勇者の花と桔梗の花 勇者の章   作:水甲

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第五話の最後に出てきたものに関して、こちらではオリジナル設定になります。




第17話 古のシステム

僕ら三人は友奈がいると思われる自宅に向かった。美森は精霊を使って友奈の自室に入るけど……

 

「手慣れてないか?」

 

「気のせいよ」

 

「ゆーゆ、いないね。端末の反応は……」

 

友奈は部屋にはいなかった。端末の反応はここにいるはずなのに……すると美森が机の上に置かれた友奈の端末と勇者御記を見つけた。

端末の反応はこれだったのか……

 

「これって今日の日付……」

 

勇者御記には『皆、色々ごめんなさい。私行きます』と書かれていた。行くってまさか……

 

「大赦だね。行こう」

 

「えぇ、止めないと……」

 

僕ら三人は皆に連絡して、大赦に行こうとした時、園子の端末に誰かから連絡が来ていた。

 

「大赦から……もしもし……わかりました。勇者部みんなで英霊碑に来てって……」

 

「そこに友奈ちゃんが……」

 

「そういえば海の姿がないけど……」

 

「カイくんもそこにいるって……行こう」

 

 

 

 

 

 

 

「ここがそうだね」

 

「ほら、目的のもの盗ったんだから、行きましょう。お頭」

 

「はいはい、助手くん。そっちは頼んだよ。私はわたしでやることがあるから」

 

「ウミに頼まれたからな」

 

「場所は分かってるの?」

 

「ウミから聞いてる。あいつらも向かってるはずだから、俺も合流する」

 

「頼んだ。助手くん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

英霊碑、僕もここには一度来たことがある。何せ銀の魂が眠っているからだ。とはいえ、銀は天の世界の住人になっているから眠っていると言うべきか……

そして石碑の前には一人の大赦神官が待っていた。そしてそこには海、友海、牡丹も来ていた。

 

「勇者様に最大限の敬意を」

 

「やめて下さい」

 

「ここは歴代の勇者と巫女が祀られている場所」

 

「私達は友奈ちゃんに会いに来たんです!」

 

「友奈さんはどこにいるんですか!?」

 

「今は大赦におられます」

 

この神官、何だか聞き覚えのある声だった。どこかで会ったことがあるはずだ……いつだ?

 

「じゃあ大赦に乗り込むわよ!!」

 

「友奈様から話を聞かれたかと世界を救う方法は神婚しか残されていません。寿命も残り僅か」

 

「いや、呪いは解呪できる。ここにいる未来の勇者たちのお陰で見つけたんだ」

 

「そうだよ。これでママが死ぬことはないんだよ」

 

海と友海がそう言うと牡丹が辛そうな表情で神官を見つめていた。

 

「私達の世界の大赦はこんな風に誰かを犠牲にしたりしません。どうして世界が違うだけで……こんなに違うんですか」

 

牡丹は世界の違いに戸惑っていた。そうだよな。牡丹からしてみれば優しい組織だったのに……

 

「世界が違うからこそ、同じようには行きません。上里様、貴方もどう思いますか?」

 

神官はそう言った瞬間、石碑の裏から巫女の海が出てきた。こんな所に大赦のトップの巫女がいていいのかよ

 

「世界が違う……それだったら別の方法を考えればいい。こちらでは見つからなくても、あちら側の海様の世界で……」

 

「……貴方は最後まで神婚の儀を反対していましたね」

 

「こんなの間違っています」

 

「もう時間がないのです。友奈様はこれより神婚の儀に入られます」

 

「ふざけるな!!止めてやる!!」

 

「歴代の勇者様の多くは、お役目の中で命を落とされました。2年前には人類を守る為に、三ノ輪銀様が落命。銀様は人類を守ろうと懸命に戦い、見事にお役目を果たされ英霊になられました」

 

「私は別に英霊になんかなってないよ」

 

なにもない所から声が聞こえた瞬間、眩い光とともにコートを羽織った銀が現れた。

 

