友奈SIDE
「は~やっと退院できたわー!シャバの空気が美味しいー!」
今日は勇者部みんなで初詣に来ていた。海くんに全て話したのはいいけど、私の体は一向に良くはならなかった。だけど皆に気づかれないように……
「年越して新年を迎えてしまったわ………」
「なによ、めでたいことでしょ」
「良い女が1つ年を取るのよ?3月で卒業だし…」
「もう1年居てくださってもいいですよ」
「いや、それはちょっと…」
「それにしても残念だよね~きょうくんとカイくんの二人来れなくって」
「そうよ。折角私が退院したっていうのに……」
「仕方ないじゃない。あの二人大赦に呼び出されてたんだから」
桔梗くんと海くんの二人は新年早々大赦の人に呼び出され、今この場にいなかった。もしかして私のことかな?
「わっしー、残念だね~きょうくんに晴れ着姿見せられなくって」
「あら、そのっち。大丈夫よ。ちゃんと見せたから……」
「東郷、あんたいつの間に……」
「正直、もう桔梗の部屋尋ねるのに勇気がいるわね……」
みんなの他愛のない話を聞いていたけど、私はこんな楽しい日々をあと何回出来るのかな………
桔梗SIDE
巫女の海と海と三人でゴールドタワー……いや大赦では千景殿と呼ばれる場所に来ていた。千景殿……これって……
「千景さんのことだよね」
「えぇ、300年前の勇者……郡千景。彼女の名前から取っています。彼女は歴史からいなかったことにされていましたが、ご先祖様が何かしらの名前を残したいという理由でこうして……」
「………郡千景としての名前か……」
海と共にあの世界で聞かされた神宮家と千景さんの関係を思い出した。彼女は勇者としていなかったことにされたけど、だけど最後まで幸せな………
「………行きましょうか。彼女が待っています」
僕らは巫女の後をついていき、千景殿に入っていった。タワーの途中にある一室に入るとそこには巫女装束に身を包んだ少女が待っていた。彼女のことは僕も見覚えがある。
「お久しぶりです。上里様、神宮様」
「国土亜耶……」
「僕はこっちでは初めましてになるのかな?」
国土亜耶。大赦にいる巫女の一人であり、この千景殿に集まっている防人達と一緒に行動をともにしている巫女。
「彼女は本来、奉火の儀の生贄になる運命でした。だけど東郷様が代わりに……」
「本日ここに勇者お二人を招いたのは、例の件についてですね」
「えぇ」
例の件、友奈の事を言っているのだろうな。天の神の呪いのこともあって詳しくは聞いてないだろうな……ん?でも……
「なぁ、海……」
「「何?」」
「……巫女の方。お前はその件はどこまで聞いてるんだ?というか呪いの影響とか……」
「そんな事考えている暇はないですよ。今苦しんでいる彼女のことを考えると……」
「私もお力になれればいいと思い……」
巫女二人は呪いは怖くないのか……いや怖いと分かっていてもどうにかしたいんだろうな。
「それに私の友達は誰一人も犠牲を出したくないと言ってました。だから勇者様達にも彼女と同じようにこの先誰も犠牲を出してほしくないです」
誰も犠牲を……本当にどうにか出来るのか。いやどうにかするためにこうしてここに来たんだ
「国土、ありがとう。とりあえず呪いのことについて調べてみるよ」
僕と海は用意された資料を読みながら、何とか友奈を救う方法を探すのであった。
一時間位調べ続けたけど、全く言っていいほど手がかりがない。
「300年間、友奈みたいに呪いを受けた人間はいないのか……」
「まだ全部終わってないですよ。最後までは……」
海はどうしてここまで出来るのであろう?別世界の友奈とはいえ好きだからか?
「海、お前はどうしてそこまで?」
「僕は決めたんだ。どんな世界でも友奈を救うって……だから……」
海は諦めていない。それだったら僕も諦めるわけにはいかないよな。
「天の世界の炎……奉火の儀……御姿……呪い……」
何か思いつかないか考えるが、答えが全く出てこない。あの炎の世界がある限り友奈を助けられない。世界を作り直せばいいけど、その前に友奈が死ぬ……
「炎を消せないものか…………」
そんな時、僕はある事を思い出した。僕が持っている天神刀……あれは……
「海……」
「何?」
「お前は誰かを助けるために誰かを犠牲にできるか?」
「………それが自分自身だとしてもですか?」
僕の問いかけの意味をすぐに理解した海。僕自身が犠牲になれば……
「そんな事したら東郷が悲しみますよ」
「……もしもの場合だ。本当に助ける方法がなかったら……」
僕は天神刀の力を使えば……あれの力の源は壁の外の炎だ。僕が炎がなくなり続けるまで
天神刀を使えば……
「悪いけどその時は全力で止めます。さっき亜耶さんが言っていたこと覚えてますか?」
誰も犠牲を出さずに……本当にそれが可能なのか?僕には信じられなかった。そんなのが可能だったら、銀は……
「僕も出来るなら誰の犠牲も出したくない」
僕らはそのまま資料の中から手がかりを探すのであった。
正月も終わり、新学期が始まった。あれから何日かかかって用意された資料を読み終えたけど、手がかりはなかった。
やっぱり友奈を助けるには僕が犠牲に……
「風先輩、自然体で大丈夫ですよ」
部室で考え事をしていると、美森が何故かカメラを回しているのに気がついた。そういえばここ最近カメラを持ち出してどうしたんだ?
「最近熱心にカメラ回してるわねぇ」
「もうすぐ先輩が卒業してしまうので、揃っての活動記録は貴重だと思います」
「私卒業した後もここに入り浸ると思うわよー?」
「そうなる予想はついてたけどね…」
「とか言って、嬉しそうね夏凛」
先輩の言葉を聞いて、顔を真赤にさせる夏凛、思っていた反応と違って戸惑う先輩、友奈にいつまで見せられるんだ。この光景を……いや、諦めるわけには……
「ふーみん先輩とにぼっしーで想像捗っちゃったから、帰って2人の本を描こ~」
園子はそう言いのこして帰っていった。何だかここ最近帰る時間が早いけど何かあったのか?
「あっ…そういえば、卒業旅行とかどこ行こうかしら」
「年末はどこへも行けませんでしたからね」
「そうなのよ~。大赦のお金でみんなで温泉旅行とか行く?」
「あ…温泉は前に行ったから違う所とかどうでしょう」
友奈は痣を見せたくないからか別の場所を希望していた。まさか痣が広がっているのか……