ただ最終話が年明けという……これが絶望か……
桔梗SIDE
突然やってきた友海と牡丹の二人……僕が会ったときよりちょっと幼いけどこの二人も友奈を助けるために来てくれたのか?
「桔梗くん……この子……」
「あぁ、海の世界の僕らの娘だ」
「お父様。それにこっちでは初めましてですね。お母様」
「う、うん、はじめまして……」
「ちょっと!?東郷と桔梗の娘って言うのはわかったけど、そっちの友海って、海と友奈の……」
「うん、娘だよ。夏凛さん」
「何というか今夜だけで色々とありすぎだわ。友奈の事も、海の事も……おまけに未来の子供まで……」
色々とありすぎて先輩は頭を抱えこんでいた。コレは仕方ないだろ
「それで~ゆうちゃん、カイくんが苦しい思いをするかもしれないけど、ゆーゆを助けられる方法って何?」
「あっ、これです。園子さん」
友海は二つの腕輪と水色と白の短刀を机の上に置いた。腕輪は海が持っているものに似ていて、短刀は天神刀に似ている
「この腕輪は呪いに苦しんでいる人が装備して、もう片方装備した人に呪いを移す事ができるの」
「友海ちゃん、それって……」
「うん、ママは呪いから解放される」
「そしてこの短刀……これはお父様が持っている天神刀と似て非なるもの……天の炎ですべてを焼き付くすのではなく、水と祝福ですべてを浄化する刀……祝水神刀。これは海おじ様にしか使えません」
呪いを移す腕輪とすべてを浄化する刀……それって…
「呪いを海に移して、その短刀で呪いを浄化する……」
「はい、これなら……」
「でもね。呪いを移されたらパパは苦しい思いを……」
「いや、十分だ」
海は腕輪と短刀を手にした。海はもう覚悟出来ているんだな。それだったら僕も止める気はない
「友海、牡丹。ありがとう」
「ううん、パパ。私達もママを助けたいから……」
「コレぐらいしか出来ませんけど……お役に立てて良かったです」
「とりあえず試しに……」
海は僕に腕輪を渡してきた。何のつもりかわからなかったけど、すぐに理解した。
「桔梗さん、まずは貴方の呪いを解きます」
「………試しに……というよりお前はそのつもりだったんだろ」
「どんな世界でも友奈を救いたいけど、それ以上に一緒に戦ったあんたを助ける」
僕は呪いを受けたままでも良かったけど、でも海が僕を救いたいって思っているなら断る理由はないな
僕は腕輪をはめると同時に何かが抜けていく気がした。そしてそれが海に流れていく気がした。
「すべてを浄化せよ!!」
海が祝水神刀を掲げた瞬間、水色と白の光が部屋を包み込んだ。そして光がやみ、僕は胸元を確認すると痣が消えていた。
「呪いが……」
「これなら友奈ちゃんを……」
「わっしー、でもリスクが高いみたいだよ」
園子がそう言いながら、海の方を見ていた。海は膝をつきながら息を切らしていた。まさか呪いを移した影響で……
「これは……ちょっときついな」
「パパ、言ったよね。苦しいって……」
「呪いはただ移すんじゃないんです。呪いの大きさ分負荷が大きく、浄化に使う体力も……」
「海、友奈のために無茶をする気なら……」
「いや、これなら……桔梗さんの案もできる」
海はある方法を思いつき、僕らに話した。それは僕が天神刀を限界寸前まで使用し、呪いの影響が少なくなった瞬間に、浄化するということ……そうすれば二人の負担が少なくなるはずだということだった。
確かにこれなら……
「とりあえず今後の方向性は決まったわね。友奈にはちゃんと話さないとね」
先輩は友奈には落ち着いてすべてを話すようにと決めるたのであった。友海と牡丹の二人は美森の家で面倒を見るということになった。
これで全部終わる……はずなのに嫌な予感がする………
海SIDE
友奈を救う方法が見つかり、僕は東郷と一緒に家まで帰る途中のことだった。
「牡丹ちゃんと友海ちゃん……海くんの世界での未来の子供で勇者なんだね」
「あぁ、僕らが使っている勇者システムとはちょっと違うけど、勇者には変わりないよ」
「二人のお陰で友奈ちゃんを救えるんだね」
やっと見えてきた道。きっと上手くいくはずだ。ただ、みんなと話し合い、僕の体調が万全のときじゃないと無理そうだから、しばらく時間を置かないとな……
そんなことを思っていた時、突然端末から白い光の玉が現れた。これってエリスさん?
