勇者の花と桔梗の花 勇者の章   作:水甲

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第14話 勇者御記

桔梗SIDE

 

家で調べごとをしているときのことだった。チャイムの音が聞こえ、玄関の扉を開けるとそこには園子がいた

 

「きょうく~ん、夜這いしに来たよ~」

 

「………園子、美森に殺されるぞ」

 

「冗談だよ~わっしーに怒られたくないもん」

 

こんな時間に何しに来たんだよ。何かしらの理由じゃないと……

 

「きょうくん、ゆーゆ、カイくん。何か隠してるよね」

 

「………」

 

園子は気がついたのか。僕と友奈の身に起きていることを………感が鋭すぎだろ。

僕は園子を家に上がらせ、園子の話を聞くことにした。

 

「クリスマスの日、私はゆーゆに何かが起きていることに気がついたの。それで大赦で調べたら、ゆーゆときょうくんが天の神の呪いでひどい目にあっているって分かった」

 

「……僕は大丈夫だ。一番危ないのは友奈の方だ」

 

今のところ園子にはあの痣が浮かばない。僕らが話したら駄目だったが、誰かが自力で気がついたのは大丈夫ってことか。

 

「大赦から何か受け取ったよね。それ見せてもらっていい?」

 

「あぁ」

 

僕は大赦からもらった勇者御記を園子に渡した。これに書いてある内容はどうすれば友奈をたすけられるか。そして僕が導き出した答えが書かれている。

だけど園子は読もうとせず、端末を取り出した。

 

「何をするつもりだ?」

 

「みんな、多分気がついてるよ。特にゆーゆの様子にね。だからこの事はみんなも知るべきだよね」

 

「………危険だぞ」

 

「多分みんなはそれを分かっていても読むと思うよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東郷SIDE

 

自分の部屋で一人プロジェクターを使って、これまで撮った映像や写真を見返していた。そしてあることに気がついた。

 

(やはり、どう考えても最近の友奈ちゃんの様子はおかしい…)

 

私は初詣の時の映像を写した。これは友奈ちゃんがおみくじで大吉を引いた時の……

 

『あ、大吉だぁ!あはは、やったぁ』

 

「違う…!大吉を引いたなら、友奈ちゃんはもっと弾けるように喜ぶはず…!なのに、なぜそんなに切ない顔をしているの……」

 

まさか海くんに変なことをされている。いや、桔梗くんはそういうことをする人間じゃないって言ってくれているから……

 

『僕を許さなくていい……』

 

あの時の言葉がまだ聞こえている。桔梗くんも何かが起きている。だからあんなことを……

 

「私達に言えない何かが起きているに違いない!」

 

私は勇者に変身し、外へと飛び出した。

 

「だったら、私が真相を確かめる!」

 

精霊の青坊主が飛び出し、部屋の様子を見てもらった。まだ電気がついているから起きている。もし寝ていたら、侵入を……

 

『対象は睡眠中。侵入可能であります』

 

青坊主のハンドサインを確認し、私もサインを送り返した。

 

『了解、その場で待機せよ』

 

サインを送り、ベランダに降り立った私は更にサインを送った

 

『中に侵入し、鍵を開けなさい』

 

鍵を開けてもらい、私は友奈ちゃんの部屋に入った。友奈ちゃんは電気をつけたまま眠っている。こんなことなかったのに……

部屋の様子を見渡すとあることに気がついた。

 

「あ…あれは…!!友奈ちゃんが中学入学の時4月3日にご両親に買ってもらったけれど、手に取ることはなかったという百科事典の位置がズレている…!」

 

百科事典を取り出すと中に一冊の本が入った。それは勇者御記と書かれている。

 

「ど、どうしてこんなものが……」

 

「……何してるんだ?東郷」

 

突然声をかけられ、振り向くとそこには勇者に変身した海くんがいた。気配を消していたのに……

 

「こんばんわ。まだ起きていたの」

 

「何か気配を感じて、来てみれば……東郷……不法侵入するのはどうかと思うぞ」

 

「不法侵入?何のことかしら?」

 

「誤魔化すな。あと別に怒るつもりはない。ただ……」

 

海くんは私が手にした勇者御記に目をやり、ため息を付いた。何か知っているの?

