東方不死鳥紀   作:はまなつ

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49話です。遅くなってしまいましたね。今年はなるべく頻度を上げたいものです。


49話 燃える感情

「お燐、お空!やめなさい!」

 

急に信二に攻撃してきた二人。何故そんなことをしたのかさとりにも訳が分からなかった。普段はそんな事を絶対にしない二人。優しくて自分とも話してくれる……そんな二人が今憎しみを帯びた表情を浮かべ信二に敵対している。

 

「さとり様は黙ってて下さい!」

 

「っ?!」

 

お燐の声が響く。その声音は怒気を含んでおり、日々のお燐からは想像が出来ないその豹変ぶりにさとりはひるんでしまった。

 

「なんでお前達が俺を恨んでいるか分からないだか!」

 

信二も弾幕を避けつつ、反撃せずに問いかける。信二としてはこの戦いは意味をなさない。それに今はこんな事をしている暇はない。()()()がまだ近くにいるかもしれない。そう考えると立ち止まっては居られないのだ。

 

「言ったはずだ。さとり様を悲しませたからだ!」

 

「私達の方が愛されてるのに……お前なんかに!」

 

二人の攻撃ははげしさを増す一方。話し合いでの解決など出来る状態では既に無い。

 

(くっ…!、どういうことだ)

 

さとりを悲しませたから。それだけでこの二人が激昂するとも思えない。それはさとりの様子からして断言できる。明らかにこの二人に対して不審感を抱き、畏怖している。そうなると別に理由があるはずだ。

 

「や、やめないと言うのなら私が……?!」

 

「!? どうしたさとり、何があった!」

 

さとりが参戦しようとした瞬間、その場で気絶した。特に他の者の気配は感じられなかった。だが、明らかに何者かに手を出された気絶の仕方だった。

 

(目にも見えず気配も感じられない……厄介だな)

 

この瞬間信二は詳細不明な敵がいるということを頭に入れておかなければならなくなった。こうなると余計に神経を研ぎ澄まさなければならない。いきなり攻撃されたとしても即座に対応できるように。

 

この前のにとりにやられたように不意打ちで戦闘不能になる。そのようには二度とならないと心に決めたのだ。あの日の情けない自分をまた誰かに見られるのは信二にとっても耐え難い。

 

「ちょこまかと鬱陶しい!」

 

「お前なんかより……お前なんかより!!」

 

(くそっ、考えろ!何が原因だ!)

 

今までの異変と同じように今回もアスモダイが関係している異変だろう。しかし、今回はあの二人の戦う動機が分からない。

 

(想いだぜ、今日何があったのか!)

 

それに先程からお空の言っていることが理解できない。同じことをずっと言っている。

 

(俺なんかより?どういう意味だ……)

 

俺と比べられる所なんてあったか……?__ダメだ、何も浮かばない。何故なら二人は初対面だから。今初めてお互いの顔を見たのだ。比べ合う関係でなければ恨まれるような事をした覚えもない。

 

(……いや、待て__)

 

信二の脳から湧き出てきた記憶。

 

『あんなこと出来るの信二くらいだろうし……』

 

それはお燐が信二に言った言葉。さとりと楽しげに話をしていた事について言われた。

 

(()()()()()()()()……)

 

さとりが初めてあのように楽しげにしていた。それは俺と話したから。それは心を読まれない俺にしか出来ない。だから俺はさとりに好かれて__

 

 

 

 

 

 

『ちょっと嫉妬しちゃうな』

 

またも一つ思い出した記憶。確かにお燐はあの時そう言った。

 

「__そうか、嫉妬か!」

 

なるほど。これなら初対面の相手でも憎しみが生まれる。恐らく二人は俺に対して相当の嫉妬をしていた。そこにさとりを悲しませた事が重なり二人は激昂しているのだ。

 

「呪精「怨霊憑依妖精」!」

 

お燐がスペルカードを使う。すると白い妖精の様なものが信二を囲い襲いかかる。

 

「なんだコイツら?!」

 

信二も剣をだし白い妖精達を切り伏せていく。

 

