不道千景は勇者である   作:幻在

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いやぁ、申し訳ありません。実は昨日までパソコンが御釈迦なことになってしまっていてしばらく更新できませんでした。

そんなわけで花結いで番外編書きましたので、どうぞ読んでいってください。

時系列では、まだわすゆ組が来て数日後になりますね。


花結いの章《ユナイト》
六道翼と鷲尾須美の仲は最悪である


ここは、異世界の神々が作り出した、もう一つの四国。

異世界の断罪の神『マギアクルス』を退け、神樹が消滅した後のこと。

どういうわけかマギアクルスと志を同じにする神がこの世界を攻めてきたので、他の世界の神が対抗手段として神樹の勇者や創代の救導者たちを使って、異世界の神に対抗する手段を取り、さらには過去の勇者や救導者も呼び込んできたこの世界。

これは、その戦いの記録ではなく、その日常の一幕の話である――――――

 

 

 

 

 

六道翼と東郷美森は恋人同士である。

隙あらば人目があろうがなかろうがイチャつき、昼になれば弁当であーんという恋人の恒例行事、互いのしたいことがしてほしいことが分かるのか互い限定で神対応を見せ、隙あらばキスまでしだし、下手をすれば互いに妄想の世界へトリップしたり、最悪、学校内や路地裏でエトセトラエトセトラ・・・

簡潔に述べてとにかく周囲が砂糖を吐きそうなほどにイチャイチャするのだ。

このイチャイチャカップルに対抗できるカップルといえば、辰巳とひなた以外にいない。

そう、そんな、あまりにも甘い雰囲気を出す二人なのだが、そんな彼らの二年前の実態は―――――

 

 

