呪い(両手)を霊夢にかざす。

 

「しまっ!」

 

(私が欲しいものを手に入れるには霊夢…あなたは邪魔なのよ)

 

背後を取られていたため若干反応が遅れた霊夢。お祓い棒を振るうがこのままいくとタッチの差で間に合わない。

 

(貴方さえ手に入れればもう私を邪魔する者はいなくなる!)

 

博麗の巫女は幻想郷の理そのものと言っても過言ではない。その最後の抑止力さえ手に入れれば輝夜を邪魔する者はいないと言ってもいいだろう。

 

(霊夢……これであなたも……)

 

 

私 の モ ノ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………えっ?」

 

輝夜のその手が霊夢に触れられることは無かった。何故か?

 

「矢が……」

 

輝夜の両手が矢に貫かれたから。ではそれは誰が放ったのか?

 

「………永…琳……?」

 

輝夜の視線の先には弓を持った永琳の姿がいた。

 

「ごめんなさい輝夜…」

 

「そん……な…」

 

輝夜は心のどこかで永琳なら絶対に自分を裏切らないと思っていた。ほかの誰に否定されようとも永琳さえいればいいと思っていた。だが今はその永琳も敵に回っている。最後の砦を失った輝夜は完全に戦意を喪失していた。

 

 

「夢想封印」

 

……霊夢の一撃が輝夜を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………姫」

 

「お……きて……姫」

 

 

「……おきてください姫」

 

「………永琳…?」

 

輝夜はゆっくりと目を開ける。輝夜は今永遠亭のベッドで寝ていた。

 

「良かった、無事で。……ごめんなさい姫。私はあなたを……「いいのよ」」

 

「いいのよ永琳。私はあなたを責めるつもりもないし、許さないなんて事もないから」

 

「……ありがとう輝夜」

 

「私の方こそ取り返しがつかなくなる前に止めてくれてありがとう」

 

「私なんて……鈴仙の方がもっと早く動いていた…。師匠失格よ」

 

「そんなこと言わないで。悪いのは私なんだから………。そう言えば他のみんなは?」

 

「妹紅は力の使いすぎで今は寝ているわ、鈴仙はその看病に。信二と霊夢は……」

 

「…大丈夫だって霊夢。1人で歩ける」

 

「だめよ。顔色が悪いもの。無理しない」

 

「……聞こえたとおりよ」

 

「ふふっ。元気なのね」

 

「輝夜ー、起きた?」

 

「えぇ。起きてるわよ」

 

「入るわね。…永琳も一緒だったのね」

 

「何か用かしら?」

 

「分かってるんでしょ。アンタの異変についてよ」

 

「何でそうなったか心当たりはあるか?」

 

「………特にないわ。本当に気がついたらものを集め始めていた。どんどん自分が居なくなっていくような感覚に陥って……あの有様よ」

 

「……そうか。他の時と同じ感じだな」

 

「そうね。これで3つ目か…」

 

「輝夜も災難だったな。輝夜も異変の被害者みたいなもんだし」

 

「そんなことは無いわ。あれは多分私が元々持っていた欲が暴走したもの。半分は自分のせいよ」

 

「そうは言ってもな…」

 

「いいのよ、私のせいってことにしとけば。……まぁ永琳に攻撃された時は流石にこたえたわ」

 

「…すみません」

 

「冗談よ、笑って」

 

(輝夜はもう大丈夫そうだな)

 

「…じゃあ俺らはそろそろ行くな」

 

「もっといてもいいのよ?」

 

「怪我もしてないし何日もいても悪いからな」

 

「それに神社も開けっ放しだし、1度帰りたいのよ」

 

「そう。それじゃあ改めてありがとう信二、霊夢」

 

「私からも礼を。姫を止めてくれてありがとう」

 

「おう、またなんかあったらすぐ呼んでくれよ。駆けつけるから」

 

「頼りにしてるわ」

 

部屋を出ようとすると廊下から急いでいるであろう足音が聞こえてきた。

 

「信二さん!まだ居ますか!」

 

「あぁ鈴仙。これから帰るところだ」

 

「ちょうど良かった、私からもお礼を言いたかったので。ありがとうございました。私一人じゃ今頃どうなっていたか分からなかったですし…本当に心強かったです」

 

「なに、鈴仙が勇気を出したから今があるんだ。鈴仙こそ良くやったな」

 

「そ、そんなこと…」

 

信二に褒められて鈴仙は頬を染める。

 

「信二だけかしら」

 

信二の後ろでジト目で鈴仙を見つめる霊夢。

 

「い、いや!霊夢もありがとうございました!」

 

「…まぁいいわ。元気でね鈴仙」

 

「じゃあな鈴仙。輝夜と永琳さんも」

 

「はい!またいずれ」

 

永遠亭を後にする2人。今回の異変もまた無事に解決をした。…しかし……

 

 

「信二、この異変に限らず紅魔館と白玉楼での異変も」

 

「…あぁ恐らくな」

 

 

 

 

 

 

 

「この幻想郷での異変は俺が来たことで起きてるんだろう。………いや、正確には()()()()()()()()()が起こしてるんだ」

 

信二と共に幻想郷に来たもの。それは信二の因縁の相手であり、信二が倒すべき者。

 

「……どこにいやがる…()()()()()

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