勇者の花と桔梗の花 勇者の章   作:水甲

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第13話 伝えられない思い

海SIDE

 

今日は皆と一緒に迷子の猫探しをしていた。正直こんなことをしている場合じゃないけど、昨夜友奈が……

 

「なるべく皆と一緒にいるようにしたいの……」

 

「だけどこのままだと……」

 

「それにね。海くんにはできなかったことをしてあげたいの」

 

友奈は辛そうにしながら笑顔でそう言った。出来る限りのことはしてあげないとな。

 

友奈は草むらの中を見ながら、猫を探し続けていた。

 

「迷子の迷子の子猫く~ん、どっこかな~?」

 

「見つからないわねぇ…ちょっと樹、猫語で呼び出してみて」

 

「え…!?にゃ…にゃ~、にゃ~!」

 

「もっと!!もっと獣になって…!!」

 

「いいよ~!いっつんいいよ~!」

 

東郷は写真撮りまくってるし、そのっちはそのっちだし……それで簡単に見つかるわけ……

 

「あ、いたー!」

 

見つかったよ。友奈は猫を怖がらせないように優しく声をかけるけど、何故か猫は友奈を避けて先輩の方へと行くのであった。

 

「まさかと思うけど……あれも……」

 

桔梗さんはそんな事を言うけど、そんな事あるわけ……

 

「偶然だよ」

 

「………海、お前は反対だろうけど……」

 

「やめてください。東郷を悲しませる気ですか」

 

「…………」

 

友奈を救う方法のひとつ、桔梗さんが天神刀の力を使い、壁の外の炎を全部消し去る。だけどそんなことすれば桔梗さんの体に負担が……下手すれば死ぬかもしれない。

友奈を助けられても……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桔梗SIDE

 

みんなでカラオケに行くことになったけど、僕は海と二人っきりで話していた。

 

「何か話でも?」

 

「……海、これ以上関わるな」

 

「どういう事ですか?」

 

僕は決して海が嫌いだからこんな事を言うのではない。ただこのままだと海は大好きな人の死を見るかもしれない。それだったら………

 

「このまま何も見つけることも出来なかったら……お前は友奈の死を看取ることになるんだぞ」

 

「それは………」

 

「引き返すなら今の内だ。誰もお前のことを責めたりはしな………」

 

「迷ってる時に出した決断は、どの道どっちを選んだとしても、きっと後悔するもの。なら、今が楽ちんな方を選びなさい」

 

突然変なことを言い出す海。何だか色々と駄目じゃないかそれ?

 

「僕の大切な仲間の言葉。楽な方へ行くのはいいかもしれない。このまま元の世界に帰ったほうが僕のためにもなるかもしれない。だけど……僕はどんなに辛くても、辛い道を選ぶ」

 

真剣な眼差しでそう告げる海。そうだよな……今更こんな忠告することないよな……

 

「今、解決できる方法は僕の犠牲だけだ。他にあるのか?」

 

「可能だったら一個だけあるんだ。神樹様の力じゃなくって、女神様の力を借りる」

 

「女神って、海の精霊の力をか?」

 

「いえ、もう一人いるじゃないです。その人は呪いとかの解呪のエキスパートなんですけど……色々と事情があってこっちには来れないんです。いや来れたとしても光の玉で話をするくらいしか……」

 

海の案は無理そうだな。やっぱり……

 

「後で美森としっかり話すか」

 

「………きっと怒りますよ」

 

「頑張るさ」

 

海はそのまま帰り、僕も帰ろうとした。だけどそんな時ふっとある事をしようと思った。

 

「最近、絵を描いてないな」

 

僕は鞄からスケッチブックと鉛筆を取り出し、空の絵を書き始めた。僕が犠牲になる場合、あとどれくらい絵をかけるかな……

 

「桔梗くん?」

 

「美森、どうしたんだ?」

 

声をかけられた方を見るとそこには美森がいた。どうやらみんなとのカラオケは終わったみたいだな。

 

「今、帰るところだったんだけど、海くんとの話は終わったの?」

 

「あぁ」

 

