無事美森を救った僕らは、病院で美森が目覚めるのを待っていた。皆は特に怪我もなかった。ただ海だけは散華の影響で左腕の機能を失ったが……
「明日くらいには治るから、あんまり心配するなよ」
「でもさ、あんた、治るからって無茶しすぎよ。乃木もね」
「ごめんね~」
「とりあえずこれで終わったんだ。天の神も戻ってくるだろうし……な」
僕は皆に少し席を外すといい、トイレへ行くと胸に記された痣を見た。これって確かあの時美森の胸に刻まれていた……
「終わってないのか……」
僕はそう呟きながら、トイレから出ていくと友奈が僕のことを待っていた。
「どうしたんだ?」
「……桔梗くんも何だね」
「あぁ」
あの時美森を救った時に僕と友奈の二人にあの痣が移ったって言うことなのか?おまけにこの痣は……
「きょうくん~ゆーゆ~わっしーが起きたよ~」
園子が僕らを呼ぶ声が聞こえ、僕らは急いで病室へと向かうのであった
「……友奈ちゃん……桔梗くん……」
「東郷さん、良かった……」
「私……」
「全く似たようなことやって……」
僕はそっと美森の頭を撫でると美森は泣きそうな顔をしていた。
「ごめんね……こうするしか方法がないって思って……」
「東郷さん、謝るのは私の方だよ。忘れないって言ったのに……」
「僕もだ」
「ううん、二人共気にしないで……それにごめんなさい」
美森は泣きながら謝り続けるのであった。今は痣のことを気にせず、こうして勇者部が全員揃ったことを喜ばないとな。
「そうだ。美森、紹介したいやつが……って海は?」
「ありゃ?さっきまでいたのに……」
「カイくんなら出ていったよ~何だか誰からか連絡が来たみたい」
「カイくん?」
「お前を助けるために手助けに来た別世界の勇者だよ」
海SIDE
「こっちで起きていたことは全部終わったよ」
東郷も無事救出できた。それと同時にエリスさんから連絡が来たため、僕は病院屋上で話していた。
『そうですか、でも……』
「でも?」
『すべてが終わったのなら、天の神は直ぐ様そちらに戻るはずなのに……』
『ちょっとウミ、早くどうにかしてよ~私の酒が~』
どうやらまだあっちに天の神がいるみたいだけど、あれ?これで終わったんじゃ……
『やぁ、女神の勇者。話は聞いたよ』
「あんまり天の世界の住人を怒ってやるなよ。あいつらだって世界を滅ぼさないように……」
『わかってるよ。それにしても奉火祭……人間が我らの赦しを得ようと行った儀式がまだ続いてるなんてね……』
「そういえばちょっと気になったんだけど、今回の壁の外の炎の勢いが強くなったってことなんだけど……僕らの世界でそんなこと起きて無くないか?」
『あぁ、それなら簡単だよ。こちら側の天の神に話を聞いたら、壁の外の炎はとある人間の遺体を利用して、奉火祭を行ったみたいだよ』
話を聞いた瞬間、僕はその遺体が誰なのかすぐに理解した。あぁ、そうか……その遺体って……
「………上里の家だしな。男でもそれなりの力を宿してればな」
『だからこそこっちでは炎の勢いは弱くなったままだ。似たようなことは起きない』
それならいいのだけど、もし起きたら起きたで勇者部と何だかんだで皆も手伝ってくれそうだし……
「そういえば何で戻れないんですか?僕も早く戻って……」
『さぁね。まだ終わってないからじゃない?それが終わるまではね……』
終わってないか……
『それと女神二人に頼んだ例のものはまだかかるみたいだよ。まぁ使う必要がなければいいけどね』
天の神はそう言い残して、通信を切るのであった。終わってないって、これから何が起きるんだ。だけど何が起きようとも僕は………
「……もしかしたらアレを使う必要があるかもしれないしな」
桔梗SIDE
しばらくして海が戻ってきて、どうやら天の神が戻ってくるにはしばらく時間がかかるとのことだった。天の神が戻らないことには自分も元の世界に戻れないという話をしていた。
「そうか、だけどその間どうするんだ?」
「適当に過ごすよ。大赦からも許可貰ったし……」
「いやそうじゃなくって、住む場所だよ」
僕がそう聞いた瞬間、海はしまったという顔をしていた。まぁ前みたいに僕の部屋に泊まればいいのだけど……
「大赦から用意とかされてないわけ?」
「すぐに戻れるかと思ってたんだけど……今から頼んでもすぐには準備できなそうだしな……」
「それだったら私の所にお泊りする?」
友奈がそんなことを言い出した瞬間、美森から殺気が漏れ始めた。いや、友奈、僕の所に泊まれば……
「いや……友奈。それは……僕、男だぞ」
「でも、泊まる場所ないんだよね。そんな困った人放って置けないから……それに、海くん、桔梗くんと同じ信じてるから」
友奈が笑顔でそう言うのであった。僕は海の肩に手を置き、
「頑張れ」
「………はい」
こうして美森救出は終わりを告げるのであった。そして海は帰るまでの間、勇者部臨時部員としてこちらの世界にいることとなったのだった。