不道千景は勇者である   作:幻在

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なんか散々待たせた挙句にしては少し短いかもしれません。


願いの為に

何も見えない。

何も聞こえない。

何も感じない。

あるのはただ、過剰に敏感になった痛覚だけで、

あるのは自分の意識だけで。

上も下も分からない。立っているのかどうかさえも分からない。

右を向いているのか、左を向いているのか。それすらも分からない。

だけど、この拳だけは――――

 

 

 

 

―――しっかりと届いているから。

 

 

 

 

「アァァァアァア!!!」

「ぐぼぁ!?」

佐奈の拳がラヴァンドの顔面に炸裂する。

よろけた所を、さらに膝蹴りが腹に炸裂し、そして肘打ちが叩き落される。

地面に叩きつけられたラヴァンドは続く踏み足を転がって躱し、鎖を召喚、その端の楔を佐奈に叩きつける。

「がっ――――ァァァアァアア!!!」

それでも佐奈は止まらない。

「くそっ・・・なんなんだよお前はァ!?」

全ての感覚を遮断して、さらに痛覚を通常の数十倍にはね上げている。それでも佐奈は倒れない。

もう何度も攻撃を受けているはずなのに、佐奈は決して止まらない。

地面が変形し、形成された複数の棘が佐奈を貫く。

「罪人の癖に・・・!!」

さらに風の砲弾が顔面を打ち据える。

「なぜそこまでして戦える!?」

炎の鍵爪が引き裂く。

「お前たちに未来はない!今戦ったところでお前たちが敗北する事には変わりない」

水の鞭が打ち据える。

「なのになぜ諦めないッ!?」

蔓が足に巻き付き、振り回されて、そして壁に叩きつけられてそのまま壁に引きずられる。

「あぁぁぁああぁぁぁああ!?」

佐奈の悲鳴が響く。だが、佐奈を繋いでいた鎖が、突如として断ち切られる。

「!?」

「おぉぉおお!!」

そこへ、ラヴァンドに向かって大剣を振り下ろす弘。その一撃をどうにか躱したラヴァンドに、立て続けに雅がその手に極小のブラックホールを形成させてラヴァンドに叩きつける。

「ぐっ・・・このっ・・・!!」

だが、その一撃はラヴァンドの作った障壁に阻まれる。

「今よ!」

しかし、すぐさま雅がもう片方の手をかざしたかと思うとラヴァンドの体にとてつもない重圧がかけられる。

空間重力強化(エリア・グラヴィティ)・・・・!」

「ぐ・・・この・・・!?」

さらに、突如として空が輝く。

それは真斗が引き起こした超常現象。

 

全てを原初の塵へと変える、雷槌の一撃。

 

「―――『原初へ回帰する雷神の鉄槌(ソア・ミョルニール)』ッ!!!」

 