「まさか、こんなだとは俺たちは思いもよらなかったんだよな」

そうぼやく千景の目の前で繰り広げられているのは――――

「テメェ!今僕の足踏んづけただろ!?」

「あら、そこに足を置いてるあなたが悪いんでしょう?」

「だったら避けてあげるのが親切心ってものだよな!?」

「貴方に与える親切心はありません」

「ぐ・・・はっ!そんなんだから園子ちゃんにおばあちゃんっぽいって言われるんだよ!」

「なんですって!?そういう貴方は六道家の神童と言われてる癖によくドジ踏むじゃない!」

「ああ!なんだと糞アマぁ!」

「何よこの非国民!!」

小学六年生の六道翼と二年前の美森である鷲尾須美が、壮絶な大喧嘩を繰り広げていた。

「またやってるのかこいつらは」

「変わらねえな。知ってたが」

千景の隣ではげんなりした表情の剛ともはや慣れたと言いたいような澄ました表情の辰巳がいた。

「ああ、喧嘩しないで二人とも~」

「なんでいつもいつもこんな大喧嘩繰り広げられんのこいつら!?」

その二人の仲介に入ろうとしているのは千景の恋人である結城友奈とその友人の三好夏凜である。

だが、一方に二人の言い争いは収まりそうにない。

「大丈夫か二人とも?顔色悪いぞ?」

「ああ、うん、大丈夫。少し昔を思い出して、かなーり知られたくない黒歴史をガン掘りされてるような気分なんだよねうん」

「今すぐにでも首を掻っ切って死にたい・・・・」

「ああ、だめだよわっしー!」

その様子を見ているのか大橋組の中学生バージョンズの三ノ輪銀(中)、六道翼(中)、東郷美森、乃木園子(中)である。

「だぁー!ボインの癖して威張り散らすなゴラァ!」

「臭い汗まき散らさないで汚らしい!」

「国防国防って洗脳してぇのか!馬鹿みてぇ!」

「親の前で猫被ってんじゃないわよこの詐欺師!」

二人の喧嘩はあまりにもヒートアップしすぎてる。

「辰巳さん、これそろそろ止めたほうがいいのでは?」

「それもそうだな」

千景に言われ、いい加減、業を煮やした辰巳が二人に近づく。

そして・・・

「いい加減にしろ」

「ぎゃん!?」

「ふぎゅ!?」

短い悲鳴をあげて、頭に拳骨を食らった二人はそのまま仲良く床に倒れ伏す。

「「きゅう・・・」」

「銀(小)、園子(小)、こいつら部室の隅に捨てとけ」

「は、はいぃい!!」

「い、今すぐやります~!」

半ばおびえながら二人を担いですたこらさっさと部室の隅に投げ出す銀(小)、園子(小)。

「ああ、やっと終わった」

「それにしても驚いたわね。まさか二人が二年前はあんなに仲が悪かったなんて」

「まあ、僕自身も驚いてますよ。今思い返すとあんなに仲が悪かったのに今じゃ恋人同士なんて・・・」

「私も、こんなことになるなんて思わなかったわ」

美森が翼の隣に立つ。そこでふと二人の視線が交わる。

「翼君・・・」

「須美ちゃん・・・」

「はいそこまでェ!」

「いた!?」

「はう!?」

が、すかさず千景が二人の額にどこからか取り出したハリセンで引っ叩く。

「た、助かったよ千景君・・・」

「危うく恥じをさらすところだったわ」

「いや、恥なんてお前ら日常茶飯事で晒しまくってるじゃねえか・・・・」

相変わらずの二人に呆れる千景。

「本当に驚いたよね。あの二人が来たときはね」

ふと友奈がそうつぶやく。そう、あれはほんの数日前のこと・・・

 

 

 

 

 

「あれ?二人だけ?」

「ええ?そんなはずはない筈ですよ?信託では四人って・・・・」

その時の千景の呟きに答えたのは辰巳の恋人である上里ひなた。

巫女として高い能力を有しているが故か、異世界の神の信託も受け取れる優れた巫女でもある彼女の信託では、勇者は四人来ることが分かっていた。

「あれ?ここどこだ?」

「あれれ~?ミノさんそっくりなお姉さんがいるよ~?もしかして~、ミノさんのお姉さんだったり~?」

「ええ?アタシに上の兄弟がいるって言ったら兄貴しかいないけど・・・って、園子そっくりな人もいるじゃねえか。それどころか須美や翼そっくりな人もいるぞ」

「わあ、ほんとだぁ」

「な、なんか園子や銀にそっくりな奴が来たわね」

部室に突如現れた少女二人の存在に、顔を引きつらせるのは三好夏凜。

「そっくり、というか・・・・」

「私たちだね~」

そういって苦笑する銀と相変わらずほわわんとしている園子。

「わぁー、そのちゃんと銀ちゃんなんだー、あの二人」

「二年前も勇者やってたって聞いてたが、まさか本当に来るとは・・・」

目を輝かせる友奈と、知ってたが驚いたような表情をしている剛。

「あれ、それじゃあ他の二人は・・・・」

「・・・ん?どうしたの二人とも?」

樹の疑問よりも、風は翼と美森の異変に気付いていた。

心なしか、二人の表情は思いっきり青ざめていた。なんだか、知られたくない過去を知られてしまったかのようなそんな表情を。

「あ、あはは・・・いや、そんな、でも、来るよねこれ、絶対きちゃうよねこれ」

「あ、あら?あの時、私たち一体どんな関係だったっけ?なんだか思い出したくないようなことになってたような気がするのだけれど・・・」

二人とも目からハイライトが消えている。そこまで恐ろしいことなのか。

そうなると逆に気になる。

そして、その直後、銀(小)と園子(小)が現れた時と同じ光が輝き、次の瞬間―――――

「「―――――くたばれぇぇぇえええ!!」」

相手への暴言と共に、取っ組み合って喧嘩している翼(小)と美森(小)改め須美が何かにダイブするかのように表れた。

「え、ちょまなんでだぁぁぁああ!?」

『えええええ!?』

「あああ!千景く――――ん!!」

千景が巻き込まれて吹き飛ばされ、他の者たちを置いてけぼりにしたまま現れた翼(小)と須美の大喧嘩に思いっきり巻き込まれいった。

 

 

 

 

「あの時はひどい目にあった・・・」

「二人を引き離すのに、結構苦労したよね」

「あの後、未来の自分たちの実態を見て泡を吹いて気絶してましたよね」

「あれ結構ショックだったんだけど・・・」

「未来は受け入れてほしいわね・・・ああ、空はあんなに青いのに・・・」

悲しい笑顔で青空を見上げる翼と美森。本当に悲しそうだ。

「まるであの頃の私たちみたいですよね」

「喧嘩したのはあの日で最後だがな」

懐かしそうにするひなたと辰巳。

心なしか、ひなたがデレデレしている。

それはともかく。

「そろそろ帰るぞお前ら」

春信がやってきて一同にそう言った。

 

 

 

 

