勇者の花と桔梗の花 勇者の章   作:水甲

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第5話 戦い再び

僕らは四国の壁の近くに来ていた。ここからしか壁の外に出られるけど……

 

「にぼっしー、あんまり前に出過ぎないでね」

 

「わかってるわよ。無茶はしないわ」

 

園子と夏凛の話が聞こえてきた。夏凛が使ってる勇者システムって確か銀が使っていたものなんだっけ?

すると海があることを聞いてきた。

 

「こっちでは銀は?」

 

「死んで、今は天の神の補佐として頑張ってるよ」

 

「そっか……」

 

海がいた世界でも銀は死んでるけど、一緒に頑張ってるだよな。後で色々と話したいけど、今は美森を探さないとな。僕らは壁の外へと行くと、抜けた先は炎の海に包まれていた。

 

「これが壁の外……話に聞いてたけど本当に酷いな」

 

「何よ。あんたは見たことなかったの?」

 

「色々とあってね。樹海にも行ったことはなかったし……」

 

「あんた、どういった経緯で勇者になったのよ」

 

「そこら辺は後で話すよ。夏凛。今は……」

 

「見つけた!!」

 

園子が端末で美森の居場所を探しているとどうやらすぐに見つかったみたいだ。やっぱり壁の外にいたんだ。だけど、美森がいる位置を見るとそこはただの炎の海だけだった。

 

「何処にいるんだろ?」

 

友奈があたりを見渡していると空の上にあるものに気がついた。空の上には黒い球体が浮かんでいた。まさかあれって、ブラックホール?

 

「東郷さんが……ブラックホールになってる」

 

「久しぶりにあった友人がブラックホールになってたなんて初めてだわ……」

 

「すごいな。こっちの東郷はブラックホールにもなれるなんてな」

 

「お姉ちゃん、海さん……」

 

「ちょっとまずいわよ。敵が現れたわ!!」

 

「敵って、話せば……」

 

確かに話せば僕らを連れて行ってくれそうだけど……何だか沢山の星屑が僕らの方に迫ってきてないか?

 

「東郷がいる場所を守ってるってことだな。それにあの進化体も、見る限り集まって出来たやつみたいだし」

 

海がそう言いながら、白い刀、白月を取り出して迫ってくる星屑を切り裂いていく。

こうなった以上、戦いは避けられないか。

 

「ちょっと海、あんたバリア脆いんだから無茶しないで」

 

「先輩、分かってますよ!!」

 

海は迫ってくる星屑を切り裂いていくが、敵の猛攻が止まらない。すると海は立ち止まり……

 

「借りるぞ!樹!」

 

「えっ!?」

 

海は樹の武器を取り出し、星屑を一体縛り上げ、他の星屑にぶつけた。更に武器を友奈の武器へと変え、殴り倒していった。

 

「ちょっと待った。何で樹の武器と友奈の武器を使えるのよ」

 

「先輩、コレが僕の力ですよ。他の勇者の武器が使えるっていうね。おまけに満開時もみんなの力使えるし」

 

「海さん、すごいです」

 

「でもそれって、武器に振り回されそうね。ちゃんと使いこなしてるの?」

 

「一応はね。それであそこまでどうやって行くんだ?」

 

海の言うとおり、美森がいる場所は空の上、僕らじゃ行くすべが……

 

「それだったら~私におまかせ。満開!!」

 

園子から眩い光が照らされたと同時に、巨大な船が現れた。アレが園子の満開……

 

「ちょっと乃木、いきなり満開なんて……精霊の加護を受けられなくなるのよ」

 

「昔はバリアなしで戦ったから大丈夫だよ~ほら、みんな乗って、わっしー行の船に」

 

園子、しょうがない。僕らは船に乗り込み、美森のいる黒い球体へと目指すのであった。

 

「かっこいい船です」

 

「でしょ~」

 

「なんか東郷とあんた二人の満開ずるくない?」

 

「ちょっと一番かっこいいのは私のよ」

 

そんなことを話しながら黒い球体近くまで行くと暴風に巻き込まれ、振り落とされそうになった。

 

「くそ」

 

「あの中で何が起きてるの!?」

 