振り下ろされる渾身の一撃。その一撃は雅を巻き込んでラヴァンドに直撃する。

「ぐぅ・・・あぁぁああ・・・・!?」

「つぅっ・・ぅぅうう!!!」

雅は、どうにか重力の壁で自らを守っていたが、防御する暇のなかったラヴァンドはその攻撃をもろに受ける。

「ぐ・・・く・・・がぁぁぁああ!!」

絶叫―――そのすぐ後、『原初へ回帰する雷神の鉄槌(ソア・ミョルニール)』が弾き飛ばされる。

「ハア・・・ハア・・・くそぉ・・・!!」

その雷撃と同じだけの威力の衝撃で絶縁効果のある障壁を飛ばして相殺したのだ。だが、かなりのダメージを受けた事には変わりない。

「まだ終わってないわよ・・・!!」

「!?」

そしてさらに、雅の重力砲が炸裂する。

その一撃をどうにか躱したラヴァンドは地面を転がる。

「がっ・・・くそ、なんでだぁ!?」

「分からないのか・・・?」

「ッ!?」

訳が分からず、叫ぶラヴァンドの背後。振り向けば、無数の拳打がラヴァンドに炸裂する。

「ごおっぁ・・・!?」

「さっきお前は言ったな・・・私達に未来はない、と・・・・それは違う」

倒れ込むラヴァンドの顎に、止めの一撃が炸裂する。

「ごぼぁ!?」

「私達は、未来を切り開く為にここにいるんだッ!!それを何故と言われる筋合いはないッ!!」

回し蹴りが炸裂し、吹き飛ばす。

叩き落された場所に、粉塵が舞う。

「だから、私達は立ち上がれるんだ」

ラヴァンドに向かって、優はそう告げた。

「・・・・くそが」

粉塵舞う中で、ラヴァンドが立ち上がる。

「くそがくそがくそがくそがくそがァ!!」

粉塵が吹き飛ばされ、血走った目を優に向けるラヴァンド。

「何か未来を切り開くだ!!お前たちに切り開ける未来などないッ!全てが断罪の元に裁かれ、永遠に地獄を彷徨い続けるだけだ!それがお前たちの辿り着く未来だ!!それがお前たちの運命だ!!それがお前たちの罪だぁぁあ!!!」

ラヴァンドの周囲に、何か、得体の知れない力が収束される。

それはまさしく、どす黒い感情。恨み、憎しみ、怒りと言った、負の激情と言った感情。

「それがお前の正体か・・・醜いな」

優が、力を暴走させるラヴァンドを蔑むように見る。

「そんな醜態をさらすぐらいな・・・ら・・・!?」

がくり、と足が崩れる。

『うおっと』

しかし、倒れる事はなく、どうにか持ちなおす。

『おい優、無茶すんな』

「虚くんは黙ってて、急いで奴を止めないと・・・・・」

「その必要はない」

ふと、後ろから声がした。

振り返ってみれば、そこには、弓を片手に歩いてくる佐奈の姿があった。

「あとは、私がやる」

何かの力の奔流がラヴァンドに収束していく。

それに対して、佐奈は弓を引き絞るだけ。矢も何も番えていない。

「今ここで、しねぇぇぇぇええ!!!」

 

「――――束ねるは我が信仰せしめし、神々の光」

 

その時、黄金の光が、辺り一面に、金粉のように現れる。

その間に、ラヴァンドは自らの頭上に凄まじい程にまで圧縮された負の激情の嵐の塊を形成していく。

 

「今一度、我が言葉に耳を傾け―――」

 

光が、佐奈の手に収束していき、やがて一本の矢を形成する。

溜めに溜め込まれた負の感情が、ラヴァンドの手によって振り落とされそうになる。

 

「我が願いを聞き届けよ―――」

 

それに優が思わず『呪詛返し(フルカウンター)』の態勢に入るも、その肩を弘が掴む。

尚も舞い続ける黄金の煌きは、佐奈の一本の矢に収束していき、その輝きは、太陽よりも眩しい光と成る。

 

「我が願いはただ一つ――――」

 

振り落とされる、負の激情―――

 

「―――『定められた絶対なる運命(ジ・エンド・オブ・フェイト)』ォォオッ!!!」

 

強大な力。大きすぎる力。であるならば―――

 

「――――幼き命の希望と成る事――――」

 

放たれるは一条の光―――その名も―――

 

 

「―――『神々への祈祷・我こそが希望(ポイボス・ヘルブレイク)』」

 

 

我は、地獄を殺す―――

 

 

一寸の光陰軽んずべからず――――その一撃が、ラヴァンドの砲撃を貫き、そしてラヴァンドすら撃ち抜く。

力の大本を失った巨大な負の激情は佐奈たちに直撃する前に霧散し、消えていき、消滅する。

「―――私達は、先へ進む。まだ見ぬ未来のために」

その言葉と共に、ラヴァンドは背中から地面に倒れる。

「・・・・あ・・・・れ・・・・?おかしいな・・・・僕が・・・負ける・・・・はず・・・・」

震える手を、空に向かって伸ばす。

「ありえない・・・僕は・・・僕は・・・・さー・・・ど・・・・シンの・・・ラヴァ・・・」

だが、その手はふと糸が切れた操り人形のように、ぱたりと地面に落ちた。

そして、血だまりが、ラヴァンドを中心に広がった。

ぴくりとも動かない彼の姿は、あまりにも残酷で―――

 