小学生組は大赦が用意した寄宿舎へ帰り、ひなたは辰巳が住んでいる家へ帰り、本日、夕飯を食べる約束をしていた友奈は千景の家へ。そのため、帰路には美森と翼の二人だけ。

二人は今、川の塀の上を歩いていた。

「こうして二人で帰っているのも、あのころじゃ考えられなかったわね」

「そうだね・・・あのころは出会う度にメンチ切りあってたよね・・・」

思い出したくもない黒歴史を二人して思い出す。

あのころの二人は本当に酷く、出会い頭の事件が発端でそれ以来、二人は最悪殴り合いの大喧嘩に発展する程酷かった。

今じゃこんなに大人しいが、昔はかなりのやんちゃっこだったのだ。

夕日が照らす中で、ふと二人は、川べりで遊び四人の子供たちを見つけた。

三人が女子で、残りの一人が男子。そんな組み合わせ。

四人で、楽しそうに追いかけっこをしている様子を、二人は、ただ微笑ましそうに眺めていた。

「・・・僕が銀ちゃんと仲良くしてると、すかさず妨害してきたよね」

「あー、今思うと銀に嫉妬してたからね・・・」

「知ってた。あの頃、僕は銀ちゃんのことが好きだったんだよ?」

「知ってるわ。本当に、分の悪い戦いだったわ」

自覚できていない恋心に振り回されて、仲が最悪なのに進展するわけもなくて、挙句の果てには、「嫌い」とはっきり言ってしまって。そして、その後、あの戦いで銀がいなくなって、翼が昇華を使って十日間も眠ってしまったこともあった。

やっとの事で本心に気付いても、もう取返しがつかないと思い込んで泣きじゃくった夜もあった。

その所為で暴走して、危うく死にかけたこともあった。

だけど、あの祭りの日に、思いがけない告白を翼から受けて、互いに泣いて、キスをして。

あの大橋での大決戦で記憶を失っても、彼はひたすら自分のために動いてくれていた。

そして、異世界の神との最終決戦で、千景が『神王』となって、天変地異が起こるほどの戦いを得て、今がある。

今があるのは、全て、あんな出来事があったから。

「ありがとう、私を選んでくれて」

花の咲くような笑顔で、美森は翼に言った。

「・・・・ごめん、それは反則」

それを見た翼が頬を赤くして思わず目を片手で覆う。

それにくすりと笑った美森。

「今日ね、親、帰りが遅いの」

「・・・・そうなんだ」

美森の言葉に、翼は思わず笑ってしまう。

 

―――今夜も、激しくなりそうだ。

 

二人で手をつなぎ、歩き出す。

今ある幸せを、噛みしめて――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・んで、やりすぎて二人とも休みってどういう了見(コト)だァ!?」