すると球体周辺から何体もの集合体バーテックスが現れ、僕らに向けて攻撃してきた。

 

「この状況で……」

 

「仕方ない。僕も手伝うか」

 

海は船から飛び降り、眩い光とともに神秘的な白い衣装に姿を変え、更には園子と同じ船を出現させた。

 

「僕が突破口を開く!!そのっちはみんなをあそこまで……」

 

「カイくん………大丈夫?」

 

「大丈夫だ」

 

そう言って、船を敵の中心へと突撃していき、僕らの道を切り開いてくれた。

 

「あいつ……」

 

「夏凛、信じてやれ。世界は違うけど、あいつも勇者部の一人だ」

 

「………そうね」

 

僕らは海が作ってくれた道を通り、黒い球体の真上までたどり着いた。

 

「桔梗くん、行こう」

 

「あぁ、みんな後は……」

 

「仕方ないわね。行ってきなさい。桔梗、友奈」

 

先輩の許可ももらい、僕ら二人は黒い球体の中に入るのであった。

黒い球体の中に入った瞬間、僕らの精霊が飛び出してバリアを張ってくれていた。ブラックホールみたいなものだからこの中は重量の中だ。バリアなかったら押しつぶされていただろうな。

 

そして黒い球体の中を通り抜けるとそこは今まで見たことのない景色が広がっていた。それに僕らの体も何だか半透明になってる

 

「ここは……ぐぅ!!」

 

「桔梗くん、うっ」

 

どこからともなく降り注いできた敵の攻撃を受けると受けた場所が紅く染まった。これは……

 

「見て、あそこに私達の体が……」

 

「今の僕らの姿は精神体みたいなものだな。しかもこの傷が全身に行き渡ったら……」

 

「私達……」

 

死ぬかもしれないけど、僕らはここで諦める訳にはいかない。そう思った瞬間、どこからともなくシャボン玉みたいなものが降ってきた。

 

「これ……」

 

「美森の……」

 

僕と友奈の二人はシャボン玉に触れると東郷の記憶が流れ込んできた。

 

 

 

 

 

 

それは僕がキメラとの戦いを終わらせた後、美森の元に大赦の使いが現れた。美森が壁を破壊した影響で、崩壊した世界の炎の勢いが強くなった。いずれ炎は四国を飲み込むであろうということも……

 

「これって……」

 

「東郷さんの記憶……これも……」

 

大赦と天の世界の民は炎の勢いを止めるため、奉火祭を執り行うしかないという話になった。今回の件については天の神も十二人の護衛には話さず、天の民の一部が望んだことらしい。

いつか責任を取らないといけないと思った美森は、奉火祭の生贄を自ら望むのであった。普通なら生贄には巫女が必要だが、美森には勇者の素質と巫女の素質を兼ね備えているため、美森でも生贄になれる。

 

そして美森はある事を神樹様に願った。

 

「きっと私がいなくなったら、勇者部の皆が私を探すだろう。だから願わくば私がいなかったことにしてほしい」

 

 

 

 

僕と友奈は記憶を見終えると、僕らは顔を見合わせた。

 

「美森の奴……」

 

「東郷さん、どこまでも突っ走るね……それに桔梗くんと同じことを……二人って本当に似た者同士だね。お似合いだね」

 

「お前と……いや、何でもない」

 

危うく友奈と海の事を言いかけた。下手なこと言ったら面倒なことになりかねないからな。

 

「しょうがない。助けに行くか」

 

「うん、私たちは決めたもんね。何度だって助けるって!!」

 

僕らは更に奥まで進むとそこは灰色の世界、その中心に炎に包まれた何かと黒く染まった東郷の姿があった。

 

「東郷さん!!」

 

友奈が東郷に触れようとした瞬間、咄嗟に手を離した。もしかしてコレに触れるだけでも僕らの体は……だけど

 

「友奈、一緒に」

 

「うん」

 

僕と友奈の二人で東郷を引き抜こうとするが、何故か胸に痛みが走ってきた。だけどこんな痛み……

 

「東郷さん!!」

 

「美森!!」

 

「「必ず助ける!!」」

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