 

「話すしかないか」

 

「話す?」

 

「今、起きていることを……」

 

海くんがいいかけた瞬間、端末にメッセージが入った。相手はそのっちから……

 

『今起きていることについて、皆に話すから、今すぐきょうくんの家に来て』

 

「これって……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海SIDE

 

僕は東郷と一緒に桔梗さんの家に来ていた。そこには先輩、樹、夏凛も集まっている。

そして机の上には友奈の勇者御記と桔梗さんお勇者御記が置かれていた。

 

「これを友奈が書いたってことか………」

 

「最近友奈ちゃんの様子がおかしかった、その原因が書かれていると思うんです。海くんもそれを認めています」

 

「私もゆうゆが心配になって調べてみたんよ。最近、実は大赦に行ってたんだ。論を先に言うと、ゆうゆの様子がおかしいのはね…ゆーゆが天の神の祟りに苦しめられているからなんだ…大赦の調べで、この祟りはゆーゆ自身が話したり書いたりすると伝染する…それがわかったの。だから、この日記は非常に危険な物なんだ…それでも見る?」

 

そのっちが皆に確認取ると、皆、覚悟ができているみたいだ。だけどその前に……

 

「それを読み前に僕からいいか?」

 

「何よ。海?」

 

「多分それに書かれているかもしれないから、先に言っておこうと思って……僕は一度死んでるんだ」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

「……そうだったんだね。カイくん」

 

そのっちは薄々気がついていたみたいだな。

 

「カイくんはきょうくんみたいに天の神と神樹様の力で勇者になったんじゃないって思ってた。もしかして死んで生き返ったから?」

 

「いえ、僕は女神様のおかげでだけど……精霊もその女神様だから呪いや祟りとかは無効化出来ている」

 

「海さん……どうして……」

 

「その理由はこれに書かれている。僕が読み上げるよ」

 

僕は友奈の御記を読み上げた。そこには僕が友奈に明かした日から書かれていた。僕が皆を助けるために自分の身を犠牲にしたこと、自分自身に起きていること、散華で失った身体が神樹様が与えたものということ……

 

『1/7…皆といると元気が出てくるけど、うつさないように気を付けなきゃ。食欲はなかったけど、甘酒が美味しくて喉が喜んでた。…でも、家で吐いちゃった』

 

『1/9…吐き気はひどかったけど、部室にいると心がほわほわする。風先輩は温泉旅行を提案してくれたけど、今の私の裸を見たらみんながびっくりしちゃう…とても行けない。ごめんなさい…』

 

『1/11…今日は調子がいい。しっかり休んでいるのが効いたのかも』

 

『1/13…胸がとても痛くて、なんだか頭がくらくらする。多分みんなと会話が成立してなかったかも…』

 

『1/14…いっぱい寝て、体力を回復させなくちゃ、でも、電気を消して寝るのが怖い、暗いのが怖い。そのまま暗いものに包まれてしまいそうで』

 

『1/16…今日は夏凛ちゃんを傷つけてしまった。でも絶対言うわけにはいかない。ごめんなさい…とても苦しい、体も痛い、心も痛い、ぐちゃぐちゃになりそう…私はただ、みんなと毎日過ごしたいだけなのに…』

 

『…弱音を吐いたらダメだ、私は勇者だから頑張れ自分、結城友奈!勇者はくじけない!!』

 

『とにかく、夏凛ちゃんと仲直りしたい。でも本当のことを話せない。どうすればいいんだろう。もうここでいっぱい書く。夏凛ちゃん、私、夏凛ちゃんのこと大好きだよ。夏凛ちゃん、本当にごめんね!』

 

