友奈SIDE
大赦の人が来たその日の夜、私は呪いの影響なのか体中にものすごい痛みが走っていた。
「うっ…祟りの次は結婚だって……びっくりだね、牛鬼……お父さんとお母さんは泣いてたけど…私の意思に任せるって言ってくれたけど…私の体は…命は…もう…」
もう体中に痣が広がっている。もう私の命は……桔梗くんや海くんは必死に私を助ける方法を探しているけど、私が助かっても世界が……
私は明け方、家を抜け出し外へと出ていた。私がするべきことは……
「神婚して死ぬとどうなるんだろう……祟りで死ぬより苦しくないのかな…私は勇者なんだから…勇者らしい事をしなくちゃ…!」
宛もなくさまよっていた私は皆で行った神社の階段を登っていた。勇者部五カ条。成せば大抵何とかなる。迷ったり怖がったりしている場合じゃない。
やらなきゃ…!!だって私は勇者だから………祟りで消えてしまう命なら………この命を皆の為に使おう……
怖くない………怖くない!!
私は立ち上がり、街を眺めていた。こんなにきれいな世界を私は消させたりしない。だから……
「決めたよ……」
私は神婚することを決意した。
「………何をしてるんだ?友奈」
後ろから声をかけられ、振り向くとそこには海くんがいた。お母さんやお父さん、海くんに気づかれないように出てきたのに……
「え、えっと……散歩を……」
「……もう動くのもきついのか」
海くんは今の私の状況をわかってる。きっと心配してきてくれたんだよね。
「うん……このままだと春は……」
「友奈……お前の呪いを解く方法が見つかった」
「えっ!?」
呪いが解ける方法……それは海くんに呪いを移し、その呪いを海くん自身が浄化する。そうすれば私は助かる。
「で、でもどうして呪いを海くんに……」
「呪いを解く短刀……祝水神刀はまだ未完成のところがあってな。自身にかかった呪いしか解呪できないんだ。でも大丈夫だから……」
呪いが解ける……もうこんな苦しい思いはしなくていい……だけど呪いが解けても……
「海くん……呪い……解かなくていいよ」
「どうして!?リスクはあるけど桔梗さんと協力することで……」
「あのね……私結婚するの……神樹様と……」
「結婚……?」
私は海くんに語った。今、神樹様が枯れ始めていること、枯れた時世界が滅びること……でも私が神樹様と結婚すれば世界は……人類は助けられることを……
「何だよ……それ……人間が神の眷属になる……神樹に管理された世界……そんなの……」
「海くん……呪いが解けて、今度は神樹様を救う方法を探すの?」
「当たり前だ!!こんな結末……」
「もう駄目だよ。時間もないって大赦の人が言ってた……」
「それでも何とか……僕の世界ではこんなこと……」
「海くんの世界では女神様が神樹様の結界の維持を手伝っているんだって……でもこっちで同じようなことは出来ないんだよ。だって……繋がりがないんだから……」
「それだったら他の方法を……」
海くんは必死に私を助けようとしてくれている。何だかあっちの私が羨ましいな……こんなに愛されてるなんて……だからこそ私は……
「海くん……もうここにいる私のことで苦しんだりしないで……海くんはあっちの私を幸せにしてあげて……」
私はそう言って、海くんと別れるのであった。
ごめんね。あんなこと言って……でももう海くんが辛い思いをする所見たくないから……
海SIDE
「ここにいる友奈のことで苦しむな……僕の世界の友奈を幸せに……か……」
僕は思いっきり近くの木を殴った。どうすれば……いいんだよ。呪いを解く方法が見つかった次は……世界を救う方法……
大赦がやろうとしていることは正しいけど、間違っている。でもそれしか方法がないのか……
「どうすれば……」
何か方法がないか考え込んでいると、端末から白い光の玉が現れた。エリスさん?