翌日、羽目を外しすぎた二人が仲良く風邪にかかって学校を休んだのは、ある意味すごいと言わざるを得なかった。

「「ぶくぶくぶく・・・・」」

「あああ!?リトルつばくんとリトルわっしーが拒絶反応を起こしてるー!!」

「急いで気絶させてぇ!」

「何やってんのあの二人は・・・・」

「今夜俺たちもやるか?」

「ちょ!?あ、と・・・・その、デキたら責任とってよね・・・・?」

「はいはいそこでいちゃつかないで二人ともー」

「やれやれだぜ」

「今夜こそは辰巳さんから主導権を奪って見せる・・・!!」

「そんなことはさせねえから安心しろ」

ある意味カオスと成り果てた部室。そんな部室の隅で、小学生の銀は面白くなさそうにしていた。

「・・・」

「どうした?」

そんな彼女に、千景と中学生の銀がやってくる。

「あ、銀さんに千景さん・・・」

「やっぱ須美に翼とられたことがそんなにショックか?」

「ええ、まあ・・・・そうですね」

むくれた様子で目をそらす銀。その視線は絶賛拒絶反応を引き起こしてる翼、ではなく須美に向けられていた。

「・・・今お前は、須美は翼といつも喧嘩してたのにどうしてあんなに関係になれたんだふざけんなと思っている!」

「はうあ!?」

千景に思いっきり指摘されて肩が跳ね上がる銀。

「な、なぜ!?」

「神舐めるな。その気になれば人間の心理見抜くことも容易いわ。まあ、今の状態じゃかなり体力(カロリー)使うんだが・・・」

「ええ・・・・」

その言葉通り、千景はげっそりしていた。

ふと、銀(中)が銀(小)の頭に手を置いた。

「まあ、そう思うのは仕方ないだろうさ。でもま、こっちの二人見てると、思うんだよね。敵わないなってさ」

「・・・・」

その言葉に、何も言えない。

「ま、だからって諦めるわけじゃないんだけどさ。だからさ、お前も諦めんなよ」

「銀さん・・・」

「ま、今から襲ってもいいんだけどな」

「ぶおっふぉ!?」

吹く銀(小)。

「ななな何言ってんすかアンタは!?」

「ハッハッハ、冗談だよ」

それだけ言って、さっさと言ってしまう銀(中)。そのまま茫然としていると、どうにか復活した千景が話しかける。

「まあなんだ。勝ち目なくても、諦めるなってことだ」

「はあ・・・・」

「なんなら正妻はだめでも側室狙えばいいさ」

「・・・・そっすね」

千景の言葉に、いつもの笑顔を取り戻した彼女が笑う。

そして、そのまま騒いでいる勇者部のところへ向かう。

「おーいアタシも混ぜろー!」

「な!?待て今お前混ざったらさらに大変なことにぐあー!」

「ああ!ごーうー!」

「やれやれ」

 

 

今日も勇者部は平常運転。

 

 

大半を支配された四国を取り戻すために、今日も勇者たちは奮闘する。




花結い世界での勇者の立場(主に主要)

六道翼(中+小)と東郷美森(鷲尾須美)

現在はラブラブ、二年前は険悪の二人。
初対面の時の事件がきっかけでかなり仲が悪かったが、ともに勇者として活動しているうちにいつの間にかこうなった。ナンデコウナッタ。
ふちゆ組とりつゆ組(六道翼は勇者であるという事での略)との違いは、四六時中ラブラブしているか喧嘩しているか。席が隣あっていたなら周囲が大量の砂糖吐きそうな程甘い雰囲気出すか、あるいは胃に大きな穴が開きそうな程の険悪な空気を作り出すかになる。
中学生なのに大人すぎる二人に、小学生の二人は甘い空気に耐えられないのではなく拒絶反応を起こして失神する。
実は中学生の方は学校の陰でヤっている。

その時の匂いがこびり付いているために周囲にはある意味バレている。


不道千景
自称ではなくマジものの神になった少年。ただし力は神々に返しているために力はあまりない。
ただ、体自体は神の力を耐えられるように作られているためにリミッターを解除すれば勇者にならなくてもそれ以上の身体能力を発揮する。
ただし、神としての能力の一部を使えるが、そのためには体力(カロリー)を消費するために使えば毎度の如くげっそりになる。
友奈とは晴れて恋人同士。

たまに部員の心を読んでそれでからからう。しかし命がけ。

友奈とはまだ清い関係。


結城友奈。
神様の妻(自称&確定)。千景とは先に進みたいと思っているが、なかなか進めない。
一応キスはする。
この世界で当たり前だが、千景に勝てない。

基本この世界で恋人関係である女子は相手の男子に勝てない。


三ノ輪剛&犬吠埼風&犬吠埼樹&三好夏凜&三好春信&乃木園子。
今回の話ではモブ勢。
一応剛と風は二、三度シたことがある。樹もそれを知ってる。というか聞いた。
夏凜は相変わらず春信に勝てない。園子は春信への恋心を隠しきれていない。奥手、なので春信が他の女生徒と話し込んでも嫉妬はすれどそれを本人にぶつけられない。
春信は完璧超人(パーフェクトヒューマン)だが鈍感キャラ。


足柄辰巳&上里ひなた

辰巳は大決戦の日に若返った。ひなたについては本編のネタバレになるので秘匿。
ただし、辰巳の三百年の歳月を知っている。
つばみもに負けないぐらいラブラブする。ただし行為の際は三百年童貞であり続けた辰巳の性欲が爆発するため、ひなたはいるもにゃんにゃん鳴かされている。主導権を奪おうとするが底なしの性欲に必ず敗北するどころか成す術すらないためにいつもわんわん鳴かれている。
一方の辰巳にはその際の記憶はあるが理性は吹っ飛んでいるため自分では止めることはできない。


三ノ輪銀(中・小)
未来の翼と須美の関係に不満たらたらな小学生と寛大なお姉さん風吹かせる中学生の二人組。決戦の後、がしゃ髑髏の力はなくなっているために骨の生成はできない。妖怪化の影響による不死性もなくなっているため、寿命も他の人間と同じ。
一方小学生の方は、実は翼に恋心を寄せているために隙あらばと思っている。
すなわち、襲おうかと考えている。そのたびにどういうわけか須美の妨害が入る。
水面下である意味いがみ合っているらしい。



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