「私はただの勇者だよ。それに人類のためとか言って戦っていたけどさ。あの時は須美と園子を守るために戦っただけだよ」

 

「銀……」

 

「ミノさん……」

 

「………300年前の勇者達もこんな事になるとは思ってないだろうな」

 

海はゆっくりと神官を見つめ、石碑の周りにあったモニュメントを見つめた。

 

「乃木若葉……高嶋友奈……郡千景、伊予島杏、土居珠子……白鳥歌野……あの人達は未来で誰かが犠牲になることを望んで戦っていない。お役目とかそんなの関係なしに戦ってきた」

 

「……貴方に彼女たちの何がわかるんですか?」

 

「分かるさ……僕らとそう変わらない歳だった……」

 

海だからこそ言えることだな。あいつはあの世界で若葉たちと一緒に戦ってきたんだから

 

「ちょっと待ちなさい。それってここにある墓全部……私達と変わらない子たちが……いつだって子供達を犠牲にして生き延びてきたって事じゃない…そんな歪な世界ってあるの!?」

 

「全てを生かす為にはやむを得ないのです。それが、この時代における人の在り方」

 

「………変わったね。安芸先生」

 

銀の言葉を聞いた瞬間、僕と美森は驚きを隠せないでいた。安芸先生って確か美森達が小学校の頃、勇者のサポートをしていた……僕も一度だけ会ったことがある。

 

「ピーマンが嫌い…だったよね。すっごく厳しいけど、ふとした時に見せるチャーミングな所が私は好きだったよ…でも今は、昔の安芸先生じゃないんだね…」

 

「銀の時、一緒に悲しんでくれたのに…その辛さを知っているなら…もう一人も犠牲なんて!!」

 

「そうだよ。というより何でこんな事になっているのに天の世界に頼まないんだよ。こっちだって手助けはできるように……」

 

「三ノ輪銀……大赦の中には未だに天の神を信じられていない人間がいます」

 

今まで敵対してきて、協力するようになっても信じられないような人がいるのはわかっている。だから大赦は天の世界に神樹様のことを頼まなかったのか。

 

「あなた達のクラスメイトは、その友達は、家族は、もうすぐ来る春を待ち遠しく思いながら、家でうどんを食べて、温かい布団で寝て、今日も平和な日常生活を送っている。少々の犠牲…このやり方で大部分の人達が幸せに暮らしているのです」

 

「それなら…それなら、あなた達が人柱になれば良いのに!!」

 

「出来るものなら、そうしています…だが、私達では神樹様が受け入れない」

 

「………先生。あんたはどうしたいんだ?」

 

僕は先生の前に出て、胸ぐらをつかんだ。海と巫女海は咄嗟に止めようとしたがすぐにやめた。

 

「あんたの言葉はただ大赦から言わされている言葉……アンタ自身の心の声をきかせろ!!」

 

「…………私は……」

 

先生が何かを言おうとした瞬間、突然僕らの端末からアラームが鳴り響いた。そしてアラームは歪な音ともに地震が起きた。

 

「どうやら間に合わなかったみたいだね」

 

更には空から穴が開き、一人の少女が姿を現した。彼女は天の神……戻ってきたのか?

 

「天ちゃん……これって……」

 

「大赦は大きな過ちを……いや過ちだと気づいて神婚をやろうとしているのか」

 

「天の神……どういう事だ?一体何が起きているんだ?」

 

「結城友奈の呪いは私が古に作ったシステム。そしてこれもまた人が神の眷属になろうとした時に目覚めるように設定したシステム……世界は滅びる」

 

天の神がそう告げた瞬間、空が暗くなり、無数の穴が開いた。そして穴から巨大な何かが姿を現した。

 

「人の身でありながら、神に近づこうとしたからこそ世界は滅びる。もう私には止められない」

 

「いいえ、神婚が成立すれば人はもう神の一族。人でなければ襲われない。これで皆は神樹様と共に平穏を得ます。これが最後のお役目。敵の攻撃を神婚成立まで防ぎきりなさい」