『そして海くん、好きって言ってくれてありがとう……でも、これ以上は海くんや桔梗くんの辛い姿は見ていられない』

 

読み終えた瞬間、東郷は怒りを堪えていた。

 

「すべて私のせいじゃない!天の神の怒りは収まっていなかった!私が受けるべき祟りなのよ!!」

 

東郷は直ぐにでもと外に行こうとするが、そのっちがそれを止めた。

 

「日記に書いてあったでしょ!わっしーにうつっても、本人は祟られたままなんだよ」

 

「大赦はまた、私たちに重要なことを黙って…」

 

「うかつに説明するとみんなに祟りがいくかもしれないから話せなかったんだよ」

 

「桔梗さんも同じ祟りに……」

 

「僕は一部のみだ。友奈みたいに痣が広がったりはしない。だけど……どうして僕じゃなくって友奈なんだ……」

 

「友奈が…こんなに苦しんでるのに…私…酷いこと言っちゃった…ひどいこと言っちゃったよ…」

 

夏凛は自分が言ってしまったことに対して、ひどく落ち込んでいた。でも仕方なかったんだ。友奈は夏凛を思って……

 

「聞かせて、カイくん、きょうくん。現状、どうにかゆーゆを救える方法がないか?」

 

「あんたらもしかして……」

 

「はい、調べていたんです。桔梗さんと一緒に……でも」

 

「一つだけ見つけた。友奈の呪いは天の世界の炎が消えれば治るはず。それだったら、僕は天神刀を使って、炎をすべて消し去ります」

 

「それなら友奈さんを……助けられるんですか?」

 

「あぁ、天神刀の力の源はあの炎だ。使い切れば……」

 

「ちょっと待って……桔梗くん、それって……」

 

「きょうくん。天神刀を限界まで使い続ければ……死んじゃうよ」

 

「あぁ、友奈を助けられるならな」

 

「………桔梗くん」

 

東郷は桔梗さんの頬を思いっきりひっぱたいた。そして泣きながら桔梗さんに告げた。

 

「どうして……自分を犠牲にしようとしているの……私はこれからも皆と一緒にいたいよ……」

 

「美森……」

 

「部長命令。桔梗、あんたの案は却下よ。勝手にやったら許さないから」

 

「許されなくてもいいですよ」

 

皆が桔梗さんを止めようとしている。桔梗さんは自分を犠牲にしてまで友奈を救いたいと思っている。だけど僕は……友奈のために自分を犠牲にできる方法がない。どうすれば……

 

「お邪魔しまーす」

 

「ちょっと友海!?」

 

突然窓を開けて誰かが入ってきた。僕と桔梗さんはその二人を見て驚きを隠せないでいた。なんで二人がここに……

 

「ちょっと誰よ。こっちは大切な話を……というか窓から入るって不法侵入よ」

 

「す、すみません」

 

「でも私達、みんなの助けになれるかと思ってきたの」

 

「あんたら……今起きていること知っているの?というかその服……友奈と東郷に似ている?」

 

先輩は二人が着ている服装に気がついた。そして樹も……

 

「どことなくお二人に似ている……」

 

「こっちでは初めましてになるんだね。私は上里友海」

 

「私は東郷牡丹っていいます」

 

「私たちはママを……結城友奈さんを助けるために来たんだよ」

 

友海は僕に近寄り、真剣な表情で言うのであった。

 

「パパ、パパから先の未来になるかもしれないけど、私に言ってくれたんだ。どんな世界でもママを救うって……だから私も……ママを救いたい」

 

「友海、牡丹……」

 

「パパって、海のこと言ってるの?」

 

「まさか……この二人……」

 

先輩と夏凛の二人はこの二人が誰なのか理解した。この二人は僕がいた世界の未来から来た未来の勇者であり、僕の娘の友海。桔梗さんの娘の牡丹。

 

「パパ、苦しい思いをするかもしれないけど、助けられるかもしれないよ」

 

 




友奈を救うために総力戦になってきました。
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