『ウミさん、呪いの方は……』
「エリスさん……僕はどうすれば……」
『何かあったんですか?』
僕はエリスさんにさっきの事を話した。こんなに考えても答えがでない……僕はどうすれば……
『ウミさん……』
「僕は友奈を救いたい……だけど今度は世界を救う方法……友奈は僕にもう苦しんでほしくないって……僕が必死に止めても、友奈には届かなかいんだ」
最後まで足掻くしかないけど……僕には……
『何を悩んでるんだよ。ウミ』
突然白い光の玉から聞き覚えのある声が聞こえてきた。この声……
「カズマさん?」
『エリス様に頼んでお前と話そうと思ってな。それにしても厄介なことが起きてるんだな』
「………カズマさん、僕はどうすれば……」
『全くウミは一人で悩みすぎよね。前も悩みすぎてとんでもないことをやろうとしてたし』
今度はアクアさんの声が聞こえてきた。更には……
『考えすぎて周りが見えなくなっているみたいですね。そういう所なおした方がいいですよ。ウミ』
『ウミ、一人で悩むな。苦しくなったらいつでも私達を頼れ』
『そうそう、仲間なんだからさ』
めぐみん、ダクネスさん、銀の声が聞こえてきた。そうだよな。忘れていたよ……こういう時するべきことを……
『海くん……』
そして今度は友奈の声が聞こえてきた。
『そっちの私を助けようとしてるんだよね』
「あぁ、助けたいから……でも助けようとしても世界が滅びる……他の方法がないからって、友奈は……」
『………海くんの言葉じゃ届かなかったんだね。何だかごめんね』
「いや、お前が謝ることじゃない。それに……みんなの声を聞いてちょっと思いついたことがあるんだ」
『何?』
「みんな、世界を……神樹を救う方法を一緒に考えてくれないか?」
僕の問いかけに皆はすぐに考えてくれるように返事をしてくれた。そうだよな。こういう時は頼らないと……
『にしても神が消えるのか……』
『まぁ、土着神の集合体だからね……それにしてもいつの間にこっちの神樹は私達の力を受け取ってるのよ』
『先輩、それはですね。世界が繋がっているからです。道を固定させるのにも神の力が……信仰心が必要ですから……』
『神々が支え合っているということだな。だがそっちの世界でも同じことをすれば……』
「いや、無理なんだ。繋がりがないんだって……つなごうとしても時間が足らない……」
『何という面倒くさい状況ですね。というよりそちら側のエリスは何をやっているんですか!!どうにかして話して……』
「こっちにそんな術は……」
いや、何だかちょっと気になることがある。こっちの世界にエリスさんやアクアさんっているのか?
「アクアさん、こっちの世界にアクアさんっているのか?」
『ん?いるわよ。天の神が言うにはそっちの私を誂っては、こっちにきて私の酒を……』
「……いるんだな……それじゃ……」
神樹のことは何とかできるかもしれない。でもこれには天の神と二人の女神の力が必要だ。あとは……友奈を止めないと……だけどそれも出来るかもしれない。
「みんな、僕が思いついた方法を聞いてくれないか?世界も友奈も救う方法を……」
僕の考えを皆に伝えると、みんな協力してくれることになった。これなら……
桔梗SIDE
部室で友奈からある話を聞かされた。それは神樹様と結婚し、世界を救う方法……
「いや怪しいでしょ!何引き受けようとしてんの!」
「違うと思います!」
「今の皆の反応で分かるでしょ?友奈ちゃんの考え方が間違ってる事が」
「東郷さん……」
「友奈、僕もそれは間違っている。そんなことで僕らが……皆が喜ぶと思っているのか……」
「それにしても大赦め…!!友奈!私達もついていってあげるから、ばしっと断りなさい!」
「場所は私が教えるよ」
「もう我慢ならない…」
「行くわよ!一度潰した方が良い組織になるかもね…」
今回ばかりは止める気にはなれなかった。こんな事で世界を救ってほしくない。海が言っていた誰も犠牲を出したくないって思いが今になって分かってきた。
「待って!!私は…神婚を引き受けるって……」
「その必要はないんだって!」
「だって、死ぬんでしょ…?」
「訳分からない!生贄と変わらないじゃない!」
こういう時……何で海がいないんだ?何だかあいつはやることが出来たって言ってたな……
「神樹様と共に生きるって何なのかな…」
「とても幸せな事だとは思えないわ」
「でも!私が神婚しないと、神樹様の寿命が来て世界が終わっちゃうんだよ!?」
「神樹様の寿命は分かるけど、でも、だからって友奈が行く必要はないでしょ!」
友奈は必死に胸を抑えていた。今の友奈は少しおかしい。焦っている……それだったら呪いの方を急がないとな。
「勇者部は人の為になる事を勇んで行う部活、でしたよね?これも勇者部だと思うんです…誰も悪くない。世界を守る為に他に選択肢がないなら…それしかないなら…私は勇者だから…」
「ゆーゆ、それしかないって考えはやめよう?神樹様の寿命がなくなるまでの間に、もっと考えれば良いんだよ…」
「だめなんだよ…考えるって言っても…私にも、もう時間がなくて…はっ!?」
友奈は何かに驚いていた。もしかして呪いの影響が僕らの胸に出てきているのか?