 

―――彼の敗北を示していた。

 

 

「勝った・・・のか・・・・?」

弘が、そう呟く。

「・・・そうみたいね」

ラヴァンドが起き上がらない所を見て、雅がそう呟く。

「勝て・・・た・・・」

そう思うと、どすん、と腰を着いて安堵する冬樹。

「勝てたんですね・・・」

同じように、優も腰をついて安堵の息を吐いた。

勝てた。勝った。

それは紛れもない事実だった。

全力で戦って、そして、勝った。あの、敵幹部の三人に。

だが、その為には体力を大幅に消費した。流石に動くのは難しい。

そして、それを代表するかのように、佐奈が仰向けに倒れた。

「佐奈さん!?」

「佐奈・・・!」

その佐奈に思わず駆け寄る弘と真斗。が、

「くぅ・・・くぅ・・・」

寝た。それは見事なまでに素晴らしい寝顔で寝た。

『・・・・』

「なんというか・・・」

「意外とマイペースな人ですよね」

「いやあれほどのダメージを喰らってたらそれこそ泥のように眠たくなりますよね!?」

しかし、動けないのは事実。

「しばらくここで休みましょうか」

雅の提案に、反対するものはいなかった。

 

 

 

ラヴァンド、死亡――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣が飛ぶ。

「ダラァッ!」

「くっ!」

高速で飛んでくる剣の全てを弾き飛ばし、辰巳は弾丸の如きスピードでヒュアツィンテに迫る。

さらに上空から飛んでくる砲撃を躱し、さらに玉座へと迫る。

「なぜ・・・当たらない・・・・!?」

振るわれた剣は達人の如き速さと鋭さ、そして威力をもって辰巳を襲っている。だが、辰巳はその全てを避け切っていた。

「やはりな・・・」

躱す中で、辰巳はほくそ笑む。

「お前は取り乱すとすぐに動きが単調になる。真っ直ぐになる。だからこそ、俺には簡単に読めるしいなせる」

「戯言を!」

ヒュアツィンテが一本の剣をその手に持つ。

「『鋼鉄の処女(アイアン・メイデン)』・・・!!」

次の瞬間、走っていた辰巳の目の前にアイアンメイデンが出現する。

「ッ!?」

剣に追い立てられていた上に全速力で走っていた為に止まれず、すぐさまアイアンメイデンに閉じ込められる。

その足元からは血が流れ出るも、すぐさまアイアンメイデンは爆発四散、中から辰巳が飛び上がって剣を振りかぶる。

「―――『竜月』!!」

三日月型の斬撃が飛ぶ。

その一撃をヒュアツィンテは二本の剣をもって防ぐ。が、防ぎきれず斬撃はその威力のままに飛び、ヒュアツィンテに炸裂する。

「馬鹿な・・・!?」

間一髪、飛ぶことで躱したヒュアツィンテ。

「これで終わりだと思うなよ」

「ッ!?」

だが背後から声が聞こえ、振り向けば、辰巳の大剣が眼前に迫っていて、慌てて身をひるがえし、辰巳よりも高度を取る事でどうにかその攻撃を躱す。

「チッ!」

「落ちなさい」

ヒュアツィンテのバルムンクが輝く。

チャージ率三十パーセントの砲撃が、辰巳を床に叩き落す。

「ぐぅっ!?」

さらに、自分が操れる八本の剣全てを自分の元に集め、漆黒の剣『時穿(ときうがち)の剣』とバルムンク以外の全ての剣をシャッフルする。

そして、七本の剣を全て床にいる辰巳に向かって一斉放火する。

「ッ!?」

襲い掛かるのはどれも高威力の砲撃ばかり。『紅蓮の魔女(ジャンヌ・ダルク)』や『嘘殺しの龍女(キヨヒメ)』はもちろん、どれもが凄まじい威力を誇る歴史に名を刻んだ乙女の名を持つ剣の砲撃だ。

