早朝。まだ小鳥がさえずってる爽やかな時間。いつもはそんな時間に起きない魔理沙が珍しく起きて守屋神社を目指していた。
「ふぅー、いい朝だな。異変さえ無ければもっと最高だったんだけどな」
箒に跨り1人愚痴をこぼす。
「お前もそう思うだろ、
いや、1人では無かった。魔理沙の後にもう1人空を飛んでいる者がいた。魔理沙と同じ金髪をしていて、魔理沙やパチュリーと同じく魔法使いの少女。
「そうね、魔理沙が突然家に来なければもっと良かったわ」
名をアリス・マーガトロイド。七色の人形遣いだ。
「そう言うなって。ワタシが来て嬉しいくせに」
「冗談言わないで。まったく、いつも人を振り回すんだから」
「それはそれで楽しいくせに」
「楽しくない!」
何故魔理沙がアリスと一緒にいるのか。それは昨日の晩魔理沙がアリスの家に押しかけたのが始まりだった。
『おーすアリス。邪魔するぜ』
『…突然なんの用魔理沙』
『晩飯を貰いに来た。後寝るためだな。家よりこっちの方が綺麗だし』
『人の家を宿みたいに言わないでよね』
『そんな訳で中に入らせて貰うぜ』
『ちょっ!』
アリスの話をまるで聞かない魔理沙。それでも晩御飯出し、布団を使わせてくれるアリスも大分甘いのだが。
次の日
『よしアリス、異変解決に行くぜ!』
『はぁ?!異変なんて聞いてないわよ』
『森にこもってるからだ。ほら支度しろ』
『待って、もしかして今から?!』
『そうだ、モタモタしてると置いてくぜ』
『あっちょ!待ちなさい!』
現在に至る。
「はぁー…」
「どうしたため息なんてついて。可愛い顔が台無しだぜ」
「誰のせいよ……」
「さぁ、心当たりがないな」
(こいつ…!)
魔理沙に若干の怒りを覚えながらも守矢神社を目指す。魔理沙がアリスに会ったのはきちんとした理由がある。端的に言えば助っ人である。腕利きが4人居るが内2人が負傷している。多勢に無勢と言う言葉があるように魔理沙も戦力差的に無理だと思ったのだろう。そのため実力があり異変にも手を貸してくれそうな者を考えた。結果がアリスであった。
「ほら、もうすぐ着くぞ」
「着くって…妖怪の山?てかどんな異変かまだ聞いてないんだけど」
「それは後でだ。まずは守矢神社に行くぞ」
守矢神社に降り立った2人。そこには既に霊夢と早苗の姿があった。
「おーす、2人とももう居たんだな」
「おはよう。私も今来たところよ」
魔理沙と挨拶を交わしていた霊夢が後ろにいるアリスに気が付いた。
「アリス?どうしてここに?」
「魔理沙に事情も聞かされずに連れられたのよ」
「…説明ぐらいしてあげなさいよ魔理沙」
「これからする予定だったんだよ」
魔理沙をジト目で見つめる2人。しかし魔理沙は気にも留めない。
「それで守矢神社がどうしたの?」
〜少女説明中〜
「そう、そんな事が。それで早苗は落ち込んでるのね」
後ろ姿に哀愁漂う早苗を見てアリスが言う。
「いや、それもあるんだけどね…」
「他になんかあるのか?」
「…昨日結界を張り終わって神社の中に入ろうとしたんだけど
「入れない?どういう事だ?」
「私も訳が分からないわよ、結界がされているような感じで弾かれるのよ」
「弾かれる?どうやっても?」
「えぇ。弾幕を打っても物理で殴っても入れる様子が無かったわ。まるで私達を拒絶してるみたい」
「なんだそれ」
「不思議なこともあるのね」
「それで早苗は昨日からずっとあれよ」
早苗は神社の中の神奈子と諏訪子を見つめている。
「…とりあえずそっちは原因不明だからまずは天狗達だな」
「そうね。そっちも一筋縄では行かなそうだし」
霊夢、魔理沙、アリスの3人は戦闘の準備をする。白狼天狗達だけならそこまで苦戦はしないだろうが他の天狗も大勢くると言う。そのため今からスペルカードを作っておくのだ。
「ほら早苗。そうしてても解決しないんだからあんたも準備しなさい」
「…………」
「だめねこれ」
「けど早苗が居ないとかなりきつくなっちゃうぜ」
「3人で大勢の天狗は無理ね」
「ほら、早く支度しなさい〜」
霊夢に引きずられて渋々準備を始めた。
「……はぁー。早苗あんた神奈子と諏訪子を戻す気無いの?」
「え?そんな訳……」
「じゃあもっとシャキッとしなさい。天狗に押し通られたら負けなのよ。分かってる?」
「わ、分かってますよ」
「なら今出来ることを全力でやりなさい!そんな状態の早苗なんかはっきり言って邪魔なの」
「…………」
「それともあんたはあの2人が居ないと何も出来ないなんちゃって神様なのかしら?」
「…(イラ)そんなこと無いですよ」
「そうかしら。傍から見たら親に会えなくてぐずってる子供そのものよ。いつまで早苗さんはお子様なんですか?」
嫌味たっぷりの顔で早苗を煽った霊夢。すると早苗の体が震えだし…
「あぁー!!分かりましたよ!やりますよ、やってやりますよ!天狗がなんですか、そんなもの全員蹴散らしてやりますよ!!」
霊夢への怒りを原動力に。先程とは打って変わって勢いに任せて支度を始める。
「まったく」
「他にやり方は無かったのか?」
「ある訳ないでしょ。少なくとも私にはあれしか思いつかなかったわ」
「けどやる気が出たんだから結果的にはいい作戦だったんじゃない」
「……それもそうだ」
支度をしている早苗の表情には怒りの反面、どこか笑みを浮かべている様な表情だった。
「…さて、そろそろね」
時刻は正午一歩手前。天狗達が攻めてくるまで残すところあと僅かというところ。
「久しぶりに暴れるぜ!」
「暴れるのはいいけど私達にも被害を出さないでよ」
「そんなヘマこのワタシがした事あるか?」
「何度か」
「……善処するぜ」
人数が少ないため作戦という作戦はないが、一応高火力.広範囲の攻撃が出来る霊夢と魔理沙を前に。その後をアリスと早苗が守るといった布陣で立っている。
「……どうやら来たみたいね」
霊夢が何かを感じ取った。そしてそのすぐあとに天狗達の姿が見え始めた。
「………本当に居たんですね」
霊夢に話しかけたのは白狼天狗の犬走椛。霊夢達が待ち構えているのを知っていた様だ。
「あんた達私の許可なく面倒なこと起こしてんじゃ無いわよ」
「それは私達の上司に言ってください」
睨み合いをしながら話し合う2人。後ろの天狗達はすでに臨戦態勢だ。
「……それで、これからどうなるか分かってるの?」
「一応」
「そう。なら……」
スペルカードを構える霊夢。
「あんた達全員退治してやるわ!」
その言葉を皮切りに、今守矢神社を懸けた戦いが始まった。
そしてここにも戦士が1人。
「もう、まだ完治してないんですから無茶しないで下さい!」
「分かってるって」
炎の様な闘志を燃やしている男が1人。
「………今行くぞ皆」