「これって……」
「僕の精霊で、女神様。エリスさん、どうしたんですか?」
『ウミさん、そちらの状況は?』
「あぁ、実は……」
僕はエリスさんに友奈を救える方法が見つかったこと、その方法を教えてくれたのが友海と牡丹の二人だということを話した。
『そうでしたか。あの二人が……ですがどうやって……』
「二人の話では、僕が頼んで量産してもらった腕輪の力だって言ってました。天の神の力が未来でも残っていたからだと思うんですけど……」
『何というか未来でも残っているんです。今回は脅されたということで天界規定に引っかからないですけど……でも良かったです。ユウナさんを救える方法が見つかって……』
「えぇ、本当に……ただ」
「海くん?」
『ウミさん?』
「妙な胸騒ぎがしているんだ。物凄くやばいことが起きるんじゃないかって……」
これが気のせいだったらいいのだけど、もしもの時のために頼んでおいたほうがいいな。
「エリスさん、腕輪の量産は?」
『あっ、はい。出来ています。本来は戦闘が厳しくなったらということで頼んだものですけど、今は必要は……』
「出来ればそれを皆に渡しておいてくれないかな?もしものために……」
『………もしもですか。わかりました。天の神も同じことを言って、無理やりそちらの世界に戻るみたいです』
天の神が戻ってくるのか。それなら僕の帰還も近づいてきているな。
エリスさんとの通信を切ると、東郷が心配そうな顔をしていた。
「本当に大丈夫なんだよね」
「あぁ、あくまでもしものためだから……」
「それに海くんが言っている皆って……」
「頼れる仲間たちだよ」
友奈SIDE
夏凛ちゃんと喧嘩してから数日後の夕方。私の家に大赦の人が訪ねてきていた。
「あ、あの…頭を上げて下さい。今日はなんの御用でしょうか」
大赦の人は頭を下げたまま、話を始めた。本当は海くんも一緒に聞いてもらいたかったけど、海くんはそのちゃんのところに行っていて、今はいない。
「友奈様に急ぎお知らせしなければならない事があります。私達を約300年の間守ってきて下さった、神樹様の寿命が近付いております」
神樹様の寿命が……それって死んじゃうってことだよね。それが本当だったら世界は……
「神樹様が枯れてしまわれれば、外の炎から守る結界が無くなり、我々の暮らすこの世界は炎に飲まれ消えてしまいます」
「消える……」
「人間を全滅させる訳には参りません。全滅を免れ皆が生き伸びる解決法を、我々は見つけております」
そんな方法があるなら安心なのかな?でも、こういう話はやっぱり皆に聞いてもらったほうがいいよね。
「あの。これって勇者部全員で聞いた方が…」
「まずは、友奈様にだけお話を……皆が助かる方法は一つ。選ばれた人間が神樹様と結婚するのです」
「えっ…結婚?!結婚って…あの結婚ですか?」
「神との結婚を神婚と言います。神と聖なる乙女の結合によって、世界の安寧を確かなものとする儀式。それが神婚」
神樹様と結婚すれば世界は消えることはない。それしか方法がないのかな?
「あの海くんがいた世界は神樹様の寿命を迎えていないって言ってました。そんなことしなくても……」
「彼の世界は我々がいる世界と女神たちがいる世界……二つの世界が繋がったことで神樹様の寿命は半永久的に尽きることはないとのことです。ですがこちらでそれを行えることは出来ません。我々には女神と話し合いすることが出来ませんから……」
「そんな……」
「神婚する事で新たな力を得て、人は神の一族となり皆永久に神樹様と共に生きられるのです。ご理解頂けましたでしょうか?神婚した少女は、死ぬという事です」
「な…なんで私を…」
「心も体も神に近い存在。御姿だからです。私達大赦は人類が生き延びる為に、様々な方法を模索し続けてきました。そして、神婚という選択肢のみが残されたのです」
世界を救うために私が神婚すれば……でも私は……この人は悪意を持って言っているんじゃないって言うことはわかっている。きっと仮面の中では必死に辛そうな顔をしているんだろうな……
「私、友達を傷付けちゃって………」
「皆を慈しむ心。友奈様は素晴らしい勇者であると私は思います。その友達を、人間を救う事が出来るのは友奈様だけです」
「神婚したとして…その…人が神の一族になってずっと生きるって言うのは…」
「言葉通りの意味です。我々を神樹様に管理して頂く優しい世界……人は死んでしまえば終わりですが、神の眷属となり神樹様と共に生きていけば希望が持てます」
「それって皆、ちゃんと人間なんですか…?」
「神の膝下で確かに存在出来ます。信仰心の高い者から神樹様の下へ……どうか…この世の全ての人々をお救い下さい。慈悲深い選択を」
このまま祟りで死ぬか……神婚して世界を救うか……私に与えられた選択肢は……