「……桔梗くん、海くん、ここ最近様子がおかしいけど何かあった?」

 

美森は何かしらに気がついてるのか。正直に話したいけど……

僕はそっと美森を抱きしめた。

 

「え、えっと桔梗くん?どうしたの?」

 

「ごめん。美森を感じたくって……」

 

「それ何だかいやらしい意味に聞こえるよ」

 

別にいやらしい意味で言ってないんだけど……でもなるべくこうしてふれあいたい。

 

「……美森。前に言った言葉覚えてるか?」

 

「何?」

 

「僕がどうなっても……忘れないでくれるか?って」

 

「覚えてるよ。友奈ちゃんと桔梗くんの言葉は忘れないようにしてるから……」

 

それはそれで何だか怖いな……でもちょっとうれしいな。

 

「美森、もしかしたら僕はお前のことを悲しませるかもしれない。その時は僕のことを許さなくていい」

 

僕はそう言い、そっと美森にキスをするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友奈SIDE

 

みんなでカラオケに行った数日後、私は夏凛ちゃんに呼び出されて、近くの港に来ていた。

 

「友奈、あのね………」

 

何か話そうとしているけどその前に…

 

「夏凛ちゃんは寒くないのー?」

 

「あ…悪い。場所を変えようか」

 

「ううん、大丈夫!こうすれば…」

 

私は夏凛ちゃんに寄り添った。身体は辛くって今にも挫けそうだけど、夏凛ちゃんのおかげで何とか大丈夫みたいだった。

 

「友奈、年末辺りからおかしいわよ。絶対何かあったでしょ?私が力になる。話を聞かせてくれない?」

 

夏凛ちゃん、話したいよ。今の私に起きていることを……伝えたいよ。苦しいって……でも私は誤魔化すように笑顔で答えた。

 

「なんともないよ」

 

「…どんな悩みだろうと、私は受け止めるから!友奈のことなんだから!!」

 

「夏凛ちゃん……」

 

「力になるわ。私は友奈のために何だってしてあげたい!そう思える友達を持てたことが私は嬉しいの。何があったの?友奈」

 

伝えたい……伝えて桔梗くんや海くんみたいにきっと夏凛ちゃんも力になってくれるはずだ。だけど伝えたら夏凛ちゃんが不幸な目に……

 

「本当に…なんでもないんだ」

 

「……そう」

 

夏凛ちゃん私の肩を掴みながら、泣きそうになっていた。

 

「悩んだら…悩んだら相談じゃなかったの?私、友達の力になりたかった…」

 

そのまま夏凛ちゃんは走り去っていた。私は追いかけようとしたけど、転んでしまった。やっぱりもう身体が……

 

「………友奈」

 

気がつくと私の側に海くんが立っていた。海くんは何も聞かず、私をおんぶしてくれた。

 

「海くん……苦しいよ……友達を傷つけて……何も言えなかった……」

 

「……大丈夫だ。僕達がなんとかする……」

 

「でも……私のために海くんたちが……」

 

「………大丈夫。大丈夫だから……」

 

「辛そうにしているのを見ていることが……」

 

「大丈夫だ!!僕がお前を救う。好きな人のことを……救いたいから……」

 

好きって……私のことを……でもそれは海くんの世界の私のことだよね。体中に痣が広がった私のことなんて……

 

「それって……」

 

「僕はどんな世界のお前でも好きだから……」

 

「海くん……」

 

海くんは辛そうな声でそう告げてくれた。私は聞こえないようにただ「ありがとう」と伝えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???SIDE

 

「言われたとおり来れたけど……どうしよう?」

 

「ここはあの人がいる場所だよね」

 

「うん、…………がここで待っているから、………を救うために私達の力が必要だから……」

 

「助けないとね。おじさまが言っていたんだから……どんな世界でも救いたいって……」

 

「助けよう。牡丹」

 

「うん、友海」

 

 

 

 

 

 

 




最後の最後で友海、牡丹参戦!!

友奈を助けるためにオリキャラ登場してきてます。

そして第五話がどんな話になるか……
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