そのどれもが、辰巳に殺到する。

「がぁぁぁぁあああぁぁあ!?」

絶叫が轟く。粉塵が巻き起こる。

その様子を見ていたヒュアツィンテだったが、その粉塵を突き破るように、辰巳が飛び出してくる。

「なっ!?」

「おぉおぉぉぁぁぁああ!!」

振りかぶられる大剣。思わず剣を重ねて防御の姿勢を取ったが、辰巳が剣から黄昏色の光を放出。それが推進力となり、ヒュアツィンテの横に出て、その大剣を叩きつけ、吹き飛ばす。

「ぐぅあ!?」

吹き飛ばされたヒュアツィンテはどうにか空中で踏みとどまったが、さらなる追撃が彼女を襲う。

飛ばされた斬撃は一寸の狂いもなくヒュアツィンテに直撃し、地面に落ちる。

「カッ・・・ッハァ・・・!!」

激しい追撃に、ヒュアツィンテはついぞ防御できずに肺から空気を限界まで吐き出してしまう。

(こ、ここまでなんて・・・!?)

遠くの位置で、辰巳が着地する。

そのまま、彼はゆっくりとこちらに向かって歩み寄ってくる。

このままでは、確実にやられる。

(ふざけるな・・・!)

その様子に、ヒュアツィンテは怒りを滾らせる。

(人間の分際で神に反逆し、その運命を受け入れない、汚らわしい存在の分際で、私を見下すなど・・・!)

ほぼ執念で立ち上がったヒュアツィンテは左手に自らの能力の根幹である漆黒の剣、右手には敵と同じ大剣をその手に持つ。

「人間、風情が・・・!」

そう呟いたヒュアツィンテを、辰巳は悲しそうに見つめた。

「本当に・・・何も思い出さないのか・・・」

「意味が・・・分かりませんね・・・私はヒュアツィンテ、『第三の罪(サード・シン)』にして断罪の神『マギアクルス』様の忠実な下部・・・他の誰でもない、私の名前は・・・ヒュアツィンテです!!」

未来を見る――――次にくる、辰巳の攻撃を予測する為に。

 

しかし、その目が写した未来は、彼女の予想とは全く違うものであった。

 

それを見たヒュアツィンテは、突如として部屋の天井を見上げた。

その行為に、辰巳は警戒して腰を落としたが――――

 

「だらっしゃぁぁぁあぁあああぁああ!!!」

 

景気の良い叫びと共に、天井の一部が砕け散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熱線が迸る。それを園子が防ぎ、その隙に、春信がジガに迫る。

突き出される槍、されどそれを春信は弾き飛ばし、返す刃でジガを打ち据えようとする。

だが失敗し、躱され、後ろに飛ばれる。

そこへ園子が飛び込み、激しく槍を撃ち合う。

「以前よりも凄まじく鋭い槍捌き、見事だ!!」

「それは、どうもッ!!」

園子の槍の一撃がジガを弾き飛ばす。

その進行方向に春信が待ち構え、刃を振り下ろす。

その一撃を受け止め、今度は春信と撃ち合う。

「やはりお前から以前と同じ高揚が感じられる。だが不思議だ。お前はあの娘と共に戦っていると、この高鳴りはさらに増していく!」

「当たり前だ。俺の隣は、奴だと決めているからな!」

「納得だ!」

薙ぎ払われる槍、その槍から熱波が飛び、周囲の大気を一気に焼く。

「やぁぁあ!!」

だが、その熱波を突っ切って園子が飛び掛かる。その園子に向かってジガが槍を薙ぎ払う。だが、その槍は園子の眼前を空ぶる。

(外した!?目測を誤ったか・・・いや・・・・)

園子の足元には板のようなものがあった。否、それは板のような刃。

園子はすでに自らの満開である『千剣・八咫烏』を発動させている。

だから、無数の刃を一度に操る事が出来る。その操作制度は、先の修行によって各段に向上している。

もう、自動操作する必要もない。

 

千の刃が、ジガを襲う。

 

それはさながら、羽の嵐のように。

 

