東方不死鳥紀   作:はまなつ

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39話です。もうひとつのssの関係でこっちも遅くなってしまいますね。すいません、なるべく2週間以内には投稿しようとは思うので読んでいてくれている人は応援していただけるなら嬉しいです。


39話 堕落の神

「さっき文が森が嫌な感じがするって言ってたな、具体的にどんな状態なんだ?」

 

守矢神社に向かっている途中で信二が聞く。確かに嫌な感じ…と抽象的に言われては気になるもの。

 

「そうですねぇー。なんというか…ゾワゾワすると言うか…。私も上手く言えないんですが明らかにいつもとは違う様子なんです」

 

「ふーむ、原因はわかってないのか?」

 

「分かってないですね。ただ守矢神社の2神の異変とほぼ同時期に起きたみたいですね」

 

「早苗の方は1週間前だっけ?」

 

「はい…」

 

「輝夜の方とも重なるな」

 

「輝夜さん?永遠亭で何かあったんですか?」

 

「今回の異変と似たような異変が起きてな」

 

「私と信二で解決したのよ」

 

「ほとんど霊夢が解決したんだけどな」

 

「ほーう…これは取材の予感ですね」

 

いつでもいい記事を書こうとする文は根っからの新聞記事なのだろう。もはや職業病を通り越してると言っても過言ではない。

 

「後でにしなさい。そんなことやってる場合じゃないでしょ」

 

「それもそうですよね。……あっ、私はここら辺で失礼します」

 

「守矢神社には行かないんですか?」

 

「これから殴り込みに行くところに入れないですよ。万が一上司にでも見つかったら面倒ですし」

 

「それもそうですね…。射命丸さんの方も頑張って下さい」

 

「私が頑張っても上は納得しませんよ。精々いつ攻撃を仕掛けるかを伝えられるくらいです」

 

「それでも十分だろ。詳しいことが分かったら連絡してくれ」

 

「はい。それでは」

 

文と妖怪の山に入る手前で一旦分かれる。文のことだ、何かあったらすぐに報告が来るだろう。

 

「さて、じゃあ入りましょう」

 

妖怪の山に足を踏み入れる。

 

「どうだ霊夢。何か変わったことあるか?」

 

「うーんそうね。…私はそこまで感じないわね、元々頻繁に来る場所でもないし」

 

「そうか、やっぱり住人しか感じない程度か」

 

けどその微々たる変化が災害を呼ぶことだってある。信二は改めて気を引き締めた。

 

「途中で天狗と合わなければいいんですけどね…」

 

こんな所で天狗とあってしまえば一触即発なんてことになりかねない…と心配する早苗。

 

「そこは大丈夫よ。文が上手くやるだろうし、それに…」

 

 

「この私の前で騒ぎを起こそうとする奴なんてそうそういないわよ」

 

「そ、そうですよね。霊夢さん怖いですもんね」

 

「誰が怖いって?」

 

「既に顔が怖いぞ霊夢」

 

妖怪の山をどんどんと進んでいく。

 

「…なんか静かじゃないか?」

 

信二が違和感を覚えた。聞いていた話によると妖怪の山には数多くの妖怪が住んでいるという。天狗の他には河童が社会を形成してるとか。なのに今はとても静かだ。まるで自分達しか居ないと錯覚する程に。

 

「確かにそうね。河童達も全然見ないし」

 

「昨日までは普通にいましたけど…」

 

「そうなると…天狗と交渉でもしてるのかしらね」

 

「交渉?何のだ」

 

「天狗と河童は共存…と言うより不可侵条約ね、そんな関係にあるのよ。守矢神社を攻撃して山に被害がでたら河童も黙っていないの。河童と争うなんて天狗としても不本意だろうし。だからあらかじめその事を伝えているんじゃないかしら」

 

「その言い方だともうすぐ攻撃しに行くみたいじゃないですか!」

 

「そう言ってるのよ。守矢神社が責められるなんて時間の問題よ」

 

「霊夢は後どれくらいだと予想する?攻められるまでに」

 

「そうねぇ……早くて明後日かしら」

 

「明後日か…だいぶ早いな」

 

「そ、それなら早く神奈子様と諏訪子様に伝えなきゃ!」

 

「ちょっ、待ちなさい早苗…」

 

「行っちまったな」

 

「まったく、急いでも事態は変わらないってのに」

 

「…霊夢も感じてるか?」

 

「えぇ。今回は()()()()()()()でしょうね」

 

これまでの異変の傾向は半暴走状態で暴れている所を抑える…そんな感じだった。しかし今回は違う。ただ対峙するだけでは解決しない。争うだけでは解決しない。そんな予感を信二も霊夢も感じでいた。

 

「…一応急ぐか」

 

「そうね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なんで分かってくれないんですか!』

 

守矢神社に到着するなり早苗の怒鳴り声が聞こえた。上手くいっていないのは明白だろう。

 

「やっぱり上手くいってないようだな」

 

「今までと一緒よ。一筋縄ではいかないわ」

 

2人は神社の中に入る。そこには件の3人が言い争っていた。

 

「神奈子様、諏訪子様!このままだと守矢神社は天狗に攻め込まれるのですよ!そうなったら今のお2人は…」

 

「…知っているよ、山のざわめきを聞けばそれくらいは」

 

「なら…!」

 

「でもいいんだよ早苗。もう…」

 

「なっ…!どうして!」

 

「簡単さ。どうでも良くなったんだ」

 

「どうでも……良くなった…?」

 

「そう、どうでもね」

 

「だから早苗ももう好きに生きるといい」

 

「…すべて…ですか。……じゃあ信仰を集めることも?」

 

「あぁ」

 

「…幻想郷での生活も?」

 

「うん」

 

「…私との約束も?」

 

「「………………」」

 

「……そう…ですか」

 

そう言って早苗は力なく逃げ出すように神社の外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か?」

 

「…信二さん…」

 

妖怪の山から少し離れたところで早苗を見つけた信二。

 

「大丈夫ですよ…」

 

(…明らかに大丈夫じゃないだろうに)

 

2人の間に沈黙が流れる。

 

「…霊夢さんは…」

 

「文と会ってるよ。天狗の動向についてね」

 

「そうですか……」

 

「……………」

 

「……………約束」

 

「うん?」

 

「約束したんです。幻想郷に来る前に。私を立派な神にしてくれるって。何があっても見捨てないって…。なのに………なのに…」

 

喋りながら涙を流す早苗。先程の事がまだ信じられないのだろう。信頼していた2人に裏切られたことを…。

 

「………見捨ててなんかいないさ」

 

「……信二さん?」

 

「心に刻んだ誓いだけは何があっても忘れない。…2人がどうでも良くなったなんて本当に信じられるか?」

 

「……信じられません…!」

 

その声は小さく、しかし力強かった。

 

「そうだろう。だから目を覚まさせてやるんだ。他の誰でもなく、早苗自身の力で」

 

「私自身の…力で…」

 

「あぁ。信じるんだ。2人を、そして自分自身を!」

 

「…っ……!」

 

「だから立ち上がれ早苗の大切な者のために!」

 

「…はい!私が2人を助け出します!」

 

幻想郷のもう1人の巫女は奮い立つ。自分の大切な者を、日常を取り戻すために。

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