桔梗SIDE
「昨日、樹が鍵を落として寒空の下2人して大変だったんだから、ちょっとコンビニ行っただけだったのに……」
「お姉ちゃん、本当にごめんなさい」
「いいって……」
部室でそんな話をする中、先輩も樹も夏凛のことをチラチラ見ていた。先輩もいい加減ツッコミを入れるのであった。
「所でさ、何で夏凛は桔梗と東郷に土下座してるの?」
「部室に来てからですよね……」
「………昨日ちょっと」
「何というか間が悪かったと言うべきか……夏凛、いい加減頭上げろって……」
「いや、本当にごめん……邪魔する気はなかったのよ」
未だに頭をあげない夏凛。僕も美森もあのタイミングで夏凛が訪ねてくるとは思ってもいなかったし……
「夏凛ちゃん、二人共怒ってないから大丈夫だよ」
友奈がしばらく説得し、ようやく夏凛が頭を上げてくれたと同時に、園子が部室へ入ってきた。
「園子参上なんだぜぇー」
そう言いながら入ってきた園子。だけど僕らは園子の包帯が巻かれた右手を見つめていた。何かあったのか?
「園子さんその手…!?」
「おぉ、大丈夫大丈夫。こうしてサンチョを被せれば、あってないようなものシュレリンガー」
「いったいどうしたのよ?」
「今朝ポットで火傷したんだ~」
これってどういう事だ?僕、友奈以外の皆、何かしら不幸な目にあってないか?まさか偶然なのか?
「勇者部全員厄払いにでも行った方が良いんじゃない?」
「ちょっと縁起でもない事言わないでよ」
友奈もそのことに気がついているのか、ずっと暗い顔をしている。まさか……昨日皆に話そうとしていたことが関係してるのか?だとしても……
「友奈ちゃんは何もなかった?」
「ぁ…うん、平気」
「桔梗くんは?」
「得には……」
「良かった。友奈ちゃんと桔梗くんにまで何かあったら、いよいよ怪しいものね」
「また大赦かーって」
園子の一言にその場にいた全員が黙り込んだ。今までのことを考えると本当に笑えないな。
「空気重いけど何かあったのか?」
何処に行っていたのか海が部室に戻ってきては、部室内に流れる空気を直ぐ様感じ取っていた。
「あー、海は何かしらあった?」
「どういう事ですか?先輩」
「皆、不幸な目に遭ったって話をしていて……」
「僕は特には……」
痣のことが関係してると思っていたけど、海だけ何もないっていうのはちょっと気になる。住んでいる世界が違うからか?いや、だとしてもそれなりの影響があってもおかしくないはずなのに……
「と言うか過去一番の不幸に比べるとちょっとの不幸が不幸と感じないですけどね」
海は遠い目をしながら、そう言うのであった。勇者になった経緯以外何かあったのか?
「オーク、メス……襲われる……殲滅……」
何か呟いてるし、聞かないほうがいいのか?
海SIDE
皆揃い、僕らは活動をしている中、僕はさっき聞いた皆が不幸な目に遭っているという話が気になっていた。
東郷は電灯が切れてしまい、風先輩と樹は家の鍵を落とし、夏凛はエアコンが壊れ、更には桔梗さんと東郷の二人のイチャラブを邪魔してしまい……
皆が不幸な目に遭っているのに友奈と桔梗さん、そして僕には何もおきないんだ?そんなことを考え込んでいると、あちら側からの連絡が入った。
「すみません。先輩、少し電話してきます」
「ありゃ、もしかして大赦からとか?」
「いえ、あっちの世界からです」
僕は人目のつかないところへ行き、通信に出ると相手は……
『ウミさん、どうですか?皆さんの様子は?』
「エリスさん、ちょっと気になることがあって……」
僕は部室で聞いた話をエリスさんに話すと、暫くの間エリスさんは黙り込んでいた。
『………ウミさんは本当に何もなかったんですか?』
「皆の前ではそう言うしかなかったですけど、何も起きてません」
『それにそちらのユウナさん、キキョウさんの二人には何も起きていない……やはりと言うべきでしょう』
「どういう事ですか?」
『ウミさんが不幸な目に遭っていないのは私の加護が関係しています』
エリスさんの加護って、幸福がって事か?でも未だに僕の運は低いままなんだけど……
『加護って言っても、運が上がるということではないです。ウミさんは精霊である私の影響で、悪魔探知が出来るようになったじゃないですか』
そういえばそうだった。でもアクアさんやクリスさんがいるおかげで特に必要なくなったしな……
『そしてその影響は強くなったおかげでしょうか。ある程度の呪いは受けなくなっています』
呪い無効化って言うと、死の宣告とか無効にできるっていうのか?いや、ちょっと待て、
「呪いってどういう事ですか?」
『………まだ断言はできませんが、もしかしたらです。なるべく皆さんに気を配ってください』
「気を配る……か。エリスさん、僕はこれ以上関わっていいんですか?僕自身出来ることは……」
『………ウミさん、それは貴方が決めることです。もし悩むようでしたら、皆さんに相談してください』
エリスさんはそのまま通信を切るのであった。僕が決めることか……
部室に戻ろうとした時、不意に友奈と先輩の二人が何か話しているのを見かけ、僕は少し気になり物陰に隠れながら聞き耳を立てた。
『実は…この間、東郷さんを…あっ』
『…ん?何?』
友奈が何か言いかけた瞬間、妙な力を感じた。これって昨日も……
『あ、いえ…』
友奈も何かを感じ取ったのか、直ぐ様話題を別なものにしていた。友奈は何を隠してるんだ?
桔梗SIDE
友奈と先輩が何かを話しているのを僕は校舎から見ていた。気にしないようにと思っていたけど、皆が不幸な目に遭っているのは僕と友奈が痣のことを話そうとしていたからか?
「先輩に出来た痣……昨日皆に出来たものより大きい……」
話そうとしたら不幸な目に遭う……これが本当だとしたら……先輩が危ない。だけど直接気をつけろと言ったら、何が起きるかわからない。ここは……
僕は端末で樹にメッセージを送った。
『樹、先輩と帰る時気をつけろ』
『あの?どういう……』
『詳しくは言えない。ただ嫌な予感がして……』
『分かりました。気をつけます』
これで大丈夫だろうか……僕自身がいざっていう時守れればいいのだけど……痣の影響が出てくるかもしれない。今は祈るしかないのか……
海は女神の加護により痣の影響は受けません。桔梗はどうにかして不幸なことから守ろうとしている感じですね