「私達知ってるわ。友奈ちゃんが天の神からの祟りで、体が弱っている事を」
「その件はもう大丈夫だよ。カイくんの知り合いのおかげで……」
「……それは聞いてます。だけど呪いが解けても世界が……それだったら私は……」
「大体おかしいです!なんで友奈さん一人がこんな目に遭わなきゃいけないんですか!」
「でもね樹ちゃん。私は嫌なんだ…誰かが傷付く事、辛い思いをする事が…それが今回は、私一人が頑張れば…」
「だめよ!友奈ちゃんが死んだら、ここにいる皆がどれだけ傷付いて辛い思いをすると思っているの!!私…想像してみたけど…後を追って、腹を切っているかもしれない!!」
「で、でも…東郷さんだって…皆を守る為に火の海に行ったでしょ…」
「そうよ!でも壁を壊した私の自業自得でもあるのよ!友奈ちゃんは悪くないじゃない!反対よ!腹を切るわよ!」
「桔梗くんだって……」
「僕は皆を救いたいって思ったから、あの時皆の記憶から僕を消してもらった。後々皆に怒られたけど……お前はそれが出来なくなるんだぞ……」
こんな誰かが犠牲になることを望むなんて……だけど今の友奈には言葉が届いていない。
「友奈さんが言うように、勇者は皆を幸せにする為に頑張らないといけないと思うんです」
「そうだよ。だから私頑張ってるよ…」
「皆って言うのは、自分自身もそこに含まれているのよ!友奈!」
「ゆ、勇者部五カ条なるべく諦めない!私は皆が助かる可能性に懸けているんだよ!」
「あんたが生きる事を諦めているじゃない!」
「勇者部五カ条なせば大抵何とかなる!!成さないと何にもならない!」
「友奈!五カ条をそういう風に使わない!」
「私は、私の時間がある内に…私の出来る事をしたいんです!だからこうして皆にきちんと相談しました!」
「これじゃ報告だよゆーゆ…相談しなきゃ…」
「相談してるよ!!」
「友奈…その…とにかく、無理すんな…」
「無理してないよ!!勇者らしく、私らしくしてるよ!」
「友奈!皆がここまで言ってまだ分からないの!!」
「だから!他の方法がないからこうなっているんです!!」
友奈の言葉を聞いた瞬間、僕の中で何かが切れた。いい加減にしろ……他に方法がない?探してすらないだろ
「友奈!!いい加減に……」
「やめてください!!」
僕は友奈の胸ぐらをつかみ、殴ろうとした瞬間、樹が止めた。
「なんで…なんでこんな…喧嘩なんて…」
「樹……すまない」
「ゆーゆ、呪いを解こう。そしたら今度は世界を救う方法を考えよう」
「それに一度頭を冷やしなさい。ここに海がいないって言うことは、海と揉めたんだから……ちゃんと謝りなさい」
「友奈ちゃん……」
「私は………ただ……」
突然友奈は何かに気が付き、部室を出ていった。まさか痣が今までよりも濃くなっているのか?
僕と園子、美森の三人で友奈を追いかけていくのであった。
世界救う方法に関してはかなり無理矢理すぎる感じです。