 

最後の最後にこんなことになるなんて……やるしかないのか……

 

「……悪いけど神婚成立は叶わないよ」

 

突然海がそう言い、勇者に変身した。そして天の神にあることを聞いた。

 

「あのシステム。アレに友奈に呪いをかけたシステムが組み込まれたりとかは?」

 

「えぇ、しているわ。まさかと思うけど、アレを倒す気?あなた達だけで……」

 

「あぁ、僕はそうするつもりだ」

 

「海……」

 

「待って、海くん。神婚成立は叶わないってどういう事?友奈ちゃんを助けて、古のシステムを破壊しても……神樹様を助ける方法は……」

 

「そうだよ。カイくん。まだ見つかって……」

 

「いいや、見つけている。こんなこと僕しか思いつかなかった。天の神、今すぐある二人を連れて、この世界の女神の所に向かってくれ」

 

「女神の所に?それにある二人って……なるほど」

 

天の神は何かを理解し、姿を消した。海にしか思いつかない方法って……

 

「人のためなら生贄を求めたりしない。世界を滅ぼしたりしない。僕が知っている神様はそういう人たちだった」

 

「海……お前まさか……」

 

「みんな、神樹様のことは何とか出来る。今はアレを何とかしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友奈SIDE

 

空が暗くなり、無数の穴が空いた。あれって大赦の人が言っていた古のシステム……

 

「友奈様、急いで神婚の儀に取り掛かります。システムは勇者たちが……」

 

「分かりました……」

 

急がないと皆が……世界が……

 

「ちょっと待ったァァァァァ---!!」

 

誰かの声が聞こえた。周りにいる大赦の人たちもその声の方を見るとそこには変わった格好をした男の子、黒い格好をした女の子、鎧を着た金髪の女の人、そして巫女装束の人と大赦の人と同じ格好をした人がいた。

 

「誰ですか!?ここは神聖な……」

 

「悪いけど仲間に頼まれて、そいつを誘拐しに来た」

 

「なんと無礼な……」

 

大赦の人がその人達を捕まえようとしたが、金髪の女の人が大赦の人たちの前に出て、大赦の人たちを押さえ込んでいた。

 

「神との結婚……生贄と変わらないじゃないか。こんな物エリス様はしないぞ」

 

「神樹様が教えたことですから……でも私達は他の方法を考えます。どうして今の時代の人は思いつかないんでしょうか……」

 

「な、あぁ、貴方は……まさか……」

 

大赦の人が巫女装束の人を見て、驚きを隠せないでいた。この人、何だか海くんに似ている気がする……

 

「神樹様が認めたことでも、この私、初代巫女である上里ひなたが許しません!!カズマさん!!」

 

「おう、ここにいる仮面つけている奴らは女性だな。だったらスティール!!」

 

カズマって言う人が手をかざした瞬間、何故か下着を握っていた。もしかしてあれって……

 

「下着の次は身ぐるみを剥ぐ」

 

「カズマ……ゲスですね。所でひなた、このような場所……破壊してもいいですか?」

 

「めぐみんちゃん。貴方は大事な役割があるんだから……」

 

この人達はもしかして海くんの……どうして……

ただ呆然としている私に大赦の格好をした人が私に近づきあることを告げた。

 

「ねぇ、これで本当にいいの?」

 

「えっ?」

 

「自分を犠牲にして……皆を救うことが本当に勇者なの?」

 

「そ、それは……」

 

「それにね。どんなに辛くても、犠牲になったら駄目だよ。貴方が行くべき場所は分かるよね」

 

この人、一体何を……それにその声、どこかで……

 

 

 

 




最終話が本当に待ち遠しいです。

とりあえずこちらでは友奈を救うためにカズマ達が参戦しました。最初は名前とかだけのつもりでしたが、もう完全に総力戦のためにこんなことになりました。

最終話は戦闘もあるので、ひなたが出てきたので彼女たちも……

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