友奈SIDE
桔梗くんと一緒に私達に起こっている事を話そうとした時、みんなの胸にあの痣が出てくるのが見えた。
二人で東郷さんを助けた時に、お役目は私と桔梗くんの二人に引き継がれた。この事を知ったらきっと東郷さんが悲しむ。折角今、皆が揃って楽しいのに……
「どうすれば……」
一人で思い悩んでいる時、扉をノックする音が聞こえた。もしかして……
「……友奈。今大丈夫だったか?」
「海くん……うん大丈夫だよ。どうしたの?」
何故か心配そうに私のことを見つめる海くん。そういえばあの時、皆に痣ができそうになった時、一人だけ違った。
「いや、何だか元気ないから……」
海くんだけがあの痣ができなかった。どうしてなのかわからない。もしかしたら海くんは別の世界の人間だから?それだったら海くんに話しても……
「あ、あのね……実は……」
海くんに話そうとしたけど、私はすぐにやめた。もしかしたら海くんだけ見えなかっただけで、実はあの痣が出てきていたのかもしれない。
もしそうだったとしたら……
「友奈?」
「えっと……海くんがいた世界の私達ってどんな感じなのかなって?」
「僕の世界の皆?変わらないよ。ここにいる友奈や勇者部の皆、変わらない」
海くんは嬉しそうに話していた。変わらないか……でももしかしたら海くんの世界の私はこんな風に悩んだりしないんだろうな……
「そっか……私たちは私達なんだね」
「………それで他に何かあるのか?元気がない理由にはならないだろ」
「え、えっと……」
「無理には聞かないよ。でも辛くなったら皆を頼れ。それくらい出来るだろ」
「海くん……」
海くんはそう言い残して部屋から出ていった。皆を頼りたいけど……そんなこと出来るのかな?
海SIDE
やっぱり友奈の様子がおかしい。一人で何かを抱え込んでいる。昼間に銀に聞かされたことが関係してるのか?だとしても友奈の性格上、誰かに相談くらいはするだろうし……
「どうしたものか……こういう時は……」
僕は端末でエリスさんを呼び出し、あることを聞くのであった。
『どうかしたんですか?』
「エリスさん。詳しいかどうかわからないんですけど、神様の天罰ってその人自身に悪い影響を及ぼすんですか?」
『え、えぇ、以前助手く………カズマさんがセクハラしようとした時に不幸な目に遭う天罰を下すって話したの覚えてますか』
「うん」
『そういった悪い影響を及ぼすのが女神の天罰……それがどうかしたんですか?』
あの時友奈の様子を見る限り、僕らには話せないということなのか?でもそれと銀が言っていた神樹の異変と何か関係があるんだ……
「………いえちょっと不意に思い出して聞いてみただけです。気にしないでください」
『そう……ですか……あの頼まれたものはもうしばらくかかります。本当は駄目なんですよ。今回は天の神が協力しているとは言え……』
「あはは、まぁ必要になることはないでしょうけどね……」
僕は通信を切ると、ベッドに横になるのであった。僕に何か出来ることあるのか……それにこれ以上僕はこの世界に干渉していいのか……
桔梗SIDE
僕は現状起きていることをまとめなおしていた。例の痣は天の世界に関係するものだ。だとしても天の神が関係しているのなら、海がそれを伝えるはずだ。なのに何も言ってこないとしたら……神自身が与えたものじゃなく、神の意志関係なく与えられたものだとしたら………
「どうしようもないか……」
それにこの事を話そうとしたら皆……海を除いた全員にあの痣が現れた。その影響が出てきたりしているのか?
だとしたら今頃美森に何か危機が……
そう思った瞬間、突然家のチャイムが鳴った。こんな時間に誰が訪ねてきたのだろうかと思い、玄関を開けるとそこには美森がいた。
「………夜這い?」
「桔梗くん、私がそんなことする人に見える?」
「いや、こんな遅い時間に尋ねてくるから……というか来るなら前もって連絡してくれれば迎えに行ったのに」
「ごめんね。ちょっと聞きたいことがあって……」
「聞きたいこと?」
「あの人……上里海くん。別世界の勇者だって聞いたけどちょっと気になることがあって……」
気になることって、あいつ何か気にするような……もしかして友奈の家に泊まってることか?あいつの場合は色んな意味で大丈夫だろうけど……
「夏凛ちゃんから聞いたんだけど、彼、壁の外に行った時始めて見たって言ってたらしいけど……桔梗くんは彼がいつ勇者になったのか聞いてない?」
海が勇者になった時期か……知っているけど僕が話していいものか……それに事情を聞いたら美森も、他の皆も落ち込むだろうしな……
「アイツのことはあいつ自身が言うべきことだと思う……流石に僕からは言えないしな」
「………そう」
美森も納得したのか、これ以上何も聞かなかった。だけど何故か家に上がってきた。
「送ってくぞ」
「ううん、ちょっと困ったことがあってね。家に居辛いから桔梗くんに会いに行こうと思ったから……」
困ったこと?何かあったのか?もしかして喧嘩したとか……
「実は家の電灯が急に切れちゃって……真っ暗の中作業しづらいから……」
だからって僕の所に来るのはどうかと思うぞ。おまけによく見たら荷物持ってきてるし……
「桔梗くん、襲ったりしないでね」
「わかってる。約束したしな。だけど……」
僕はそっと美森にキスをした。美森は顔を赤らめながら僕の頭を叩いた
「言った側から………」
「キスくらいはいいだろ」
「………そうね」
美森は目を閉じた。僕はもう一度キスしようとした瞬間、
「桔梗、邪魔するわよ。あんた電気ストーブもってなか………」
タイミング悪く夏凛が訪ねてきた。夏凛は僕らの姿を見て固まっていた。
「な、なななな、な」
おまけに驚きすぎて壊れてきてる。こういう場合どうしたらいいものか……