周囲にばらまかれた刃が一気にジガを襲う。だが、それが直撃する寸前に、ジガが熱を解放。

太陽と見まごう程の熱量が放たれ、刃が全て溶かされ蒸発する。

「なっ!?」

園子は驚きに声を漏らす。

 

熱が、()()()()()()()()()

 

あの刃を全て溶かす程の熱量を解放しているはずなのに、熱が一切伝わってこないのだ。

今もなお、彼の周りの地面は半径五メートルの範囲で溶けているというのに―――

「熱を固定しているんだ」

「春信さん?」

「奴は熱の範囲を絞り、圧縮する事によりあれほどの熱量を捻り出している。であるならば―――」

春信が地面を蹴り、刀をその手に上段に振り上げる。

「ゼァアアァアア!!」

振り下ろした斬撃、それが、ジガの放つ熱波を一気に切り裂く。

「すごい・・・!」

「見事だ!」

「おぉぉおお!!!!」

さらなる追撃がひらめく。薙ぎ払われた刃は飛んだジガを打ち損ね、しかしそこへ園子が新たに召喚した刃の嵐が襲い掛かる。

「ぬぅぉぉぉおお!!」

振り回される槍が、園子の刃全てを叩き落す。

だが、そこへ追撃として柄が伸びた園子の槍がジガを打ち据える。

そのままジガは吹き飛ぶ。その槍の上に春信が乗り、凄まじい速度でその上を駆け抜ける。

瞬く間に追い付いた春信の振り下ろしの一撃がジガを地面に叩き落とす。

土煙が舞い起こる。

だが、その中で、槍を地面に突き刺したジガが、その手に熱を収束させる。しかし、すかさず園子が横から追撃してくる。

だが、ジガはそれを予期していたかのようにその手の熱を園子に向け解き放つ。

「うわぁああ!?」

それを喰らった園子は一気に吹き飛ばされる。

「ッ!?そのっ――――」

ついで春信の横から熱線が叩きつけられる。

そのまま春信は地面に落ちる。

だが、二人はすぐに立ちあがった。

「ふふ・・・ハハハ!!」

その様子に、ジガは高笑いをする。

「やはり、やはりお前たちは、俺が今まで戦った者の中で最も強い者たちだ!ここまで心が高鳴ったのは初めてだ!三好春信!乃木園子!」

突き刺していた槍を抜き放ち、槍を突き出すように構えるジガ。

「故に俺は、全身全霊をもってお前たちを討ち果たそう。仮令お前たちの体が消し炭になっても、俺はお前たちの事をこの心に刻んでおこう」

次の瞬間、ジガの持つ槍に今までとは比べ物にならない程の熱量が収束する。

赤かった熱は青、そして紫へと変化する。

そして、その熱量は、まさしく太陽そのものを圧縮したかのような輝きを誇っていた。見ているのも、辛い程、眩い光だ。

あれを喰らえば、確実に人は消し炭・・・いや、灰すら残らないだろう。

「それは困る」

だが、それでも二人は退く事はせず、

「こいつには、これから先も生きててもらわなければならない。それが俺の願いで、未来に託す希望だからな」

春信が、両手でその手の中の刀を握りしめる。

「私も、困るんよ」

園子も、穂先を下げ、柄頭を持ち上げるような構えを取る。

「この戦いを生き残って、春信さんが生きたって事を証明しなくちゃいけないんだ。だから、私は死ねない。これから先、生き続けて、誰かの希望を守り抜いていくために・・・!!」

目の前の化け物に、二人の勇者が立ち向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無数の花そよぐ草原にて―――――

 

 

 

 

黒い炎を滾らせて突き進む、一人の少女がいた。

 

その少女の前に立ちふさがるのは、二人の少年と一人の少女。

 

黒い炎が通った道に花は無く、その周りも、今もなお、花は枯れ果て、風に消えていく。

 

憎しみに血走らせる目を立ち塞がる三人に向ける少女は、その手の剣を持ち上げる。

 

対して三人は素手。だが、三人はそこをどかない。

 

 

 

 

 

次の瞬間、黒い炎が、その花畑に迸った――――




次回『それでも君を愛してる』

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