「無駄だよ」

 

お燐のその言葉通りいくら切り、魔法で焼いたとしても何事も無かったかのように元の形に戻り再び攻撃してくる。

 

「ちっ!鬱陶しいのはどっちだ!」

 

今更苦戦するような敵ではないがいちいち対処するのも体力を使う。しかし、このスペルカードの効果時間が切れるまでは耐えなくてはならない。

 

「喰らえ!爆符「ギガフレア」!」

 

信二が白い妖精とお燐の弾幕を躱している間にお空が大技を放ってくる。魔理沙のマスタースパークに似た極太のレーザーの様な弾幕。しかし、怒りのせいなのかマスタースパークよりも威力が高くなっている。

 

(これは……流石に話し合いで解決出来そうにないな)

 

嫉妬の対象である自分が語りかけるなど火に油を注ぐことに等しい。

 

「そっちがその気ならこっちも本気で行くぞ!『王の御前(キングバーン)』!」

 

自身の周囲に爆炎を広げる。白い妖精はもちろんお空のギガフレアも押し留めている。

 

「『焔一文字(ほむらいちもんじ)』!」

 

そのままギガフレアを剣技で切り崩し、相殺させる。お燐のスペルカードも時間が切れ、振り出しに戻った。

 

「先に言っとくぜ……」

 

しかし先程と違う点は__

 

「怪我しても知らねぇからな」

 

信二がやる気になった所である。相手の戦う理由が分かったのなら全力で応える。こうなると簡単に決着がつかない事が予想される。

 

「……おいおい、騒がしいと思ったらこれまたどういうことだ!」

 

そこに急いできたのか息を切らして魔理沙が姿を見せる。あれだけの戦闘が行われていたのだから騒音も相当なものになっていただろう。そのため魔理沙も駆けつけることが出来た。

 

「魔理沙!説明は後でするからとりあえずさとりを安全なところに!」

 

信二はまず意識のないさとりをここから退避させるように魔理沙に頼む。

 

「っ?!さとりには触れさせな__」

 

「お前の相手は俺だろう!」

 

お燐が邪魔をしようとした所を信二に止められる。

 

「よく分からんが引き受けた!」

 

厄介事には慣れっこの魔理沙。下手に質問をせず、信二に言われた事に速攻で取り組む。さとりを抱えて地霊殿に__

 

「……邪魔だよ」

 

「うわっ?!なんだ!」

 

行こうとした時魔理沙が吹き飛ぶ。またも姿が見えぬ者に妨害される。

 

「……まさかこいしか?」

 

「こいし?心当たりがあるのか魔理沙!」

 

信二の質問に頷く魔理沙。

 

「さとりの妹で無意識__」

 

「__隙だらけだね」

 

「っ?!!」

 

魔理沙が説明を終わる前に信二の後ろから現れ、そのまま弾幕で信二を突き飛ばしたこいし__古明地こいし。さとりの妹でサードアイを閉じた無意識を操る程度の能力を持つ。

 

「許さないよ。君だけは……」

 

「「はぁぁぁーー!!」」

 

叩き落とした信二に向かってお燐とお空も弾幕を放つ。ここで仕留める気なのかその威力、量は凄まじいものになっている。

 

こいしもまた信二に大して嫉妬をしている。それはお燐、お空の比ではない。何故ならこいしもまたさとりから心を読まれない。つまり信二と同じなのだ。それなのに自分と話している時よりも信二と話している時の方が楽しそうにしているさとりを見てしまった。自分よりも信二の方が___そう思ってしまったのだ。

 

「信二ぃーー!!」

 

普通あれだけの弾幕を浴びればタダでは済まない。流石の信二もここまで___

 

「心配すんな」

 

__とはいかない。土埃の中から聞こえる声は心強い意志がこもっていた。

 

「………ふーん。生きてたんだ」

 

「当たり前さ、心に決めたからな。……俺はもう__」

 

土埃が晴れる。その時信二の周りには()()()()が漂っていた。

 

「負けないってな!」

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