東方不死鳥紀   作:はまなつ

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40話です。今回は特に話すこともないので本編をどうぞ。


40話 予想外の敵

自らを信じ、愛する者達を信じて奮い立った早苗。その目には先程とは打って変わって希望に満ち溢れている。

 

「よし、そうなったら急ぐぞ。間に合わなくなる前に」

 

「間に合わなくなる?どういう事ですか?」

 

「さっきの早苗の最後の問いかけ…。それにだけ神奈子と諏訪子は返事をしなかった。つまりまだ前の心があるはずなんだ」

 

「…じゃあもし時間が経てば……」

 

「恐らく…もう取り返しのつかないことになる」

 

「……なら、そうなる前に元に戻します!」

 

「…そうだな!」

 

信二は思う。この短時間で早苗は強くなったと。もうへこたれる姿は見せないのだろうと。

 

「よし、それなら今すぐ守矢神社に………」

 

「信二さん?どうしたんですか?」

 

信二は小さな声で早苗に伝える―誰かがいると。

 

「…誰だ!コソコソしてないで出てこいよ!」

 

影から出てきたのは緑色の髪に帽子をかぶり大きなリュックを背負った少女……いや、河童の河城にとりだ。

 

「にとりさん!」

 

「わざわざ隠れてこっちを観察して…なんか用か?」

 

「……私は人間(お前達)を守りたいんだ」

 

「守りたい?一体何の話だ?」

 

「知ってるだろう、天狗のことを」

 

「…あぁ、それがどうした」

 

「天狗があんなに揃って攻めにやって来るんだ。お前達だけじゃひとたまりもない」

 

どうやらにとりはこれから信二と早苗がやろうとしていることが分かっているようだ。

 

「お前の言いたいことは大体分かったがひとつ解せない。何故人間(俺たち)を守ろうとする」

 

「私は人間は盟友だと思ってる」

 

「…初対面でもか?」

 

「初対面でもだ。だから行って欲しくないんだ、守矢神社に」

 

「にとりさん、それは神奈子様と諏訪子様を見捨てろと言ってるんですか!」

 

「……そうだ。仕方ないだろう、このまま天狗と戦うことになったら絶対に酷い目に会うぞ。それに元々あの2人が信仰を集めなくなったからこんな事態になったんだ、自業自得だろ?」

 

「そんなことありません!絶対に何かあるんです!じゃなければお2人があんな事になるはずがありません!」

 

「………心配してくれてありがとう。だが俺たちは行かなきゃ行けないんだ、止めてくれるな」

 

「……そうか。いや、そんな気はしていたんだけどな」

 

「ではにとりさん、私達は行きます」

 

「………あんまり手荒な真似はしたくなかったんだけどなー」

 

「っ?!早苗!」

 

信二は早苗を囲むようにして炎を出す。

 

「信二さん?!何を…」

 

「あっちち!そんなこと出来るのか」

 

「え?にとりさん…?」

 

未だに状況の飲み込めない早苗。今何が起こったのか?にとりが早苗に向かって弾幕を放とうとした。それを信二が防いだのだ。

 

「大丈夫か早苗」

 

「どうしてにとりさんが……」

 

「大方天狗と契約したんだろ。どんな内容かは知らんがな」

 

「……ばれたか。まぁいいや。…大人しく捕まってくれよ。さっきも言ったけど手荒な真似はしたくないんだ」

 

「ならそっちが邪魔するのを辞めたらどうだ?」

 

「駄目か。仕方ない……多少傷つけたらごめんな」

 

「な?!」

 

「……どうなってんだそれ」

 

突然何も無い空間から河童達が次々に現れる。これは河童が作り出した光学迷彩。今まで姿を隠していたようだ。

 

「…上等だ!行くぞ早苗、ここを突破しなけりゃ守矢神社は壊滅だ!」

 

「はい!絶対に押し通ります!」

 

信二は炎を展開する。早苗はスペルカードを出す。河童達を蹴散らしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……本当にこの数を前にして諦めないんだね」

 

戦い続けている信二に早苗。しかし河童の数は多く、一向に前に進まない。

 

「にとりさん!さっき言っていた私達を心配していたのは嘘だったんですか!」

 

早苗はにとりに問いかける。確かめずにはいられなかった。……また信じていたものに裏切られたのかと言う不安があったから。

 

「嘘じゃないよ、本当に天狗を相手にして欲しくないし、手荒な真似はしたくない」

 

「………でも通してはくれないんですか」

 

「そこは天狗との契約だから」

 

(いや、あれはどちらかと言うと脅迫に近かったけどね)

 

だんだんと数に押され始める早苗。

 

「くっ…!多勢に無勢ですね……」

 

「朱雀!諦めんなよ早苗!」

 

信二は朱雀を早苗への加勢に出す。朱雀自身も炎を出したりとそれなりに戦闘能力はある。

 

「諦めませんよ!」

 

持ち直す早苗。弾幕を出す手を緩めずに攻め続ける。前だけを目指して。

 

『くそ、諦めが悪いな!』

 

『………にとり、もうあれを出すしかないぞ!じゃないと本当に突破される!』

 

「…そうだね、使うしかないか………」

 

どんどん数が減っていく河童。絶望的かと思われたこの戦況も終わりに近づいてきた。このまま行けば突破することができ………

 

バァン!

 

「っ??!!」

 

戦場に鳴り響いた甲高い音。その音と共に信二の右腕が貫かれる。

 

「信二さん?!」

 

「…これは拳銃って言ってね、外の世界での兵器なんだ」

 

「……なんでそんなもん持ってるんだよ」

 

…1体1の戦いであったら拳銃くらい避けられただろう。しかし、乱戦が呼んだ混沌が信二の判断を一瞬遅らせた。その一瞬があれば十分。拳銃とはそういう武器だ。

 

「外の世界から流れてきた物を改造したんだ」

 

「改造……道理で威力が高いはずだ…」

 

信二は戦う時に魔力を体全体に纏いながら戦っている。そのため普通の拳銃だったら傷はつくが貫通はしない。その魔力の膜を軽々と貫いたにとりの拳銃はかなりの威力を持っている。

 

「褒め言葉として受け取っておくよ」

 

そう言いながらもう一度引き金を引くにとり。今度は信二の左足に貫通する。

 

「ぐぁぁ!!」

 

「や、辞めてくださいにとりさん!信二さんが苦しんでいます!」

 

信二の前に庇うようにして訴えかける早苗。

 

「じゃあ大人しくしてくれ」

 

「っあ?!」

 

早苗の後ろから弾幕が直撃する。他の河童が打った弾幕をもろに受けた早苗はだんだんと意識が薄れていく。

 

(…神奈子…様……諏訪子………さ…ま)

 

意識を失いその場に倒れる早苗。

 

「悪く思わないでくれ。恨むなら天狗を恨むんだな」

 

信二にも弾幕が出される。…そして無慈悲にもその弾幕は信二の意識を奪う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(頼んだぜ………()()………)

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